山を駈ける風になれ2009年 9月号

 
2009年8月1日(土)北摂/大野山 ヒルクライム(2.5万図 福住)
いつになったら梅雨が明けるのだろう。今日から8月だというのにカッと照りつける太陽は顔を見せず、
雨雲の隙間を狙って走り続ける週末が続く。お蔭で予定の遠出プランは実行できず、久しぶりに大野山
に上ることにする。

昨夜の雨は上がっている。ネットで雨雲の動きをチェックすると西脇周辺で激しい雨が降っているよう
だが、雲の帯ははずれているので当面支障はなさそうだ。
5時32分出発。どんよりしているが雨の気配はない。3時間もってくれればいい。いつものように川
西能勢口回りで県道川西篠山線を北上、気温が高くないこともあってそこそこのペースで走り、6時4
5分杉生に到着、水分補給を取りながら大野山方面をチェックする。

山腹はガスっているが山頂は見えている。まずは4km先の柏原へ。スピードが落ちると纏わりつくよ
うな蒸し暑さに襲われる。柏原でも水分補給を行って再スタートをきる。
久しぶりに訪れるとずいぶんと様子が変わっている。天文台への距離標識が現れ、おまけに一方通行に
なっている。バテバテになりながら上り続けていけば、やがて景色はガスに包まれはじめ、水滴の中の
走行に変わる。愛宕神社の分岐を左手に見送ればもうアルプスランドである。キャンパーのテントを横
目で見ながら舗装路を上り切り、最後に一担ぎで山頂に立つ(7時37分)。
2年ぶりの大野山 山頂
雷雲迫る

残念ながら周囲は真白で何も見えない。西から雷鳴が聞こえる。大船山方面はもう雨が降っているよう である。早めに退散した方がよさそうだ。周回コースで山を下る。ゴルフ場まで下ってくると叩きつけ るような雨。いつもハイスピードの下りを楽しむ区間も今日は50km/h以下の安全運転、というか とてもじゃないが雨粒が痛くて50km/h出すことが出来ない。 水しぶきをあげながら杉生まで下り更に南下する。紫合のあたりで雨が上がる。この調子で家に帰りつ ければラッキーと思っていたら、川西能勢口手前で横あいから飛び出してミニバイクのオバチャンに後 輪を引っ掛けられ転倒。 MTBでコケ慣れているせいか、体は何ともないが自転車の方が心配、オバチャンはオロオロ・・・。 動転してないでもっと素早くブレーキをかけてくれればかわせたのに。案内してもらった自転車屋でハ ンドルバーの歪みをチェックしてもらい走り出そうとすれば、またまた叩きつけるような雨。 この20分のタイムロスがなければ家まであと1-2kmのところまで帰っていたのに・・・。雨は異 常な降り方だ。大野山の下りの時の比ではない。半ば開き直りながら宝塚まで戻ってくる。歌劇場前か ら西に向かう国道は緩く上っている。また両サイドの道も国道より一段高い。このため周囲から流れ込 んできた雨水が国道を西から東に向かって流れてくる(後で知ったがこの時、この一帯は時間雨量48 ミリの豪雨だった)。 ロードで川床を遡上している気分。クランクの半分まで水深があるとなかなか走りにくい。ペダルを回 す足は水をかいているアヒル状態である。 “川床”を脱出し、対岸に渡ると水圧でマンホールの蓋がかたかた揺れている。ポルターガイスト状態 だ。とんだ8月の幕開け。10時前には戻ってきたが、どっと疲れた半日だった。         (本日の走行距離81km) 2009年8月8日(土)丹波/鐘ケ坂~栗柄峠周回(2.5万図 柏原、宮田他) 丹波の朝は霧とともに明ける。 暑さ馴れのトレーニングにと表記のコースを走る。5時11分という早朝のスタートにも拘らず蒸し蒸 しと暑い。赤坂峠から北六甲台に入れば早くも朝日が照りつけてくる。いつもよりやや遅目のペースで 古市に着くと本日1回目の水分補給を入れ、篠山盆地に入る。 さきほどまで霧に覆われていたものとみえ涼しい。丹波大山に入ると更に霧が厚くなる。この霧が晴れ ると真っ青な朝の空が丹波に広がる。暑さ馴れトレーニングとはいえ、涼しいのはありがたい。 緩く上って鐘ケ坂トンネルに入る。いつもより交通量が多い。帰省の影響か。トンネルで交通量が多い のはあまり歓迎できない。いっきに下って柏原駅、ここはそのまま通過してR175を北上、旧春日町 に入る。 春日町といえば、春日局。そういや大原麗子も亡くなったことだし、久しぶりに黒井駅にでもと思って 立ち寄るも駅前は特に変わった様子はない(当たり前か)。再び国道に戻る。道の駅の看板が目に入り立 ち寄る(7時50分)。「丹波おばあちゃんの里」という変わった名前の道の駅だ。
道の駅「丹波おばあちゃんの里」

