山を駈ける風になれ2014年 5月号

 
2014年4月12日(土)篠山/剛山(2.5万図 福住) 
満開のサクラを楽しもうと篠山を走っている内に剛山に登ってしまった、というツーリングのお話。
去年秋に一度下見をしながらなかなか実現出来なかったのに不思議なものだ。

夜が明けるのが日に日に早くなるこの季節、スタート時間もつられるように早くなる。1ヶ月前の
気温に逆戻りとの予報通り肌寒い中、午前5時21分スタートする。今日の目的は、いつものサイ
クル・フィールドをお花見ツーリングすること。阪神間の市街地は見頃を過ぎたが、わがサイクル
・フィールドはこれからが最も楽しめる時季を迎える。

川西能勢口回りで県道を北上する。北西寄りの向い風にスピードは上がらないが、急ぐツーリング
でなしのんびりモードだ。いつものように杉生で水分補給を摂り、杉生新田−泉郷峠−能勢天王へ
と走り継ぐ(天王7:28)。泉郷峠の気温1℃。指きりグローブのため手がかじかんで痛いほど
だ。
喉を潤してR173を安田まで一気に下り、細工所(丹波細工所)の交差点近くのコンビニでブラ
ンチ休憩を摂った後、お花見ツーリングモードに切り替える。
北条古墳近くの枝垂れ桜

まずは北条古墳の近くにある枝垂れ桜を楽しむ。道端にはツクシにヒメオドリコソウ、まだフキノ トウも残っていて今年は冬が長かったことを思い起こさせる。
櫻酒造篠山工場の桜

続いては、『櫻酒造→』の小さな看板に釣られて櫻酒造へ(8:15)。名前が名前だけに絶対に 工場敷地内はサクラの木が沢山ある筈。「読み」は見事的中、尚且つ今日は正門が開いており、ち ょっと中まで入らせて頂いて満開のサクラを楽しむ。満開のサクラ越しに工場入口に吊るされた茶 色くなった杉玉が見える。
北島の集落から剛山

櫻酒造を後にする。小さな橋の袂に信州の道祖神よろしくお地蔵さんが二体、祠の中に祀られてい る。背後にはピラミダルな剛山が春の表情を見せている。いいアングルである。お地蔵さんと書い たが、向って右側の一体は顔が3つあるのでお地蔵さんで無いのは判るが風化していてよく判らな い。 剛山の北側を通って泉側に抜けようと竹藪の道を自転車を担ぎながら歩いていると、剛山に登れそ うな道の痕跡を見つける。急遽登っちゃえ、とヤブの中に自転車を置いて登り始める(8:22)。
謎の掘削跡

ちょうど真北から斜面を直登する恰好だ。道の痕跡はすぐに判然としなくなるが、植林帯は下草が 処理されていて歩きやすい。やまあそさんが好きそうな洞窟(というか何かを掘り出した跡?)が あったり奇岩ポイントが現れる。 そこをクリアし、水平に走るけもの道とクロスして更に直登するとまばらな雑木藪に変わり、何と なく踏跡っぽいルートをやや東に振りながら進むと最後は北東尾根と合流して山頂部に着く。この 山にも砦があったのであろう。本丸や二の丸など段々に区画された地形が残っている。
剛山山頂満開のコバノミツバツツジ

山頂に着く(8:35)。雑木に覆われて展望は無いが、久しぶりに登頂標などの類が一切ないき れいな山頂である。日当たりのいい斜面ではコバノミツバツツジが満開だ。 この剛山、読み方は同じ『こうやま』ながら、四方から当てられる漢字が総て異なる珍しい山であ る。即ち西から『講山』、東から『甲山』、南から『神山』、北から『剛山』という具合だ。 そもそもの由来は、元暦元年(1184年)丹波路を進んだ際に泉の南賀寺で寺講の馳走の接待を 受けた源義経が、寺の住持にこの山の名前を問うたところ、「こう山」と答えたので。さらば寺講 を記念して「これより講山と唱えよ」言ったところから名がついた、と言われるので『講山』とす るのが正しいのかも知れないが、地形図には『剛山』と記載されているし、今日は北側から登った ので『剛山』でいいだろう。 10分ほど山頂で憩って後下山する。同じ道を辿るつもりがすぐに適当に歩いてしまい、50mほ ど東へ下り着く。
篠山城跡お堀端の桜

再び走り出して篠山の中心部に入る(9:05)。サクラまつりをやっていて北陸の方から大型観 光バスを連ねて団体さんがやってきている。城跡のお堀端のサクラはちょうど見ごろだ。団体さん がどっと押し掛けてくる前にそそくさと写真を撮って一目散に帰路についた。
武庫川源流近くの桜

