山を駈ける風になれ2009年 1月号

 
2008年12月6日(土)篠山/西半周周回+604山(2.5万図 福住)
この冬一番の寒気到来との予報に慄きながら起きてみると確かに寒いがそれほどでもない。これから冬シーズン
を走りとおすには、寒さ慣れをしておくことも必要と、いつもの周回トレーニング・コースを走ることにする
(午前6時30分出発)。

昨日の雨で路面はまだ濡れた状態。慎重にスタートを切り、川西能勢口回りで県道を北上する。朝日に照らされ
て立ち上る川霧が幻想的な光景をみせる猪名川沿いの道を走り、やや追い風気味の強い風に助けられて、筋肉が
ほぐれていないわりにはいいタイムで杉生に到着(7時46分)。   
水分補給の後、霜が降りて真っ白になった田んぼの広がる杉生新田-泉郷峠と越え、天王に向かっていたが、1
0月に篠山・能勢境界尾根を天王まで辿った時にいい道がついていた関電の巡視路を歩いてみようと思い立ち、
途中で停車、巡視路入口にロードをデポし、植林帯の中に続く山道を歩き始める(8時25分)。

歩き始めて1-2分で左に分岐する「火の用心」標識が現れる。南西に伸びる小さな枝尾根に向かって歩きやす
いようにジグザグに巡視路が切られている。簡単に枝尾根に乗る。ここにも「火の用心」の標識。右に行けばN
o159鉄塔、左に行けばNo160鉄塔。ここは勿論、右(西北西)の道をとる。
尾根に着けば冬晴れが

尾根に乗っかれば落葉の雑木林。木漏れ日の中の漫ろ歩きが楽しい。Ca590山を越えたところで巡視路は左 へ。右へ行くと先日歩いた境界尾根峠へ下る。登り返すところで突き抜けるような青空の下に聳え立つ鉄塔が目 に飛び込む。
604(159鉄塔)山から深山天上畑方面の眺め

鉄塔は地形図の604標高点山を背後に負って立っている。鉄塔の足元を四つん這いになって斜面を登り604 山に立つ(8時50分)。東に眺望が開け雨量レーダードームを乗っけた深山が大きな裾を広げて迫る。北に北 中山、西に天上畑が見える。足元にはうっすらと積雪が見られる。この冬初めての雪。籠坊と天王をつなぐ道も 積雪で走れなくなる日も近いということか。西からの風が強い。風を避けて日なたに回りのんびり休憩、もと来 た道を辿って下山する(9時15分)。 再びロードにまたがり、籠坊から羽束川沿いに南下する。小柿で前方にアルカンシェルのウィンド・ブレーカー を来た“同輩”を見つけ、挨拶してかわす。 上槻瀬で再び追いついてくる。しばらく話をしながら並走する。向い風が強い時は気が紛れる。 木器で“同輩”と別れ、先を行く。寒いにも拘らず、今日は単独で走る“同輩”が多い。まだまだこんな寒さで は家の中でくすぶっているわけにはいかない、ということか。私も負けずに頑張ろう。腰を上げて香下峠に向か った。        (本日の走行距離100km) 2008年12月20日(土)亀岡/行者山(2.5万図 亀岡) 「行者山」と名の付く山は全国にどれだけあるだろうか。私のフィールドである北摂・丹波にも同名の山は多く、 これまでにもいくつか訪ねてきた。今日向かう行者山は亀岡市の中心部から北西6kmにある標高431mの山。 山頂直下の岩屋には役行者、前鬼、後鬼の3点セットの像が祀られているという。また谷を挟んで向かい側の山 には独鈷抛観音もあるということでこれは是非とも押さえておきたい山である。 午前6時43分、空が明るくなり始めたのを待ってロードで出発する。気温は5℃。冷え込みはきつくなく助か る。連日の忘年会で懐の軽さに反比例して疲労感で体が重い(決して食いすぎではない、と思う)。 川西能勢口回りで杉生まで北上、杉生で水分補給を摂ったあと、中山峠(8時15分)、逢坂峠(8時40分)、 柊峠(8時55分)を越えて、薭田野町鹿谷にある独鈷抛山千手寺参道入口に着く(9時15分)。
千手寺参道入口千手寺山門越しに亀岡盆地を埋め尽くす雲海を見る

振り返ると亀岡盆地は霧の海である。一息ついて簡易舗装の参道を上る。結構斜度がきつい。後ろから電柱敷設 工事の車が上ってくる。道を譲って車をやり過ごす。左へ大きくカーブすると斜度も緩くなりすぐに千手寺の石 段の下に着く(9時30分)。石段の左手に付いている道を上って千手寺の境内に入る。
結構大きい

思っていたより大きなお寺である。山門越しに雲海が見える。絶景である。雲海の彼方に見えるのは牛松山だろ うか。いやあれが愛宕山か・・・。 お参りを済ませ、行者山に向かう。地形図では石段の登り口のすぐ横から破線の道が行者山と独鈷抛山の鞍部を 越えて北の神前方面に伸びている。ところが、石段の登り口にはそれらしき道は見当たらない。 先ほどの道が大きくカーブするところまで戻り、谷の奥に向かって続いている踏跡を使って行者山に登ることに する。ロードをデポし踏跡を歩き始める(9時42分)。踏跡はすぐに消え、あとはいつもの“山駈け”流。方 向を行者山山頂方面狙いに定めて適当に激斜面を登ると、『ヒエダノ財管』と書かれたプレートの掛かる尾根へ。 歩いて3分で行者山山頂に到着する(10時03分)。
役行者像荒熊大明神も祀られている

