山を駈ける風になれ2014年 6月号

 
2014年5月4日(日)京都/周山−美山周回(5万図 京都西北部、四ツ谷) 
GW後半の2日目。天気がいいのは今日までとの予報に去年訪れた旧京北町の周山から更に周山街道
を北上して茅葺の里で有名な美山町(現南丹市美山町)を周回することに決める。

午前4時50分スタート。この時季にしてはよく冷えている。旧R176を走って猪名川を渡り北上、
木部の交差点でR423を余野川沿いに亀岡へ向かうのは去年と同じ。妙見口交差点脇の気温表示は
3℃。日中の予想気温25℃に合わせて半パンで走っているが、ここまでは上り基調なのでそれほど
寒さは感じない。

先週に続き、今日も長距離なのでやや抑え気味に走るものの、下りに入れば自然と爆走モードに。あ
っと言う間にR9に合流すれば、月読橋まで北上、橋を渡ってそのまま東進し、突き当りを左折、道
なりに進めばやがてR477と合流。渓谷沿いの1車線路を新緑の渓谷美を眺めながらマイペースで
上り切って越畑分岐に到着か、と思えば、何と『全面通行止め迂回せよ』の看板が・・・(7時19分)。

去年9月の台風で斜面が崩落したとのことだが、仮にも国道。7ケ月以上経っても通行止めなんてあ
り得ない、と思わずぼやきたくなるのは、実はまっすぐ進めばあと高低差にして10mも上れば越畑
−神吉分岐に着くのに、迂回すれば、ここから更に標高差110mを上って越畑の集落に入り、10
0m下って分岐まで戻って来なければいけないから。
日吉町神吉から周山に向かう途中で

なるべく余計な体力は使いたくなかったのだが、平均斜度10%を超えるこの上り道で、一気に余裕 は無くなる。結局去年より10分遅いタイムで越畑−神吉分岐まで戻って来ると、散り始めた八重桜 を見ながら神吉の集落を抜け、あとは下りのワインディングの連続、ほんまにこれ国道?と言いたく なる道を走って周山に着く(8時24分)。
これでも国道です

周山の中心部は道の駅と、北側に広い駐車場を持ったスーパーマーケットがあるのは去年確認済み。 そして8時半ではどちらもまだオープンしていないこと、周辺にはコンビニも無いことも確認済みだ。 道の駅の広場はクルマやバイクでやってきた連中が、美味しい空気も吸わずに無神経にタバコを喫ん でいるので、スーパーマーケットの駐車場に移動して、持参のチョコを頬張り、エネルギー補給を摂る。 15分ほど休んでから再スタート、周山街道を北上する。周山街道の別名を持つR162は、京都の 西大路五条から福井県小浜市和久里までの148kmを言うが、なかでも高雄から山越えの連続で周 山−深見峠と向う道は、周山街道と言われるとおりハイライトとも言える区間である。今から約30 年前、京都に住む会社の同僚のクルマに乗せて貰って常照皇寺のサクラを観に行った時に、何と趣の ある道かと感激した記憶がある。 そして7年前、西の鯖街道を走る、と題して小浜から堀越峠越えで美山町に入り、九鬼ケ坂までR1 62を走っており、今日はまさに残る未走の中間部を走ることになる。 周山からしばらくはほぼ平坦路の北上となる。弱い追い風も吹いてペースもまずまずだ。両脇から山 が迫ってくると深見峠への上りが始まる。どこかの自転車クラブの練習だろう、7‐8人が一塊とな った集団にサーッと抜かれる。 凄いなあ、と見送っていると、また次の集団が追い抜いていく。30km/hオーバーのスピードで 上っているので、全く追いつけない。こうした集団に5−6回抜かれたところで深見トンネルが現れる。
深見トンネル(これを越えると美山町です)

