山を駈ける風になれ2008年 11月号

 
2008年10月4日(土)能勢/桂林寺~360山他(2.5万図 妙見山)
久しぶりの企画、「マイ・サイクリングフィールド紹介」第6回と、「能勢の無名の低山を訪ねる」第12回の
合併号ツーリングを行なう。

秋の丹波路もいいが、能勢路も風情がある。山道を行けば、道いっぱいに栗。また秋が似合う野仏も多い。今日
は宿野地区の3区、4区を訪ねることに。
新蕎麦が待ち遠しい・・・

5時39分、朝から好天の予感。川西能勢口回りで県道を北上する。猪名川ではあちこちでソバの花が見頃を迎 えている。新蕎麦が食べたいなあ、などと思いながら杉生に着いて水分補給(6時52分)。ちょっと飛ばし過 ぎたか、この時季にしては速い。 中山峠に向かう上りではシカと2回も遭遇。そんなに慌てて逃げなくっても、追いつかれる心配は無いんだけど なあ・・・。 気持ちよく下って栗栖、地元では有名な豆腐屋の角を曲がって宿野地区に。まずは桂林寺を訪ねる(7時26分)。
瑞雲山桂林寺龍田川重太郎の墓

お寺への登り口に「龍田川重太郎」の墓がある。これまでにも何度か紹介してきたが能勢には逢坂相撲の力士の 墓が多い。「たつたがわ」という名の部屋はあるが、あれは「立田川」。でも、初代の関取は「龍田川」だ。ど んな活躍をした力士だったのだろう。 桂林寺山門手前、左の山道をシカ除けフェンスの扉を開けて進む。地形図にある桂林寺裏山(358m)を目指 す。地形図には載っていないが、能勢町の地図には谷沿いに破線の道が付いている。手前のコブは353m、奥 のコブには360.3mの表記がある。
階段利用で標高を稼ぐつもりだったが・・・

いきなり伐採地に出る。木製の階段が付けられている。無理やり谷を進むより、歩き易く標高も稼げるので、階 段を利用できるところまで利用させてもらう。 すぐに突き当たりになり、そこから先は鉄製の柵と高さ2mばかりのネットが張り巡らされていて進めない。谷 まで下っても同じ。柵とフェンスはお寺を完全に囲むように巡らされている。これじゃあ無理か、と思いながら 斜面を歩き回っていると、一ヶ所突破できそうなところを発見。 喜び勇んで斜面を駆け下っていて滑り、杭に顔面からぶつかるアクシデント。その杭を足場にしてネットを越え て先へ進む。踏跡はあるかなしか。しかし木がまばらなので歩くのに難渋しない。
平坦な353ピーク

7時48分、南の353mコブに着く。ほぼ平らな山頂部は山城の跡か、昔山頂に寺があったかのよう。北西に 尾根伝いで進むと、同じような感じの360.3mコブに着く(7時55分)。きっと名のある山に違いない。 麓に愛宕山灯篭があったが、はて・・・。 クモの巣との格闘を終え下山する(8時15分)。地元で有名な社寺は省略して宿野大橋を渡り、逢坂峠への登 り口に移動する。曲がり角に毘沙門堂がある。お堂は特筆すべき点はなさそうであるが、隣家の塀と背中合わせ に、灯籠と板碑が並んで立っている。灯籠はこれまた愛宕山常夜燈。幕末嘉永年間のものである。移設したもの と思われる。本来どこにあったかがわかれば、どの山が愛宕山かわかるのだが・・・。
毘沙門堂愛宕山常夜灯(左)
舟形薄板状名号板碑(右)

