山を駈ける風になれ2013年 10月号

 
2013年9月14日(土)篠山/筱見観音〜篠山盆地周回 (2.5万図 細工所) 
久しぶりの晴の土曜日。その間にすっかり秋めいてはきたが、今日は南方洋上を進む台風の影響で
早朝から蒸し暑い。せっかくの3連休だが、明日はもろに台風の影響を受けるとあって、しっかり
走れるのは今日しかない、と泉郷峠から天王峠回りで筱見観音を目指す事に決める。
秋は着実に来ています

午前5時24分スタート。ずいぶん夜明けが遅くなってきた。この時間では、まだ薄暗いが、台風 の一番外側の雲が、兵庫中部にかかっているので、少しでも東寄りの風の影響を少なくしたい、と 早めに出発する。 その作戦が功を奏したか、幸いなことにほぼ無風で川西能勢口まで走り、その後も殆ど風の無い中 を北上、杉生で水分補給(6時41分)を摂った後、泉郷峠、天王峠と走り、安田へ下る。安田へ の下りでは普段より平均して5km/hほど余分にスピードが出る。少しづつ風の影響が出てきた か。 細工所にあるコンビニで早めのお食事タイムを摂り、筱見観音へ(8時05分)。何年ぶりだろう。 昔ここからMTBを担いで峠山に登ったのを始め、何度か訪れたことがあるが、もう10年以上は ご無沙汰していたかも知れない。
筱見観音

この辺りは応仁の乱の時の合戦場の一つで、細川方に付いた曽地の内籐氏が、山名方の猛攻撃に遭 い大敗を喫した場所と言われる。この観音像は、そんな死者の魂を弔うため、この場所に工場を建 設した百万石酒造が建てたものである、と傍らの説明板に記されている。が、その百万石酒造の工 場も今は無く、農業施設に変わっている。 時の移ろいを実感すると共に、この工場の横を通る度に、蒸した酒米の匂いがしていた思い出が蘇 る秋の篠山盆地周回ツーリングとなった。         (今回の総走行距離123km) 2013年9月21日(土)北近畿/西舞鶴周回(5万図 舞鶴)  2年ぶりの秋の1泊ツーリング。先週の3連休が2日間台風で動けなったので、“倍返し”とばか り1泊ツーリングを決める。ロードで山頂まで行けて、尚且つ眺めがいい所ということで、目的地 を“近畿の眺望ナンバーワン“と言われる舞鶴の五老岳に登り、台風被害が深刻な福知山の状況を 確認しながら戻って来るというコース設定。 午前5時27分出発。すっかり涼しくなった秋の三田路を一路北上、篠山口で進路を大きく東に取 り、下筱見からR173に乗って、板坂峠を越え、和田で最初のブランチ休憩を摂る(8時28分)。 ここまで約76km。小刻みなアップダウンが結構あって思ったよりも足を使う。 小憩の後、再スタート。4月の和知〜綾部周回コースと同じルートを辿ってR27をぐいぐい走る。 綾部市内で更にR27を北に取って西舞鶴へ。去年も迷った自転車通行不可区間でまたもやタイムロ スをするアクシデントもあったが、11時02分、西舞鶴駅前に到着する。もう少しのんびり走るつ もりが早く着いてしまった。
大回りで五老岳に向かいます(伊佐津橋にて)

雲一つない快晴。気温27℃は結構暑く感じられる。ここからすぐにでも五老岳山頂を目指したいと ころだが、市内に予約しているホテルのチェックイン・タイムが15時なので、ちょっと時間調整が 必要だ。 30分ほど駅構内で休憩してから、R27を直、五老トンネルに向かわずに、舞鶴西港の東海岸を反 時計回りに走り、余部下からR27を登り直すルートで走って行く。五老トンネル手前に『五老岳公 園こちら』の案内板が見える。元気よく左折しようとすると非情にも『全面通行止め』の文字と係員 が立っているではないか。 自転車は駄目、という。歩いてならどうか、と尋ねるも、斜面崩落で道路全面復旧工事中という。先 週の福知山、舞鶴の台風被害は報道等で知らされているところなので致し方ないところ。そのまま五 老トンネルを下って再び西舞鶴駅へ戻る(12時15分)。 さてどうするか。駅構内の待合室で地形図を開く。西舞鶴駅の西側に愛宕山(213.1m)という 山を見つける。これまで北摂を中心に数多くの愛宕山に登っている。よし、今回は“愛宕山ハンター” ということに変更だ。 とはいえ、五老岳に上るつもりでいたので5万図しか持っていない。園隆寺というお寺の横から破線 路が山頂に向かっているので、これを辿ることに決めて出発する。 園隆寺までは、ものの5分とかからない。立派な山門の横の車道を通って境内へ。四国八十八カ所ミ ニ霊場の石仏が並んでいる。ロードを置いて山に向かって歩き始める(12時25分)。
園隆寺山門どうやらこの参道が山頂へ導いてくれるようです

