山を駈ける風になれ2001年1月号

12月2日(土) 山南・柏原/石戸山〜高見城山縦走(2.5万図 谷川、柏原)
 先月、登路の発見に手間取り予定の一部だけで終わってしまった石戸山山塊縦走にリトライ。
他の支店に勤務するハイキング大好き3人娘(?)と一緒に歩く話がまとまり、それならと表記の
コースを紹介することに。従って今日は「歩き」である。
 メンバーはR姐御、ミセスF、そしてミスB。平均年齢は内緒だが、だいたい私より1回り若
い。年に1、2度日本アルプス級の山をやるというミセスFから、本当にハイキング程度だけと
いうR姐御、その中間といったミスBとキャリアにかなりバラツキがあるが、踏跡程度の径を倒木
を乗り越えて歩くというのは3人共初めてだろう。
 7時15分JR大阪駅発福知山行各停に乗る様にと連絡、自分は7時44分宝塚から乗りこみ
合流する。今日は学校の授業があるので学生達でいっぱいだ。それでも相野を過ぎる頃にはガラ
ガラ状態になり、いつもののどかな福知山沿線の旅が戻ってくる。ミセスFは祖父母が氷上郡の
出身ということで懐かしい単線の頃の福知山線の話を披露してくれる。
 以前山登りにコンパスはあった方がベターと言った私の言葉を思い出したR姐御、昨日買いに
行ってきましたと、ザックから引っ張り出したコンパスを見て一同唖然。「それで円を描いてどう
するんや」と思わずつっこむナイス・ボケで車中盛り上がったりしている内に谷川駅に到着する
(8時54分)。
 9時、まずは駅の北に聳える八の瀬目指して出発。朝の空気は凛として気持ちがいい。加古川線
を跨ぎ、平井で福知山線の線路を跨いで山道に入り、「火の用心」の標識から巡視路を伝って登る。
いきなり急階段の連続で3人娘無口に、鉄塔を一つ越し階段なしの急坂の登りで3人娘ヘロヘロ
状態でハイになる。「これまでの人生の中で一番苦しかった」とミセスF、そんなアホな。
それでも9時57分八の瀬山頂(423.2m)に到着。東西に開けた展望に満足そうな様子。
10分ほど休憩の後、北の536標高点に向けて出発する。北に伸びる尾根筋は明快な踏跡が続
いていて歩行が捗る。途中イノシシのフンを見つけたR姐御、黒豆をいっぱい食べているとフンを
解析。短い急坂をこなせば536標高点(10時25分)、ピークには石の界標が間隔を空けて
2つ埋まっている。
 東の町界のほうにも踏跡が続いているのを確認して北西へ進む。高低差20〜30mのアップ
ダウンが何度も繰り返される径は結構ハードなようで、落葉の絨毯の上を何度も転びそうになったり
しながらアドベンチャー気分を楽しんでいるようだ。
 Ca500ピークの先で少し北に振り、続いて北西に下るあたりは目印のテープが巻かれた木が
伐採されたりして少しわかりにくいが、地形を把握していれば大丈夫。すぐにCa480ピークに
登り返し、ここからまた明瞭な赤テープが現れる。谷間を挟んで正面に石戸山が見える。鞍部に下
ると石戸の方からの林道に続くと見られる分岐がある。我々は直進。最後の急登に入る。ふかふか
の絨毯に足をとられながらも何とか登りきり、11時17分1等三角点のある石戸山山頂(548.
8m)に到着。山頂で一組お弁当を広げているハイカーがいたが、そんなところにも道があるのか
と驚いた様子。
 山頂で記念撮影の後、我々は展望のいい北の賽の河原手前の斜面でお弁当タイム。好天と見事な
眺望を肴に食べる弁当はおいしい。ミスBから温かいスープを頂いたのをはじめ女性陣から山歩き
ならではの差し入れも頂く。小1時間休憩を取った後は次なるピーク高見城山を目指して出発。
ミセスFに先頭をお願いする(12時15分)。
 ここからはハイキングコース、これまでとはうって変わって歩き易くなる。やっぱり若いから
元気回復も早い。下り坂ではなかなかにぎやかだ。地形図ではいくつも小さなコブが現れるが道は
それらを巻くように付けられているので快適そのものだ。高見城山の南約300mにあるCa470
ピークには新しい鉄塔が建ち、その周辺だけは工事現場のようになっている。
 12時50分、本日最後のピーク高見城山山頂(485.2m)に到着。一段下がった4等三角点
のあることろに先客が一人。我々が昼食を摂っていた時に通り過ぎて行ったハイカ−だ。頂上には
簡単なベンチが設置され、御影石の山名標が立てられるなど随分と整備されている。日本一低い分水界
や播丹界の山並みを楽しんで山を下りる。
 丹波悠遊の森までおりてくれば舗装路。途中日本一の石の碁盤を見たりしながら柏原駅に到着すれば
14時47分、次の列車まで50分ほど時間もあるので柏原の町並み散策をする。ここで先ほどのハイ
カーと4度目の遭遇(この後駅のホームでも会う)。太鼓櫓や木の根橋を見物、お土産をどっさり買っ
て15時36分の列車で帰路に着いた。3人とも朝早くからお疲れさまでした。

