山を駈ける風になれ2001年2月号

1月3日(水) 山南/蛇山(2.5万図 丹波和田)
 2001年になりました。21世紀の始まりです。走り初めに選んだのは山南町の蛇山。「巳年」にち
なんでとはかなりイ−ジーな選定ではあるが、正月休みでダレ切った体に喝を入れるこの往復140
kmのコースは結構ハードだ。
 前夜下見に行かれた「丹波のたぬきさん」(母たぬきさん)からのFAXで蛇山〜応地坂ルートは
道路工事に伴う森林伐採でMTBを担いで下るのは難渋するとの情報を頂き、和田小学校裏から山頂
経由で稲荷坂へ下りるハイキングコースに変更、6時42分まだ暗い中を出発する。
 スタートから強い西寄りの風に加え、正月3が日で体重が3キロも増え、ベスト体重よりも4.5キロ
重たくなっていることから、赤坂峠を大幅な最遅記録で通過、その後も各ポイントで最遅記録をマー
クしながら9時28分谷川、9時57分登山口の和田小学校前に着く。
 「登山口は小学校の校舎裏手より」と書かれてはいるが、どこから校舎の裏にまわったらいいのか
よくわからないので開いている正門から中に入って校舎の裏へ回る。石段を上がったところに「岩尾
城址」の説名板を見つける。どうやらこれがハイキングコースらしい。安心したのがいけなかった。
 何も考えずに目の前の道をどんどん進むうちに校舎の裏山を西側へ続いていた道は突然急激な登り
に変わる。小さなシダが密生する雑木薮の中にいくつもの踏跡が現れる。登り易そうなところを選ん
でザレた急斜面や、小さな岩場をクリアしていく。いくらなんでもこんなハイキングコースはあるま
い。南曲輪跡から南に伸びる尾根筋を登っているのは早くからわかってはいたが、戻るのも面倒くさ
く、そのまま強引にヤブ漕ぎをしながらよじ登る。途中で猟犬をつれて下りてくるハンターと出会う。
一直線に登れば山頂に行けるよ、との心強い助言を頂き、尚も強引に登れば一段と傾斜が増してきた。
落ち葉で足元が滑る上にMTBを「押し」「担いで」の藪漕ぎ。はっきり言って今迄で最もきつい。
何で正月からこんな目にと思いながら挌闘を続けること40分、南曲輪跡にポンと飛び出した(10
時45分)。
 右手からいい道が上がってきている。えらいタイムロスだ。少しだけだがMTBも乗れる。もうハ
イキング道なのであとは簡単。MTBを担いで最後の一登りで岩尾城址天守台跡に到着(10時55
分)。南側が伐採されていて抜群の展望だ。石金山がよく見える。ベンチも設置されている。天守台
のすぐ北側の最高点にもベンチが設置されている。少々風は強いがお食事タイムに。
 11時15分稲荷坂目指して出発。と下り口に大柿さんのプレート発見。300mラインまで下り
てくるとMTBの乗車率はアップ、あっという間にCa310ピークに登りかえすと再び連続乗車区
間が始まる。11時58分、258標高点との鞍部に到着。「押し」がきついかなと思ったがすぐに
登り切ってしまい、下りに入る。最初急で乗れなかった山道も次第に連続乗車が可能になってくると
道の左右に石仏が現れ、そのまま稲荷神社の境内に入ってゴールイン(12時07分)。
 久しぶりに強烈なヤブ登りをしたのであとの印象が薄くなってしまった。帰りは追い風に助けられ、
途中食料補給しながらも15時36分無事ゴールイン。
      (本日の走行距離 138km)

