山を駈ける風になれ2012年 12月号

 
2012年11月3日(土)北摂/西半周周回+寄り道(後川稲荷)(2.5万図 福住)
晴の特異日として有名な11月3日。統計どおりに今年も好天の予報。本来ならば遠出をしたいとこ
ろだが、若干お疲れ気味のためいつものトレーニングコースで汗を流すことにする。

午前6時06分スタート。11月に入ってめっきり寒くなった。10月末までクールビズだったのに、
11月に入った途端ウォームビズかよ、という感も無きにしもあらず。
お疲れモードが影響しているのか、気温の低さに筋肉が温まっていないからか、それとも向い風が影
響しているのか、原因は不明だが今年一番の鈍行走り。杉生で水分補給を摂って、どうにか杉生新田
に着き、ヘロヘロ状態で泉郷峠を越えて、籠坊から後川に下る。

いつもは爆走モードで走る羽束川沿いの道を、ちんたら走っていると清陰寺の案内板横に渓谷の森登
山口を案内表示が記されているのを目にし、ふと立ち寄ってみる(8時過ぎ)。渓谷の森は大野山の
北側、西峠を篠山側に3分の2ほど下ったところにある大野山への登山口の一つであるが、清陰寺の
裏手から渓谷の森に通じる林道があったことを初めて知る。
清陰寺の裏手から渓谷の森に抜けられる

林道を確認したところで清陰寺に戻る。昔一度立ち寄ったことがある。室町時代の開創で摂関家の二 条家とつながりがあるお寺だったと記憶している。座禅道場も開いているとのことだった。紅葉もあ と一歩という緩い傾斜の階段を登って山門をくぐれば清陰寺。 清陰寺本堂に向かわずにすぎ左手に折れ、飛び石を進むと、朱色の鳥居のトンネルが続き、数段の石 段を登ったところにあるのが後川稲荷である。
後川稲荷の朱色の鳥居

本堂は昭和初期のものらしいが、なかなかに立派な造りである。この地に稲荷神社が移されてからは 約250年という。本堂裏手に回ると眷属堂があり、赤いお堂と、中に奉納されている数十体の真っ 白な狐の像のコントラストはなかなかに妖しい世界を作り出している。
眷属堂

先にお参りに来ていた男性に話を伺う。後川出身の方で今は後川在住ではないそうだが、かならず毎 月ここまでお参りされているとのこと。ここも二条家と関わりのある神社で、昔は灘へ酒造りに向か う杜氏が参拝に立ち寄ったという。またさきほどの清陰寺には貴重な駕籠があることや、後川近辺の 由緒ある神社、みどころなどを教えて頂く。 20年来走り慣れたトレーニングコースということで、沿道にある社寺はとんと御無沙汰だが、今日 の鈍行走りも何かの縁か、はたまたお狐様の導きか。足が回らない日は回らないなりのツーリングを 楽しむのもまたいいものだと知った一日であった。        (本日の走行距離102km) 2012年11月10日(土)氷上/秋葉山と周辺を巡る(2.5万図 大名草、黒井)  秋葉山は氷上町上新庄の集落の西に位置する形のいい低山である。これまで周辺の700m級の山々 に何度か足を運ぶ度、気にはなっていたが、小山ゆえ後回しになっていた。先週に引き続きこの土曜 日も好天が期待できるということで、紅葉を愛でがてらのんびりツーリングをしようと決める。 秋葉山というと浜松の天竜川上流にある秋葉山が有名で、日除け・火伏せの神様を祀る秋葉神社の総 本宮があり、全国に分社を持っている。同じ火伏せの神を祀る神社といえば愛宕神社があるが、京都 の愛宕神社に近いこともあって、この丹波には愛宕神社、愛宕と名の付く山は多いが、秋葉という名 が付く山は珍しい。この氷上の秋葉山には分社か何かあるのだろうか。
追手神社の夫婦イチョウの黄葉