上りはここまで。トンネルも緩く下っている。徐々にペースを上げながら走っていると、またしても 次の集団がやって来る。ここはちょっと頑張ってみようと、40km/h台前半まで上げて走るが、 徐々に追いつかれ、サーッと置いて行かれたところでトンネルを出る。 新緑の中のご機嫌な下りが始まる。30mほど前方を行く集団を見ながら追うとはなしに下っている と徐々に距離が縮まり始め、あわや追いつきそうになる。斜度のある下りでは走力のある無しは関係 ないところが面白い。 斜度が落ち着き始めると共に集団から離れ始め、完全に観光モードに変わったところで、美山町の道 の駅に到着する(9時24分)。自宅からほぼ100kmである。 観光客やらバイクツーリングの集団やら沢山の人が屯している。ここを自転車で訪れるのは、7年ぶ り3回目だが、これまで殆どいなかったサイクリング姿の人が増えたことに昨今の自転車ブームを感 じる。 ここでブランチ休憩を摂る。地元のおばちゃんが作ったかやくご飯と定番の美山牛乳を買う。かやく ご飯は地元産のタケノコをふんだんに使用した京風のうす味仕立てで美味しい。
本日のブランチです

しっかり腹に収めたところで出発(9時43分)。九鬼ケ坂峠の手前を神楽坂トンネル方面へ左折す る。ほぼ平坦に近い道だが、南東から弱い向い風が吹いており、なかなかペースが上がらない。 そうこうしてると後ろから2人組のサイクリストが声をかけてゆっくりと追い越して行こうとするの で、風除けとペースメーカーに利用させてもらう。あんまりぴったりくっつくのも嫌らしいので、少 し距離を空けて走るがラクである。2人とも私が付いて走っているのは知っているので、相図を送っ てくれる。 こうやってグループの“3人目”となって、単独ツーリングのサイクリストを3人ほどパスする。神 楽坂のトンネルが近くなってきたところで、前の2人組は道路脇の駐車場に反れ、待ちうけていたク ルマに向かう様子。手で合図を送って2人に感謝しながら別れる。このエリアはロードバイクをクル マに積んできて、周回走している人が多いようだ。 やや上り基調の神楽坂トンネルを抜けると後は園部の中心部までほぼ下りの極楽快走路。2人組みに 引っ張ってもらったお蔭もあって、約1時間で園部まで戻ってくれば、あとはマイ・サイクル・フィ ールド。 柊峠で1人サイクリストをかわせばやや追い風気味に変わった東風を利用して、更にもう1人パスを して一庫から川西市街地へ。自宅まであと5km付近の交差点で後ろからサイクリストが1人信号待 ちの間に追いついてくるが、逆に信号を利用しながらペースを上げて千切るなど最後まで足も残って いたようで、走り出しから辛かった先週とは大違い。5月の青空の下、気持ちよくゴールすることが 出来た。        (本日の走行距離181km) 2014年5月24日(土)多可/妙見山(2.5万図 丹波和田、中村町)  多可町の妙見山は旧多可郡中町と同加美町の境に聳える山。以前は他の妙見山と区別するため、一部 では中町妙見山と呼ばれていたが、市町村合併で両町とも多可町となったので、ここでは多可妙見山 と紹介することにしたい。 山の南東側のゴルフ場の名前にあるとおり、妙見富士の別名を持つ美しい形をした山で、小野尻トン ネルを越えて播州エリアに入った時に最初に出迎えてくれる山でもある。もう15年以上も前になる か、北東の樺坂から播丹境界沿いに行こうとして果たせなかった記憶がある。多可高校の裏側から登 山道が整備されているようなので、一般登山道を使って山頂を目指す事にする。 午前4時45分スタート。自宅から距離があるので余裕を持って早めに出発する。この時季だと既に 外は明るいし、交通量も少ないので走りやすい。それにしてもよく冷えている。赤坂峠の気温10℃。 ここまでは上りなので半袖ジャージ1枚でも寒くはないが、一旦下ると平坦基調、おまけに三田の長 坂辺りから霧に包まれ、結構寒い思いをしながら川代渓谷沿いの県道を下り、7時05分谷川駅前に 着く。
見る度にマイナーチェンジしてる?谷川駅前の丹波竜