岩尾城址

石仏の快走路


    1月13日(土)三田・猪名川/東西奥山縦走(2.5万図 木津)  東西奥山とは猪名川の大野山と三田の鎌の尾との間に東西に横たわる600mに少々切れる山並み のこと。西奥山(592m)、東奥山(575m)に分かれる。昔、猪名川町側から関電の巡視路伝 いに東奥山(マップ「北摂の山々」では青ケ原)から向山(543m)に縦走したことはあるが、今 回は三田側から西奥山に取り付き縦走することを計画する。  今年第1級の寒波、昼から北摂地方は雪との予報にワクワクしていたのに、朝の予報ではただの曇。 ガッカリしながら6時42分出発、川西能勢口回りで杉生に。  ここから杉坂峠越えで三田市に入り、鎌ノ尾の北の布木谷峠を目指す。峠への道は5年前に通ったと きよりも荒れている。腐りかけた橋は今にも落ちそうだ。本日縦走路終点となる「火の用心No8,No9 」を右手に見て荒れた道を押して登り、8時50分杉坂峠に到着。気温−1℃。  少憩の後、興醒めなゴルフ場横の下りに入る。高速で下るということは自分で体感温度を下げている わけで頭がキンキンになる。林道に入り9時20分、布木谷峠到着。  西奥山へは右手の踏跡を登る。いきなり「担ぎ」のジグザクの登りを5分、緩い傾斜を「押し」、再 び少し「担ぎ」あげるとザレた斜面に低い松が生えるビューポイント。鎌ノ尾や小柿の集落がよく見え る。乗車のできる箇所もある。とにかく倒木が多い。Ca520等高線の小ピーク付近は立ち入らせな いように荷造りに使う白ビニールテープを細く裂いてそこいらの枝に結び付けていて、通過に難渋する。  それでも「蜘蛛の糸」地帯をなんとか通過、もうすぐ山頂だ。地形図の破線は西奥山山頂592標高 点を通っているが、実際は少し西側を巻いてNo15の鉄塔に通じている。10時10分鉄塔に到着。 MTBをデポし、ヤブをかき分けて西奥山頂上に立つ。592m登頂標などない静かな山頂だ。  鉄塔に戻り軽食休憩。雑木ヤブ越しに天上畑が見える。20分ほど休んだところで行動開始。No1 4の鉄塔目指して出発だ。ここからは巡視路を行くことになる。まずはいきなり連続乗車のハイスピー ド区間。こいつが断続的に現れる。今までの苦労が喜びに変わる瞬間だ。谷を大きく迂回しながらNo 14の鉄塔へ行く手前でシカとクロス。No14の鉄塔を過ぎると南に展望が開ける地点も現れる。こ こで調子に乗りすぎて「No13へ」の標識を無視して直進、ヤブの中に突っ込んでしまう。黄色いテ ープが巻いてあったので行ってしまったが、どうして道でないところに入りこんでしまうのだろうか。 ようやくの思いで軌道修正、一旦北に振りながらNo13の鉄塔へ。この手前の小高いピークが東奥山 (575m)だ。ここは頂上といわれてもピンと来ないピークだ。  少し周囲を散策して先へ進む。急坂の下りが現れる。擬木階段が現れ乗車できない。ここから先この 階段が頻繁に現れる。一旦大きく下って鞍部に、再び上り返せばNo11の鉄塔分岐。向山(543m) ピークをクリアして下ると535.0m4等三角点に到着(11時35分)。傍らの木に「向山」の登 頂標がかけてある。正確にはここではない。No10、No9と走り継げば縦走路も間もなく終わり。  11時56分、朝杉坂峠へ向かうときに通った山道に合流。12時のサイレンを遠くに聞きながら杉 生へと下りの道を辿っていった。 (本日の走行距離 80km)