高見城山
高見城址

    12月9日(土)中/糀屋ダム湖周回(2.5万図 谷川、中村町) 山登りを趣味にしている人が、自分の歩いたルートを地形図に赤ペンで書き入れるのと同じように、 ロードやMTBで走り、登ったコースを書き込んでいるが、書き込みの少ない図幅の一つに「中村町」 がある。今月はまだ全然走っていないのでガーッと走って「中村町」を塗りつぶしに行くことにする。 最終目標は翠明湖という名前の糀屋ダム湖と決める。 6時36分出発、まずは篠山経由で谷川に向かう。先週の土曜日もいい天気だったが、今日は格段に よさそうだ。おかげで道場あたりから霧。古市への上りでオンセのジャージを着たレーサーを抜く。 8時55分、谷川着は偶然にも先週と全く同じ。霧はまだ晴れない。少憩の後加古川線沿いのコースを 走り船町橋で加古川を渡り船町に入る(9時15分)。10月に歩いた石金山への山並みが霧に包まれて 幻想的だ。 ここから旧道に入り黒田庄町石原と中町東安田を結ぶ峠の登りに入る。1.5車線幅の舗装路で雑木林の 中を抜ける気持ちのいい道だ。車はトンネルのあるバイパス路を走るため交通量はゼロ。9時34分、 町界の峠に到着。黒田庄側にお地蔵様が祀られている。明和8年の銘がある。御供えの花も新しく今も 仰の対象になっているようだ。きっと名前のある峠に違いないがさて何という名前なのか。 峠からヒラヒラと下れば中町。杉原川を渡り、小学校を北に折れて茂利からいっきに上れば翠明湖 (10時03分)。湖面から立ち上る水蒸気を眺めながら翠大橋の中央に立てば北西に千ケ峰、振り 向けば浅香山越しに石金山が青空の中に聳えている。橋の上で暫く休んだ後、糀屋ダムから八千代町 方面に下り、好天の下、西脇、滝野社、東条、吉川と爆走すれば途中昼食を挟みながらも13時31分 自宅へ帰りついた。    (本日の走行距離 146km)
峠
黒田庄町と中町を結ぶ旧道