今日は何かイベントでもあるのだろうか。慌しく準備をする人たちを横目にゆっくりと本日2回目の水 分補給を入れる。 10分ほど休んで再スタートを切る。霧の中に眠っていた山々が一斉に姿を現す。青空に緑が映える三 尾山が美しいが、とたんに気温が急上昇を始める(これまでは23℃だった)。炎天下の走りが始まる。 なんとか日陰のワインディング・ロードに入ってひと息付けたなと思ったのもつかの間、日差しの照り つける栗柄峠に出る(8時30分)。やや向い風でスピードの上がらないまま丹南弁天へ。道路脇の気温 表示は30℃になった。暑さ馴れしていない体には30℃でも堪える。 が、本当の暑さはこれから。こまめに水分補給を摂らないと足が痙攣しそうだ。2回ほど水分補給休憩 を入れて赤坂峠まで戻ってくる。何と標高280mの峠の気温表示は33℃。宝塚市内に下ってくれば 35℃。これでまだ11時前。いきなり「真夏」はきつかった今日の走りであった。         (本日の走行距離134km) 2009年8月20日(土)―21日(金)北近畿/天谷峠~出石周回(5万図 出石他) 夏休み特別企画、恒例の1泊ツーリング。今年は去年に続きルートを変えて出石まで走り、和田山から 遠阪峠越えで周回走を行う。先日の豪雨の影響で若干コース変更を余儀なくされる部分があったが・・・。 午前5時06分、まだ薄暗い中をロードで出発する。少しでも涼しいうちに距離を稼ごうという夏場対 策戦法。ここ数日過ごしやすかった湿度の低さが今朝はなくいきなり汗が滴り落ちる状態で赤坂峠を越 え、R176を北上する。 それでも三田から篠山間は気温22℃、朝曇りにも助けられて鼓峠を越え、7時41分兎原に着く。前 半抑え気味に走っていたことと、やや追い風基調に助けられ、50km/h超のスピードで福知山市街 地に入る(8時17分)。ここでお決まりのコンビニでブランチ休憩。 暑さで早くもおにぎりが喉を通らない。お茶で無理やり流し込んで8時40分再スタートを切る。R9 を道なりに西へ走る。今年は夜久野の高内から居母山を訪ねてみようというのがメインのプラン。 いい調子で走っているともう高内である(9時26分)。この辺で水分補給+調達をしておかないとと 集落の中を戻りながら自販機を探すが無い。まあ登山口までにどこかあるだろうとUターンして府道5 6号を走りだすとすぐに発見。よかった。 500mlをいっきに飲み干し、もう1本をボトルケージに挿して走り出すと、居母山に向かう63号 線分岐で全面通行止めのバリケードが現れる。峠方面は崩落して進めないという。そんな・・・。 いきなり特別企画ツーリングのメインディッシュが無くなってしまうハプニング、こればかりはどうし ようもなく56号線を天谷峠越えで出石に向かうことにする。登山が無くなってしまったので出石には 予定より2時間は早く着く計算。このあとの予定をどうするか考えながらノロノロと天谷峠に向かう。 目標が無くなると足が途端に重くなる。さして大した斜度でもないのにえらく時間をかけて峠を越える。 広い2車線路の下りは斜度9%の表示。簡単に60km/hオーバーが出せる爆走コースである。
コース変更で通過することになった天谷峠

