山を駈ける風になれ2001年5月号

2001年4月1日(日)柏原/譲葉山〜清水山(2.5万図 柏原)
 柏原の譲葉山から清水山縦走を実行する。譲葉山は昨年2月に積雪に悩まされ山頂ピストンで終わっ
たという経緯があり、今年は雪が無くなるのを待っての再挑戦だ。5時55分、MTBで出発。せっか
く暖かくなったと思ったらここ数日は冬に逆戻りしたかのような気温だ。
 R176を三田、篠山、鐘ケ坂と走り、柏原駅前のコンビニで食料調達して奥村川沿いにある大安寺
登山口に向かう(8時38分)。昨日雪でも降ったのだろうか、辺りにはうっすらと白いものが見える。
植林帯の中を登る登山道は雪もなくずんずん押して行ける。登り始めて20分ほどのところで新しい丸
木橋が架かっている。去年橋が無く、雪の中を真っ白になりながらMTBを頭上に差し上げて越えた記
憶が甦る。
 更に10分ほどで尾根筋、20分でマイクロウェーブ反射板跡地に着く(9時28分)。去年ここま
で辿り着くのに1時間20分近くもかかったが、雪が無いと早い。反射板が無くなって格好の展望台に
なった。千ケ峰の白い姿がまぶしい。少し早いがここで軽食休憩。9時42分出発、3分ほどで譲葉山
山頂に到着。反射板からここまでは全線乗車可能だ。

反射板跡地より播但界山並み

 暫く休憩、稜線伝いに北に向かってMTBを押す。北への下り口にはプレートが架かっているので判 り易い。しっかりとした道で結構乗車できる。譲葉山山頂から20分ほどで3等三角点が埋まるこんも りとした山に着く。点名岩尾541.4mだ。分水界を辿るMTB山行は続く。ここからは倒木も多く なり、なかなか連続乗車とは行かないが、ピークの東側を巻く水平道もあり、整備すればいいシングル トラックになりそうだ。  567ピークまでの道のりは結構長い。近くに見えているのになかなか到達しない。岩尾から40分、 10時55分にようやく到着。京都の分水嶺を歩く会のプレートが架かっている。暫し休憩、麓の村か ら聞こえてくるのは11時のサイレンの音。ここで行程の6割くらいか。汗を拭って野村峠への下りに 入る。倒木の多い急坂だ。正面に551ピークの岩峰が厳しい表情を見せている。10分ほどで最低鞍 部。奥野村側へ下る道ははっきりしない。
向山連山ハイキングルート分岐