12月16日(土)三田/烏ガ岳周辺(2.5万図 木津) 三田市木器の北西に聳える尖峰烏ガ岳を目指す。昔北方の畦倉池から南に林道を走ったことがあるので 登山口もすぐわかるだろうと6時41分自宅を出発。川西能勢口回りで西峠を越えてぐるっと回って向か うことに。県道川西篠山線も2ヶ月ぶりに走るとえらく様変わりだ。いつも食料補給をしていた屏風岩の コンビニが隣接地にお食事処を併設しているではないか、おやじさんに聞いてみようと入ったら店番まで 女のコに変わっている。万善の交差点には「道の駅猪名川」ができている。感心しながら更に北上、西峠を 越えて後川上に入る(8時45分)。気温4℃、一面霜で真っ白だ。 少憩の後県道後川三田線を南下、切詰峠を越える。ここで山田川沿いに畦倉池方面へ右折するポイントを 間違え、川池で右折。やはり地形図で場所を確認しないといけない。600mほどバック、林道入ってすぐの 所にある神社の前にMTBを停める(9時47分)。 ここから北東に折れる破線の道は、と探すと少し戻ったところに発見。これでもう大丈夫と安心したとこ ろで休憩。その後MTBを押して細い道を進む。道はクリ畑の中を突っ切って山の中に入って行く。と見え たがすぐにイバラヤブに突っ込み消えてしまう。周囲の地形から間違いはないようだが、どうみても径は ない。谷筋にも登路を求めてみたが、どう見ても倒木もひどく遡行できるようなルートではない。 もう道はヤブに還ってしまったのだろうかとあきらめて県道出会い近くまで戻ってくると50mほど東に 溜池と林道らしきものを発見。あぜ道を横切って溜池に着くと(地形図には載っていない)イノシシ除けの 柵で塞がれてはいるがしっかりとした道が谷沿いに続いている。先ほどのルートとは谷を挟んで10mと 離れていない。柵を乗り越えたところにしっかりとしたストック代わりのいい木の枝まで立てかけてある。 今度こそ間違いなさそうだ(10時15分)。先へと足を運ぶ。 1.5m幅の林道然とした道で、落ち葉が厚く堆積しているいい雰囲気の道だが、落ち葉の下は丹波石がゴロ ゴロ状態で実際は結構歩きにくい。倒木はひどく、道が大きく抉れている所もあったりする。15分ほど行っ たところで道は左右に別れる。赤テープの巻かれた左の道をとる。更に5分ほど歩いたところでまたしても 左右に分岐。右のルートに赤テープが巻かれ、矢印まで付けられているが目指す山は左手にあるので左の ルートを進む。 見通しの効かないヤブの中なのでどの辺りまで来ているのかわからないが、西を向いているので頂上南の 鞍部の方に向かっているのだろう。が、山の気配がせまってこない。とまたしても左右に分岐が現れる。 今度はどっちをとってもすぐに踏跡がなくなってしまう。簡単に登れるだろうと思っていただけに装備も 不十分。山頂には立てても元に戻ってくるのは困難と判断。残念だが撤退を決意する(10時47分)。 とは言えちょっぴり未練も残っているので先ほどの分岐を矢印の付いた方に辿ると山中にひっそりと静まる 地形図記載の池の辺に出る。このルートが上槻瀬へ通じる道らしい。ようやく現在地が確認できた。烏が岳 へは先程の道で正解だったのだ。今度は準備万全で再挑戦するぞと心に決め元来た道を戻った。     (本日の走行距離 95km)  12月23日(土)篠山/三釈迦山(2.5万図 篠山) 祝日が土曜日に重なることほど残念なことはない。なぜか1日損した気分になるのは私だけだろうか。今年 最後の篠山方面ツーリングということで味間地区の北に鎮座する三釈迦山を目指す。先週MTBを押して山 の中を彷徨、体力を大分使い果たしたので今日はロードで目的地めがけてカッ飛ばすことに。 6時42分走り出すや、いきなりサイクルコンピュータのトラブルでタイム計測不能。時間に縛られなく っていいや、と開き直れば結構気楽だ。夜明け前の放射冷却のせいで、道場あたりから早くも霧の中に突入 する。今日は手強そうだ。古市を越えて篠山盆地に入ると一層濃くなる気配。道の両側は霜で真っ白、目の 前は霧で真っ白、おまけにハンドルを握るグローブに付いた霧の水滴が冷えて霜になっている。 8時35分味間と西古佐の分岐に到着。ここから味間地区を北西に進んで最短コースで三釈迦山の頂上を 目指すつもりなのだが、山は霧に包まれてよく見えない。それでも慎重に道をトレース、8時45分なんとか 三釈迦山の南の谷に食い込むように伸びる農道の終点に着く。 ロードをデポして頂上を目指す。ヤブ漕ぎを覚悟していたが、なんと人の手で作った山道が続いている。 谷を左手に見ながら快適に小径を行けば5分ほどで鞍部の峠に。このまま道を下れば丹南精明園の南の林道 を通って西古佐に出られるようだ。付近の探索はそれくらいにして北西の尾根を山頂目指して登る。さすがに 道は無いが、境界の赤いプラ杭がいい目印になる。 8時55分、3等三角点のある三釈迦山山頂(318.2m)に到着。最短コースを選んだとはいえ、あまり にあっけなく山頂に着いてしまった。頂上付近はスギを主体とした雑木に遮られ展望はなし。こんな誰も登ら ないはずの山なのに缶コーヒーの空き缶が散乱しており残念な状態になっている。10分ほど山頂に留まった後、 再び先ほどの峠に戻り、今度は更に南東にある火ともし山(地形図上は無名、Ca320mの山)を目指す。 途中まで所々木に青ペンキが塗ってある。Ca290のコブを越えた辺りで青ペンキは無くなるが、踏跡も しっかりついており9時17分難なく火ともし山山頂に着く。頂上部分だけ粘土質の地面が剥き出しになって いる。ここも展望は無い。頂上部の一角には山賊が酒盛りでもしたかのような状態で一升瓶やビールの空き缶 などが散乱している。麓との標高差が無いとこうなってしまうのだろうか。 結局ここも長居をする雰囲気ではなく下山することに。南斜面を強引に下ろうかとも考えたが、農道を歩いて デポ地に戻ることを考えれば元来た道を戻る方が気持ちがいい。15分ほどで下ってくると霧の中で農作業を している老人が一人。挨拶をするとえらく話好きな人で、この地区は三釈迦ということ、この辺りの田んぼは すべて自分の土地だということ、冬は杜氏として50年間菊正宗に出稼ぎに行っていたこと、将来先ほどの峠を ぶち抜いて大山方面へ道路がつくことなど話を伺う。別れ際に今度遊びに来たら黒豆の枝豆を好きなだけもって 帰ればいいとうれしい言葉、でもどこの誰かわからないんだけどなと思いながらこの後篠山城址西の権現山 (261.8m)をついでに登って帰路についた。    (本日の走行距離 104km)
新田橋より、左、火ともし山。中央、三釈迦山。


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