6時08分自宅をスタートする。気温8℃はそう寒くない。西寄りの風でスローペースで赤坂峠を越 え、R176を北上する。篠山盆地に入ると北寄りの向い風に苦しめられ、鐘が坂トンネルを抜けて 柏原到着はいつもよりかなり遅め。 それでもどうにか9時10分には秋葉山の南麓、上新庄に着く。山の東と西に神社がある。どちらか に登路があるとみて、まず西の神社に向かう。 西は粟鹿神社。丹波側で「粟鹿」という名前を拾うとは思いもしなかったが、どうやら登路は無さそ う。東の神社に向かう。 東は天満神社。てっきり秋葉神社だと思っていたので少々面食らうが、すぐ北側に山に入る簡易舗装 路が見えていたので山名の由来探しは後回しにして秋葉山に登ることにする(9時27分)。 簡易舗装路を登り、シカ除け扉を開けて中に入る。2.5m幅の林道が山の中に続いている。15c m前後の石を敷き詰めた道は歩きにくいがほぼ平行道。5−6分で山の南斜面に回り込む。北方向に 木の階段が取り付けられたハイキング道のような山道が現れるのでこれを進む。こちらは下りに使え ばほぼ全乗りの極楽MTBクロカン・コース。つづら折りに道が切ってあるので傾斜も緩く、向い風 の中を80km弱走っていなければすいすい歩けそうな山道である。
秋葉山への道はよく整備されています

登り口から15分ほどで秋葉山山頂と北の300mコブの間の鞍部に出る。まずは北の300mコブ に向かう。道は無く、適当に雑木の間を縫いながらコブに着く。コブの上は砦跡のように遠景で平坦 な地形で北側は急角度で切れ落ちている。 次に秋葉山山頂に向かう。こちらはしっかりとした踏み跡が付いている。山頂には9時52分到着。 植林帯で展望は無く、頂上部は伐採したスギが転がっており歩きにくい。中央部に4等三角点「秋葉 山」の標石が埋まっているが、秋葉神社の祠のようなものは無い。
秋葉山山頂

頂上中央から10mほど南に村内放送用?のスピーカーがいくつも付いた塔が建っている。今、ここ でサイレンが鳴ったら耳を押さえながら下山をしなくてはならないが、10時を回ってもサイレンが 鳴る気配もなく、しばし憩う。 この山へ上ってくる他のルートは無さそうである。来た道を戻って下山する(10時半)。畑仕事を していた老夫婦と挨拶を交わしたりしながら、天満神社を訪れる。正面に本殿が無い不思議な神社で 一段上に登るといろんな神様が祀られている。村人のいろんな種類の願い事を聞き届けられるように なっている。そんな中に秋葉大明神も祀られている。これがこの山の由来になったとは到底思えない ほど小さな祠が祀られているだけだ。
秋葉大明神

(帰宅後HPで調べると三方地区に秋葉神社があることを知る。 ここには役行者像もあるらしい。神仏習合というか山岳信仰など様々な信仰がごちゃ混ぜになって村 人の中で共存しているところが日本の信仰の特性かも知れない) 上新庄にある施設で昼食を摂ろうと思ったが、ランチ営業までにはまだ少し時間があったので周辺を 巡る。常照寺の黄葉はまだのようである。粟鹿神社の前の道を南へ100mほど走った道路脇に比丘 尼岩を見つける。
比久尼岩