 11時25分向山連山縦走でなじみのある分岐に到着する。少し休んでいると硅石山方面から登って くる人の声。ちょっといいところを見せようと激坂を下ろうとしたが、いきなり滑って転倒。見られな くてよかった。急坂を担いで登り、硅石山から清水山分岐に入る。硅石を採掘した跡は爆裂火口のよう に口を開けている。標識に従って穴の左側の細い道を決死の思いでクリアするが、どうも道が判然とし ない。結局もっと歩きやすい尾根筋の道があったのに、崩れやすい斜面をトラバースして軌道修正する。  11時55分清水山(542m)山頂に到着。マイクロウェーブの反射板が視界の大きな部分を遮っ ているのでうっとうしいが、西光寺山、高山、猿籔などの西脇市境界の山々が反射板の右手に、左手に これまで辿ってきた山々が、その奥に三尾山、黒頭峰が並んで見える。  麓からまたサイレンが聞こえてきた。12時だ。まだ下山までには1時間くらいかかりそうだ。山頂 から西への下り口に「八幡神社へ」、「鳳翔寺へ」という標識があるが、当然MTBで連続乗車を目論 んでいる自分としては、鳳翔寺方面を行く。  最初ちょっと乗りにくかった山道も途中からは面白いほど乗れるようになる。相変わらず倒木は多い。 急坂が現れるが、ここは慎重に押して下るとまた連続乗車区間に変わる。416ピークの南側をトラバ ースするシダの多い道で調子に乗りすぎて谷側に滑り落ちそうになるが、山側に体を倒しながら左手で MTBのフレームを掴んで事なきを得る。更に進んだところで左右に分岐が現れるが、氷上町と柏原町 の町界(左)をとる。  下るに従いシダが深くなる町界の道は、だんだんと枝道が現れる上に倒木も多く、ちょっと見ただけ ではどれが本当のルートが判らない。結局適当に下っている内に地形図には載っていない小さな池のほ とりに下りてきた(12時45分)。どうやら清水山のほぼ真西、墓地マークのあるところらしい。登 山口から4時間少々、充実したMTB山行を楽しんだ。          (本日の走行距離 143km) 2001年4月7日(土)亀岡/八ツ尾山(2.5万図 埴生)  土日に付いていた傘マークが直前になって快晴の予報。喜ばしいことではあるが、気合の入れ直しが 難しい。とはいっても晴てるのに家の中でグズグズしてられるわけもなく、表題の山に登ることにする。 多紀連山の名峰八ケ尾山ではなくて、半国山の北方、園部と亀岡の境界にある山だ。  朝の気温12℃。このくらいが一番いい。5時53分MTBで出発する。北摂は今、サクラが満開の 時期で華やいだ気分でツーリングできる。今週は結構忙しく疲れているにもかかわらず、久しぶりにい いタイムで杉生新田までやって来ることができたのもサクラのお陰かも知れない。泉郷峠を越え、8時 ちょうどに能勢天王に着く。はらがたわトンネル分岐まで南下したあと岡牧場前を通り、峠を越えて瑠 璃渓を駆け下る。スピードを出し過ぎないように作られた黄色い縞々の盛り上がりが少々うるさいが、 サス付きのMTBではそれほど気になることもなく15分ほどのダウンヒルを楽しんで八田に着く(8 時29分)。
八ツ尾山

 ここもサクラにモクレンにとなかなか華やかだ。5分ほど休憩を取って出発。東本梅町赤熊で左折、 本梅川を渡り東本梅町大内の集落に入る(8時56分)。まずは、大内明神の大杉を訪れる。里に生え ている杉では京都府内最大級の大杉ということで、胸高周囲8.03m、高さ36mあると書かれてい るが、どうみても36mよりかなり低いように思える。福住にある安田の大杉(35m)と比べるとか なり小ぶりである。  詮索はそのくらいにしておいて先を進む。集落の中を通る細い道を左折し、突き当りの分岐(「右寺 道、左山道」の石標あり)を右にとって楽音寺に向かう。ジャリ道になって車止めが現れるが横をすり 抜けて進むと簡易舗装路に変わり、600mほどで楽音寺に着く。山号医王山、774年の創建と説明 板に記されている。さすがに口丹波、何の変哲もないような小さなお寺だが、天皇家ともつながりがあ る1200年以上の歴史を持った寺である。  苔むしたしっとりした道を辿れば奥の院。これまた境内一面の見事な苔。足の置き場に困ってしまう が苔の絨毯を飛び越えて山に登るわけにもいかず、行者堂の裏手に回り、植林帯の中に続く踏跡を辿っ て尾根筋に取り付く。地形図の破線は東隣の409ピークとの鞍部に向かっているが、踏跡は奥の院か ら北西に続いている。雑木ヤブがうるさい上に、かわらけのような色をした石の急斜面で滑りやすく標 高差のわりにはしんどい「担ぎ」が続く。  9時38分東端のCa450ピークに到着。奥の院から20分ほどだ。振り返ると鞍部を挟んで40 9ピークが尖った姿を見せ、その背後に亀岡、園部境界の低山が重なって見える。少し休んで三角点の ある山頂を目指し西へ稜線を辿る。雑木ヤブの中に細い踏跡が続いている。あまり訪れる人もいないの だろう、ふかふかに落葉が堆積している。山頂までは標高差もほとんどなく、見た目もっと乗れてもよ さそうな径だが、MTBですり抜けるには少しせまい上に、斜めに倒れ掛かっている木も多く激突しな がらの走りとなる。
八ツ尾山山頂

