山を駈ける風になれ2008年 8月号

 
2008年7月19日(土)北摂/明神ケ岳~黒柄岳(2.5万図 法貴)
梅雨が明けた。平年より少しだけ早いというが、梅雨明け前から晴天が続いていたので、何を今更、という感が
ないでもない。梅雨明けは結構だが、これから長い熱帯夜の日々が続くかと思えばうんざりする。
少しでも涼しいうちに走りたい、と今日は午前5時16分の出発である。どれだけ遠くまで走るのかといえばさ
にあらず、高槻にある表記の山までなのだが、これが意外と遠かった。その辺のところは追々綴っていくことに
したい。

午前5時16分、ロードで出発する。夜中に雨が降ったお蔭で涼しいかというとそうでもない。特に遅くも速く
もないタイムで川西能勢口を通過、R173からR423を経て、箕面川沿いにひたすら上り、6時20分余野
に着く。淡々といいペースである。さすがにこの辺りまでくると涼しい。恐らく気温は20℃前後と思われる。
水分補給を摂り先を行く。鴻応山の山裾を回り柚原へ。もう亀岡である。ここから府道733号-46号と快適
な下りを走り継ぎ、再び733号に入り、反転して北上する。
高槻市内を走ってます

1車線の細い谷あいの道は、籠坊から天王へ向かう道を想起させるが、行政区分上は京都府亀岡市から大阪府高 槻市に変わる。自宅から40km、亀岡を越えないと高槻に入れないというのも何だかおかしい。 ちょっとした峠を越えて、前方が開け、田能に着く(7時15分)。登山口はもうすぐそこでsる。府道6号出 合を左に折れ、すぐ現れるトンネルを左手に見送って山に上る道に入る。明神ケ岳登山口の標識はすぐのところ を右である。
明神ケ岳登山口

『バイク・自転車進入禁止』の立看板が目に飛び込む。登山者とMTBの事故でもあったのだろうか、残念であ る。山を楽しむ者同士、相手のことを考えない行為をする者が現れるとこういう処置を取らざるを得なくなって しまうということである。『対立する関係にはなりたくないが、場合によっては自転車締め出しもありうる』と の言葉を寄せられた北摂の山の大先達で当時府の山岳連盟の幹部であったA氏の言葉を思い起こす。A氏もお若 い頃はランドナーで方々アドベンチャーされた方なので、双方が安全に山を楽しめる関係が続くことを願ってお られたのだと思う。 さて、今日はロードである。ハナから進入は出来ない。登山口にデポ、仕度を整えて登りにかかる(7時26分)。 薄暗い森の中を関電巡視路のプラ階段を登る。すぐに明るくなり傾斜もきつくない歩きやすい山道に変わる。 10分ほどで鉄塔の立つCa470mコブに着く。
最初の鉄塔コブから黒柄岳を臨む明神ケ岳山頂

西の黒柄岳方面の展望がいい。一旦下って登り返すこと約10分で明神ケ岳山頂に到着する(7時46分)。 広場然となった山頂部分の中央に3等三角点(523.5m)が鎮座している。雑木に囲まれて展望は無い。 夏用の短いレーパン姿では立ち止まると蚊に喰われるので、ここでUターンして登山口まで戻り(8時03分)、 続いて林道を黒柄岳方面に向かう。 山頂にNTTの中継塔が立っている黒柄岳は、頂上まで林道が伸びている。NTTの専用ゲートをまたぎ、進ん でいくとすぐに未舗装路に変わる。長い「押し」が始まる。舗装路は部分的に現れるが、大半が未舗装、歩くと 目的地は遠い。 おまけに途中1kmほどは全くの水平道で標高も稼げないときている。ようやくラスト700mくらいのところ から舗装路が連続し、無線中継塔の立つ林道終点に到着する(8時38分)。
黒柄岳山頂NTTの中継塔

黒柄岳も三角点のある山なので地形図を広げて位置を確認、少し山の中に入ったところにある3等三角点(52 6.9m)にタッチして中継所の前に戻って小休止をする。思えば今日登った2つの山は共に名前に「岳」が付 いていたが、「岳」という名が付いた山に登るのはいつ以来だろう。最近軟弱な登りが多いので、とんとそんな いかめしい名前の山に登った記憶は無い。 下山にかかる。再び長い「押し」の末、昇尾峠分岐に戻る(9時15分)と、トンネルを抜けて府道6号を亀岡 の杉生へ下り、再び分岐を府道46号-733号と周回で走って柚原へ(9時50分)。 更に府道732号を先日(6月28日)とは逆コースで堀越峠へ(10時05分)。西から登れば辛い峠も下り に使えばブレーキングしているのに60km/h台半ばが簡単に出てしまう豪快な下り。 あとはいつもの能勢路を追い風に助けられながらの快適走行。高槻の山まで往復100kmの予想外の“長旅” は、積算標高差1,300m以上のヒルクライムの充実感と共に満足の行く走りをこなすことができた。        (本日の走行距離101km) 2008年7月21日(月)西宮自転車散歩/山の付く地名を巡る(2.5万図 宝塚) 猛暑日が続く。おまけに昨夜はいよいよアルプス山岳ステージ突入ということでツール(ド・フランス)を観て いたものだから睡眠不足気味。こんな日は朝の涼しいうちに近隣散歩が一番だ。というわけで3ヶ月ぶりに“西 宮自転車散歩”を行う。 今日のテーマは『山の付く地名を訪ねる』。これまでに紹介済みのところも結構あるので、これらをはずして周 回コースを組み立て、午前5時53分出発。
五ケ山古墳(3号墳)甲山が指呼の間に見える

