山を駈ける風になれ2009年 12月号

 
2009年11月3日(火)有馬/逢山峡~古寺山 (2.5万図 有馬)
この秋一番の冷え込みだという。今日は予定が立て込んでいるので近場をMTBで走ることにする。行き
先に選んだのは有馬の古寺山(636m)。4年前の冬、登ろうとして辿りつけなかった山である。どこ
で間違ったのか検証も含めて4年9ケ月ぶりの再チャレンジである。

6時05分出発。夜来の強風はだいぶ収まったが確かに冷え込んでいる。向い風に久しぶりのMTBは足
にこたえる。思いっきりのスローペースで通過した赤坂峠は気温5℃、3日前に通過した時は23℃だっ
たからえらい差だ。
天上橋から田尾寺で左折、これまたマイペースで上って有馬口に着く(7時04分)。指切りのグローブ
で走ってきたので、自販機に上手くコインが入らない。

一息ついて逢山峡へ向かう。朝から結構な数の人が散歩をしている。挨拶をしながら順番に抜いていく。
既に山から下りてくる人もいる。みんなどこまで歩いているのだろう。シュラインロードの入口あたりだ
ろうか。まさか六甲山頂まで?
そんなことを考えながら猪鼻橋を渡る。道が二手に分かれている。左は4年前入った道、右は・・・あ、
これじゃないか。古寺山に辿りつけなかった原因がわかる。4年前の冬に来た時は右の道は重機が数台並
んで大がかりな工事をしており、その先に道が続いているように見えなかったのだ。
ここから登ります

今日のようだと間違いようの無い道である。地形図の標高550m等高線ラインの辺り、道の北側に登山 口の標識を見つける(7時34分)。 MTBを担いで2mほどの斜面を登ると、「一般コース」と「上級者コース」の分岐表示。MTBで乗っ て走る目的なので迷わず「一般コース」を選択する。 走りだしから下りが連続する。これだけ下ったら帰りが辛くなるじゃないかという頃、逢山峡からの登山 路と合流し登りに入る。登りに入ったところで軟弱なマウンテンバイカーはとっととMTBをデポして歩 き始める。 それにしてもよく整備されている。多分個人的にされているのではないかと思えるが、迷わないよう配慮 が行き届いている。このコースは整備されていなければ正確に進むのは難しいだろう。お蔭で何も考える ことなく、紅葉を楽しみながら歩くことができる。
本堂跡護摩壇跡

やがて「上級者コース」と合流、ひょいと階段状のところを登ると本堂跡、井戸跡の平坦地に出、更に進 むと護摩壇跡である。山名の由来にもなっているが、こんな山の中にお寺があったなんて驚き以外のなに ものでもない。
山頂にある「清盛の涼み岩」

護摩壇跡から1-2分で山頂に着く(8時00分)。山頂には直方体の大きな岩が鎮座している。“清盛 の涼み岩”というそうだ。確かにこの岩の上に座って西神戸から明石方面の雄大な眺めを見れば天下を取 った気分にもなろうというものである。 残念ながら木が邪魔してこの涼み岩の上からは展望は得られないが、20mほど西に行ったところにある “展望石”からは胸のすくような光景に出合うことができる。
展望岩からは明石海峡がよく見えます

写真では見えないが肉眼では淡路島と明石海峡大橋もはっきりと見える。北神戸の山々もいい角度で眺め られる。こんなに素晴らしい景色が眺められるとは思っていなかったので朝から満足である。これで寒く なかったら展望石の上でしばらく景色を眺めていたいところだが、何しろ日陰で気温4℃である。寒さ慣 れしていない身体にはちょっと辛い。色づき始めた雑木林を眺めながらデポ地に向かった。 (本日の走行距離 46km) 2009年11月7日(土)神戸/淡河~岩谷峠~小部峠~再度山DW  (2.5万図 淡河、有馬、神戸首部) 週初めの寒波もうそのようにすっかり暖かくなり絶好の行楽日和が期待されるこの週末。前回に続いて六 甲方面の未走路を攻めることにする。今日のコースは標記のとおり、裏六甲越えで淡河まで走り、山越え で三宮に下りてこようという企画。 三宮からは延々街中を走って帰らなければならないが、途中道路沿いにある低山に立ち寄って秋を楽しも うというお手軽山歩きプランもくっつけてのツーリングである。 6時06分出発。今日の相棒は勿論ロードである。赤坂峠は気温9℃。4日前よりも4℃高いだけでこう も違うかというラクな走りで峠をクリアすると快調な走りで淡河に着く(7時08分)。 さて、岩谷峠まで標高差300mのヒルクライムの始まりである。いきなり“カーブNo.49”の標識 が現れる。こういうカーブNo標識がある道で緩い上りだったことは一度もない。案の定のっけからきつ い勾配が続き、足はすぐ売り切れ状態になる。 鬼のような急坂を上り、最初に決めていた休憩&お手軽立ち寄りポイントである点名「白矢」(358. 9m)の登り口に自転車を停める(7時26分)。道路脇の踏跡を辿ること3分で4等三角点の埋まる 「白矢」に着く。雑木に覆われているが背丈が低く圧迫感が無い。清々しい晩秋の青空の中天高くに残月 が輝いている。
白矢4等三角点)ええ天気です