 9時48分、頂上。帰りも同じ径を戻るので倒木や折れた枝を片付けながら走っても10分しかかか らない。頂上は三角点のある周囲だけが、イノシシが暴れ回ったかのように荒れており、気持ちのいい 頂上とは言い難い。三角点は2等で北向きである。展望もなく切り開きから南に大内の集落が少し見え るのみだ。片隅に腰かけ、水分補給をしながらあたりを窺う。  町界沿いに北へ向かうルートも定かでなく、当初予定通りもと来た径を引き返す。帰りは先ほどのト レイルメンテナンスのお陰でなかなかに快適な走行を楽しむ。5分ほどでCa450ピークまで戻って きた。左側に市町界尾根を鞍部に下る細い踏跡もあるが、どうもMTBを押しての下りは難渋しそうな 細い踏跡。  結局まったく同じルートで奥の院まで戻るとそのまま寺の横を通過して簡易舗装路を下る。と途中で 一人のハイカーとすれ違う。こんな無名の400m台の低山を登るなんて、かなりマニアックな人もい るもんだと自分のことは棚に上げ帰路についた。          (本日の走行距離 106km) 2001年4月15日(日)氷上/鳴尾山(2.5万図 大名草)  昨夜の雷雨は大気中のホコリを洗い落としてくれただろうか。朝からすっきりと晴れ上がった空の下、 5時39分出発する。注文していたロードのタイヤが入ったこともあり、久しぶりにロードで現地に向 かう。夜間かなり冷え込んだのだろう、北六甲台から霧、10mもきかない視界はまるで晩秋の丹波路 を思わせるようだ。  若干追い風気味ということもあり、日出坂あたりで晴れ上がるとグングン加速、鐘が坂をMAX63 km/hで下り7時53分柏原を通過、氷上北のコンビニで食料を調達、三方の大カツラから少し奥に 入った林道の傍にロードをデポ、8時45分支度を整えて出発する。  幅の広い林道が続いている。枝道が現れるがあくまでも地形図通りに進む。溜池を過ぎ方須張山南麓 に向かう林道を右手に見送り舟坂峠への破線の道に入る。地形図では破線だが、実際は軽トラが走れる 幅の道である。大きな木が一本倒れている辺りからだんだんと道は怪しくなってくる。舟坂峠への分岐 が見つからないまま三ツケ谷を直進、最後はカベのような植林の斜面を気合もろとも登り切れば9時4 5分加美町との境界尾根に到着する。606ピークの100mほど北の鞍部だ。  境界尾根には明快な踏跡がついている。5分ほど休み稜線を南へ辿る。すぐに606ピークに着く。 「境」と彫られた石標が立っている。西の方にも径がある。このあたりからシャクナゲが目立つように なる。南東方向へ一旦下って登り返せばCa620ピーク、ピンクのリボンが暫く境界尾根を導いてく れる。ゆるい登りが続き始める頃から下枝を払っていない植林のヤブに変わりだんだん進みにくくなる。 ちょっとした岩場の手前で北西方向の視界が開ける。北の空の奥を丹波最高峰粟鹿山が遮り、手前に芦 谷、その左に三国岳がその勇姿を見せてくれる。  ヤブと格闘しながらCa700ピークに着いたが展望なし。ヤブの上に鳴尾山の頭が見える。ヤブは 更にひどくなる。急斜面の稜線を少し南の雑木ヤブ側に移動して立ち木に掴まりながら強引に直登、1 0時40分ようやく山頂に到着する。三角点は播丹国界より少し丹波側にある。雑木ヤブを乗り越えか き分け東に10mほど行けば3等三角点が埋まる頂上に。
鳴尾山山頂

 三角点のある周囲だけが10人ほどが休めるスペースになっている。視界は利かない。登頂標が一つ 架かっている。登り始めから約2時間、播丹界の山は懐が深い。ここで軽食休憩タイム。食べながらこ の後のルートを検討する。舟坂峠への道もわからなかったし、播丹国界の稜線もあれだけヤブがひどい となると鳥羽坂への道も残っているやらわかったものではない。どちらにしろヤブを行くのであれば、 展望が期待できるかも知れない東尾根を行こうと決める。  東へ下りる口にはオレンジ色のテープが巻いてある。案外歩けるかもしれない。どうやら当たりだ。 ヤブっぽい斜面を下ったあとは平坦な尾根に踏跡が続いている。山頂から7〜8分で北側に展望が開け る。東西に長く伸びる方須張山の稜線が目の前に広がり、その奥にカヤマチ山から水山に続く稜線が一 段高く連なっている。振り返れば鳴尾山が鋭く尖って見える。Ca670ピークのあたりだ。  尚も進むとススキの中にちょっとした岩が点在する地点に着く。山南町の妙見山の東端ピークに似た 展望台だ。こんな径も判然としない尾根筋に絶好の展望台があるなんて、これだけでも今日の山行は収 穫があったというものだ。山頂を目指さずにここに来て寝転んでいるのもいいかもしれない。
東尾根展望台から山頂を振り返る

