山を駈ける風になれ2000年4月号
2000 4月 1日
島田一志様
お元気ですか。相変わらず内容のある山行きレポートで、島田さんから送られてくる「月刊誌」
は本当に楽しみです。
千丈寺山は5年前頂上から南尾根を下ってしまい、えらい目にあった覚えがあります。
北の峠からの道はしっかりとした道ですが、細くてMTBが木の枝にひっかかって難渋しました。
向山の亜炭展望所では、小さなかけらをお土産に持って帰りまして、子供に石炭の一種だと
説明したのですが、黒い色をした頁岩だったとは残念。たしかに『丹波の自然』にはそう書いて
ありますよね。
カヤマチ山の縦走は如何でしたか。かなりハードな行程になったことと思います。途中で
エスケープしようにも、エスケープルート自体がこれまたハードなコースだったのではないで
しょうか。
私の方は、母子の無名峰で夢の小径を見つけたり、奥能勢で遅い雪にビックリしたりと
楽しんできました。
さて、近況報告です。
3月5日(日) 宝塚/うさぎ山(2.5万図 宝塚)
うさぎ山とは聞きなれない名前だと思う。実は私自身も現地に行ってみて始めてそんな名前が
あることを知った次第。わかりやすく言えば、中国道の宝塚東トンネルの上にある標高150.1mの
小山のこと。中山連峰から一歩前へ飛び出したような山で、頂上に鉄塔が立っている。そして
何よりも特徴的なのが、頂上直下までせまった住宅地である。我が家から見ると落っこちそうな
くらいの急斜面に建っている。近づきすぎて訪ねる機会もなかったが、予想外の好天に出遅れた
今日のような日でないと登ることもないと出発。
旧R176が中国道の高架下をくぐる手前の交差点を北に折れる。橋本関雪別邸の塀が途切れ
たところで、中国道をまたぎ、再び北に進む。一番高いところに向かってついている道を西側に
回り込むように登れば最奥の民家へ。ここから鉄塔に向かってついている道を登る。中国道が
真下を走っている。更に1〜2分で頂上に到着。交差点からここまでわずか10分ほど。
頂上は背丈を超すササを主体とした雑木林で、1.5m巾につけられた道は歩きやすい。いい散策路
だ。低い山だが、下りにはいるとハンドルバーの先に大阪湾が見え、標高以上の高度感がある。
清荒神の境内も見える。この山に更にマンションが建とうとしている。暫く頂上で休み、武庫川
の河口までのんびり走りに出かけた。
(本日の走行距離44km)
3月11日(土) 三田/鎌の尾(2.5万図 木津)
三田北部、小柿と末吉の間にある鎌の尾は、地形図では「奥山」と記されている山のこと。
詳細は多田繁次氏の著書に詳しい。昼過ぎから雨との予報で急遽行き先を変更したものだ。
川西能勢口から泉郷峠へと北上するスピードは相変わらず遅い。昨年暮れから走るたびに
最遅記録を塗り替えている。体力の衰えと言ってしまえばそれまでだが、なぜかMTBが重く
感じる。
8時44分、観福寺前に到着。東麓沿いに末吉方面に走る。左に林道分岐が現れるところに
標石がある。「右のせ○○道、左○○○○道」とある。昔は杉坂峠を越えて杉生経由で能勢路に
向かっていたのだろう。さて、林道を終点まで走り、奥に続くシングルトラックを行くとすぐに
布木谷峠に着く。西の東村へ抜ける道は倒木の連続で以前苦労した覚えがある。小憩の後、南尾根
筋についている道を登る。途中小崩壊地点があり、北の西奥山(592m)がよく見える。20分ほど
でCa450mピークに着く。南に大船山が見えるだけの山頂だ。しっかりした道もここまで。うまく
いけば鎌の尾山頂まで夢の稜線S/T走を楽しめるかと期待したが、北摂のヤブ山はそんなに
甘くないということか。踏み跡はあるにはあるが、ヤブに還りつつあり、もはや両手でかき分けて
いくのも大変なところもある。MTBでの縦走をあきらめ、鎌の尾三等三角点(446.8m)を
ピストンし、布木谷峠から末吉に抜ける旧道を見つけ、ササヤブのS/Tを楽しみ帰路に着いた。
(本日の走行距離104km)
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鎌の尾頂上の三角点 |
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3月18日(土) 三田/母子637m峰(2.5万図 篠山)
今日の山は正直言って紹介したくない。というのも隠れ家を公開する――そんな気持ちにさせる
山だからだ。
2.5万図「篠山」から摂丹界の山中をいくつも静まる池を見つけ、さまよい歩きに出かけたのは
故多田繁次氏。そんなロマンをかきたてた幻の池もゴルフ場となり、昔日の面影はない。
本日目指すのは、同じように「篠山」を眺めていて見つけた山。母子大池の南東に位置する
標高点637mのピーク。勿論無名。この山を中心に南北約1.5km、ほぼ平坦な稜線が続いている。
夢の小径に遭えるだろうか。だが、付近には集落もなければ道もない。取り付きに手間取ることを
考え、レーサーでアプローチの短縮を図る。
川西能勢口回りで西峠〜後川奥〜永沢寺と走り、8時46分母子大池手前の林道分岐に到着。
さすがにレーサー、途中で食料補給をしたり(試供品のお酒までもらう。ちょっと重たい)、
何度か休憩を入れたりしながらも2時間40分で着いた。まずは林道の最高点まで登り稜線を目指す
ことに。茶畑沿いの林道は、軽トラのわだちが残る枯れ草に覆われた道で、5分ほど登ると小さな