西奥山 南尾根からの展望
手前は鎌の尾、背後は大船山

西奥山〜東奥山間の
ハイスピードシングルトラック


1月20日(土)三田・篠山/虚空蔵連山縦走(2.5万図 藍本)  先月の石戸山〜高見城山が好評だったようで、次は参加したい、早く行こう、との声に押され、第2 回ヤブ山歩きを開催する。途中参加予定メンバーが膨れ上がったりしたが、強烈な寒波にやられたりし て結局メンバーはR姐御とミスBの独身2人組。R姐御は本人申し出により「コンパス姫」と改名(い きさつについては12月2日のレポートを参照されたし)。更に加えて今回はスペシャルゲストとして、 独身マウンテンバイカー代表、当HPの持ち主島田氏にご登場をお願いする。技術と経験と知識は文句 なし。ただひとつ気がかりなのは、ただでさえ寒い冬の山の上で「さぶい」おやじギャグを連発して彼 女達を凍死させてしまいはしないかという点。  乗り合わせる列車を7時55分発篠山口行各停と連絡、自分は8時23分宝塚から合流する。9時す ぎから雨との予報が気になるところだが、後のことは現地に行ってから、と楽天的な考え。幸い曇りの 内に藍本駅に到着する(9時01分)。  島田氏はすでにお待ちかねだ。互いに挨拶を済ませ、裏参道ルート登山口目指して歩き始める。先週 は北摂ラリーで大奮闘されたろうに(トロフィーをゲットされたそうな)さすがに元気印人間だ。いき なり「おやじギャグ」の連発を始める島田氏。残念なことにすでに寒さで凍っている彼女達は反応なし。  「裏参道登山口」の標識に従って左に折れ、林道を登り出す。ここでいきなりミスコース。危ない危 ない。すぐに修正して静かな山道を登り出せば、足元に霜柱が、そして徐々にうっすらと雪が残る道に 変わり、虚空蔵堂に到着(9時47分)。雪がちらつき始めた。島田さんと虚空蔵堂の由来や鬼瓦を見 ている間にコンパス姫達はお堂にお参り。「記帳をしてきました」という2人に「DMが届くで」とい う島田氏のジョーク、「ヘーそうなんですか」と何の返しもない返事に島田氏凍りつく。  ここで先頭をミスBに変わってもらい先に進む。役行者像を過ぎた辺りから雑木林の中を一本の白い 雪道が続く叙情満点の山歩きに変わる。どんどん雪の降りは強くなってくる。10時15分丹波岩の露 岩到着。残念ながら雪で辺りは真っ白、何も見えない。すぐに山頂に移動する。登山口からちょうど1 時間。かすかに和田寺山が見えるが降りしきる雪で何も見えない。島田氏、無線で交信を試みるが反応 なし。確かにこんな悪天の中登る物好きはいないだろう。

登り始めはまだ、うっすらの積雪

頂上は寒い


 せっかくの頂上、ベンチまで用意してあるが、こんなところでのんびり立ち止まっていたら笠地蔵に なってしまいそうなので先を急ぐ。ここからは先頭を島田氏にお願いする。稜線はよく切り開かれてい て歩き易い。地形図の三田市と旧今田町、旧丹南町の境界分岐に「オロ峠へ」の標識。標識に従って左 へと急激に下る。雪と落ち葉とプラ階段で滑り易い。コンパス姫のにぎやかな声が雪山にこだまする。 目の前にCa540ピーク(これが八王子山らしい)を見ながら降り立った鞍部にはNo14の鉄塔が立 っている。  「さあ登り返しだ」といいながらスタート。ところが少し登っただけで山腹の東を巻く様子、どうや ら途中で分岐を見落としてしまったらしい。関電の巡視路を歩いている。山腹を巻きながら標高をどん どん下げて行く。雪で滑り易い足場の悪い道が続く。「遭難の2文字が浮かんできた〜」といいながら 楽しむ島田氏。が、どこかにルート修正の道があるはずということで尚も山腹を巻きながらも下り基調 の巡視路を行く。と、ちょうど高圧線が分岐する辺りで西に直登する道を発見。「山友会」の標識もか かっている。「これだ」と元気を取り戻し激坂を直登する。  今までいい加減滑りやすい雪道を苦労して歩いてきたコンパス姫とミスBには少々きつい登りだ。ア ドベンチャー度は更にアップ、ふだん淡々と歩いているミスBも気合をいれる声がもれる。  激闘の末11時20分、496.1m八王子山三角点に到着。北向きの三角点は3等だ。ここで本来 の稜線通しのルートに合流。周囲の木も低く、晴れていればかなりの展望が期待できそうなピークだ。 今日は真っ白。おまけに少し雨まじりになってきた。北に向けて先を急ぐ。「こんな細い道を行くんで すか?」とミスB。でも他に道はない。稜線を下りきったところで左右に分岐。ここは右に行く。赤テ ープに「油井」の文字を確認する。道は判然としない部分もあるが、赤テープがところどころ巻いてあ るので確認できる。