ちょっと足を休めたところで岩谷峠に向かう。ここから峠までまだ90mほど上らねばならないが、斜度 が緩くなるので苦にはならない。10分ほどで峠手前の施設の前に到着、道路脇の林道を折り返して投町 山に向かう。
投町山山頂極上の径

幅のある林道はすぐに地道に変わる。ロードをデポして林道を歩けばすぐに投町山に向かう山道が現れる。 MTBで走るには最高だろうという山道を進むとすぐに投町山(485m)の山頂である(7時50分)。 国道から山道を行くことわずか7分の距離である。さすがにこの山頂には登頂標が何枚か架かっている。 残念ながら展望は無い。景色を楽しむなら登り口にある施設の正門前がいいだろう。山から戻ればバイク ・ツーリングの人が道路脇にバイクを停めて一服していた。
岩谷峠

林道から加速を付けて国道に合流するとすぐに岩谷峠(439m)、しばらくはご機嫌な下りが続く。途 中から豪快なダウンヒル、初めての道でアールが読めないためぶっ飛ばすことはできないが、それでもM AX65km/h。あっという間に下りきってしまいもう箕谷である(8時18分)。 “常時左折可”の標識のある信号の手前で引っ掛かったりして苦労しながら何とか旧道のR428を辿る ことが出来、どうにかこうにか小部峠を通過(8時31分)、左折すれば“カーブNo1”(これは六甲 一軒茶屋を経由して135番までカウントアップ)、更に坂道は続き五辻に着いてやっと平坦になる。 休憩しようかと思ったが、色づき始めた森林の美しさに魅せられそのまま走りだしてしまう。と、“カー ブNo62(だったと思う。こちらはカウントダウン)”まだまだ上り坂は続く。岩谷峠と殆ど同じ高さ まで上ったところで下りが現れる。三宮方面から続々とサイクリストが上ってくる。 ドライブウェイながら、この時間は殆どクルマの通行はなく、サイクリスト天国になっている。上り下り を繰り返しながらも下っているので快適である。 大龍寺山門の前を通過、二本松のバス停を過ぎ、少し上り返したところで縦走路と交差する。自転車を停 めて登山道に入り、堂徳山(337.5m)に登る(9時02分)。これまた道路から山に入ること2- 3分で山頂である。入口近くに造られたベンチで水分補給をしながら休憩する。そういえば、今日は殆ど 水分も摂っていなかったことに気づく。港の方から大きな客船のものだろうか。汽笛が聞こえる。さすが 神戸らしいロケーションである。 水分補給を終えて道路に戻るとあとは下る一方、1kmも走らないうちに大きく南に突き出すヘアピン・ カーブが現れ、またまた自転車をデポする(9時17分)。市章山(292m)と錨山(Ca.260m) を訪ねるためである。(「市章山」は地形図では「碇山」と記載されている)
堂徳山山頂市章山山頂
横から見るとなんだかよくわからない市章錨山山頂

山の斜面にきれいに植栽された神戸のシンボル・マークを持つこの2つの山も遊歩道を歩いて簡単に訪れ ることが出来る山である。但しマークをじっくり鑑賞したいなら山の上に立つのはお奨めできない。 苦労しながら雰囲気だけでも撮ろうとしている背後を諏訪山方面から登ってきた中高年ハイカー御一行様 が通り過ぎていく。いろんな角度から挑戦してみたが結局だめ、諦めて更に1kmほど下り、本日最後の 山(と言っていいのかどうか)諏訪山(151m)に立ち寄る(9時35分)。
諏訪山から市街地方向の眺め

ここは道路脇なのでまさに徒歩1分、といったところ。山とは名が付いてもここにいるのはカップルが1 組。軟弱な“シティーボーイ”のエリア、市街地はもう目と鼻の先である。あいにくもやっていて眺めは 今ひとつ、気温もかなり高くなってきたのでウインドブレーカーを脱ぎ、山本通から下山手通に下り(9 時50分)、中華料理屋の裏道を通って(何で入り込んでしまったのかよくわからない)三宮駅前に出る。 今日はここまででまだ50km。もう坂道は“お腹いっぱい”。というわけで軟弱にもR2を走って帰路 についた。 (本日の走行距離 78km) 2009年11月21日(土)川西/鴨神社ポタリング(2.5万図 伊丹) JR川西池田駅から南を見るとこんもりした小山が見える。標高差にして20m、市街地にあって一種独 特な雰囲気を放っている。毎朝通勤途上の車窓から気になっていた小山を訪ねてみることにする。仕事疲 れの身体を休めながら走るにはちょうどいい距離かも知れないが、こんな小さな山まで気になるのは別の 意味で「病気」かも知れない。 午前7時22分自宅を出発する。いつもより1時間近く遅いだけで驚くほど交通量が多い。とはいえJR 川西池田までは20分ほどの距離、北側からぐるっと東側の上り口に回り込む(7時42分)。 ここが一番上り坂らしく見えるポイントである。とはいっても比高20m、簡単に目的地のこんもりした 森に着く。鴨神社である。持参の地形図には神社のすぐ西側道路沿いに標高43.3mの3等三角点が記 載されているが、どうやら幼稚園の敷地の中にあるようで外からは窺い知れない。
マンションの裏の森が本日の目的地鴨神社

