山を駈ける風になれ2012年 8月号

 
2012年7月8日(日)篠山/篠山盆地の小丘を巡る(2.5万図 篠山)
古代湖であったという篠山盆地は、ほぼ標高200mで一定した“湖底”から比高数十メートル程度
の小丘が多く点在している。今の大書院がある篠山城址も笹山という小山に築かれた城であるし、王
地山(248m)などもそうだ。
この他にもこれまで沢田城址(滝山)(240m)、筋山(Ca220m)、馬地山(252m)、
権現山(261.8m)、東城山(289m)、などいくつかの小丘を訪ねてきた。
今日はそんな中でまだ訪ねたことのない小丘を巡ることにする。

4時59分、支度が早く出来たので自宅を飛び出す。例年なら蒸し暑くてバテ気味の走りとなるところ
だが気温19℃と涼しく、暑さが苦手な身には非常にありがたい。おまけに無風とあって順調にペース
を刻み、7時前には篠山城址大手前広場に着く。

これだけ朝早いと開いている店とて無く、挨拶代わりに市役所第2庁舎前の生け垣の傍にある4等三角
点「市民会館」をチェックする。
点標名「市民会館」4等三角点

「市民会館」とは面白い点標名だが、篠山町が市に昇格する前は、この第2庁舎が市民会館であったこ とに由来する。市制施行前から「市民会館」というのも変だが、市制施行を願う篠山町民の強い意思の 象徴だと、市制施行直前の99年1月、当時の神戸新聞篠山支局長から話を伺ったことがある。 市民会館であった当時は、よくこの中で休憩したものだが、第2庁舎となった今ではそういうわけにも いかず、建物の前で地形図を広げてどこの丘を訪ねるか検討、網掛にある252山に行く事に決める。
(仮称)吹新252山

同じ道を戻っても面白くないので、京口橋を渡り、糯ケ坪から谷山、東吹と走り、お菓子屋さんの施設 の前の道を走って小さな山に入ると、真ん中に南北に走る広い道が付いている。その最高点から道路脇 に歩いて登れる道が切ってあり、導かれるままに進む事1分弱で252m標高点の最高部に着く(7時 34分)。
吹新252山、最高部

とはいっても北側の公園施設の裏山で取り立てて何があるというものでもない(当然か)。山の名前も わからないので「吹新252山」と仮に呼んでおくことにする。 今日は10時までに帰宅の予定だが、まだもう一つくらいはいけそうだ。この小丘の北西側にある極小 サイズの丘に向かうことに決める。 こちらは南北200m、東西100mくらい、ちょっと大きめの古墳サイズの丘である。東側中程に神 社がある。二村神社とある。石段を登りつめたところが神社、西側からはクルマで参拝できるよう車道 が付けられている。神社拝殿のすぐ裏がCa220のコブ、駐車場を挟んで北側がこの丘最高地点の2 30m標高点コブである。どちらも下草が刈られてそれなりに簡単に歩いて登れるようになっている( 7時55分)。ここも名前がわからないので「西吹230山」と仮に名付ける。
二村神社(仮称)西吹230山、神社裏の最高部から拝殿を見る

8時を過ぎて北寄りの風が吹き始める。帰るには絶好の風だ。気が変わらない?内に帰ろう。 ひたすら南下のR176はラクに30km/台後半のスピードが維持できる快適走行。途中で気職休憩 を摂っても十分に10時までに帰りつける風を貰い、別人になった気分での走りとなった。        (本日の走行距離105km) 2012年7月15日(日)北摂/豪雨直後の大野山に上る(2.5万図 木津、福住) 未明の豪雨のせいで些か寝不足気味。夜明けの時刻を過ぎても外は暗い。天気予報を見ようとBSのチ ャンネルをあちこち切り替えていると『展覧会の絵』を演ってる3人組が映し出される。 よーく目を凝らして見ると何とEL&Pではないか。去年のライブ映像らしい。巨大化したグレッグ・ レイクは想定の範囲内としてキース・エマーソンの指が動かないのには「見るんじゃなかった」という 後悔の念が・・・。  で、チャンネルを変え、天気予報をチェックすると亀岡盆地に時間90ミリの猛烈な雨を降らせた雨雲 は京都市北部に移動し、宝塚も大雨洪水警報解除のテロップが流れる。じゃあ、走るか。 5時25分スタートする。警報は解除されたが注意報は出たままだ。路面が濡れているので心持ちゆっ くり目で走るが、強い西風を受けて川西能勢口を平均より速いタイムで通過する。移瀬から石道までの 川沿いの道は山側の斜面から流れ出た雨水が路面の上を何か所も流れている。 蒸し暑い。水分補給ポイントと決めている杉生では、いつもより多めに水分補給を摂る。今年はこれま で涼しかったので、急に蒸し暑くなるとなかなか体が順応しない。 杉生で一息ついて大野山の登山口柏原に向かう。向い風だが無いよりまし。柏原に着いた時にはもう全 身汗でびっしょりの状態である(6時59分)。本日2度目の水分補給を摂る。 ガスが西から東に流れている。視界は100mほど。5分ほど休んでアルプスランドへの林道を上り始 める。 林道は折れた枝やマツボックリなどが散乱していて走り辛い。しかし今日は雨風で飛ばされてしまった か、うるさくつきまとう虫達がいないので助かる。 いつもながらに牛歩の歩みのヒルクライムだが、それでもペダルを回していれば頂上は見えてくるとい うもの。
自然で無くなった『猪名川の源流』ポイント

