山を駈ける風になれ2000年12月号

11月4日(土) 山南・柏原/八の瀬(2.5万図 谷川、柏原)
 石戸山は標高僅かに549mの低山ではあるが、山頂が山南、柏原、氷上3町の境になっているこ
とからもわかる通り、4方に根を張った大きな山である。ガイドにはメインルート1本が紹介されて
いるのみだが、いろいろルートがありそうだ。そんなわけで南東の八の瀬(423m)経由で登るこ
とにする。
 6時10分自宅を出発、丹波霧で真っ白な中をR176、県道77号と走り継いで8時45分谷川
駅に着く。ここで少し休憩を入れた後、奥野々方面へ向かう道から登山口を窺う。八の瀬の山頂には
高圧鉄塔が建っているので「火の用心」の巡視路標識を見つければなんとかなる。鉄塔は麓に1基、
中腹に1基、山頂に1基。まずは福知山線の線路際の小山に建っている麓の1基への取り付きを求め
てうろうろ。玉巻からは道がなさそうなので線路を渡り平井の集落に入り南に下ってあちこち探すが、
どこを行っても他人の家に突き当たってしまってアウト。
 しかたなく来た道を戻り松ケ端から西に延びる実線の道を走り、遮断機のない踏切(玉巻踏切)を
渡る。と正面薄暗い植林帯の中に朽ちかけた鳥居とお堂が。石垣だけが段々に重なる間を石を敷き詰
めた道が奥に向かって続いている。玉巻城址へ続く道だろうかと辿ってみたが墓場に突き当たってジ
・エンド。ただ植林帯なので強引に登れば鞍部に出ることもできそうだが、今日の目的はあくまでも
八の瀬。再び踏切の渡り口まで戻り、線路沿いに北に向かって続いている細い道を進む。
 何の跡だろう。荒れた道の右側(線路側)は延々と崩れかけた石垣が続いている。どんどん北を向
いて進んでいる内に今度は麓の鉄塔を石垣越しに見ながら通過してしまった。半ばあきらめムード。
この道も山麓を巻いているだけのようなのでMTBをそこいらにデポし、取り敢えずどこに出るのか
探索に出かける。クモの巣を払いながらなおも進むとまた墓場に突き当たってジ・エンドかと思いき
や麓から山に向かう道と交差している。「火の用心」の標識はないが、どうやらこれが正解のようだ
(9時32分)。道は南西に振りながら植林帯の中をゆったりと登って行く。3分ほどのところに「
火の用心」の標識と右手にプラスチック階段の道が現れる。
 斜面を一直線に登ろうというのか、「岩場」と書かれた立て札を左手に見ながらグイグイ登る。9
時50分、中腹の鉄塔(No61)に到着。山頂まではあと一息と休憩を入れずに急斜面を登れば10
分ほどで山頂。頂上の鉄塔(No60)は右に折れ、少し下ったところに建っている(10時03分)。
周囲が伐採されて見晴しのいい山頂だ。三角点の標石は鉄塔の足元北側に埋まっている。4等のきれ
いな標石だ。おまけに今日は快晴無風。北西目の前には少し色づきかけた石戸山、その奥には篠ヶ峰、
岩屋山、千ケ峰、笠形山が青空を背景に見事に浮かび上がっている。南東側に眼を転ずれば逆光の中、
天狗山から萬松山へと続く稜線の奥に高山、猿藪、テンロク、西光寺山等の山々が幾重にも重なって
見える。更に北の536ピークに向かって明快な道も続いている。本来ならこの道を石戸山まで辿る
つもりであったが、MTBを麓に置いてきてしまったのではどうにもならず、心行くまで眺望を楽し
み帰路に着いた。(この山への正しいルートは玉巻公民館の右手奥から左に分かれる簡易舗装の道を
行くと墓場の横を通って山に登る道に変わる)
    (本日の走行距離 123km)

八の瀬
八の瀬頂上から石戸山を見る

