山を駈ける風になれ2000年6月号

2000 6月 1日
5月6日(土) 氷上/竜ケ岳 (2.5万図 大名草、丹波和田)
  ゴ−ルデンウィ−ク5連休の4日目はフリ−、というわけで表題のコ−スを目指すことに。
5時40分に自宅を出発。快晴の空の下、鐘ケ坂トンネルを越え、7時58分に柏原に入る。
5月3日〜5日、家族であちこち遊びに行ったので、先週も走ったコ−スなのに随分前のこと
のように思える。市辺のロ−ソンで弁当を購入、成松からゴルフ場方面に折れ(サイプレス)、
8時50分ゴルフ場南西隅の舗装路終点に着く。
   ここで地形図を広げ、現在地を確認していると、ワゴン車に乗った中年の男性がやって
来て、篠ヶ峰の登り口がわからないかと聞く。林道の入口を説明して別れ、更に先を進み
林道終点の広場で山登りの準備をしていると、またしても先ほどの男性がストックをつき
ながらやってくるではないか。どうやら私も篠ヶ峰に登ると勘違いしているらしい。そりゃ
そうかも知れない。こんなマイナ−な山の登り口で、人に遭うことすら稀なのに、一人は
篠ヶ峰ヘ、一人は竜ケ岳へ登るというのだ。半信半疑で私の後をつけてきたのも無理ない
ことかも知れない。そこで今度は地形図を広げて場所を説明、納得して戻ってもらう。
  さて、今度は自分の番だ。篠ヶ峰と違って登り口すら定かでない。広場の左奥隅に踏跡を
見つけ、ススキの中に続く道を歩き出す。道はやがてススキの切り株の多い、巾のある林道然
とした道になるが、5分ほどで岩がゴロゴロしている谷に突き当たって無くなる。一旦岩を辿って
谷川の左側に渡り、10mほど進んだところでもう一度右側(左岸)に渡り返すと、しっかりした
踏跡が続いている。どうやら難関クリアだ。以降も部分的にル−トが怪しいところはあるが、
谷を左手に見ながら「つかず離れず」を守って登っていけば、炭焼きの跡や、林業の人達が
残したものであろう焚き火の跡が何度も現れ、ル−ト確認ができる。谷沿いの道を登り始めて
15分ほど行ったこところで右手から2−3m巾で急傾斜の道が下ってきている地点に出た。
後から考えればここでもう一度ル−トの再確認をすればよかったのだが、この崩壊地を消えた
峠道と勘違いしたのがまずかった。ものの10mも登らない内に3点示持でないと登れないような
傾斜に変わり、左手には絶壁の巨岩まで登場する。いくらなんでもこんな「道」はありえないの
だが、強引に登りきってしまう。25分もかけて「出た」と思った尾根は、小さな支尾根の一つで、
踏跡の類は一切なし、遥か先まで雑木薮が続いている。振り返れば東峰山がほぼ同じ高さに
見えるのでかなり登ってきていることは確かだ。だが容易に進めそうにない。半分あきらめ気分で
谷の上部をトラバ−スしながらカメラを引っ張り出し、山中の巨岩を撮っていると、ザックが
斜面を真っ逆さまに転がり落ちてしまった。ウ−ン、今日はもう戻れということか...
20mほど下で止まっているのを確認、途中に散乱しているボ−ルペン、メモ帳を回収しながら
谷を下りザックを拾う。激斜面の登り口まで下りてきてみると、シカ除けのネットが張り巡ら
されていた痕跡を発見。やはりこのル−トは間違っていたのだ。どうやら一つ北の谷に入りこんで
しまったらしい。残念ながらリベンジを期して竜ケ岳を後にした。    (本日の走行距離 161km)

登り口 大岩
氷上側から清水坂への登り口竜ヶ岳山中の巨岩、この後ザック転落

5月13日(土) 篠山/高嶽(2.5万図 福住)  週末悪天の予報が土壇場で好転。篠山は後川奥と曽地奥を結ぶ林道の峠から、最短コースで高嶽を ピストンした後、峠から西に伸びる稜線伝いに母子林道出合まで辿ってみようと計画、5時38分出発。 川西能勢口回りで西峠を越え、後川下の前川橋を渡り神社手前を右折、とすぐに「全面通行止」の フェンス。何もなかったかのように脇をすりぬけて8時05分峠に立つ。驚いたことに西側は高圧鉄塔 建設工事現場に変わっており、辿ろうとしていた西の稜線にはダンプが通れる道が付けられている。 夢のST快走計画は吹っ飛んでしまった。「能勢山崎線」と書いてある。山崎ってどこだろう。 姫路の奥の山崎?仕方なく高嶽一本に賭ける。 峠からヤブを漕いで直登するしかないと思っていた高嶽は、よく見ると石垣の南端に切れ目があり、 中に入り込んでみると1m巾の山道が続いているのが見える。今まで何度もこの峠を通過していたのに 全く気付かなかった。踏跡ではなく明らかに人の手で削って作った道である。落ち葉が厚く堆積した 道で、まさに明るい雑木林の中に続く夢の小径。難なく頂上北のCa560ピ−クに着く。ここで一旦南に 下り、登り返して高嶽頂上に着いた(8時34分)。展望はないがゴミひとつない清浄な山頂、松の倒木 に腰を下ろす。しばし休息の後再びCa560ピ−クまで戻り、更に北の雁坂峠を目指す。依然として1m巾の 道が続き、殆ど全線乗車可能の快走STになる。300mほど走ったところで左に下って行く分岐が現れる。
頂上へ 頂上
高嶽頂上へ続く快走ST高嶽山頂。ただの森のようにしか見えない

