山を駈ける風になれ2009年 11月号

 
2009年10月10日(土)北摂/湯谷ケ岳(2.5万図 法貴)
3連休である。一昨日通過した台風18号も千島方面へ抜け、文字通りの台風一過の天気が期待できる中、
近くにありながらまだ一度も訪れたことがない亀岡南部の湯谷ケ岳(622.4m)に登る。「登る」と
いう表現を使った方がいいのかどうか微妙なところだ。
ま、それは追々レポートを読んでご納得頂けることと思う。

午前5時40分、日の出前は少し肌寒いが、半袖半パンの完全夏仕様でスタートする。先週チェーンとリ
ア・スプロケを交換、踏み込む反応がまるで新車のよう。といいながら信号によく引っ掛かりいつもより
1分遅めのタイムで川西能勢口を通過、R173に乗った後、木部から余野川沿いにR423を走り、豊
能町役場の前を通過して余野に着く(6時46分)。
どうでもいいことだが、北摂エリアで最も標高の高い市町村役場である。いやもっと周辺までエリアを広
げてみても、ここが一番高い市町村役場かも知れない(わが兵庫県にもここより標高の高い役場はあるだ
ろうか)。

そんなことを考えながら余野で水分補給を摂り再び走りだす。気温10℃。平坦路を走ると寒い。2週間
前に石仏巡りで訪れた下所を過ぎ、6月に訪れた577アンテナ山分岐を左折、激坂をクリアすると茨木
ローズタウンの入口に着く(7時15分)。
「茨木」と名が付いているが、亀岡市東別院町である。湯谷ケ岳はもう目の前(直線で1km)、東西に
延びる頂上部の西端まで家が迫っている。西端に建っている鉄塔の横から登ることに決め、ニュータウン
の中をゆっくりヒルクライムしていく。
それにしても凄いところに住宅地が建っている。それも結構な数で、どの家も居住しておられる様子。よ
く目にするバブル期に建てた廃墟の別荘地ではない。通勤は大阪。だから「茨木」という名前が付けられ
たのだろうが、ニュータウン内に店も学校もないし、クルマが無いと絶対に暮らせない。だいいち水はど
うやって引いているのだろう。標高600mである。
殆ど頂上部近くまで住宅が
写真では分かり辛いが鉄塔が建っている
鴻応山が目の前に見える住宅って・・・どう?

山のことよりニュータウンの方が気になりながら上るうちに最高所の住宅の前に着く(7時20分)。鉄 塔と見えた代物はでっかい無線のアンテナである。2-3軒隣にもでかい無線のアンテナが建っている家 がある。 確かに無線の愛好家には最高の場所かも知れない(やまあそさん、別荘購入を検討されてはいかが?) さて、その最奥部にあるN邸手前に山道を発見。自転車をデポし山の中に分け入る。三角点のある山頂ま で1km弱といったところだが、登り口時点で標高600mあり、山頂との標高差は22mしかない状態。 まあいきなり山頂近くの稜線から歩き始める感覚である。
台風の痕1(緑の絨毯?!)台風の痕2(風の強さがわかります)

山の中に入るとまたいつもと違った体験が待っている。しっかりとした山道は一面緑の落ち葉で葉っぱの 匂いに満ちている。植木屋さんの仕事現場の匂いである。いうまでもなく一昨日の台風によるものである。 この主稜線は北からの風をまともに受けるので折れた木の枝が無数に散らばっている。お蔭でクモの巣に 悩まされることもなく淡々と歩けばお堂の横へ。クランク状に曲がって歩を進めれば申し訳程度の“本日 一番の登り”が現れ山頂に着く(7時35分)。
お堂。草に埋もれた石燈籠もある湯谷ケ岳山頂

植林に覆われ展望は無い。山頂真ん中に縦長の石が祀られている。薄暗いこともあって、石仏なのか、文 字が彫られているのか、ただの石なのかも判別が付かない。三角点は北側に少し離れて埋石されている。 山頂北側にマイクロウェーブの反射板が立っている。残念ながらここも眺望は得られない。一番眺めがよ かった山頂直下のポイントへ移動する。
山頂直下から北方面を眺める

真北に見えるゴルフ場を抱いた山は霊仙ケ岳、法貴の盆地の向こうに京都丹波の山並みが続いている。北 西に見えるひときわ高い山はどこだろう。今日は「法貴」の2.5万図しか持ってこなかったので載って いないが、方角からして半国山であろう。 今まで見たことの無い角度から山を眺めるのは面白いものである。が、じっとしていると寒い。もと来た 道を戻る。登りも下りも所要時間は同じ。鴻応山が目の前に見える住宅地の前で靴下のひっつき虫を払う。 山頂と最寄りの住宅地との標高差が最も小さい山。ちょっとこんな切り口で過去に訪ねたことのある山を 再チェックしてみたくなる山歩き。 このまま帰路についたのではあまりにも早く家に帰りついてしまうので、切畑口まで戻り、犬甘野-堀越 峠回りで能勢に下り、秋の能勢路をゆっくり流しながら帰宅した。         (本日の走行距離79km) 2009年10月18日(日)篠山/春日神社秋の例祭の篠山を走る (2.5万図 篠山、宮田) 秋祭りのシーズンである。今日は篠山春日神社の秋の例祭を見に行くついでに付近の低山を訪ねることに する。 午前5時51分、ロードで出発。昨日の雷雨もすっかり上がり、絶好の秋晴れが期待できそう。若干風が 強いのが気になるが、思っていたほど冷え込みもきつくなく(新三田で9℃)、R176を一路鐘ケ坂方 面へ走り、千年モミを眺めてターン、木部から宮田経由で熊谷に着く(8時25分)。 時間も早いので3年ほど前に設置された三角点「前山配水場」を訪ねることにする。前山は東浜谷の南に ある小山で私の手持ちの地形図には載っていないが、山頂部に篠山市の配水施設があり、その門の前に4 等三角点が埋設されているとのことである。
前山配水場