だんだん険しい道に・・・

八王子山への登り返しはさらに険しい


 またまた滑りやすい道を下る。島田氏は足スキーを楽しむかのように軽やかに下っていく。山道は下 りきったところで先ほどの関電の巡視路と再び合流する。明確となった道はそのまま417ピークへ登 り返す(11時50分)。雨が再び雪に変わってきた。Ca390山上山への稜線から油井の集落とJ Rの線路が近くに見える。雪と岩と落ち葉の三重奏は本当によく滑る。なのにとことこと小走りで摺り 抜けて行くコンパス姫。ついにキレたかと思ったがそうでもないようだ。しかしいたるところで雪道に 穴を開けている。私も救出に向かったつもりがつかんだ枝が折れて姫の下敷きになったりと大変だ。  鎖が垂らしてある山上山の岩場は島田氏が運良くルートを間違えてくれたおかげでパスすることに成 功、北東に向けて最後の下りに入る。滑りやすいのは相変わらずだが、周りの木が植林に変わり出す頃 には傾斜も緩んできた。足スキー縦走もどうやらENDの時を迎えたようだ。  12時10分、油井と上小野原を結ぶ道路に出る。下界も雪で一面の銀世界だ。余韻を楽しむかのよ うにしんしんと雪の降る中を周囲の景色から浮いた4人が歩く。草野駅の無人のホームでミスBから温 かいスープを頂く。山の中では寒くてとても弁当を食べるどころではなかったのでホッと一息、といっ たところ。12時47分大阪行き快速に乗り込む。酒垂神社に車を停めてこられた島田氏とは藍本駅で お別れ。お忙しい中クソ寒い雪中山行にお付き合い頂きありがとうございました。 1月21日(日)篠山/冬景色ツーリング(2.5万図 篠山、宮田、村雲)  昨年10月に走ったK氏と。K氏の関西滞在生活もまもなく丸5年、そろそろ東京へ帰還命令が出そ うだという。残り少ない関西での日々、丹波篠山の風景を目にしっかりと焼き付けておきたいので一緒 に走りませんかとの誘いを受ける。異論のある筈もなく2つ返事でOK。10時篠山城大手前広場、と 待合せ時間、場所を指定する。  K氏、この3月めでたく結婚の予定なのだが、仲人と新婦からは自転車禁止命令が出ているとか。東 京からは目が届かないので隠れて乗りまくるつもりだという。  朝起きてみると意外に暖かい。天気予報専門チャンネルでは6時現在3.1℃、天気もよさそうなの で7時02分ロードにまたがり出発する。昨日の虚空蔵山の疲れもなく快調に走り出したが、早くも生 瀬を過ぎた辺りから道の両脇に昨日の雪が現れ、名塩辺りから路面が凍結しているのかどうかわからな い状況になる。スピードを落とし、そろりそろりと赤坂峠を越える。峠は越えたら下るもの。いつもは カッ飛ばしコースだが今日は恐怖の下りだ。こんな繰り返しをしながら北へと走る。  それでも国道なので走行車線だけは水飛沫をあげながらもなんとか走りきれたが、篠山口駅手前で右 折、踏み切りを渡った途端、積雪量アップ、路面も雪という厳しい状況に陥る。そろりそろりと徐行運 転。マウンテンならいざ知らずロードでこんな雪道を走ってる奴はいないだろうなと思いながら9時1 4分、篠山の中心部大正ロマン館の前に到着。積雪量は10センチ弱、まずこんな日に自転車で市内を 訪れることもないだろうと記念撮影、続いて雪の篠山城を撮ろうと大手門入り口にロードを立てかけれ ば後から呼ぶ声が。  なんとK氏が車から下りてくるではないか。K氏も雪を心配、途中で私から中止の連絡が入るのでは と思いながら早めにやってきたという。天気快晴、ひなたに立っていればポカポカと暖かい。大手門前 広場は「新春篠山駅伝」が始まるとあって雪の上で出場者達がアップをしている。連日忙しく体調を崩 して昨日まで熱もあったというK氏、でも走らないとストレスがたまって治るものも治らないという。 今日の青空は自転車乗りにとっては最良の薬といえるかも知れない。  K氏の準備を待って10時05分、大手門前広場を出発する。「こんな雪道をロードで走るなんて変 な奴らだと思われているでしょうね」とK氏。違いない。交通量の多いところは雪が少ないが、車が雪 を跳ね上げながら行くので走りにくいし、交通量の少ない裏通りは積雪が多過ぎてまっすぐ走れない。 そんなわけで篠山盆地を取り巻く各地に点在する鄙びたお寺を巡る予定だったが、大幅にカット、雪景 色をメインに宇土観音、文保寺、大国寺をゆっくりと回り、黒豆の館で昼食タイム。身体が温まったと ころで出発。転勤が出るまでに再度ツーリングの約束を交わし、13時10分篠山城址に停めた車に戻 るK氏と別れ、かなり乾いてきた路面を快走、15時09分自宅に帰り着いた。    (本日の走行距離 119km)