山頂で休憩するのは後に回してそのまま千代川方面へ下り、役行者像を拝みに行く。直下の巨岩の下に荒熊大明 神が祀られ、更に1-2分下ったところに岩屋がある。洞窟の深さはそれほどでも無いが中は真っ暗である。目 が慣れると役行者を挟んで前鬼、後鬼の三体の像が安置されている。ここの前鬼・後鬼は童子の姿をしている。 役行者の式神であったというから姿は自由ということか。 さて、山頂に戻る。脇に2等三角点が埋まっている。腰掛けるのに都合のよいテーブル上の岩が点在している。 暫し雑木林を吹きぬける風の音を楽しみながら軽食休憩を摂る。
行者山山頂(Ⅱ△)堂徳山山頂に立つ境界石柱

ゆっくりしたところで再び出発。尾根筋を北西にとり、堂徳山から独鈷抛山との鞍部に向かう。いいハイキング コースになっている。堂徳山の頂上部には明治11年に麓の村々が境界を示すために立てた石柱が埋まっている。 今は落ち葉に埋もれて風情ある表情を見せている。 鞍部に戻れば神前からの簡易舗装路に出る(10時33分)。この道を辿って山頂を目指す筈だったのに。どこ で間違えたのかと南に向かえば、千住寺山門下石段の中ほど出る。 何だそうだったのか。ロードを担いで石段を下れば、容易にこの道を見つけることが出来たのに・・・。 だが、そのお蔭で面白い周回コースを取ることが出来た。石段の下から大きくカーブするところまで下りデポし たロードを回収、小春日和の亀岡路を楽しみながら帰路についた。        (本日の走行距離103km) 2008年12月26日(土)山南/白鹿神社~横山(2.5万図 谷川) 先月学所に登った際、道中で見つけた太田の白鹿神社址裏に続く山道を辿る。 昨日の寒波で今朝は厳しい走りを覚悟しなければならないと思って外に出てみるとそうでもない。曇っているお 蔭で冷え込まなかったようである。6時52分、まだ薄暗い中をロードで出発する。 年末帰省のクルマが多いせいだろうか、三田方面に向かうR176は混んでいる。思うように走れないが、逆に タイムを気にすることもなくなり気楽に走れる。赤坂峠の気温は1℃、厚手のウィンドブレーカーを着ているも のだから既に汗だく。 三田に入ると気温は下がるがそれでも氷点下にはならない。ずっと0℃の状態で古市~篠山口~大山下と走り継 いで太田に着く(9時10分)。途中朝日を浴びて神々しい輝きを放つ三嶽、小金ケ嶽を見る。昨日は相当降っ た(雪が)ようだ。目の前の学所もほんのり雪化粧している。
雪化粧の学所白鹿神社旧跡

橋を渡ってすぐの道路脇に白鹿神社旧跡がある。白鹿といえば辰馬本家酒造、辰馬悦蔵は白鷹・・・酒も飲まな いくせに変な連想をしてしまうのは、西宮市民歴30年のなせる業か。小さな祠があるだけで他に何もない。 白鹿に限らず、白蛇・白狐など異形のものには霊力が宿っているという信仰が古来よりわが国にはある。この神 社にはどんな謂れがあるのだろう。手を合わせ、背後に続く山道を辿り始める(9時15分)。 手入れの行き届いた植林帯の中に続いていた道はすぐに踏跡程度に変わるが問題ない。激斜面をクリアすると平 坦な場所に出る。麓の慧日寺に関係した寺でも建っていたのだろうか。尾根筋には明快な道が付いている。再び 植林帯の激斜面を登ると横山山頂である(9時33分)。
尾根筋には踏跡が続いている横山山頂

山頂は平坦な楕円形の土地である。ここにも寺院が建っていたものと思われる。どんよりとした雪雲から霰が降 りだした。丹波地方は今日一日こんな天気かも知れない。雪山ハイクの装備をして来ているわけではないので、 萬松山方面に向かう道を確認したところで下山する(9時50分)。 降りは弱くなったが、道路に散らばる白い粒が撒かれた凍結防止剤なのか霰なのか判別が付かなくなる。こうい う日はロードには向かない。いつまで経っても気温が上がりそうにない。帰路につく。 帰宅後、ネットで白鹿神社の謂れを調べてみると、脚を怪我して死んだ白鹿を祀ったことから足へのご利益があ るとされ、五月には“健脚願い神輿祭り”なるものまで催されているという。健脚の神さまと知ってたらもっと しっかり御参りしてくるんだったのに。(家族の中からは「もう十分や」という声もあがっているが・・・)        (本日の走行距離116km) 織田(おりた)さんへのメールはbabrx800@jttk.zaq.ne.jpまで・・・。

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