山を駈ける風になれ2013年 6月号

 
2013年5月4日(土)京都/京北周山(2.5万図 周山) 
GW後半4連休の2日目。今年はここをツーリングする日と決め、豊能から山越え+渓谷美を堪能
しながら旧京北町の中心地、周山まで周回走をする。約160km。先週長距離走の足慣らしをし
てるので距離に問題はない。

5時00分、今朝も早めのスタート。何しろ季節外れの寒気が流れ込んで大気が不安定ということ
なので、地温が上昇して雨雲が発生する前に距離を稼いでおきたいというのがその理由。川西池田
から猪名川を渡り、R423を余野川側沿いに亀岡に抜けるのはいつものコース。余野では気温3
℃ながらレーパンは半パン。意外と足って寒さを感じないものである。

スタート時、気になった北寄りの風も亀岡盆地に入ると無風に変わり、快調にR9を北上、西田で
右折(7時00分)、R477に乗る。目的地の周山までR477一本だ。旭町で大きくカーブし
ながら三俣川沿いの上りに入る。
三俣渓谷に入って行きます

三俣渓谷と呼ばれる風光明媚な山道を上っていく。標高差は200m、緩斜面の山道を上り切った ら、そこは越畑。廻り田池に浮かぶ小島の写真を撮っている人を横目に見ながら神吉まで走ると再 び細い林道に入る。千歳山の東麓の杉木立の林間ワインディング・コースで軽快に切り立った渓谷 を巻きながら下って行く。
まだ八重桜は満開です(神吉)京都市内に入ります

朝が早い事もあって、この間出会ったクルマ一台も無し。というか、この道、とても国道とは思え ないほど狭い。と、前方にこれより『京都市』の標識。もと京北町だが、ここも立派な京都市。観 光都市京都しか知らない人が見たらびっくりするほど自然満載の道である。 林間コースを出、桂川に架かる日吉橋を渡るとそこは中地。更に東に向かって走り、峠を越える。 下り着いたところが本日の目的地周山である(8時20分)。
周山の家並み周山の地酒メーカーの前で

中心部は周山街道の風情漂う街並が残っており、どこかほっとさせてくれるものがある。残念なこ とに到着が早すぎて殆どの店が閉まっている。小さなバスターミナルがあり、観光客だろうか2人 ほどバスの出発を待っていた。 お腹がすいてきたので、何か食糧を調達しようと弓削川に架かる橋を渡り、近くにある道の駅に移 動するも、まだ開店前。このあたりにはコンビニなるものが全く無く、ちょっとしたお菓子でも持 参していないと、ハンガーノック状態に陥るなどとは、20年ほど前のツーリングを思い出させて くれる。
宇津峡を眺めながら走ります

しばらく道の駅の駐車場で休憩したあと日吉ダム方面へ走り出す。宇津峡を眺めながら天若湖岸を 走るルートで、これまた景色は抜群だ。基本下りなので腹は減っても何とか走れる。どう考えても 次の食糧補給ポイントは園部まで無いことはわかっているので、スポーツドリンクで何とかしのぎ ながら園部の道の駅に到着(9時50分)。 何か食べるものを、と思って店の中に入ったのに、美山牛乳を売っているのを見つけて思わず買っ てしまう。以前、美山まで走った時に飲んだ事がある。懐かしい味わいの牛乳だ。 結局軽食休憩は、いつも園部方面を走った時に立ち寄るコンビニ。結局亀岡の西田から、周山、日 吉、園部と60km以上の間、コンビニが無かった事になる。まあ京阪神近郊でこういう所もあっ ていいのでなないか。そんなことを考えながら、ガッツリ腹に収めた後、いつもの柊峠越えで帰路 についた。        (本日の走行距離160km) 2013年5月18日(土)猪名川/大谷山(2.5万図 周山)  週末雨の予報が一昨日好天に変わったのは結構なことながら、もう既に予定を入れていて、遅くと も午前8時までには戻って来ないといけないというタイトな状況。この状況でも初めて訪れて登れ そうな山、ということで紫合の交差点の北にある大谷山(228.4m)訪問をプランニング。 そんなわけでスタートも4時51分と無茶苦茶早目。まるでワンデー250km走でもするかのよ うな時間である。気温もほどほどに涼しく、まずは“道の駅いながわ”までやや突っ込み気味に走 り、水分補給を行った後、北野から社会福祉センター方面へ折れ、センター手前を左折、“ふれあ いの径”と書かれた案内の手前、右手に山に入れそうな踏跡を見つけ、自転車をデポする(5時5 5分)。
南尾根はいい径が続いています