大正ロマン館

こんな雪の中を
ロードで走る変な二人


1月28日(日)能勢/天王周辺雪遊び(2.5万図 福住)  この時季、北摂でコンスタントに雪道走りを楽しめるところといったら、籠坊から能勢天王にかけて のあたりと、三田の母子付近ということになろうか。先週のロードでの雪道走りで記憶を呼び覚まして しまったか、MTBで雪道を走りたくなり泉郷峠越えで能勢天王を目指す。  昨日の暖かい雨で雪解けが心配されるところだが、午前6時の気温2.9℃、昨夜の予報よりもかな り低めなので大丈夫かも知れない。お天気専門チャンネルで天気を確認、6時41分MTBにまたがり 出発。昨年からどうもMTBで思ったようにスピードが出ない。今日もまたペダリングが重いな等と考 えながら走っていると、中山を過ぎた辺りで前方にロードレーサーを発見。こうなるとまたぞろ追いぬ きの虫が動き出す。スッと後方に接近、一声掛けて一気に抜き去る。赤いフレームで小柄だったので女 性かと思ったが50くらいのおじさんだ。まだ自宅を出てから6kmも走っていないのにバトルになる のは御免蒙りたく猛然とスピードを上げて引き離す(川西能勢口で4〜5人のレーサーがたむろしてい たのでその人達の仲間だろう)。  ペースアップのおかげで巡航速度も上がり多田、広根、木津とまずまずの走りでクリアしていくが、 雪の気配が無い。道の両側に少しくらいは痕跡が残っていてもよさそうなものだがと進む内に杉生に着 いてしまった(8時06分)。  しばらく休憩を取り出発する。この調子では雪道走りは望めないかもと思いながら登っていくと杉生 新田手前のカーブ辺りでようやく道の脇に痕跡が現れ、カーブを曲がった途端、右手に真っ白な雪を被 った奥山(654.8m)が視界に飛び込んでくる。やはりここは別世界のようだ。県道と別れ、泉郷 峠への登りに入ると一段と積雪量が増える。やっかいなことに昨日の雨が雪を解かしながら凍ったもの とみえ、所々凍結している。雪の上を走ろうにもカチカチ状態で滑らかに走れない。  8時45分、泉郷峠を通過。籠坊への下りは北面になるため、凍結した積雪は更にアップする。バリ バリと音を上げながら下っていく。夏場は50km/hも出せる下りだが、今日はペダルを回さないと 雪の中で止まってしまいそうだ。何度も現れるカーブをスリップしないようにそろりそろりとクリア。 籠坊と天王の分岐で犬を散歩あせている人の方を見た途端、前輪が横滑り。かろうじて転倒は免れる。  さてここから天王への道は更に凍っている。もう雪道遊びどころではない。転倒せずにどこまで走れ るかというゲームに変わってしまった。走行速度は7−15km/h程度といったところ。車が走って くる心配はない。走りやすいところを選んで走る。ペダルをぐっと踏みこめば滑るのでそーっと回す感 じ。府県界を越え天王の集落まであと1kmとなったところで、路面全面凍結。MTBを担いで道路脇 の雪の塊の上を歩いていけば行けないことはないが、戻りもこの道を下ることを考えたらとても乗って 下れるような状況ではない。9時20分、Uターンを決意、籠坊温泉回りで雪道走りをすることに変更、 今登ってきた道を下る。  下りは上りよりも更に緊張度が増す。途中猟犬を連れたハンターに「すごいですねえ、滑りませんか ?」と訊かれる。目線を移したら滑りそうなので、前方をにらんだまま「滑りますよ〜」と返事。えら く受けたと見えハンターの笑い声を背中に浴びながら氷上MTB坂道下りを楽しんだ。     (本日の走行距離 97km)

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