山を駈ける風になれ2014年 9月号
2014年8月3日(日)能勢/妙見山〜天台山折返し〜金石橋(2.5万図 広根)
3週目に入ったリハビリ・ウォーク。遂に同行者が登場することに。
同行者は会社の同僚、グルメ女性3人組(Tさん、Kさん、Jさん)。12年前にもヤブ山歩きで1回
参加してくれたことがあるKさん以外は、ふだん運動とは無縁のメンバー。彼女達でも歩けるコースを
ということで、標記の基本“上から下っていく”コースをチョイスする。
8時35分、川西能勢口駅から能勢電で終点の妙見口駅へ移動する。Tさんがホームに設置されている
筆談機を見つけて驚く。私自身もお目にかかったのは初めて。ふだんの自転車ツーリングでは見つけら
れないものもあることを知る。
妙見口駅を出てケーブル黒川駅へ向かう道は「花折街道」と命名され、田園風景の中を地元の人達の趣
向を凝らした作品を楽しみながら3人とも余裕の歩き。心配された雨も大丈夫そうだ。
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花折街道・・・この時は元気いっぱいだった |
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始発から2本目のケーブルに乗り、「妙見の水」をペットボトルに詰めて、リフトに乗り換え、山上駅
に着く(10時05分)。吹き抜ける風が涼しい。下界の熱帯夜が嘘のように感じるのも無理は無く、
能勢妙見山門脇の寒暖計は23.5℃を指している。
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山門の前で記念撮影 |
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お参りを済ませた後、せっかくだからと山頂のブナ林を案内すると、何と1本の大木が倒壊している。
去年の8月に訪れた時は無事だったと記憶しているが・・・。秋の台風だろうか。まず生のブナにお目
にかかることは無さそうな3人なので、見せてあげようと思ったが残念なことだ。
もともとこの緯度・標高でブナ林があること自体珍しいのだが、温暖化と共にブナの大木も生き辛くな
ったか・・・。三角点が珍しいJさんは、標石をスマホに収めている。
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折れたブナの大木 |
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さて、観光は終了。雨の降りだす気配も無いので、ウォーキングを開始する(10時45分)。日頃運
動習慣の無いTさん、Jさんは、ここまででかなり“お腹いっぱい”のご様子。一体誰のリハビリ・ウ
ォーキングや。おまけにTさんの靴底のゴムの具合が怪しくなる。
殆ど新品同然ながら、長いこと履いてなかったらしい。そういえば昔、ヨメさんの登山靴も同じような
ことがあったっけ。
Tさんの靴底を心配しながら、舗装路を歩くべきか、足に優しい山道を歩くべきか考えながら歩くうち
に天台山への取り付きに着く(11時38分)。取りあえず天台山に登ることにする。
3人は、このまま舗装路を下ると思っていたようだ。
「何でや、『天台尾根を歩く』と事前に案内してたやないの。」
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天台山へ登り始める |
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“足弱な”T・Jコンビに枝打ちした杉の枝を杖代わりに持たせる。杖をついて歩く姿は、“仙人峠の
おりん”か、はたまた“濃茶の尼”か。こんなにも足が弱っていることに愕然としたか、自分達で「巡
礼の老婆や」とはしゃいでいる。
20分近くかかって“巡礼の御一行様”が天台山山頂に着く。よりによって、こんな時にTさんの携帯
に電話が掛かる。息も絶え絶えに会話をしている様を、みんなが冷やかす。
このまま尾根を先に進みたいが、メンバー達の様子を見ていると、かなり無理っぽい。天台山から南に
向かう尾根に並行して通っている林道を辿ればどこかへショートカットできるだろうかと思って歩き出
すも、林道はすぐに行き止まりとなって、結局林道を天台山の取り付きまで戻り、舗装路(府道4号)
を下る。
自転車で走ると上りでもそう時間はかからないが、歩くと下りでも長い。出世大黒天を少し下ったあた
りで、Tさんの右足の靴底がペロッと剥がれる。薄皮が剥がれたような形で歩くには差し支えないよう
だ。思いきって左足の靴底も剥がせば、足取りは軽快に。
そんなこんなでわちゃわちゃ言いながら金石橋交差点まで下りてくる。道路を渡ってバス停に着く(1
3時03分)。次のバスまでの待ち時間は約30分。まあ上出来だ。
13時35分、バスに乗り込み終点の池田へ。座席に座るなり爆睡モードに入るTさんとJさん。池田
に着くと“ほぼ地元民”のKさんの案内で遅めのランチ・タイム。
ランチでどうにか息を吹き返したT・JコンビとKさんと川西能勢口へ移動し解散する。その後数日間
3人が筋肉痛に悩まされた事は改めて言うまでもない。
(本日の歩行時間 3時間20分)
2014年8月17日(日)北摂/清荒神〜中山最高峰〜最明寺滝
(2.5万図 宝塚、武田尾、広根、伊丹)
4回目のリハビリ・ウォーク。今日は自宅から標記のコースを歩く。
今年ほど天候不順な8月は記憶に無い。先週末はノロノロ台風の影響で町内に避難勧告が出るほどの大
