山を駈ける風になれ2013年 7月号

 
2013年6月16日(日)三田/永沢寺周回(2.5万図 福住、篠山) 
カラ梅雨が続いていた近畿地方も、昨日ようやくまとまった雨が降り、梅雨らしくなるかと思いき
や、今日はまた猛暑になるとの予報。猛暑はこりごり、と朝早くから標高の高いところを涼しく走
るべく、久しぶりに“北摂のチベット”三田の永沢寺地区まで周回走をする。

スタートは午前4時46分。今年は自分でいうのも何だが異常に早い。年々早くなっている気がす
る。あと10年もしたら豆腐屋並の活動開始時間になるかも知れない。家族には迷惑なことだ。
昨日の雨をもたらした雨雲は完全に去っておらず、空は曇りがち。殆ど誰も走っていない道路を川
西能勢口回りで県道を北上、6時過ぎに杉生で水分補給、気温19℃の杉生新田から西峠を今年最
速のMAX64km/hで下り、後川奥から再び上り返して6時58分青原峠に着く。

標高500mを越えるこの辺りはガスに包まれて小さな水滴が体を冷やしてくれる。汗を拭ってい
るとどこからか7時のサイレンが聞こえてくる。そういや、こんな早い時間にここに着いたのは初
めてだ。
永沢寺に到着

再び自転車にまたがりいっきに下ると、もうそこは永沢寺である。入口の門の前に自転車を停めよ うと近づいていくと、お寺の中から年配のサイクリストが現れる。挨拶をする。この時間(7時0 5分)で既に参拝を終えて出てくるとは恐れ入った。どのルートを選ぶにせよ、ここまで走ってく るには相当早い時間にスタートしなければならない。“早起き鳥”が他にもいた、ということか。
永沢寺山門

さて自転車を担いで門をくぐり、山門の前に置いて参拝する。永沢寺の前の道は何十回となく走っ ているが、お寺の中に入ったのは実は何十年も前にクルマで観光に訪れて以来2度目である。 当時は住職に「ここは摂丹の境」と言われても、それがどういうことを意味するのか全く分からな かった。今にして思えば隔せの感がある。読経の声が境内に木霊す中、本堂の前で参拝する。 ガスが西から東に流れる。時折り青空がのぞく。さあ、暑くならないうちに距離を稼ごう。7時2 0分再び走り出す。母子に下って青野川沿いに緑のトンネルの中を疾走する。千丈寺湖岸をぐるっ とサイクリング。志手原から新三田方面へ下り帰路に着けば宝塚には9時過ぎに到着。あまりに早 いのでしばらく近辺を周回走していたが暑くなってきたので終えて帰宅しても、まだ9時半前だった。        (本日の走行距離101km) 2013年6月29日(土)朝来/竹田城址(2.5万図 但馬竹田)  毎年恒例の1泊ツーリング。従来、8月にやっていたが、時季をずらせば随分ラクに走れることを 昨年覚え(?)、今年も去年に続いて6月に実行することに。今年のお目当ては最近とみに有名に なってきた“天空の城”こと朝来の竹田城址。これまでも和田山泊のツーリングの度、「そのうち に」と思っていたが、秋から有料になるということを聞いて(せこい)今年の1泊ツーリングの目 的地と決める。 午前4時40分出発。本日の行程は約170km。最後に虎臥山(竹田城址はこの山の上に作られ た城)ヒルクライムが待っているとはいえ、それだけなら何もこんなに早い時間にスタートする必 要はない。 実はもう一つのお目当て、豊岡(旧但東町)栗尾にある「山の中に行列ができる店」で有名な、た まごかけご飯の開店前に着く必要があるというのが本当の理由。 天気はまずまず。体調は良くもなく悪くもなく。先日のワンデー250km走の時より50kmで 約1分早いペースで走り、午前8時に福知山の中心部に着く。ここから栗尾までは30km弱だが、 登尾への上りがあるため、コンビニで軽くお食事休憩し、再び走り出す。 未明まで降っていた雨もすっかり上がり、雲一つない青空は眩し過ぎる日差しを呼び、気温急上昇 の予感。とはいうものの走りのペースは快調。このままでは9時過ぎにお店に着いてしまいそう( 開店は10時)なので、登尾トンネルの手前6kmにある「山の駅」で時間調整を兼ねて休憩を取 る(8時50分)。自宅からちょうど100kmだ。 15分ほど休んで走り出す。かなり暑くなってきた。ようやくの思いで登尾トンネルに入る。基本 トンネルは嫌いだが、今日ばかりはひんやりしていて気持ちがいい。調子に乗ってスピードを上げ ないように自重しながら走るも、トンネルを抜けると長〜い下り。何にもしなくても50km/h 近い速度が出る。傾斜が落ち着いてきたところでかなりスピードを落としながら走ったが、9時2 9分お店に着いてしまう。
たまごかけご飯でエネルギー補給