池に着く。茶畑沿いに池の南側の道を行っても林道最高点の鞍部に着くが、地形図通りに池の北側を
回り込むように付いているやや細い道を行くのが正解。2〜3分で鞍部に到着。西に細いがしっかり
とした道がついている。母子大池から南に下る林道に合流する道だ。MTBなら結構走れそうだ。
ここでレーサーをデポ。さあ、ここからどうするか思案するつもりだったが、何と幸運にも南の山側
に向かって山道が付いているではないか。「渡りに舟」、行けるところまでこの道を行くことに。
植林帯と雑木帯の境目に付けられた道は、傾斜もゆるやか、倒木も殆どなく、どんどん歩行がはかどる
道だ。こんないい道があるとわかっていたらMTBで来るのだったのに、少し後悔。林道最高点の
鞍部から歩くこと10分、稜線上のCa570m鞍部に着いてしまった。全く苦労せずして稜線に辿り着いた
というわけだ。おまけに「あった、あった」雑木林の中を夢の小径が続いている。樹幹越しに少し
尖った637m峰が見え隠れしている。落ち葉の絨毯の上をスイスイ歩き、最後の一登り。9時20分、
637mピークに到着。頂上にはちょっとした岩がある。勿論登頂標など一切ない。岩の上に立ってみると
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母子637m頂上の岩 |
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これが凄い。三国が岳、愛宕山、中尾の峰の太平三山越しに八ヶ尾山から西ヶ岳がこれだけ一度に
見渡せる山はちょっとお目にかかったことがない。こんなとことに知られざる大展望台があったとは
驚きである。今日のおにぎりの味は格別だ。最高の天気と最高の眺望。今年一番のツーリングを
心ゆくまで満喫した。
(本日の走行距離108km)
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向こうの山塊は小金が岳〜八ヶ尾山 |
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3月25日(土) 能勢/天王646m峰 (2.5万図 福住)
5ヶ月ぶりにH氏を案内して鳥脇山西尾根を走る予定が、H氏急な事情で走れなくなり予定を変更、
前から狙っていた標題のコースを走ることに。朝の気温6℃、ようやく春らしくなってきた。6時02分
スタート、川西能勢口回りで杉生新田目指し北上する。山判押さえ気味に走ったせいか、久しぶりに
まずまずのタイムで杉生新田に到着。ここはまだ冬のようだ。あたり一面真っ白。おまけに細かい
雪まで降ってきた。気温3℃、休憩もそこそこに再び出発、籠坊分岐を見送り、奥軽井沢の別荘地脇の
急坂を喘ぎながら「押し」、峠に着く。ここからしばらく快適なシングルトラックの下りを楽しんでいたら、
何と、突然目の前に工事中の林道が現れジ・エンド。いつの間にこんなものが・・・と憤慨しつつ、
雪でドロドロの道を下り、高圧線の下をくぐって「bX9へ」と書かれた順視路入口から山に取り付く
(8時27分)。
傾斜の緩い、巾のある道でMTBを「押す」のも随分ラクだ。高圧線は道を挟むようにして南北に
通っている。偵察を兼ねて、西側のCa620mピークに建つbX9鉄塔にMTBを担ぎ上げる。646mピークの
西肩に鉄塔が建っている。あれを登れば行けそうだ。擬木階段を下り、再び山道を北にとって、今度は
bV8の鉄塔へ東に担ぎ上げる(8時50分)。東側の高圧線は地形図よりも、もう少し東側を通っている。
標高差にして15m、直線距離にして100m少しのところに、頂上部が雪を被った深いクマザサの海。雪が積もって
いるなんて全く考えていなかったので、装備なし。すでに半分ビショ濡れ状態。先週のようなラッキーは
そうそうない、ということか。残念だが、ここで諦め、北に続く巡視路のシングルトラックを楽しむことに変更。
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bX9の鉄塔下で |
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10分ほど走ればbX6の鉄塔が建つCa590mピーク。西に丈山、同北峰、北北東に深山西の683mピークが
見える。頂上部で冬が最後の抵抗を試みている。晴間と雪雲がめまぐるしく変わる。ブレーキシューの
回りに雪の固まりをくっつけて天王公民館へ下りる。最初の予定では、次に雁坂峠から高嶽(574m)に
登るつもりだったが、雪と強風に加え、おしりも冷たくなってきたので、籠坊、三田/木器から、なぜか
しんどい大坂峠を越えて帰路についた。
(本日の走行距離101km)
と、以上のようなところです。
それから『ぶんぶん』という宝塚、川西、猪名川をエリアとするコミュニティー紙(朝日新聞系)編集部
から5月号でサイクリング特集を組むのでコースを紹介して欲しいとの依頼を受けました。ママチャリでも
走れるような家族向けコースから、MTBでガンガン走りたい人向けまで、何コースか教えて欲しいとのこと。
4月9日(日)に打ち合わせの予定です。家族向けコースに悩んでいますが、記事が載ったらまた報告します。
それでは。
2000.3.27
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