雨、この週末は秋雨前線の影響で先週にも増してわがサイクルフィールドは大雨。丹波市では24時間
雨量が300ミリという記録的な降雨量となり、被害もあちこちで出ている模様だ。
宝塚界隈も例外ではなく相当な雨が降ったが未明に雨は上がり、どうにか天気は持ちそうな気配。なら
ばと交通機関が止まっても歩いて帰って来れるところ、ということで標記のコースを歩くことに決め、
午前5時42分出発する。
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有馬街道を歩きます |
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宝塚駅前を抜け、旧有馬街道を東に向かう。道の右手に土産物屋が見えてきたら、そこは清荒神の参道
と交差する所。左手に折れ、参道を淡々と登っていく。朝からお参りの人だろうか、何人かの方とすれ
違う。
駐車場を過ぎ、大林寺の境内に向かう(6時20分)。ここから中山奥の院経由で中山山頂を目指す。
ハイキング道はぬかるんでいて滑りやすい。朝だというのに夕方のような暗さ。登るに連れて周囲はガ
スって、妖しげな景色に包まれる。風も無く蒸し暑い。既に汗びっしょりだ。周囲の木を揺らして葉っ
ぱに溜まった水滴を浴びれば気持ちがいい。
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鮮やかになった奥の院 |
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大林寺の登り口から30分ほどで奥の院に着く(6時52分)。朱塗りの拝殿は鮮やかで立派だ。ここ
を訪れるのは20年ぶりだが、記憶では確か、いかにも奥の院といった古びた拝殿だったような気がす
る。
今日のリハビリ・ウォークの無事を祈願して拝殿右手の山道を行く。7時ちょうど、尾根筋の分岐に着
く。ここからはほぼ平坦な道。天宮山を越えればすぐに中山山頂、この連山の最高峰である(7時20分)。
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ガスる山頂 |
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ガスっていて何も見えない山頂は幻想的であるが、纏わりつく水滴のお蔭で涼しくはあるが、立ち止ま
っているだけで、ぐっしょり濡れてくる。水分補給を摂っただけで、すぐに歩き始める。
ここからはしばらく単調な尾根歩きが続く。時折り視界が開けると、右手にすぐ近くまで迫って来てい
る中山五月台の住宅地や、左手眼下にゴルフ場が見える。山手台(山本)の宅地開発だろうか。まだま
だ山に向かってせり上がってくる。人口減少社会に入っているというのに、こんな大規模な宅地開発は
必要なのだろうか。
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少し天気が回復してきました | どこまで宅地開発するの? |
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山頂から40分ほど歩く。この先5分間隔で小さなアップダウンが2〜3度繰り返され、伊丹から大阪
平野が臨める鉄塔が現れる。
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最後の下りに入ります |
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ここを過ぎれば岩場の下り、富士ガ丘と平井の分岐に降り立つ(8時43分)。10年ほど前、ここを
MTBで走った時は、山火事から2年ほどの時期だったこともあり、真っ黒になった岩場だけの景色が
印象的だったが、今では低木が生い茂り、徐々に山が戻って来ているのを実感する。
ハイカーが登ってきた。清荒神から歩いてきたと言うと、避難勧告が出ていたがルートはどうかと尋ね
てくる。特に危険な個所は無かったことを告げ下山する。
10分ほど下ると山門が見えてくる。山門を抜けて下ってしまえば山本駅はすぐ。その前に山門をくぐ
らずに最明寺滝を訪ねることにする。
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不動尊山門 | 最明寺滝 |
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元禄14年の銘が入った大きな『下馬』の石標を回り込むように渓流を逆上ること2〜3分で滝に到着
する(8時58分)。滝壺の前を回り込むように奥に進むと不動明王が祀られている。豪雨の影響で最
明寺滝も轟音を上げて落下しており、まさに修行の場にふさわしい荘厳な面持ちに包まれる。
毎朝お参りされているのだろうか、一人の老婦人が灯明や花のお世話をされている。滝壺の前に立つと
そこだけ気温が数度違うかのような涼しさ。流れ落ちる滝の音以外何も聞こえない世界を暫し楽しむ。
こんな荒々しい表情を見せるのは、年に数度あるかないかだろう。いい時に来たものである。そんなこ
とを思いながら下っていけば住宅地に。広場で盆踊りの準備をしている人達を横目に見ながら歩いてい
くと、もうそこは山本駅(9時15分)。わずか10分少々の距離とは思えぬ景色の落差に滝の落差を
凌ぐものを感じながら駅のホームに上った。
(本日の歩行時間 3時間33分)
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