11月11日(土)〜12日(日)   福知山・大江/烏ケ岳〜鬼ケ城雲海ツーリング(2.5万図 福知山東部、河守)  この時季雲海を見ようと思えば天気さえよければ丹波全域で可能だが、ベストスポットから眺めたい、 それも朝早い内から山の上で、となると自ずから場所は限られてくる。まず朝早くからとなると前泊 が必須条件。そこで宿と山が近く、山頂まで比較的短時間で登れて、なおかつ雲海が拝めなかった場 合でもシングルトラックの縦走が楽しめるというわがままな希望を満たしてくれるところということ で、烏ケ岳―鬼ケ城を選定、宿泊地を福知山に決める。ただ福知山までだと片道4時間ほどの距離な ので、1日目は日本海まで走りUターンすることに。こうすれば充実したツーリングになる。 ○11月11日(土)雨のち曇り 気温12℃  朝から天気が心配だ。この週末はあまりよくないという予報だったので、5時半に起きてお天気専門 チャンネルでチェック。兵庫県南部は晴れ間ものぞくようだが、北部は雨の予報。おまけに日曜日も 近畿全般に雨が降るという。出発する前から萎えてしまいそうな予報だ。なんとかはずれてくれること を期待して6時20分出発する。  三田あたりでは朝日を背に浴びながら快走していたが、篠山盆地に入る手前あたりから強烈な向い風 に悩まされ一気にスピードダウン、おまけに多紀連山にはどんよりとした雨雲がかかっている。旧西紀 町に入ったあたりで早くも雨が降りだし、雨脚が強くなってきたため宮田の旧役場の前で雨宿りをする。  この時季特有の時雨なのか、それとも北の方から予想以上に早く天気が崩れてきたのか判断に悩む。 とにかく雨具を着ける。8時40分、キャンセルの電話を宿屋に入れないといけないな、せっかくの 1泊旅行がこんなに早くも…と思っていると雨が上がって陽がさしてくるではないか。キャンセルの 電話を入れなくてよかった。再び気を取りなおして栗柄峠へ向かってペダルを踏む。向い風の強さは 相変わらず、栗柄峠を下っているのに登っている程度のスピードだ。こんな調子ではとても日本海は 望めない、代替ルートをいろいろ考えながらトロトロと走っているとR175合流手前でまたしても 雨につかまる。ここまでくれば家に帰るよりも福知山まで走った方が近い。  雨は市島町に入った辺りで上がる。R175のバイパス路建設中のようで思わず間違えて入ってし まい、登らないでも済む坂道を延々と登るはめに。10時を回ってもまだ塩津峠にも辿り着かない。 10時20分ようやくの思いで塩津峠を越える。この下りも向い風のせいでペダルを回してようやく 30km/hを超える程度だ。また雨が降ってきた。  10時35分ようやく福知山城跡に到着する。予定では10時に着いているはずだったのに。しばらく 休憩したのち、先にどこかの喫茶店でモーニングでも食べながら今後の予定を考えようということで 旅行雑誌に紹介されていた喫茶店を探して飛び込む(10時50分)。  「おはようセット」というモーニングにしてはえらく豪華なセットを食べていると窓の外には青空が。 まだ行けそうだ。食事を終えて元気よく飛び出してみるとまたまた曇ってくるではないか。とにかく 舞鶴か丹後由良あたりまでは走りたいと市の中心部を東へ戻り由良川にかかる音無瀬橋を渡りかけた ところでまたも雨。今日はいったい何度雨具を脱いだり着たりしていることか。当初の計画では交通量 の少ない由良川右岸をのんびりと北上する絵を描いていたのだが、予定通りなのは交通量の少なさだけ、 川沿いのコースは遮るものもなく、向かい風をまともに受け、頑張っているのに15−16km/h 程度しか出ないこともしばしばという状態。23日に福知山マラソンがこのコースで開催されるという ことでたくさんのランナーが雨の中試走している。思わずこちらも頑張らねばと気合を入れなおす。  12時17分大江町大雲橋。雨は止んでいるが対岸の大江山は雨雲に覆われている。「大雲」とは 「大蜘蛛」のこと、古代の製鉄跡の名残りのようなものでもないかと期待して来たが、ビアンキの フレームのような色の郵便局と小さな集落があるだけ。橋の上に立っていると飛ばされそうなので更に 北を目指して出発する。またしても降り出した雨は舞鶴市に入ると衰えを見せるどころか、ますます 強くなってくる様子。雲の動きを見ていてもこれまでの動きとは違って日本海側は完全に雨なのがわかる。 12時53分丹後由良まであと10kmとせまった久田美橋でUターンを決意。もと来た道を戻る。 これ以上走っても大雨に遭うだけだし、今回のツーリングのメインは鬼ケ城(とても雲海が望めるとは 思わないが)、向い風と雨の中をずっと走り続け、足もかなりきている。  