山を駈ける風になれ2000年10月号

9月3日(日) 天王林道/北摂西半周周回(2.5万図 福住) 
   先月下旬に新車(MTB)が到着、今日は試運転を兼ねて表記のコースを走る。距離、高低差
ともまずまず、いろんな斜度の坂があるこのコースは、「走り」を確かめるのにちょうどいい。
これまで乗っていたMTBは、わが国初の量産車となったアラヤのマディフォックス。8年前に
購入したもので、変速もリア7段の21速だ。
5時25分スタート。今朝は随分涼しい。いつものように川西能勢口回りで泉郷峠を目指す。Fサスの
「効き」が断然いい。8年も経てば技術進歩も相当なものなのだろう。フレームサイズが前のより
1回り大きいこと、トップチューブがやや長めなので、乗車姿勢はロードに近くなった。張り切って
飛ばしたせいか、杉生新田への上りでスピードダウン、何とかクリアして泉郷峠に向かう。斜度は
一段と増すが、ここでリア9段の威力発揮、今までよりもずっと楽に私を峠に運んでくれる。
一旦下って籠坊分岐を右折、能勢町に入ってすぐのところを右の林道に入る。いつの間にか簡易
舗装に変わっている。地道の走りを確かめる予定だったのに肩透かしを食った感じだ。結局、地道
部分は鉄塔建設のために新たにできた林道との合流部付近だけ。地道の走りはチェックできないまま
天王に下り着いてしまった。あとは籠坊温泉経由でいつもの西半周周回コースを走る。追い風にも
助けられてスピードアップ、今年一番の快走と調子にのっているとゴールまであと5kmという
ところで、非情にもパンク。「走り初め」でいきなりパンクするか?と憮然となったが、直さない
ことにはどうにもならず、小さな小川の土手で修理をして再び走り出した。
       (本日の走行距離 104km)

新車
篭防かじかの里 新車で見参

9月15日(金) 山南/石金山(2.5万図 中村町、谷川) せっかくの3連休なのに土、日は台風の影響で雨のようなのでせめて15日は思いっきり楽しもうと 上記コースを走ることにする。深夜かなり雨が降っていたので心配したが、朝起きてみればどうやら 大丈夫そう。それでも天気予報専門チャンネルでチェックの上、5時32分スタート。 東シナ海を北上する台風に吹き込む南東の風にも助けられて快走、MTBでは今年一番のスピードで 7時57分谷川に到着する。9月も半ばだというのに予想最高気温は34℃、ここ谷川駅前もカンカン照りだ。 石金山へ登る前にコンビニで食料を調達しようと記憶を辿って井原の交差点をいったんR175沿いに 上るが、思っていたよりも遠いところにあることに気づきUターン、梶方面へ向かう途中にあった スーパーで何とかジャムパンを買う。飲み物はできるだけ冷たいものを飲みたいと小新屋の集落に入って から自販機で買おうとパス。後から考えるとこれが失敗の始まり。何と走る道が悪かったのか、自販機を 拝むことなく小新屋観音についてしまった。 ザックの中には1リットル弱のお茶はあるが、今日の暑さと湿度を考えるといささか不安。取り敢えず 手洗水を柄杓で頭からかぶり、8時45分「石金山ハイキングコース、1.5km」と書かれた林道を登り始める。 幅はあるがガレた林道で、ご丁寧なことに100mごとに山頂までの距離表示が現れる。200mほど登った ところで木が1本道を塞ぐ形で倒れていたが、いつものことと気にも留めずに跨いで更に谷沿いに荒れた 林道を進む。100mごとの距離表示が出てこないが地形図の破線通りに進んでいるため、何の疑問も抱かない。 300mほど進んだところで林道が途切れ、沢が二手に分かれる。どこから登ろうかと思案の末、左の沢の 左岸に渡り、倒木を何本も乗り越えて登ったが、ついにヤブに阻まれて行き止まり。ハイキングコースに なっているくらいだから道を間違えているのは明らかだ。しばらく周囲の様子を覗っていると、沢の右岸に 山道らしきものが見える。地形図も破線は右岸だ。この時既にバテバテ状態だったが、苦労して登ってきた ルートを再び担いで下り、沢を渡り、MTBを頭上高く差し上げるような格好で右岸に上げて、自身は 周辺の枝に掴まりながら攀じ登った。 おお、確かに道が付いている。これで軌道修正OKとひとまず安心、とにかく汗だく状態なので水分補給 だ。再びMTBを担いで登りはじめるが、険しい登りが続く。と、頭上から大きく道を塞ぐように木が 倒れているポイントに出てしまった。倒木の先に道は続いているように見えるが枯れた枝が大きくせり 出しており、容易には行けそうにない。左手の急斜面を攀じ登って迂回し倒木をクリア。随分足を滑らせ 時間を食ってしまった。見上げるばかりの荒れた山道が続く。ヤブと倒木の連続だ。かなり登ってきている のはわかるが、とてもこのまま山頂まで行けるとは思えない。横たわる倒木を目の前にしばらく水分補給を しながら考えていたが、素手で登るのならいざ知らず、MTBを担いでは自分の実力では無理、と残念ながら 撤退を決意する。 風の通らない湿度の高い谷筋でもがいていたせいか、脱水症状気味だ。1m登るのに何分もかけて登った 山道を下りるのは容易ではない。それでもどうにか時間をかけて下りてくるとどうだ。林道の登り初めの ところで木が道を塞ぐように倒れていたところに標識が立っているではないか。倒木をいつものことと跨いで 直進してしまったのが失敗、新しい登山道を見過ごしたのだ。 再び気を取り直してMTBを押して登るが、もう山頂までMTBを担ぎ上げる余力はなく、イタリ山への 縦走はあきらめ、石金山頂上へのピストンに切り換える。確かにハイキング道だ。歩き易い。脱水症状に 加えハンガーノック気味でフラフラになりながら9時56分、ようやく尾根筋に出ると西に稜線を進み、 10時08分やっとの思いで石金山の山頂に立った。 頂上らしい頂上だ。わずか500mの低山とは思えない。高度感も十分、北に篠ヶ峰、白山、西に千ケ峰から 播州の山々、東方向には西光寺山の稜線が伸び、北東には石戸山、4月に登った大岩山の巨岩も見える。 ここでジャムパンをかじって体力回復だ。30分ほど景色を楽しみながら休憩、下山にかかる。MTBで 走ったらさぞかし、と思える稜線だ。11時05分小新屋観音まで下山、再び頭から水をかぶって帰路に着く。 朝の追い風は強烈な向かい風に変わる。ヘロヘロ状態で帰路の70kmは辛い。だましだましながらの走りで 篠山まで戻ってくると、まずはいつも寄る店で昼食、続いて三田でかき氷と走っている時間と休んでいる 時間が同じくらいになりながら徐々にスピードをアップさせていると道場でにわか雨につかまり、西宮 名塩で叩きつけるような雨に。はげしい雨と下りでスピードが出ているため顔にあたる雨が痛い。おかげで 脱水症状は快復、ズブ濡れ状態で帰り着いた。(本日の走行距離 139km)

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