アルプスランドまであと1カーブというところで『猪名川の源流』ポイントが現れる。20年ほど前に 初めて上った時はもっと自然な感じだったが、だんだん手が加えられて中途半端な水飲み場のような感 じになってしまった。でもすぐ上はグラウンドになっているので水を飲むのは気を付けた方がよさそう だ。ついでに言っておくとここは猪名川の源流ではない。猪名川に注ぎ込む支流の源流の一つである。
山頂付近のアジサイ園もガスってよく見えない

最後のひと漕ぎでアルプスランドに到着する(7時34分)。ガスに包まれ視界は更に悪くなる。20 00株といわれるアジサイが幻想的に見える。数組のキャンパー達が朝食の用意をしている。さぞかし 未明の豪雨は肝を冷やしたことだろう。でも子供たちにとってはいい経験になった筈だ。
真っ白な山頂

山頂に登ってみる。残念ながら何も見えない。何度も登っているのでどの方角にどの山があるのかわか っている。想像しながら15分ほど休憩する。強風が吹き荒れている。火照っている体には気持ちがい い。 下山にかかる。杉生までは追い風基調、ハイスピードの下りが楽しめるが、あっという間に下り切って しまう。川西まで戻ってくると晴れて気温が急上昇し始める。今年も暑い夏がやってきたようだ。        (本日の走行距離 94km) 2012年7月21日(土)三田/日出坂の小山に登る(2.5万図 藍本) R176を三田から篠山方面に走ると、藍本の日出坂洗堰を過ぎたところで並行に走るJRと別れ、日 出坂峠を回避するように90度カーブして東に方向を転じる。この時右手の集落の中にこんもり盛りあ がった小山(Ca200m)が見える。 地形図で見ると麓に神社があるようだが、こういう村の中にある山は頂にも何かが祀られているに違い ない。いつかは訪れてみようと思うも、自宅から大した距離があるわけでもなく、まして超ミニ・サイ ズの山だけになかなか訪ねる機会とてなかったが、暑い夏場こそ絶好の機会と走ることに。 ダイレクトに向かったのでは距離が短すぎるので、猪名川から西峠−後川奥−曽地奥と走り継いで篠山 経由の周回コースで向うことに決める。 午前5時スタート。曇の天気予報どおりうす暗い。熱帯夜でねっとりした空気はいくら風を受けて走っ ても気持ち良くならないが、県道を北上するほどに涼しくなり、杉生あたりになると湿度も気にならな くなる。 それもその筈、気温は20℃前後と大阪の街中に住んでいる人が聞いたら羨ましくなるような涼しさで ある。
ガスる曽地奥への峠

杉生新田から県道12号をそのまま進み西峠を越える。下りで今年最速の67km/hが出る。続いて 後川奥から曽地奥へ抜ける林道に向かい、峠で休憩(7時32分)。ガスっていて更に気温は低い。 ひと息ついたところで再スタート、下っていくと倒木で林道が塞がっている。MTBで走っていた頃は、 こういうシーンに何度も出くわしたものだ等と思いながら倒木の下を潜ってクリアする。 曽地奥から日置に向かう頃から日差しが強くなり始める。観光モードで篠山の城下町を通過、再びツー リングモードに切り替えてR176を南下し、日出坂の村なかに入る(8時35分)。日出坂の名前は 酒垂神社の幣坂がなまったものと言われる。 向う小山は西鎌倉山から伸びる枝尾根の先端が武庫川の流れによって分断されたような形をした南北1 00mにも満たない比高差30mの超ミニサイズの山である。 何故武庫川はこの小山の北側を迂回せずに南側の山を切り割いて流れていったのだろう。流路は洗堰の あたりで鋭角に流れを変えている。この辺りは大雨が降ると何度も氾濫したと聞く。虚空蔵山塊にぶつ かって跳ね返され、複雑な流れを描いた結果、今の流路に落ち着いたのだろう。
日出坂200山へは階段が続いています

小山の北側に回り込むと参道と思しき階段が付いている。神社は山の麓ではなく山の上にあったという ことか。というわけで難なく山の上に登ることができる。1分もかからない。
山頂には祠がありました

山の上はフラットで大きな杉の横に小さな祠が祀られている。南側の斜面は切り立っている。お参りを して参道を下る。地形図の鳥居マークのあるところに気になる建物があったので立ち寄ってみる。 『丸橋民俗資料館』と掲額されている。どうやら民家の一部を使って個人的に収集されたものを展示し ておられる資料館のようである。ここ藍本は西暦600年代半ば孝徳天皇が藤原鎌足に命じて藍の栽培 を始めたことにその名の起源を持つ地区。そんな藍に関連する資料でも見られるかと思ったが残念なが ら休館。 また機会があれば訪ねてみよう。気温が急上昇してきた。熱雷が発生する前に帰るとしよう。この判断 は結果的に正解で、帰宅後1時間もしないうちに大雨洪水警報が発令されることとなった。        (本日の走行距離109km) 織田(おりた)さんへのメールはbabrx800@jttk.zaq.ne.jpまで・・・。

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