福知山へ戻る道中はこれまでとはうって変わってスピードが上がる。足に余力が残っていたのでは なく追い風に変わったためだ。おまけに大雲橋までくると雨も上がりますます走りやすくなる。結局 福知山市街から1時間半かけて北上したコースを1時間05分で戻ってきてしまった。まだ14時に なったばかり、ここでこんな時のために考えておいたサブコース、長安寺の紅葉を見物することに。  長安寺は市の中心から北西、姫髪山の麓にあるお寺でモミジの名所である。姫髪山目指して細い道を 登って行けば薄暗い曇り空の中にそこだけが華やいだかのような紅葉に包まれた長安寺に。山門をくぐ ればモミジの大トンネル、紅葉にはまだ少し早いかというところだが、更に一段高い方丈の前のモミジ は今が盛りの美しさ。枯山水の庭に見事に調和している。アマチュア・カメラマンも大勢来ている。 彼らに混じってしばらく紅葉見物、15時過ぎまた時雨れてきそうになったので市の中心部まで戻り、 地元のスーパーで明日の山頂での食料を調達(500ml入りペットボトルが100円と安い)、 福知山駅前のビジネスホテルにチェックイン、本日の行程終了(15時35分)。
長安寺
福知山 長安寺

○11月12日(日)晴時々曇 気温7℃(朝方)  昨夜宿屋の窓から見事な満月が出ているのを見て、もしかすればと期待していた通り、夜明けと共に 鬼ケ城から徐々に下りてきた霧は福知山の町を取り囲み始めた。朝のテレビの天気予報は京都北部、 曇り後雨などとわけのわからないことを言っているが、朝の数時間快晴なのは間違いない。  7時に予約しておいた朝食を終え、7時13分宿屋を出る。気温7℃。朝靄の街中を流れる空気は 冷たく新鮮だ。足の疲れは残っているものの天気がよければ軽やかに動く。由良川を渡れば丹波霧で あたりは真っ白。7時25分庵我小手前の分岐に到着。「鬼ケ城、烏ケ岳登山口」と大きな標識が立っ ている。鬼ケ城の由来などを書いた説明板を読み小学校の手前を右に折れる。車が1台通れる幅の道で 簡易舗装がされている。小学校前の案内図には頂上まで3.6kmとあるが、これは間違いで0.7km ほど進んだところに「あと4.7km」という標識が出てくるがこれが正解。  道はさほど勾配が急というわけでもなくゆっくりペースを刻みながら登っていけば乗車したままでも 可能だ。とはいえ昨日大分足を使ったので2kmほど登ったあとは乗ったり押したりで行く。烏ケ岳側 は植林だが、鬼ケ城側は雑木で色づいた木々の葉が目を楽しませてくれる。もう頭上には真っ青な空が 広がっている。雲海よ消えないでくれよ、と念じつつ登って行けば、途中一ヶ所西側に展望が開ける ところで福知山盆地をすっぽりと包む雲海が視界に飛び込んでくる。  よっしゃー、と元気一発烏ケ岳頂上目指して残りスパート、8時19分1等三角点のある烏ケ岳山頂 に立つ。右手にNHKの中継塔が建っているので360度の雲海とはいかないが、ものすごい雲海に圧倒 される。遥か彼方にくっきりと浮かび上がる姿は三岳、小金ケ岳、西ケ岳の多紀連山、氷上の山々はいう に及ばず、西光寺山方面も雲海の彼方にはっきりと捉えられる。そしてうっすらとではあるが六甲連山 までもが見えるではないか。そしてこれらの山々の間を埋め尽くす雲、雲、雲の海…。  ここでも十分満足な眺望だが、鬼ケ城の山頂はそれこそ遮るものの無い山頂と聞く。再びMTBに 跨り林道を少しバック、鞍部から中継塔の右手に山道を入り植林帯の中を突っ走ると300mほどで 「メモリアルの森、頂上まで800m」と書かれたポイントに。ここを左にとってぐいぐい登っていくと、 雑木の紅葉が美しい広場に出る。山頂まではあと100m少々。最後の急坂を押して登れば山城の名残の 段差が現れ山頂に到着(8時45分)。
鬼ヶ城
鬼ヶ城山頂 後ろは大江山連峰