板碑は古いものである。天正三年(1575年)の舟形薄板状名号板碑である。「南無妙法蓮華」の6文字が彫 られている。こういう古いものが何の説明板もなくふつうにあるところが山里らしくていい。 まだまだじっくり探しながら歩けば面白いものが見つかるかも知れないが、ぶつけた左目の上も痛む。そんなわ けでゆっくり流しながら帰路についた。           (本日の走行距離 82km) 2008年10月13日(月)北摂/能勢篠山境界尾根を歩く(2.5万図 福住) ほとんど総ての人にとってどうでもいいようなところを意味付けて歩きたくなることがある。別に有名な山があ るわけでも、取り立てて難ルートというわけでも、素晴らしい絶景が見られるというわけでもない。山慣れた人 なら実際に現地に足を運んで見るまでも無く、地形図を見ればだいだい想像がついてしまうようなルート・・・。 でも実際に訪れてみないと何があるかわからない。勿論何も無いかも知れない。いや恐らく何も無いだろう。そ んなルートを歩いてみたくなるのだから、我ながらつくづく重症低山徘徊者だと思う。 さて、今日歩くのはまさにそんなルート。能勢の女郎ケ淵の西約1kmの地点から篠山の原と後川新田の間をつ なぐ道の鞍部まで辿り、そこから境界を歩いて天王のアカガシへ下ろうというプラン。府県界というより、摂津 と丹波の国境を辿るといった方が心に気持ちいい。 午前5時44分、自宅を出る。相棒は勿論ロード。3連休の最後を飾るに相応しい秋晴れの1日になりそうだ。半 袖ジャージ1枚では寒いので下にTシャツを着て走る。とはいえ、今から15年くらい前は、こんな軽装では走 れなかった。やはり北摂も確実に温暖化に向かっているのか。 杉生でいつものように水分補給をし、杉生新田、泉郷峠と越えて、県道を天王方面に向かう。途中道が大きく東 へカ-ブするところが本日の登り口である(7時35分)。
ここから登ります

No160鉄塔へ向かう巡視路入口がある。ロードをデポして山道を行く。極楽シングルトラックと言ってもい いような快適な道が続く。巡視路を左手に見送り、尚も直進する。徐々に倒木が多くなり荒れてくる。谷奥近く なったところで道は判然としなくなる。一番右手の谷を斜面に沿って歩くと、またよく踏まれた道が現れ峠に着 く(7時50分)。
峠は広い谷状の鞍部でした

広い谷状の地形になった鞍部である。密かに期待していた石仏の類は無い。篠山側はヤブに還っている。旧国境 だからはっきりとした切り開きでもあるかと思ったが、赤いプラ杭が境界を示すだけの何も無い山である。 山の斜面を北東に登り、すぐ北に振って580コブに着く(7時55分)。シカが慌てて逃げていく。能勢篠山 境界ははっきりとした踏跡は無いものの、まばらな雑木林なので、ヤブ漕ぎをしなくてもラクに歩ける。ラクに 歩けるのが災いして、550コブから地形なりに南東へ進み、もう一つの550コブまで歩いてしまうというミ スもあったりしたが、軌道修正をしながら北東方向に進み、540コブを過ぎれば、さて本日の最高地点614. 2山への登りにかかる(8時30分)。
614山への登りにかかる

少し急な登りに変わる。赤いプラ杭の間隔が短くなる。地形が不明瞭なところでは間隔が長く、誰でも分かり易 くなったところでうるさいほど現れるプラ杭に苦笑しながら8時36分、614.2山の頂きに着く。
614山山頂と「三位一体のアカマツ」

地形図の610m等高線が閉じている地点である。奇っ怪な形をした大きなアカマツが立っている。少なくとも 根元付近で3本のマツが合体している。“三位一体のアカマツ”とでも呼んでおこう。勿論こんなところ誰も歩 くはずもなく、登頂標などの印は何も残されていない。ただ、地形の関係で、福住大橋だろうか、R173を走 るクルマの音が聞こえてくる。
606山。今回の写真は鬱蒼とした
尾根歩きで真っ暗のものばかり・・・

再び歩き始める。50mほど歩いたところで境界尾根と別れ、606標高点ピークに向かう。606山には10 分ほどで着く。山歩きの参考にした古い能勢の地図にはこの606山から先、破線の開拓道が付いていることに なっているが、明瞭な道があるわけではなく、踏跡程度の道が続くだけである。  このまま尾根を下るとシカ除けフェンスの続く辺りに下りてしまうので、やや北東よりに振って、広い谷地形 の植林帯を下る。と、どうだろう。目の前にこの森の主、天王のアカガシが現れる。8時56分、どんぴしゃ祠 の前に下り立つ。
天王のアカガシに下り立つ
光の具合で岩のように見えるのがアカガシ