途中からミニ霊場の石仏道を歩いて登っていく。どうやら地形図の破線の道は、この参道で間違いな いようだ。213mの超低山ではあるが、海抜ほぼゼロメートルから登り始めるので標高がほぼ標高 差、ここまで走ってきた積算標高差を加味すれば、能勢天王から700m級の山を登るよりもきつい ということになる。 日なたは暑いが日陰に入ると涼しくて気持ちがいい。急な石段が何度か現れ、ようやくクリアすると 八十八カ所霊場石仏も40番の札所だ。かなり標高を稼いだつもりだが、まだ半分弱か。あとはしっ とりとした参道を41,42、43・・・と数えながら登っていく。 48番の石仏をクリアしたところで、次がなかなか現れない。と思っていたら49,50,51番が 立て続けにやってくる。 まるでバレンティンのホームラン本数みたいだ、と号数 否 札所番数が増えるのを楽しみに辿って いく。57番まで来たところで、いきなり最後の石段が現れ、その奥に愛宕権現を祀る本堂が現れる。 え?! 57番で終わり?! 本堂の脇に回ると58番霊場の石仏がある。 ほんまにバレンティンのホームラン本数みたいやな、と思いながらその先を進んでいくと、参道は下 りに入り、59番、60番と続いているようである。どうやら北の福井の方に下りる道のようである。 ここまで書くとえらく時間がかかったように思われかも知れないが、所詮は標高200m。わずかに 20分ほどの出来事である。
愛宕堂愛宕堂から青葉山方面の眺め

さて、山頂の愛宕権現を祀る本堂は規模も大きく立派なものである。横に太郎坊、次郎坊を祀った祠 もある。ここまで参道は全く台風の影響は無し。無理やり観光で作った道路と昔から人々に歩かれ続 けてきた信仰の道とは根本的に違う、ということか。
ブレてるけど何が祀られてるか判る?

本堂横からの展望はなかなかのものである。海と山が織りなす景色は舞鶴ならでは。五老岳の展望台 も見えているし、その奥に特徴的な青葉山の山容も眺められる。 ひとしきり景色を堪能したところで、三角点を探そうと地形図を開く。何と三角点のあるのは、この 本堂が建っているピークではなく、西隣のピークではないか。 本堂への石段を下ると、西のピークに向かう山道が付いている。辿れば石の祠のある頂上に着くが三 角点が無い。更に西に向かうと小さな堀切のような場所が現れ、登り返したところに紛らわしい境界 石はあれどやはり三角点は見当たらない。 倒木や生い茂った草の中を探してみたが結局見つからず。まあ山頂に立ったことには違いないのでよ しとしよう。再び同じ道を戻って下山、観光地を見物しながら時間を潰し、ホテルにチェックインす る。
愛宕山は駅前から見えてます

明けて22日。6時前にホテルを出発、近くのコンビニで朝食を調達し、念仏峠、滝尻峠を越えて藤 津から由良川右岸の道路を南西に走る。道路は乾いた泥に覆われ、一見地道のような状態が延々続く。 集落毎のゴミステーションは泥水を被って使えなくなった家財が山積みされている。中には犬小屋な んかもあったりして、思わず犬は無事だったのだろうかと心配してしまう。場所によっては電線に流 された笹が引っ掛かっているところもある。4−5mも水没したということか。今更ながらに水害の 規模の大きさを知る。
生々しい流木の残骸。海の青さが皮肉・・・こんな光景がずっと続いていました(大江地区)

オフロードのような道路上は、クルマに轢かれた無数のヘビの死骸とそれを啄ばむカラスの群れとい う光景が延々と続く。この洪水で殆どのヘビは流されてしまったのだろうか。哀れである。
負けずに残ったヒガンバナが救いです

洪水被害にも負けずに鮮やかに咲き乱れるヒガンバナに救われる思いをしながら走ると、もう音無瀬 橋東詰であった。        (今回の総走行距離280km)

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