曽地奥へ下る道だろうと考え直進、わざわざMTB巾よりも狭い倒木の多いヤブ尾根を下っていくがどうも おかしい。コンパスで確認すれば東南東に向っている。どうやらさっきの分岐を左に折れるのが正解だった らしい。MTBを押して下りるのも大変だった道を登り返すのは容易なことではない。ヘトヘトになりながら 9時20分分岐まで戻る。ル−ト修正、再び走り出せば下ると見えた道はすぐに上り返して雁坂峠に向う 尾根に乗る。なんでこんな山の中に涙が出るほどいい道があるのだろう。と突然視界が開け工事現場に 飛び出した。ここにも鉄塔を建てるらしい。足場とクレ−ンが置いてあるだけで人はいない。立入禁止の ロープをまたいで中に入り、おかげで展望がよくなった足場の上から、三国ヶ岳、三岳の写真を撮り先を 進む。なおも快走STは続き、9時35分雁坂峠に着いた。山の中の四辻というところか。中でも北東の中山 (557.2m)方面へ向う道が一番はっきりしている。今日の予定はここまで、快走STの続きは後日の楽しみに、 ということにして峠を東に下る。ものの10mもいかない内に道は倒木とヤブで判然としなくなる。谷筋沿いに 歩きやすそうな所をMTBを担いで植林帯の中へ下って行く。堆積した下枝でわかりにくいが、谷の右岸に 踏跡があり、20分ほどで谷筋が出合う350m標高点ポイントに着いた。逆ル−トだとこの道を見つけるのは 難しいだろう。ここから少し下ったところで林道巾の道に変わる。後川下の集落に出、羽束川にかかる細い 橋の上で軽食休憩。川を泳ぐ魚や、田植え作業をしている人、今下ってきた新緑の高嶽を眺めながら、 おにぎりをほお張った。 (本日の走行距離 101km) 5月21日 (土) 北神戸/天狗岩、大岩鼻 (2.5万図 三田) 北摂、丹波で岩場というと道場の不動岩、百丈岩、三尾山などが有名だが、神戸市北区大沢町にも 名前の付いている岩が3つもある。今日はそれらをつないで走ることに。 5時53分自宅を出発、いつものようにR176を走り、道場の日下部交差点を南西に折れ山陽道の下をくぐり、 峠を越えて三叉路になっている大沢町交差点に着く。距離がない分、途中コンビニでおにぎりを買ったり してもまだ7時だ。ここから点在する農家の間を抜ける細い道を北に上る。東西に走る道と合流するところ に「太陽と緑の道」、「金比羅山」、「天狗岩」の標識が立っている。昨夜の雨か、朝方まで雨が残って いたのか、朝日に照らされてモヤっている。標高200mそこそこの丘陵地帯なのに丹波の山奥よりも深淵な 雰囲気が漂っている。天狗岩のある光山寺山(287m)は目の前に見えているが、肝心の岩は見えない。山の 南東側に回りこんだところにある登路からぬかるんだ道を進む。5分ほどで高さ3mほどのかわいらしい岩が 現れる。これが天狗岩らしい。右側から狭い岩の間をすり抜けて岩の上に立つ。北西に伸びる道を更に一段 小高い所に上がると等身大の弘法大師像と4-5基の観音仏がまつってある広場に出た。右端の石仏には花山院と 彫られているから西国33番のようである。一段下がって西に続いている1.5m巾の道を走れば、等間隔に石仏が 現れる。この山はミニ巡礼コ−スになっているようだ。西端から右に階段を登ればお堂の前に。西側に休憩ベンチ まであり、展望所になっている。緑の海原のように棚田が眼下に広がり、近くに高い山がないせいか、美嚢川を 挟んで大岩鼻から坊主岩へと続く丘陵が富士の裾野のような広大な景観を作り出している。しばらく展望を楽しんだ 後、林道巾の道を北に下り、地道に合流したところで棚田の間を西に下って大沢小前に出る。 さて、次は坊主岩から大岩鼻の稜線を目指す。坊主岩への取り付きを求めて稜線に並行に走る林道を左に折れ、 大きく北に回り込む1m巾のしっかりとした道を進む。竹薮の中の細い道を登りきると、今度は稜線をまたいで 吉川町側を南に伸びるシングルトラックが登場する。小さな水田やため池を右手に見ながら南下すると再び稜線 に乗る。快走路が続く。264標高点を過ぎると分岐が四方に交錯する地点に出る。他にも枝道があるが、正解は 「No31へ」と書かれた火の用心の関電の標識通りに行く。稜線を吉川町側に少し下がった所に1m巾の道が続く。 快晴のはずだが森の中は夕方のように暗い。意外なほどの森の深さに驚きつつNo31の鉄塔を過ぎ、15分ほど走れば No32の鉄塔に到着。ここより南には稜線はない。南の鼻だ。鉄塔から20mほど北西に戻った所にV△(275.2m)を確認、 大岩鼻と呼ばれる岩を探して再び突端に行くが、森の中に石の祠があるのみ。大岩はどこにも見当たらない。 南斜面の途中にあるのだろう。ピンクのテ−プを辿って雑木薮を急降下、山中にそれらしき岩発見。しかし言うほど 大きくも無い。なおも強引にヤブを押して下ると壊れた石灯篭を発見。昔は参道だったのだろう。なおも強引に下り 続けると田んぼの横にひょっこり出る。時間も十分にあるので今度は東山麓についている林道を北に向って走った。 (本日の走行距離 58km)
天狗岩
天狗岩 優しい可愛い岩だ


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