農道を走り、山側に管理道路を見つける。短いが急勾配の簡易舗装路を登りきると前山配水場。ゲ-トの 前に三角点標石と基本測量のポールがコンクリートに固められて埋まっている(8時32分)。配水場は 思ってたよりも大規模な立派な円柱形の建物である。何故か西宮浜の砲台を連想させる。盃ケ岳がいい角 度で眺められる。しばし憩って郡家から黒岡へ走り、沢田城址を訪ねる。 城山の北西部にある若宮八幡も今日が秋の例祭のようで氏子の方が忙しく出入りされている。鱧切り祭が あるようだ。ん?17日、昨日か。残念。 ぐるりと南側に回ると小林寺。手前の祠から墓場を抜けて登ると寺の裏に。一段高い所に「玄奘三蔵聖骨 納塔」が立っている。横に説明板が立っている。要するに南京で発見された三蔵法師の墓から分けてもら った骨の一部が回りまわって、この場所に祀られているということらしい。さすがに篠山は懐が深い。ま だまだ知らないことがある。
玄奘三蔵聖骨塔沢田城址沢田城見取り図

三蔵法師の塔の横の山道を上がること30秒で沢田城址、本丸跡に着く(9時00分)。今はタヌキの家 族が棲みついている静かな竹林だが、16世紀半ばには八上の波多野秀治の命を受けた小林近江守がこの 地(滝山というらしい)に山城を築城、明智光秀の丹波攻めで天正7年に落城と、わずか40年ほどしか 存在しなかった激しい歴史を持つ地であったようである。
鉾山

9時を回ったところでそろそろ鉾山(篠山では山鉾ではなく鉾山というらしい)が出始める頃合いか。二 階町の方へ移動すると諫鼓山の鉾山がやってくるではないか。さあ今日はここから観光モードに入るとす るか。         (本日の走行距離113km) 2009年10月31日(土)篠山/籠坊秋景色~道場/松原城址 (2.5万図 福住、篠山、三田等) 今年は秋の訪れが早いようである。先週ホームグラウンドを周回した時もかなり紅葉が進んでいるのを感 じた。籠坊あたりは今が見頃かも知れない。そんなことで紅葉を求めて走りに出る。 昨日に続いて今日も日中は25℃近くまで上がるという。朝の冷え込みもそれほどきつくない。空が明る くなるのを待って出発する(6時00分)。珍しく信号に引っ掛かる回数が少ないまま川西能勢口を回り、 杉生で水分補給を摂った後、杉生新田から泉郷峠に向かう。
紅葉の泉郷峠

先週走った時には見事だったサクラの紅葉は既に散り始めていたが、泉郷峠は雑木の紅葉が美しい。峠を 下って籠坊に入る。見事な黄葉が目に飛び込んでくる。籠坊稲荷の大イチョウである。モミジも色づきを 深めていてなかなか見事な眺め。自転車を降りて暫し楽しむ。
籠坊稲荷の大イチョウ(遠景)籠坊稲荷の大イチョウ(近景)

再スタートを切る。後川は珍しく霧に包まれている。ここでこんな具合だと篠山盆地は霧が深いかも知れ ない。ちょっと見に行ってみるか。後川奥から峠を越えて曽地奥に入る(8時30分)。立派な角の雄鹿が 斜め前を走り去っていく。 日置に着く。深い霧の中である。ここにも交差点の角に大イチョウがあるが、こちらはまだ緑。見頃にな るまでにはしばらく時間がかかるようだ。 八上から篠山城址方面へ向かう。幻想的な風景が広がる。どこかの高校の陸上部の選手とすれ違う。来週 の県大会のコースの下見か。当たり前だが一般ジョガーとは走りのフォームが違う。
霧の篠山街道

篠山城下街の南端を西へ走り、R176に出て南下する。ようやく追い風に変わって走りがラク になる。 快適に走っているうちにどこかへ立ち寄ってみたくなった。以前、神戸電鉄のハイキングブックで読んだ ことのある道場にある松原城址に行ってみることにする。 長尾川を渡り、旧道のR176を南に有野川を渡る手前にある小山がかつてたんぽぽ城と呼ばれた松原城 址である(10時27分)。神鉄道場駅側に回ると解説板が立っている。天正7年に秀吉に攻められ落城 したとある。 城跡へ登る道は整備されていないようである。踏跡を見つけ途中から強引に直登すると細長い頂上部に着 く。標高差が20mほどなのでものの2-3分で登ることができるが、整備されておらず自然に還ってい る。それもまた良し。
お堂。草に埋もれた石燈籠もある湯谷ケ岳山頂

霧の中を走っていた時は寒いくらいだったが、すっかり暑くなってきた。ウインドブレーカーを脱いで半 袖ジャージになり、再び自転車にまたがり帰路についた。        (本日の走行距離112km) 織田(おりた)さんへのメールはbabrx800@jttk.zaq.ne.jpまで・・・。

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