 オレンジ色のテープは忘れた頃に現れる。真東に続いていた尾根はやがて南東へ分岐する。東の56 9ピーク方面はヤブがひどいので南東尾根を下ることにする。ミツバツツジが咲く明るい尾根ははっき りした踏跡が現れたかと思えば突然ヤブになったりする丹波ならではの難解なルート。歩きやすいルー トを求めてシカ除けのネットを何度も行ったり来たりしながらもう後少しというところで猛烈なヤブに 突っ込み強行突破で下りてくるとそこは、鳥羽坂方面への林道と芦谷林道が交差する地点(11時57 分)。名残のヤマザクラを眺めながら春の氷上路をデポ地までのんびりと歩いた。    (本日の走行距離 162km) 2001年4月22日(日)氷上・柏原/向山連山、譲葉山縦走(2.5万図 柏原) 12月、1月に続いて勤務先の女性達との山歩き「第3回 ヤブ山歩き」を開催する。前回から3ヶ月、 山歩きにいい季節になった。ヒカゲツツジの見頃を狙って表題のコースを計画する。メンバーはコンパ ス姫、ミスBの皆勤賞組にミセスF、今回がヤブ山ハイク・デビューとなるトレックF代の4名。更に 加えて今回はスペシャル・ゲスト、当HPや「かねちゃんのホームページ」でおなじみの「丹波のたぬ き」さんご夫婦がご一緒下さる。メールでのやりとりはあるがお会いするのは今日が初めて。楽しみだ。 7時15分、JR大阪駅発福知山行き各停、と乗り合わせる列車を連絡。7時44分宝塚から合流する。 9時09分石生着とこんなに早い時間にしたのも当日はヒカゲツツジお目当てのツアー登山の団体さん が登るかも、という「たぬきさん情報」を頂いての判断。昨日の雨もすっかり上がり朝から快晴、少々 風は冷たいが申し分のない天気だ。 石生駅に着くと、我々の他にも10人程度の中高年ハイカーが降りた。向山連山を登る人達であろう。 駅では向山連山ハイキングのパンフレットまで作って配っている。駅まで迎えに来て頂いた「丹波のた ぬき」さんご夫婦と挨拶、メンバーを紹介、準備を整えて出発する(9時25分)。初対面ではあるが メールでの話題もあり旧知の間柄のように話をしながら歩く。きれいになった水分れ橋の交差点を左折、 水分れ公園駐車場の横を通り観音堂登山口に着く。「丹波のたぬき」さんは地元の方と情報交換をされ ている。 さていよいよ登山開始。先頭を私が務め、2番手に今日がデビューのトレックF代、しんがりをたぬき さんご夫婦にしめて頂く。昨夜から興奮してなかなか眠れなかったと車中はしゃいでいたトレックF代、 いきなりの急登にますますハイになる。そのうち無口になるだろうと思っていたが、ゼイゼイ息を切ら せながらもしゃべり続けている。マウンテンバイカー志願トレックF代のマシンガントーク、恐るべし。 9時55分、二ノ山。登山口から15分、連日の仕事疲れかミセスFの足取りがいつになく重い。ここ で少し呼吸を整えて出発する。道も少し平坦になり周囲の雑木の新緑を眺める余裕も出てくる。10分 ほどで岩座展望所、展望を楽しみ三ノ山に向かう。三ノ山に至る山道はコバノミツバツツジ満開の道、 紫のトンネル。歓声を上げながら進む。 だが、今日のメインディッシュはヒカゲツツジ。亜炭展望所に向かって下るところにある1本はすでに 花が終わりかかっている。やはり遅かったのであろうか。花よりダンゴというのでもあるまいが、松ガ岡 展望所でトレックF代から弁当タイムの催促。確かに彼女達は朝食からすでに5時間近く経っている。全 員に向山三角点で昼食にする旨伝え出発する。