鴨神社の参道は鬱蒼とした社叢林に覆われているが、この社叢林は太古のこの猪名野台地の植生を今に伝 えているものでもなさそうである。というのは旧石器時代から弥生時代にかけて、この神社を中心として 直径300mの大規模な環濠集落(加茂遺跡)があったと教育委員会の説明板に書かれているからである。 猪名野台地の北東隅にありながら小山のように見えたのは環濠集落があった地形の名残というわけである。 確かにクルマが入れないような細い道は微妙にカーブしている。環濠集落の西側は墓地があり、全体で東 西800m×南北400m、500人が居住していたようである。2000年前はここまで海が入り込ん でいたのかも知れない。
加茂遺跡発掘地台地の端から五月山方面の眺め

加茂の環濠集落は弥生時代中期を最盛期として、以降北の栄根(遺跡)や小戸(遺跡)へ取って変わられ 衰退していく。それは猪名川が押し出す堆積物によって入江が陸地に変わっていったことと無関係ではあ るまい。 周囲をチェックして北に下って最明寺川を渡る。ここでも面白いことを発見した。北と東を取り囲むよう に流れている最明寺川は一番低いところを流れているわけではなく、川の北側の方がより土地が低いとい うことである。 不思議な地形に興味を持ってうろうろしている間に1時間近く経っていた。気になる場所はそれなりの理 由があったということか。猪名野の周囲を巡って帰路についた。 (本日の走行距離 37km) 2009年11月28日(土)北摂/杉生~中山峠折り返し(2.5万図 木津) “昨日までの暖かな陽気と晴天が今日まではもちそう”との予報を信じて、亀岡方面の未踏の山を訪ねる ことに。曇り空だが確かにこの時季にしては暖かい。これで次第に晴れてくれれば申し分ないと元気よく 出発する(6時27分)。 どういうわけか片っ端から信号に引っ掛かりまくりペースの上がらないまま川西能勢口へ。川西能勢口を 過ぎても“信号運”の悪さは続く。おまけに能勢電の踏切にまで引っ掛かる念の入りよう。それでも紫合 を過ぎれば信号そのものが殆ど無いこともあって、これで何とかペースを取り戻せると思ったのもつかの 間、今度は強烈な北風の洗礼に遭う。 おまけに木津あたりから時雨。北西の空の雲行きは怪しさを増し大野山から吹きつけてくる雨風の中、杉 生に到着(7時49分)。 こんな日は走っても楽しくない。またいい天気の日に出直せばいいさ、と取りあえず中山峠を折り返し地 点に決めて走る。 猪名川不動尊分岐のところで前方に頂上に鉄塔が立っている三角形の尖った小山が現れる。今日のように 視界が悪い日はふだん気にも留めなかった近くの山が「呼んで」いることはままあることではある。
山頂の鉄塔が目印

鉄塔も立っているので「火の用心」を見つければ簡単。すぐに道路右手にそれを確認、中山峠まで上って からUターンして登り始める(8時09分)。 擬木階段が広い谷筋の奥に向かって続いているのが見える。もうこれで山頂に着いたも同じだ。ロードを デポして歩き始めると擬木階段は落ち葉に埋もれて判然としなくなる。どういうわけかけもの道が目に入 り、その先に歩き良さげな「尾根」が見えたので、面倒とばかり「尾根」に登る。 と、そこは尾根ではなく、擁壁工事の端に作った側溝。えらい激斜面で四つん這いになりながら登りきる と傾斜は落ち着き、左手から擬木階段が上がってくる。歩きやすくなって雑木林の紅葉を楽しみながら歩 くうちに宝塚線No2鉄塔の立つポイントに着く(8時18分)。
雑木林の黄葉に和む
時雨る北摂の山々

予想通り展望抜群の頂上である。時雨に煙っているが、これもまたこの時季の北摂の低山の風景である。 関電の巡視路は堂床山の方に向かって下っていく。尾根筋は直進であるが、地形の割に踏跡は無く極端に 進みづらくなる。急遽予定変更したため地形図は持っていないが、聞こえてくるクルマの音からして、こ のまま進めば中山峠の手前にある工場の裏に出そう。 いいかげん寒くなってきたし、これ以上進んでも変化なさそうなので引き返す。デポ地に戻ってもまだ時 雨は上がる様子もない。 「今日はこれまで」。意を固め帰路につく。川西まで戻ってくると雨は上がったが結局一日どんよりとし た天気。いったいどこが晴れたのだろう。 (本日の走行距離 73km) 織田(おりた)さんへのメールはbabrx800@jttk.zaq.ne.jpまで・・・。

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