踏跡を歩き始めるとすぎに右手からはっきりした山道に合流、後はそのまま南尾根を歩いていけば 山頂である。(山頂着6時13分)。低山、高山含め、山小屋泊を除けば、こんな早い時間に山の 頂に立つのは記録だろう。
大谷山山頂ホオノキも咲いてました

山頂は植林に囲まれて展望は利かない。それでも地形図に山名が載っているだけあって、登頂標が 何枚か架かっている。昔、MTBを担いで地形図の破線を辿ろうとして取り付きが判らなかったの が嘘のように思えるほど簡単に山頂へ辿り着いた。 山頂から西北西に下る道はありそうだが、さて麓まで道が残っているだろうか。結構昔の仕事道が 縦横に走っていて、MTBなら楽しめそうな山である。 おっと、今日はそんな“探検”をしている時間はなかったんだっけ。シダ藪をかき分け、デポ地に 戻ると“ふれあいの径”を全線走破してから帰路に。何とか7時半には帰りつく事ができた。ちょ っと慌し過ぎたなあ。        (本日の走行距離 51km) 2013年5月25日(土)北近畿/丹後神崎折返しワンデーツーリング(5万図 舞鶴、丹後由良)  天気も上々、湿度も30%前後と低く、絶好のロングツーリング日和になりそうとの予報に、数年 前から温めていた企画“日帰りで日本海往復”に挑戦する。日本海の海水にタッチして戻ってくる のだが、勿論わが家から一番近い日本海を往復することに。 距離的に一番近いのは西舞鶴港だが、これでは岩壁から身を乗り出して海水にタッチ、ということ になってしまう。やはり砂浜がいい。となると由良の海水浴場か神崎の海水浴場となるが、アプロ ーチの交通量の少ない神崎の方が走りやすそうだ。 復路は気温も相当上がりそうなので、水分補給を兼ねた休憩ポイントを多めに設定、おおまかなス ケジュールを立てて午前4時23分スタート。 まだ薄暗い。気温は低め。無理にスピードを上げることはせず淡々と走る。三田−篠山間は10℃ と肌寒い。こんなに早い時間なのに早くも1人のサイクリストとすれ違う。やや追い風を受けて栗 柄峠に到着、水分補給を摂る。スタートが早かったのでまだ6時半過ぎである。 鼓峠を越え、兎原からR9に乗り、福知山市内へ。追い風基調ということもあり、ブランチタイム に立ち寄った市内のコンビニ到着は7時58分とはっきり言って朝食タイムの時間。 コンビニでしっかり腹ごしらえをして由良川右岸を下流へ走る。片道1車線のゆったりとした道路 で、対岸のR175より道は広が交通量は格段に少なくサイクリングには絶好の道である。そんな こともあって藤津までの区間はすれ違うサイクリストが多い。 藤津の交差点を直進すると神崎までは8kmほど。やや細い箇所もあるが、総じていい道。八雲橋、 東雲(しののめ)を横目に見ながら北に向かう。藤津の手前には「大雲」という集落や、東雲の手 前には「池雲」という料亭など、このあたりは雲の付く地名が多い。「雲」は「蜘蛛」。この丹後 にも土蜘蛛伝説は多い。 気温がぐんぐん上がっているのがわかる。河口に近づくに連れ追い風が強くなる。緩い上りなのに 簡単に40km/hが出るので自分の実力でないことはすぐにわかる。北近畿タンゴ鉄道の踏切を 渡るとあっという間に突き当りのロータリー。自転車を下りて押しながら松林を抜けると白い砂浜 の先に青い日本海が水平線の先まで広がる世界に一変する。
日本海到着(神崎海水浴場)

砂浜に下りる階段に自転車を置いて、風に背中を押されるように浜を歩いて海水にタッチ。少し温 い。9時35分。 まだシーズン前ということもあって、砂浜には2組の若い親子連れしかいない。のんびりした風景 が広がる。打ち寄せる波の音を聞きながら暫し休憩。
若い1家族だけの静かな海海側から松林を見る