ようやく霧が晴れてきた。駅前の丹波竜のモニュメント(?)は見る度にマイナーチェンジされてい るような気がするがどうだろうか(単に変色しているだけ?)。 水分補給を行い、和田方面へ。富田から小野尻トンネルを抜けると豪快な下りを楽しんで妙見山の南 麓、鍛冶屋に着く(7時45分)。旧国鉄時代鍛冶屋線の終点だったところだ。 R427を1kmほど西へ走り、多可高校横を通って東山古墳群に着く。きれいに整備されて古墳公 園となっている。妙見山への登山口標識も設けられているので迷うことはない。シカ除けフェンスの 扉を開けて林道を進む事0.7km、簡易舗装が途切れ小広いスペースが現れると、そこが東山側登 山口である(8時05分)。
東山古墳群から妙見山3合目

自転車を置き、登山口に置いてある杖を1本拝借して歩き始める(8時08分)。頭上は抜けるよう な青空が広がり、絶好のハイキング日和である。歩き始めて7分ほどで364ピークとの鞍部である 3合目に着く。364ピークは見るからに砦跡という感じだ。
新緑の山道は気持ちがいい

3合目まではすぐだが、ここからは同じテンポで次の「合目」が現れない。特に5合目から7合目は、 いい加減足に来ている事もあり、やけに間隔が長い(ように感じられる)。登山道自体はよく整備さ れているので、何も考えなくても足さえ前に出していればどんどん登って行ける。 7合目を過ぎたところで519コブに着く(8時43分)。展望が開ける。ここからは斜度も緩くな り、いきなり9合目が現れたかと思うと、すぐに『693m妙見山』と書かれた自然石を組み上げた ような何かが立っていた跡のような場所に着く(8時50分)。 「あれ? ここが頂上?」と半信半疑のままおやつ休憩を摂る。樹木に覆われて展望は無い。わずか に一方向のみが見える程度。山林の境界標石は立っているが、三角点が見当たらない。地形図を開い て確認する。どうやら本当の山頂はこの先にあるらしい。 じゃあ、ここは何だろう。この石組のように見える所に妙見堂でも立っていたのかも知れない。一旦 下って避難小屋のような建物の横を通り、登り返して本当の妙見山山頂に立つ(9時05分)。
妙見山山頂

山頂には展望方位盤も設置され、抜群の眺望が開けている。特に北西から南西にかけて大展望が臨め る。正面に千ケ峰、更にその奥に播州の1,000m級の山々が連なる様は壮観である。
千ケ峰方面の大展望

山頂からは尾根伝いに北に歩いて牧野大池方面に下りることもできるようだが、時間のこともあり、 来た道を戻り自転車を回収する(9時50分)。 南寄りの風が強くなってきた。風向きはある程度織り込み済みで今日の場所を選んだとはいえ、かな りの区間は向かい風を覚悟しなければならない。 旧中町の中心地、中村町を南に抜けたところにあるコンビニで軽食休憩を摂り、杉原川を渡って東安 田から旧黒田庄町石原に出、JRの線路を越えて黒田庄の街中を走る。いつもは走り抜けるだけの道 だが、本黒田駅に立ち寄ると、今年の大河ドラマの主人公、黒田官兵衛生誕の地として幟を立てて宣 伝している。 官兵衛は姫路で生まれたと思っていたが本当のところはどうなのだろう。ま、大河ドラマにあやかっ て播州地域全体に観光客が足を運んでくれれば、それに越したことはない。
本黒田駅から西脇方面をみる

再び走り出す。JR加古川線と何度かクロスするこの県道は、鉄道撮影には絶好のロケーションのよ うで、至るところで“撮り鉄”のみなさんが、三脚を用意して構えている姿に出会う。 船町を過ぎれば丹波市(山南町)、後はホームグラウンドを60kmばかり走るだけ。無理に風には 逆らわず、初夏の晴天を楽しみながら走れば、午後2時前に帰宅することが出来た。        (本日の走行距離157km)

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