触れると内尾神社から鉄の矢が飛んでくるという言い伝えがある石だが、幸いなことに矢は飛んで来 なかった。何も文字などは彫られていない。中野地区、上新庄地区、三原地区の境界石だったそうだ が、今は県道横の歩行者通路の脇に置かれている。 そんなことをしているうちにランチ営業の時間になったので、名物の“おかわり自由”のたまごかけ ご飯を頂く。ちょっと期待し過ぎたか、但東町にあるたまごかけご飯の方が断然美味しい(あくまで も個人的な感想です)。 帰路につく。向い風に苦しめられた往路と違って帰りは基本追い風。そんなに飛ばしていないのに1 2時過ぎには谷川駅まで戻ってくる。サイクリストが一人休憩中。私よりかなり年配の方と身受けた が、和田山から谷川経由で篠山−福知山−和田山と走る予定とのこと。かなりの健脚だ。 こういう方をみると、自分もまだまだ走れそうな気になるから面白い。途中で雨に降られたりと目ま ぐるしく天気が変わる一日であったが、久しぶりに充実感に満たされた時間を過ごすことができた秋 の一日であった。        (本日の走行距離160km) 2012年11月24日(土)篠山/城東トンネル〜王地山紅葉谷(2.5万図 篠山)  3連休の2日目。毎年恒例の紅葉を愛でるツーリングを実行する。今年は紅葉の時季に足を運んだこ との無い篠山の紅葉の名所を訪ねることにする。 午前6時24分出発。どんより重たい雲が垂れこめている。昨日は1日中雨、今日は回復基調にある とはいいながらも期待薄の予感。川西能勢口回りで県道を北上する。空がどんよりしていると気分も 乗らない。おまけに北西の向い風もあって完全にお気楽ペースの走りとなる。 猪名川町栃原の緩い坂を上り切って右にカーブするところで、道路の左脇にでかいオスのシカが転が っている。上りでスピードが出ていないのと、アウトコースに転がっているので問題はなかったが、 下りブラインドのインコーナーだったら大変だ。 そういや2〜3ヶ月前も杉生新田への上り道にイノシシが転がっていたっけ。結構ワイルドな県道だ。 杉生の手前で“ご同業”に抜かれる。今日は追いすがる余力なく、杉生で水分補給休憩を摂る。5分 ほど休んで再開。杉生新田、西峠と走って後川へ下り、城東トンネルを抜けて日置に下る。今にも降 り出しそうな天気だ。 まずは篠山の中心部、まけきらい稲荷で有名な王地山に向かう。何度も訪れているが、紅葉の時季の 訪問は初めてだ。
紅葉谷の紅葉です

紅葉谷というだけあってなかなか美しい(8時50分)。東屋のある王地山の展望台への遊歩道は赤 や黄の紅葉まさに錦織りなす絨毯でこれまた見事。小雨が降りだしてきた。落ち葉が雨に濡れて尚鮮 やかに映える。
王地山展望台への遊歩道

晩秋の風景を楽しみながら篠山中心部を西に走る。雨脚が強まってきた。次に西に向かう予定だった が、雲行が怪しいので断念。R176回りで帰ることにする。 南に走れば雨雲から抜け出せるかと思ったが、雨の中の走りが続く。四ツ辻にあるコンビニで休憩兼 雨宿りをする(10時01分)。しばらく様子を見ていたが、むしろ雨雲が南下しているようにも思 え、出発する。 広野を過ぎたあたりでようやく雨雲から抜ける。と前方にサイクリスト発見。特にペースを上げるこ ともなく追いつく。新三田の交差点で一気に抜く。 抜いたことも忘れ、有馬川沿いを天上橋交差点方向に南下していると前方にサイクリストが・・・。 何となく見覚えのある後ろ姿に追いついてみると、さきほど新三田で抜いた人だ。どうなってる?勿 論抜かれた覚えはないし、三輪の交差点を曲がる時に後方を確認したが、全く姿は見えなかったし・ ・・。 他に近道がある? 彼は一体どうやって私の前方に現れたのだろう。ワープした?! 今持って全く 謎・・・というか、まけきらい稲荷にお参りしたので“狐につままれた”とでも言っておこう。
まけきらい稲荷の下を走る

       (本日の走行距離105km) 織田(おりた)さんへのメールはbabrx800@jttk.zaq.ne.jpまで・・・。

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