山を駈ける風になれ2008年 5月号

 
2008年4月5日(土)北近畿/福知山~榎峠~青垣周回(5万図 福知山他)
今日も絶好のサイクリンブ日和、3週間前に走って気持ちよかった長距離ツーリングに再度チャレンジ。今回は
福知山から青垣方面へ周回路をとる。

日の出がぐんと早まってきた。それにつられるように午前5時49分ロードでスタートする。R176を北上す
る。この時間なら交通量が少ないかというとそうでもない。期末期初の宴会、歓送迎会続きで体調的には芳しく
ない。
日中は20℃まで気温が上がるというが、放射冷却の影響で三田から篠山の間はずっと気温1℃、水分補給をと
自販機に投入する硬貨を掴む指は悴んで財布から上手く取り出せないほどである。

それでも栗柄峠から鼓峠へ向かう頃には徐々に暖かくなり始め、快晴の下兎原からは快調な走りが戻り福知山市
街の入口東堀の交差点に着く(9時07分)。
まずは福知山城に立ち寄りお花見休憩をとる。道中サクラは殆ど咲いていなかったがさすがにここまで下がって
くると(標高が)結構咲いている。
福知山城

サクラもいいけど腹が減ってきた。予定通り1回目の食料補給を摂る。福知山駅の南西にあるMストップに入る (9時25分)。まだこの時間は外は寒いので店内で食べるスペースが設けてあるこのコンビニはありがたい。 ツーリング・バイクに乗った中高年ライダーがやってきて店員に地図を見せてこれから向かおうとしている場所 を訊いたりしている。本当にツーリングには最高の天気である。 再び走り出す。R9に別れを告げてR429へ。穴裏峠への分岐を見送り、談で左折、法用に向かう。暑くなっ てきたのでウィンドブレーカーを脱ぎ、グローブもウェストバッグにしまい、ぐいぐい上っていく。 道幅が急に狭くなると法用の集落、斜面に棚田でも広がっていれば、能勢の長谷から才の神峠に向かう林道に似 ている。違うのはここは国道だということ。植林帯の中に九十九折りの上りが続く。ペースに慣れてきたと思っ たら榎峠だ(10時18分)。
榎峠(これでも国道です)

“国道”の真ん中に座って汗をぬぐい、地形図を広げる。ここまで上って来る途中1台のクルマにも出会わなか ったのだから、まず轢かれる心配はない。古地図風に表現すれば『車の往来絶えて久し・・・』とでもいうとこ ろか。 峠のすぐ東側に3等三角点のあるコブがあるので訪ねてみる。峠から福知山側に20mほど戻ったところから植 林帯の斜面をトラバースしながら回り込み、急斜面を登れば山頂に出る(10時30分)。点名「榎峠」344. 1mである。
点名榎峠からの眺め(岩屋山方面)点名榎峠3等三角点

伐採された雑木が三角点の上に覆い被さっている。南西方向に少し展望が開け、大鉄塔の建つ岩屋山や大箕山が 見える。久しぶりに「大柿プレート」にも出会う。暫く休んで下山、再びロードにまたがり峠を下る。 ヘアピンカーブ連続のご機嫌な峠道である。足を休ませ楽しみながら下るとすぐに佐治。風向きは南西に変わり 氷上、山南とずっと向い風の中の走りが続く。 12時01分、お昼のサイレンが山間に木霊す中、円応教本部の近くのコンビニで本日2回目のお食事タイム。 バイクツーリングの青年が駐車場で弁当を食べている。自分の苗字を同じ地名まで走りに行く予定だとか。人そ れぞれテーマを持って走るのはいいことだ。後半もずっと向い風が続く。無理に頑張るのはやめ、マイペースで 家路を目指すことにした。  (本日の走行距離196km) 2008年4月19日(土)西宮/宮水井戸巡り(1万図 西宮) 3日連続の宴会でぐったり、おまけに昨日までしっかり雨。遠距離を走る元気も無く、山の中を走るとドロドロ になりそうな時はこれしかない、ということで今月も“西宮自転車散歩”をする。 午前6時46分、いつもよりゆっくり目のスタート。風がやたらと強い。追い風に乗って仁川から甲陽園に抜け、 夙川沿いを香炉園まで南下する。今日はどこを紹介しようか。 と、目に入ったのが≪酒蔵通り≫の文字。確かに西宮といえば酒だが、単純に酒造会社を紹介したのでは面白く ない。宮水を取り上げてみようと決め、各酒造会社の井戸が集まる久保町、石在町方面に向かう。それにしても 宴会続きの後に宮水を取り上げるなんて、まだ酒が抜けきっていない? まず訪れたのはここ。宮水発祥の地の碑。「宮水」は「西宮の水」の略である。勿論というか当然というか「日 本名水百選」に選ばれている。隣に酒造会館があり、事前に予約すれば宮水を飲ませて頂くこともできるらしい が、朝の7時15分では無理。厳重に鍵の掛かった井戸を眺めて湧き出る様を想像する。
「宮水発祥の地」の碑こうやって厳重に閉めてあります