写真は五ケ山3号墳。関学を北に下ったところに仁川五ケ山町という町名があるが、ここは仁川の作った河岸段 丘の低位部分で山ではない。五ケ山は仁川町6丁目付近に広がる標高140m前後の高地である。最大斜度20 %はあろうかという激坂を上りきったところが五ケ山である。 名前の由来は仁川から水を引いていた下流の段上・上大市・下大市・門戸・神呪の5ヶ村の入会地であったこと から。昔ボートなどで遊んだ五ケ池は江戸時代に干ばつ対策で作られた池である。この五ケ山の東端一帯には6 世紀頃に作られたと見られる古墳群が点在しているが、今では住宅地が押し寄せ、古墳は公園のモニュメントの ようになってしまっている。
岡田山

ピクニックセンターから神呪寺にぬけ新甲陽町まで下り、上ヶ原山手町へ上り返し、関学の南西側の道を真直ぐ いけば神戸女学院と聖和大学のある岡田山である。岡田山の名前は『延喜式』に記されている『岡太神社』がこ の丘陵地にあったことに由来する。 あった、と過去形で記したが、その後広田神社の摂社となり50坪弱の小さな神社となったものの、神戸から移 転してきたミッション・スクールの神戸女学院の敷地内に、現在も祀られているそうである。
一里山

かつて幼稚園時代に通った記憶のある道を下って門戸厄神の前を通り旧西国街道へ。武庫川に仁川が合流する辺 りが一里山である。名前の由来はかつてこの辺りに一里塚があったからと言われているが、残念ながら現存して おらず、一帯に広がっていたという松林が僅かに面影をとどめるのみである。  (本日の走行距離 34km) 2008年7月26日(土)北摂/深山(2.5万図 福住、埴生) 大阪は連日の猛暑日、今日も予想最高気温は36℃という。これだけ暑いとスポーツするのはむしろ危険かも知 れない。少しでも涼しいうちに涼を求めて走ろうと久しぶりに北摂最高峰深山を目指す事に決める。朝早いうち に山頂に立てば、高原の涼風に癒されるかも知れない。リミットは午前8時か。 午前5時17分、ロードで出発する。気温が下がりきっていないため、走りだしから既に暑い。それでも川西能 勢口を回って北上すれば、県道が山の西裾に付いていることもあって徐々に気持ちのいい気温になってくる。 6時33分、杉生で水分補給し杉生新田、泉郷峠と越えて天王に向かう。気温20℃台前半か、天然のクーラー のような道を走り、7時13分天王に着く。また暑くなってきた。ここで早くも本日2度目の水分補給。 ボトルケージにスポドリを挿せば、なんだか斜めに曲がっている。よく見ればボトルケージが壊れてる。いつの 間に・・・。そんなわけで岡つ引の丁髷のような状態で走り出す(7時18分)。10分で岡牧場分岐へ。更に 10分でNTT専用路入口へ。更に10分で大展望の深山山頂に到着する(7時48分)。
ヒグラシの鳴き声こだますNTT専用路入口日差しの強い深山山頂

なんとか目標の8時前に着くことはできたが、既に暑い。日陰になるところがないので無理もないが、それでも 山頂を吹き渡る風は涼やかで気持ちがいい。山頂の北側に回ると少しだけ日陰になっている。多紀三山を臨む大 展望と涼風の吹きぬけるササ原の海。舩谷山へ続く尾根からはヒグラシの大合唱が聞こえる。
涼風が吹き渡ってきます多紀三山を眺めながらほっと一息

いつまでも涼んでいたいがそうもいかない。下山にかかる。専用道の下りでひさしぶりにオニヤンマの並走を受 ける。こんな自然が豊かな山にも朝から恐ろしく長い棹の虫取り網を持った業者らしき人物が来ている。挨拶を しても返事を返さない不愉快な人種。山に来る資格の無い人間を簡単に寄せ付けてしまう道路を付けられた山こ そ気の毒である。 天王-籠坊-東村と羽束川沿いに下る25kmは快適の一言。炎天下にも拘らず多くのサイクリスト立ちとすれ 違う。こっちだって負けていられない。元気をもらいつつ帰路についた。            (本日の走行距離113km) 織田(おりた)さんへのメールはbabrx800@jttk.zaq.ne.jpまで・・・。

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