 確かに360度の大展望だ。山頂にはベンチと頂上の標柱、小さな方位盤があるのみ、きれいに刈り 込まれていて視界を遮るものがない。こちらは北から西にかけての雲海が見事、雲海を挟んで対峙する のは親分酒呑童子の大江山(ここ鬼ケ城は子分の茨木童子の居城という伝説)、頼光一行が見立てをした という三岳山、天ケ峰に重なって見えるのは赤石ケ岳、その奥には江笠山も見える。大江山連峰と普甲峠 を挟んで東側には杉山、赤岩山の東西に平坦な稜線が島のように浮かんでいる。丹波の最高峰粟鹿山、 三国岳、大蓑山といった氷上の山々、東は三峠山まで雲海の彼方に光っている。殆どあきらめかけていた 今回のツーリングだけに喜びもひとしおだ。しばらく山頂で雲海を肴に軽食休憩を取る。  15分ほどしたろうか、三岳山の向こうから真っ黒な雲が広がり始めてきた。それに連れてこの山頂 の上にも薄雲が広がり出してきた。雲海はゆっくりと東の方向へ波をうっている。昨日さんざん雨に祟られ ただけに今日はもうたくさん、そそくさと下山準備にかかる。  下山はさきほどの「メモリアルの森」の標識のところを東へ。観音寺に下る道だが、植林帯の中を下って いく道は、昨日の雨で非常にスリッピーな状態になっており、「乗車」4割、「押し」6割といった程度、 ようやく連続乗車できるかなと思ったら観音寺に到着(9時25分)。結局烏ケ岳から鬼ケ城にかけては 期待したほどのシングルトラックもなくあっという間に終わってしまったという感じ。  観音寺でしばらく紅葉を楽しんだあとは峠を越え福知山市側に戻る。由良川の北岸を西に走り、四度 音無瀬橋を渡って福知山中心部へ(10時05分)。あとは一路自宅を目指して帰るだけだ。今回ツーリング のメインにおいていた山頂からの雲海も十分に堪能することができたし、まずは成功の部類に入ると言って いいだろう。今日は風も穏やかだし、帰ってからのレポートは下山したところあたりで筆を置こうと考え ながら走っていたが、どうしてどうしてそうは甘くないのが今回のツーリング。  まずはまたしても強烈な向い風。塩津峠を越え、市島を過ぎ春日町に入ったあたりで南から強い風が 吹きつける。25km/h前後で流していた速度はあっという間に18km/h前後にまでダウン。 それでも旅行雑誌に載っていたおいしい肉料理を食べさせてくれるレストラン目指して走って行くと、 なななんとレストランつぶれてアウト(11時15分)。やっと食事にありつけたと思ったのにショック が大きい。  落胆していても始まらないのでここから一番近い黒豆の館まで走ることに。近いといっても栗柄峠越え の18km、ヘロヘロ状態で峠をクリア、峠を越えても風向きは変わらない。12時24分やっとの思いで 黒豆の館に到着、昼食にありつく。  一息ついたところで出発(13時)、風は依然として強いが少し西寄りに変わってきた。残り50km 少々、ゆっくり帰っても3時間もあれば着く。三田市に入り前輪に画鋲が刺さっているのを発見、幸い パンクには至っていない。道場で最後のドリンクを飲み干し休憩していると今度は対岸のR176を南に 走っていくロードマンの姿が。こっちも頑張るかとスタート、対岸に渡りロードマンを追う。  足の回転だけをみていると前を走るロードマンの方が圧倒的に早いのだが、軽いギアをくるくる回して いるのでさほどスピードは出ていない。道場から北六甲台にかけては緩い登りになっているのでそのうちに 追いついてしまった。スイスのナショナルチームのようなデザインのジャージを着た人で相変わらずペダル の回転数は早い。しばらく後ろについて走っていたが、どうもペースが合わないので声をかけて抜く。 ザックを背負ったマウンテンに抜かれるのもイヤだろうが、抜いてしまったマウンテンの方もイヤなもの。 昨日から既に250km以上走ってきている。ここでバトルになるのは避けたい。  一旦離したものの信号待ちをしていると脇をするっと通りぬけて走り続けるロードの兄ちゃん、こちらは 青に変わるのを待って追撃開始だ。北六甲台の登りで再び追いつくとロードの前に出る。と運の悪いとこに またしても赤信号。ロードの兄ちゃん完全に信号無視して、横を摺り抜けていくと有馬温泉病院への急坂に 向けてまたもアタック。30mほど離されただろうか、青信号でこちらもスパート、猛然と追いかけたが タッチの差で坂を越される。下りに入ると転がり抵抗の少ないロードは圧倒的に有利、それでも赤坂峠へ 向かう登りで50mほどあった差を5mにまで縮めたが真後ろにくっついているのを感づかれそのまま 名塩への下りに突入。