続いては櫻正宗の宮水井戸へ。もともと宮水が酒造りにいいと発見したのは、この櫻正宗の創業者山邑太左衛門。 魚崎郷の酒造家であったが、この宮水を魚崎まで運び清酒を造ったところ、明らかに酒の質が向上、江戸で「秋 晴れのする酒」(=夏を過ぎても味が落ちない)として人気を博したことから、灘五郷の酒造家の間で広まった と言われる。(ほぼ時を同じくして西宮郷の雀部市右衛門も宮水が酒造りに適していることを発見)
櫻正宗

風化花崗岩の砂粒の間を流れてきた六甲の伏流水が万葉期頃は海辺だったこの辺りに堆積している貝殻層とブレ ンドされて、カルシウムとリン成分を含む硬水になったといわれる。昔はかなり広範囲で宮水が湧出していたと いうが、今ではこの久保町・石在町の数百メートル四方の間に集中している。 では、どんな宮水井戸が集中しているのか写真で紹介しよう。
白鹿白鹿の宮水井戸
大関日本盛菊正宗
泉正宗、菊正宗、大黒正宗
福寿、都美人の共同井戸場
沢の鶴
金鹿レトロ感がいい白鷹これも雰囲気のある井戸(喜一)

日本酒の好きな方は既にお気づきだろうが、ここには御影郷、魚崎郷の酒造会社の井戸もある。実は灘五郷の生 産量の4割がここで造られているということである。 尚、宮水は生で飲むと美味しいが、沸かすと駄目らしい。“宮水コーヒーの店”と宮水を“売り”にしている喫 茶店がよくあるが、それってどうなの? 以上、ふだんはアルコールをたしなまない “山駈け”レポでした。  (本日の走行距離 31km) 2008年4月20日(日)北神戸/中山大杣池~天下辻(2.5万図 有馬) 昨日一日吹き荒れた強風もおさまり、以前から計画していた表記のコースを走る。今日は勿論MTBである。 午前5時43分出発。西の空は意外に雲が厚い。赤坂峠を越え天上橋交差点を左折、すぐのところにあるコンビ ニで軽食を調達し、吉尾、八多、深谷と走って好徳小前へ。ここで南に折れ、激坂を上って中山大杣池に着く( 7時07分)。
中山大杣池

ここに来るのは99年10月以来である。黒甲越えルートを天下辻まで走る今日のMTB山遊びコースの起点で ある。が、その前に池のすぐ北側にある点名「中山」395.6mに立ち寄る。 池の北側には木製の柵で迷路コースが作られている。その奥にあるのが中山だ。迷路にひっかからないように一 番奥まで歩き、ここと見当を付けたところから山の中に入ると微妙な踏跡がある。ヤブ山に慣れた人間なら、れ っきとした踏跡、しかも三角点を目指す目的だけの踏跡であることがわかる。30秒で3等三角点の埋まる山頂 に着く(7時17分)。
この迷路の奥に三角点がある中山三角点

さて今日のメイン・コースに戻る。中山大杣池の入口まで戻り、広い舗装路をそのまま東へ下るとすぐにガレガ レ林道の下りになる。いい加減手ががくがくしてきたところで橋を渡って上り基調に変わる。上り基調になると、 もうガレガレ道は乗れない。一昨日まで降っていた雨で林道が半分川のようになっている。ひたすら「押し」て 進む。 林道脇に白い花をいっぱい付けて咲いているキイチゴ地帯を通過する。ナガバモミジイチゴだろうか。最近ブラ ックベリーを買って育てているので興味を持って見ることができるようになった。
ナガバモミジイチゴ?が咲き乱れる山道天保池分岐

7時46分天保池分岐に着く。ここからは走りやすいシングルトラックに変わる。モトクロスバイクのタイヤで 抉られた走りにくい箇所もあるが、乗車率は上がり、最後は「押し」て東鹿見山横の舗装路林道に飛び出す(8 時16分)。
いい感じで東鹿見山分岐に向かう