       (本日の走行距離116km) 2014年4月26日(土)福知山/猪崎城山(2.5万図 福知山東部)  GW初日。穏やかな初夏の好天が予想される中、今年初のロングツーリングを楽しむことに。とは いうものの、今年は冬が長かったせいもあって、これまでせいぜい120km程度しか走って来な かったので、とりあえず180kmのコースを設定、目的地を福知山の三段池公園と決める。 午前5時スタート。R176を三田・篠山方面に向かう。木曜日の昼に食べた「ジャンボかき揚げ 丼」(の大盛)の油が胃にもたれて食欲が無く、長距離ツーリングには最悪のコンディションだ。 おまけに三田から鼓峠まではずっと気温7℃の中の走りが続き、日中の最高気温25℃に合わせた 恰好では足の筋肉も固まり気味で足に力が入らない状態での走りが続く。 それでも沿道の新緑の景色に和まされながら7時36分、鼓峠を越えると、追い風にも助けられ快 走、8時31分福知山市街の入口、東堀の交差点に着く。 側道の白いラインの内側に青い色でサイクリング用のラインが引かれ、市内の観光名所と距離が書 いてある。去年はこんなのあったっけ? 三段池公園へあと何キロと書かれた青ラインに従い(毎 年走っているので知ってはいるが)音無瀬橋を渡り、下った先にあるコンビニでブランチ休憩を取 る。 店員が「どちらまで行かれるんですか」と好意的に尋ねてくれるが、まさかここが目的地だとも言 えず、適当にお茶を濁す。 やっぱり胃が重たい。腹は減ってるのに食が進まない。おまけに何を間違えたか、おにぎりとから 揚げの弁当を買うなんて我ながらどうかしている。しっかり食えないと長距離ツーリングは厳しい。 簡単にブランチを済ませ、三段池公園に向かう。上りながらふと振り向くと『城山/猪崎城跡』の 石碑が目に飛び込んで来る。急遽、城山に登ることにする。
猪崎城跡登り口櫓台の跡には3等三角点が埋まる

小さな丘陵で城址まで遊歩道が整備され、道の両脇にはサクラの木が植えられている。本丸までは、 僅か2分の距離だ。眼下に由良川の流れを見ながら本丸に到着する(9時04分)。ほぼ正方形の 広い本丸跡で、北西の隅に一段小高くなった部分があり、櫓台の跡であることが判る。今は物見櫓 の代わりに3等三角点(64.9m)が埋まっている。
城山から福知山市内を眺める烏ケ岳、鬼ガ城もすぐ背後に迫る

登り口にあった説明板によると、猪崎城は天文年間、塩見筑前守利勝によって築かれ、天正7年明 智光秀の丹波攻めで落城した城とある。木々の間から尾根続きに見える烏ケ岳、鬼が城の稜線が眩 しい。 せっかくの天気なので余力があったら近隣に足を伸ばしたいところだが、そんな余裕も無く帰路に 着く。本州の東に中心を移し始めた高気圧の縁を回り込む南西風が強くなってきた。向い風に体力 ロスをしないようお散歩モード寸前の走りで、どうにか春日町にある道の駅へ(10時24分)。 しっかり水分補給を摂って、栗柄峠への上りに入る。『工事中 車両通行止め』の看板は立ってい るが、往きに栗柄峠で『2輪車、歩行者は除く』と書いてあったのを読んでいたので、構わず上っ て行く。一番傾斜がきつい箇所に差し掛かったところで、工事関係者の兄ちゃんに屈託の無い笑顔 で「楽しそうですね」と言われる。 「しんどいけどね」と笑顔で応えマイペースで上る。まさか、こんな超ノロノロ・ペースで上って いる人間が、あと60kmも走る予定だなんて思っていないだろう。 東に走る峠の上りは、風が追い風に変わることもあって何とかクリア。ここから先は再び向い風の 中の我慢の走りが続く。 足を休め休め三田も越え、道場を過ぎた辺りで信号待ちをしていると、横合いの道路から若い6人 組のサイクリング軍団が出て来て宝塚方面に走って行く。のんびりモードで走っている。最後尾の 若い兄ちゃんに声をかけてかわし、集団の6番目に付かせてもらう。先頭の2人は経験者のようだ が、5番目の兄ちゃんは「踏み」も安定していないので初心者なのだろう。若さで何とか頑張って いるが、遅れまいと必死の感じが伝わって来る。今日はどこまで走ってきたのかな。振り返ると最 後尾の兄ちゃんが千切れて見えない。 そんなことに気付いたか、北六甲台の登り口にあるコンビニの駐車場に入って後続を待つことにし たようだ。このまま峠の頂上まで引っ張っていってもらおうと思っていたのに残念。彼らに手を振 って再び単独行に。赤坂峠まで来ればラスト10kmは下り一本。休憩を多く挟んだので、予定よ り1時間近くかかったが、体調が悪くてもそれなりに走れば何とかなることが確認できた今年初の ロングツーリングであった。        (本日の走行距離184km)

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