猛然と逃げるロード、こちらもアウター・トップで追うが如何せんブロックパターン のマウンテンでは50km/hを出すのが精一杯、あっという間に逃げられてしまった。きっと向こうも 予定外の足を使って大変だっただろう。おかげでこちらは最後まで面白いツーリングをさせてもらった上に 予定よりも大幅に早く家に帰りつくことができた(15時18分)。          (今回の走行距離 270km) 11月25日(土)三田/須磨田三山(2.5万図 藍本)  JR福知山線相野駅の北東、武庫川が大きく蛇行する東の奥に低山ながら地形図に名前が記されている 3つの山をそう名付けたのは故多田繁次氏。篠山方面に向かう時はいつもすぐ近くを走っているのにまだ 立ち寄ったことがない。昨年4月に対岸の西鎌倉山からその絵のような姿を見てから一度登ってみたいと 思っていた山である。はたして径はあるのだろうか。マツタケ・シ−ズンの終わるのを待って登ることに。  6時30分自宅を出発、途中のコンビニで食料補給の後四ツ辻の交差点を右折、生寶寺橋を渡って東側の 泰養寺に登路を求めたのは多田氏と同じ(8時06分)。ちょうど住職が庭を掃除されていたので背後に 聳える天神岳への登路を尋ねたがご存知ないようで、すぐ北側の砂防ダムあたりから登ってみたら、との こと。お礼を言って砂防ダムへと見当をつけて細い道を登って行くと民家に突き当たって行き止まり。 家の前に出ていたご主人に尋ねると「昔はもう少し北に行ったところにマツタケ採りに登っていた道が あったが…」とのこと。もう地元の人は誰も登っていないようだ。  そこで更に北に進み道が東に鉤型に曲がるところで正面の猪垣を跨いで山に沿うように進み、墓場の奥 から竹やぶを突破。そこに山の方へ伸びている道を発見。どうやらこれらしい。MTBは無理そうなので デポ。天神岳の真東になる位置だ(8時41分)。最初谷筋を登るがすぐに道は尾根筋を辿る道へと変わる。 「道」といってもかすかな踏跡程度の道で鉈目を追っての登りである。10分ほどで北と東に展望が開けた 背の低い松がまばらに生えている崩壊地点に出る。山頂から北東方、荒地マークの付いているところである。  さてここで鉈目もなくなり猛烈な雑木の藪漕ぎに入る。とにかく少しでも歩き易そうなところを選んで 強引にかき分けて行けば、9時17分天神岳頂上に到着。標高440mこの山塊の最高地点である。雑木に 覆われて展望はない。でも登頂標はある。頂上から真北に向かって踏跡がある。これが正規のルートらしい。 少憩の後茗荷谷山を目指して出発(9時25分)。道は格段に明快になる。所々黄色のビニールテープも 現れる。アップダウンもほとんどなく随所に展望が開けるいい道だ。
焼山
紅葉の焼山

 頂上手前で短い急登をこなして9時41分茗荷谷山頂上に到着(427.5m)。山頂にはきれいな 3等三角点が埋まっているがここも展望はない。しかし少し南へ下ると息を呑むような景色が待っている。 霧に包まれた吉川方面から三木の雄岡、雌岡。そして何と淡路島までが霞んで見えるではないか。しばし 景色を心行くまで楽しんで先を急ぐ。今度は赤いテープが現れるはっきりとした山道で歩行が捗る。 10時06分向山と書かれたコブを越え、10時16分遠城寺山に到着。須磨田三山最後の山だ。ここも 展望はないが頂上付近は落ち葉の絨毯の広場になっており、ここで軽食休憩を摂る。ここまで若干ヤブも あったが、天神岳への正式な登路さえ見つければMTBで結構楽しめそうだ。  遠城寺山からは初め西に、続いて南に急斜面を下り、川床を歩いて新宮アトリエといういろんなオブジェ が立っている庭に降り立つ(10時46分)。さあMTBを迎えに行かなくてはならない。車の通れない 武庫川の右岸をぐるっと一回り、途中駒宇佐八幡の的石(昔流鏑馬の的に使っていた。河川改修で移設) を見たりしながら11時29分MTBのデポ地に戻った。(本日の走行距離 67km)
茗荷谷山
茗荷谷山から南側の大展望


表紙にもどる

『山であそぼっ』にもどる