せっかくここまで来たのだから予定を変更して東西両鹿見山を訪ねる。まずは東鹿見山へ。無線中継所のあると ころまで簡易舗装路を走り、ハイキングコースを右に見送りながら直進、一直線に登ると東鹿見山山頂(553 m)である(8時27分)。登り口から3分といったところだろうか。「No.621」の石の界標が埋まって いる。
東鹿見山山頂

展望はそれほどよくない。すぐに元来た道を引き返し、中継所の前で軽食休憩を摂る。いい天気になってきた。 少し暑いくらいである。補給が済んだところで今度は西へ戻り、西鹿見山に向かう。
西鹿見山山頂

西鹿見山は「これ」といった踏跡が無く、峠状になった簡易舗装路から最短距離で山の中に入って山頂部に立つ (8時46分)。地形図では標高点562mの表示があるが、実際には頂上部はほぼ平坦でどこが最高点か判ら ない。とりあえず頂上部分をくまなく歩く。 踏跡の無い山の中をぐるぐる歩き回ったお蔭で、元の道へ下った時には突入地点より20mほどずれていた。 いい加減ぬかるんだ道でドロドロになっていたので、黒甲越えルートはカットし、ゴルフ場の南を東に走り、鰻 ノ手池を少し下ったところから天下辻に向かうハイキングコースを走る(9時06分)。いきなりきれいに整備 された幅の広い林道が現れる。
天下辻への道は途中まで幅の広い林道途中にはこんな場面も

これまでの水溜りだらけの道とは雲泥の差だ。気持ち良く走れば広い快走路はすぐに終点に。再びぬかるみだら けの道に変わる。口を開けていると泥が入ってくる。MTBのタイヤがはね上げた泥はまるでお灸のモグサのよ うな形になって膝にくっついている。 久しぶりにオフロードを堪能しながら走っていると見覚えのあるポイントに出た(9時35分)。天下辻である。
天下辻(ここまでくると山道走りはもう終わり)

南へ下って大池駅前。下界に下りると北東寄りの風が強くなっている。結局自宅まで向い風と戦いながら走って 帰る破目に・・・。    (本日の走行距離 58km) 2008年4月29日(火)猪名川/丸山(2.5万図 武田尾) GWに入りました。今年はずっと天気がいいとの予報。我々サイクリストにとってはこんなありがたい話はあり ません。27日は名残りのサクラを求めて北摂をぐるり周回(レポートはありません)、今日は午前中少しだけ 時間が取れるので表記のショート・コースを走ることにする。 猪名川の丸山は、北田原にある217mの低山。名前のとおりなだらかな丸い山で麓から東の方にハイキングコ ースがあるのは知っているが、丸山自体に登ったことはない。 午前6時ちょうど自宅を出発する。昨日も会社の送別会に参加した影響か、若干体はだるい。川西能勢口回りで 北上、ダイレクトに目指せばあまりにも早く着いてしまうので、広根~切畑~玉瀬~上佐曽利~笹尾~木津と大 回りして7時50分北田原に着く。
途中にはこんな風景も丸山登山口

丸山の南東から北北西に伸びる破線路を探す。破線路を忠実に辿ると朝露で濡れてしまうくらい草が生い茂って いる。一番奥の民家の前から小さな貯水池の横を辿るとしっかりした山道が付いている。 入口にロードをデポし山道を進む(7時58分)。しっかりとした山道なので、これで丸山の北東鞍部までラク ちんで行けると思ったら何のことはない、小さな池が現れて、山道はそこで途絶える。東に踏跡があるが、それ だとゴルフ場に出てしまうので、池の端を西へ回りこみ、あとは雑木藪と途中から胸まで埋まるシダ藪を猛烈に 掻き分けていっきに山頂に着く(8時20分)。
静かな丸山山頂

登頂標が1枚架かっているだけの静かな山頂である。展望は無い。時々ゴルフ場の方から声が聞こえる。北に向 かって踏跡は付いているようだが、それとて判然としていない。麓の集落からすぐのところにあるのに山道が無 いのは珍しい。 東へシダ藪の少ないところを選びながら適当に下ってデポ地に戻る(8時37分)。一番奥の民家の前まで戻っ て体に付いた葉っぱを払う。イラガの幼虫が2匹も付いている。山の中で指にチクッときたのはこいつだったか。 県道を北上するサイクリストの姿が増えた。確かに今日は絶好のサイクリング日和だ。これからサイクリングに 向かう対向車線の長い列を見送りながら家路についた。    (本日の走行距離 66km) 織田(おりた)さんへのメールはbabrx800@jttk.zaq.ne.jpまで・・・。

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