すぐに道幅は狭くなるが通るクルマとてなく、ご機嫌な下りを楽しむうちに出合市場の3差路に着く( 10時33分)。このままでは11時前に出石に着いてしまう。水分補給を取りながら10分ほど休憩 し、ゆっくり走りだすが、やはり11時前に出石の街中に着いてしまい、ぐるぐる路地を巡っているう ちに、若いおねえさんが札を「営業中」にひっくり返したのにつられ自転車を停めると、何だ去年もお 蕎麦を頂いた店じゃないか。 まあいい。これも何かの縁。暖簾をくぐって店内に入る。勿論本日第1号の客。通された部屋も去年と同 じ。冷房の効いた部屋で皿蕎麦を頂き、最後に熱々の蕎麦湯を頂いて店を出る。
今年もこのアングル

蕎麦屋に入っている30分ほどの間に猛暑になっている。旧の町役場の玄関前に自転車をデポし、皿蕎 麦を食べながら考えていた有子山城址に登ることに(11時35分)。 赤い鳥居のトンネルをくぐると出石城址、その奥に山頂に向かう遊歩道が続いている。標高はわずかに 300mを少し超えるだけの小山だが、ほぼ標高と同じだけの標高差を登らなければならない。最近低 山ハイクをさぼっている身には炎天下の300mは結構きついものがある。
城山にでも登るか遊歩道がついてます

遊歩道というだけあって道幅も広くクモの巣を心配することなく歩けるが、とにかく山頂に向かって一 直線に登っており、北斜面でなければとうに止めているところだ。このくそ暑い中、昔の侍は鎧を着て 山頂の砦に登ったのだと思うと精神力の違いを思い知らされる。 直登がようやく終わると遊歩道は山の北側を巻いて西側にコースを変え、そこから数度のジグザグ登り で待望の山頂に到着する(12時03分)。有子山城址である。シダヤブの中に3等三角点が埋まって いる。
山頂から出石の町並みが一望三角点です

山頂には東屋が設けられている。日差しを避けて中に入れば、山頂を吹き抜ける風の涼しさに、思わず 生き返る思いがする。山頂からは北と西の眺めがいい。出石の町並みがジオラマのようである。 しばらく山頂で休憩し下山、冷たいスポーツドリンクを飲んで人心地ついたところで再スタート(12 時45分)。このまま宿泊予定地の和田山まで走れば到着が早すぎるのでしばらくR426を北に走る。 追い風なので簡単にスピードが出る。 それにしても暑い。豊岡市中心部に向かうにつれ無茶苦茶暑くなってくる。日本海にある低気圧に向か って南から風が山越えで吹き込んでくるフェーン現象の中を走っているのだから無理も無い。35℃。 意識が無くならないうちに南下を始めた方がよさそうだ。R312に出たところで和田山目指して一路 南下する。強い向かい風に思うようにスピードが出せないが、風が強い分体感的にはしのげる。とはい え、和田山まで3度水分補給をしながらようやくの思いで今日の宿泊地に到着。ツーリング中に飲んだ ペットボトルの本数9本(4.5リットル)。        (本日の走行距離174km) 明けて21日。5時半にチェック・アウトを済ませ、近くのコンビニで朝食。5時43分リアル・スタ ートを切る。去年は激しい雨が叩きつける中の遠阪峠越えだったが、今年は早朝にも拘らず28℃の蒸 し暑い中の走りである。どっちがいいかって?まだ雨の方がましである。 峠の上り始めのところで立ち止まってマン・コレ写真を撮っていると地元のMTBポタリングおじさん がやってくる。一言二言言葉を交わす。昨日豊岡周りで和田山に泊まり、今日はこれから宝塚まで帰る、 と言ったら絶句して、ついて来なくなった。峠の頂上くらいまで“連れ”が欲しかったのに・・・。 峠を越えれば豪快なダウンヒル。快適な時間はあっという間に終わりを告げる。佐治に着く前から強い 向かい風が吹き始める。淡々と走るしかない。結局向かい風は山南町の井原の交差点まで続く。 もうここまで帰ってくればいつもの見慣れた風景。だんだん日差しも強くなるにつれ、水分補給で停ま る回数が増える。大山下-篠山口-四ツ辻-三田本町といつものコースを走り、赤坂峠を下って帰宅す れば11時にあと10分と少しといったところ。帰りつけばもう少し走っていたかったといつも思う今 年の一泊ツーリングが終わった。本日は5本(2.5リットル)。           (今回の総走行距離281km) 織田(おりた)さんへのメールはbabrx800@jttk.zaq.ne.jpまで・・・。

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