短いながらもマイナーな場所をディープに歩くと充実感が漂う。あとは走り慣れた府道を辿ってデポ地へ。 気温が上がってすっかり暖かくなったいつもの周回コースを籠坊から三田木器へと走る。たくさんのサイクリス トとすれ違う。前方に現れるサイクリストを順番に抜いていたら、まるでタイムトライアルのようになってきた。 川西の石道まで戻ってきたところで、飛び出してきたネコとぶつかるハプニングもあったが、そこはMTBで養 ったバイク・コントロールで転倒することもなく(そんな大層なものではないが)、秋を満喫して楽しく走るこ とができた。        (本日の走行距離104km) 2008年10月19日(日)西宮/名塩東山(2.5万図 宝塚) 久しぶりに西宮自転車散歩を行なう。今日の行き先は名塩・・・といえば、ふつうは宿場町であった名塩を紹介 するのがまっとうなところだろう。ところが人間真っ直ぐに出来ていないのか、今日訪問するのはニュータウン の方である。 西宮の北部地域には多くのニュータウンがある。なかでも名塩には、清瀬台、名塩山荘、名塩ガーデン、名塩茶 園町、名塩南台、名塩さくら台などなど。中でも最大規模のものが名塩東山台である。 “創造の丘ナシオン”という愛称で開発が始まったこのニュータウンは1期の東山台と2期の国見台合わせて計 画人口12千人という大規模なものだったと記憶している。その象徴ともいえる斜行エレベーターを初めてみた 時には大変驚いたものである。 その後、バブルがはじけ、地価の下落と共に都心回帰が始まり、2期の国見台は思うように開発が進まず、ナシ オンは実質的にはほとんど東山台だけという状況にある。 この大規模ニュータウンを訪れてみようと思ったのは、「何故東山台というのだろう」と思ったことがきっかけ。 この丘陵地がどこかから見て「東山」と呼ばれる場所だったのか、それとも「東山」と呼ばれる山そのものがあ ったのか。 とはいっても何の手がかりもなく、そのまま私の心の中で懸案として残っていた。そんな折、先日ボロボロにな った地図を整理中、92年発行のエアリアマップ『北摂の山々』に「東山」という名前を見つける。おまけにニ ュータウンを囲むように「北山」という名前の山も存在していたことも知る。 早速今の地図に照らし合わせる。北山はもう宅地開発されて存在していないが、幸いなことに東山は鉄塔が建っ ているため現在も残っている。さて近場をぶらっと散歩してみることに。 6時29分、今日も快晴。霧の中を篠山まで走った昨日と違って(レポートなし)、気持ち暖かめ。大回りしな がらゆっくり走っても西宮名塩駅前交差点には15-6分で着く。日曜日の早朝ということで、交通量はほとん どなし、犬の散歩をしている人、ジョギングしている人がちらほらというところである。
紅葉が始まった住宅街の正面に東山

駅前から幹線道路を東に上り、大きく北西方向にターンしながら進んでいくと右前方に鉄塔の乗った小さな小山 が見えてくる。鉄塔が建っているということは、どこかに登り口がある筈。東山を通り過ぎたところに東へ折れ る簡易舗装路があり、地形図には無いが、直下にある西宮の水道施設まで続いている(6時53分)。
鉄塔へは階段がついている

ここで行き止まり。自転車をおいて東へ回り込むと、鉄塔に向かって階段が付いている。階段を登り切れば東山 山頂である(6時57分)。 生憎、頂上部分はフェンスで囲まれており中には入れない。少し下ったところからは南と西方向の見晴らしがい い。夜は流石に冷え込むのか、もう木々は色づき始めている。
山頂の様子整然と並ぶ住宅地を眺める

このニュータウンに住んでいる人で、このちっぽけな小山が「東山台」という住所の元になった山であることを 知っている人は果たしてどれくらいいるのだろうか。眺めるニュータウンの先には、中国道をはさんで南山。東 ・北・南とくれば、「西山」という山も存在するのか・・・。また新たな課題ができてしまったな、と思いつつ 朝の散歩をゆっくり楽しんだ。        (本日の走行距離 17km) 織田(おりた)さんへのメールはbabrx800@jttk.zaq.ne.jpまで・・・。

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