さて行程の半分は終わった。これから折返しである。陸地から海に向けて強烈な風が吹いている。 願わくばこの向い風は河口付近だけのものであって欲しい。小憩の後、神崎海水浴場に別れを告げ て元来た道を福知山まで戻る。 が、いきなり強い向い風にペースダウン。1kmも走らない内に丹後神崎駅へ寄り道、言い訳がま しく記念に写真を撮る。そんな時に限って列車がホームに入ってくる。乗りもしないのにホームに 立っているのは不自然だ。そういえば昔、徳島から高知に抜けて走った時も途中立ち寄った無人駅 に偶然に列車が入ってきたことがあったっけ。
丹後神崎駅にも立ち寄る

 折返しわずか1kmで休んでいたのでは今日中に帰りつかない。福知山から1時間20分だった 往路を1時間35分かかって福知山市内に戻る。 向い風で力を使ったせいか、お腹が空いてきた。道路脇の気温もとうに30℃を超えている。軽い フェーン現象まで起きているようだ。5月で30℃超えは、いくら湿度が低いとはいっても暑さ慣 れしていない体には堪える。 もうひと頑張りしてからランチタイムにしようと決め、カメのようにのろのろと塩津峠を越える。 風向きが変わることを期待したが相変わらず向い風。風が通り放題のバイパスを避け、旧道(R1 75)に出て、市島町を抜け12時過ぎ、予定していたコンビニでランチタイム。 暑さと向い風で食欲も減退気味。久しぶりにハードなツーリングとなりそうだ。ランチ後、走り出 すもいきなり8km先にある道の駅で水分補給。500mlのスポーツドリンクを一気に飲み干し て再スタートを切る。 次の休憩ポイントは栗柄峠を越えて下った先にある黒豆の館、と刻みながら走る戦法に切り替える。 東中から栗柄峠へは横風区間に変わる上に、集落の中の道を走り、風の影響を受けにくいようにし たため、いいペースを刻めるも、峠からは再び向い風区間に変わる。 鼓峠方面から下ってきたサイクリストに抜かれる。DHバーを握りしめ弾丸のようにあっという間 に後ろ姿が小さくなる。既に200km以上走っていると追いかける気力は残っていない。13時 49分、黒豆の館に到着、木陰のベンチで水分補給休憩タイムを摂る。 ツーリング・ライダーがやってきた。同じように自販機でドリンクを買い、木陰を求めてバイクを 押しながら目の前を通っていく。この時間になって風向きがやや西に振り出してきた。道路脇の気 温も27℃と日本海側ほどの暑さはなくなってきた。 次の休憩ポイントを広野のコンビニと決め走り出す。横風に変わったお蔭でスピードは戻り、15 時過ぎに下井戸(広野付近)のコンビニに到着、駐車場の一角に座りこんでアイスクリーム休憩を 摂る。 ミントチョコのカップ・アイスを食べているとスペシャのロードバイクにまたがったクセのありそ うな70歳前後のじいさんがやって来る。 「兄ちゃん、どこまで行って来たんや?」 「日本海まで」 想定外の答だったか、一瞬間が空く。 「そんなら暗いうちに走り出したんか」 「うん、4時半ぐらいやったかな。今で走り出して229kmやわ」というと 「おっとろしい足しとんなぁ・・・」と言い残してコンビニの中に入っていく。 この手のご老人は下手すると自慢話が延々続くので大変なのだが、ご老人の話の腰を折ってしまっ たようだ。 残りは25kmほど。ふつうなら1時間もあれば悠々帰宅できるが、そんなに余力があるわけでも なく一定ペースを刻みながら天上橋の交差点まで戻って来る。16時を回って日差しも弱くなり、 風も完全に西風に変わる。 ラスト10kmになって追い風が戻ってきた。北六甲台の上りを快調にこなすと赤坂峠から先は下 り。50km/h超えの走りでガンガン下る。今までのカメのような走りが一変、気分はファルコ ン。16時40分過ぎ、どうにかゴール。日帰り日本海ツーリングは無事完結した。        (本日の走行距離254km)

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