さすがに誰もいないかと思いきや、1組の熟年夫婦が待っている。あともう一人中年男性が周囲を ぶらぶら歩いてる。店の横に自転車を立てかけ、ごそごそやっていると店を開ける音。すごい30 分前に開店だ。 大盛りを注文し、しっかり腹に収める。ふだんならコレステロールのことも考えないといけないが、 今日のような日は生卵4個くらいノー・プロブレムだろう。私の前で大盛りを頼んだ中年男性がお かわりをしている(凄い食欲)のを横目に店を出る。 支度を整えて走り出す。まだ10時にもなっていない。出石方面へ走る。川沿いの下り基調の道で ある。涼やかなカジカの鳴き声が聞こえてくるが、道路脇の気温表示は既に30℃を指している。 梅雨の晴れ間を狙ってのツーリングだが、天気良すぎだ。 出石に入ったところで道路脇の気温表示は29℃と気持ち下がるが、ここ数日京阪神は涼しかった のでちょっと堪える。養父町の伊佐に抜ける峠の上りではバテバテ。どうにかこうにか道の駅に駈 けこんでアイスクリーム休憩を取る(11時15分)。 こんな状況で虎臥山ヒルクライムが出来るのか?取りあえず和田山まで行って考えることに。 和田山駅に行く。ここの待合室は冷房が効いていることを知っているので待合室で大休止すること に。ノンカロリーの炭酸を気付代わりに飲みながら20分ほど時間を過ごす。 体にこもった熱も抜けてきたところで再び走り出す(12時08分)。さきほどからあまり気温が 上がってないようで意外とラクに走れる。事前に地形図で調べていた栄町の交差点を右折する。サ イクリストが2人、交差点脇の自販機で水分補給中だ。 ここからは上りが続く。案内標識に『竹田城址2.7km』とある。意外と短い。横を追い抜いて いくクルマを見送りながら淡々とペダルを回す。古代ローマの大水道橋みたいな虎臥城大橋をくぐ るといよいよ竹田城址ヒルクライム・スタート・・・と思いきや前方にクルマの長い列。2つある 駐車場が両方とも満車のようで「30分待ち」の看板を持った警備員が立っている。 ギアをインナー×ローに落し、さっき追い抜いていったクルマをダンシングで小気味よく抜き返す。 おっと更にその横を4人組のバイク軍団が抜いていく。下の第1駐車場にクルマを置いた人達は山 頂まで歩きだ。気分は超ミニ・ラルプデュエズ、だらだら歩いて登る観光客を片っ端から追い越す。 いい調子で上っていたら第2駐車場に到着。ここから先はバイクも自転車も歩かないといけないら しい。残念。自転車をそこに置いて、自販機でスポーツドリンクを買って、観光客の列に混じって 山の上の城址に向かって歩き出す。
ここからは未舗装路になります頂上部は目の前

山の中は木陰も多く、風も抜けて涼しい。すっかり体調は回復。バイクのヘルメットを小脇に抱え た4人組を追い越す。さっき下の駐車場手前で追い抜いて行ったバイクの若者たちだ。「やっぱ俺 らとは違うな」という声が聞こえてくる。歩きも健脚なうちは本物の自転車乗りではないのだが・ ・・。
虎臥山山頂の三角点

舗装路が終わると、いよいよ城址への登りが始まる。本丸頂上までは260mほど、いっきに登り つめて頂上に。最高部中央に埋まっている三角点にタッチする(12時58分)。三角点の周りは 誰もいない。観光客には何の意味も持たないからだ。 ゆっくりと景色を眺める。絶景である。たかが山城の石垣の遺構と思っていたが、これは凄い。よ くもまあこれだけの石垣を組み上げたものだ。まるで巨大な戦艦のようである。規模とレイアウト の絶妙さにしばし時間を忘れて一観光客になる。
本丸からの風景

近くで若い女性のグループが、「トルコの遺跡みたい」と言っている。確かにそんな風に見えなく もない。木陰で弁当を広げている家族連れもあちこちに見かける。絶景をおかずの弁当はさぞかし 美味いことだろう。 しばし山頂で風に吹かれながら景色を堪能し下山する。下りは山の南側へ下りるコース。激坂の下 りであっという間に下りきる。こちらからの上りだったら下りて「押し」ていたかも知れない。 和田山までゆっくり走りながら戻っても、まだ14時前。しばらく時間を潰してから今日の宿に決 めていたホテルにチェックイン。 翌朝、空が白んでいく頃に目覚める。カーテンを開けて見た南西の山並には霧が立ち込めている。 “天空の城”は雲海に浮かんでいることだろう。        (今回の総走行距離284km)

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