このあたりから春日町側にヒカゲツツジの叢生があちこち に見られるようになり、心和む山歩きを楽しむ。花が落ちずに残っていてくれてよかった。 11時25分向山三角点に到着する。ここで三角点を前に記念の全員集合写真、続いて昼食タイムに入る。 ミスBがザックから大きなブルーのシートを出して敷いてくれる。花見の酒盛りでもやろうかという感じだ。 樹木に覆われたこの三角点ポイントは北東側に切り開きがあるだけでじっと座っていると強風と相俟って肌 寒い。ミセスFはザックの中から次々と衣類を引っ張り出してきては重ね着、挙句の果てにはタオルで覆面、 新聞紙を上着の下に入れて風除けの図。「それはどうみても怪しいで。」 丹波のたぬきさんご夫婦は無線の準備をされている。高星山へ登っている島田さん達との交信をするためだ。 まだあちらは山を登っている途中なのだろうか、始めは応答がなかったがその内高星山登山グループとつな がり、そばにいるわれわれにもはっきりと相手の方の声が聞こえる。 ミセスFではないが、確かにじっとしていると寒いので11時50分出発にかかる。とそこへ朝石生駅で 一緒に下車した中高年ハイカーの一行が追いついてきた。てっきり前を歩いていると思っていたのでビック リ。水分れ公園に寄ってから観音堂経由で登ってきたという。どうりでいくら歩いても追いつかないわけだ。 三角点の少し先で昼食タイムに入った彼らに会釈をし先を行く。 向山平に入ると水分れ公園登山口回りで登って来たハイカー達に次々とすれ違う。たぬきさんお知り合いの 方もいらっしゃるようで挨拶を交わしておられる声が聞こえてくる。さすがに顔が広い。10分ほどで五ノ 山に。ここでもたぬきさんご夫婦と顔なじみの一行とすれ違う。五ノ山からちょっと下って蛙子尾根。蛙子 展望台でパステルカラーの新緑の山を楽しんでいると無線機からどこかで聞いた声…島田さんだ。 12時35分、向山連山ハイキングコースと譲葉山方面との分岐に着く。丹波の山城跡を調べているとい うちょっと風変わりな青年と話をし、譲葉山方面への道を辿る。今までのハイキングコースに比べてナチュ ラル度アップ、トレックF代の野生が目覚めてきた。「川口探検隊みたいですね」と若いわりに古いジョー クを言いながら、後続のミセスFを振り切ってついてくる。ヤブ山歩き素質ありと見た。今日はいつも何か やってくれるコンパス姫も調子がいいようだ(あとで密かに階段上りで鍛えていたことを知る)。
野村坂への下り

いっきに下れば野村峠、ヤブっぽい落葉の斜面を登れば567ピーク(13時)。2人の先行者が休憩して いた。山慣れたご夫婦のようで567ピークから南西の尾根を下って行かれた。われわれは東へ。 いったん下り切って南に方向転換、あくまでも町界尾根を行く。ヤブとはいうものの明快な踏跡があり、お まけにくどいほどのテープがあるのでルートの間違えようがない。と、いいながら岩尾の北にある小ピーク でちょっとヤブの中を回り道、私から離れて歩いていたミセスF以下のメンバーは正規のルートを歩いてい て無事だったが、私のすぐ後を歩いていたトレックF代はもろに犠牲者、彼女を待ちながら立ち止まってし ゃべっているとようやくとんでもない方向から現れる…「おかえり。」 13時40分岩尾(541.4m)に到着。今日の行程も残り少なくなってきた。女性陣もようやく自分の 地図を広げて現在地を確認する余裕が出てきた。樹林越しに譲葉山が見える。「あと20分、標高差50m」 と元気づけ出発。どんぴしゃ14時に譲葉山山頂、権現堂の前に到着する。あまり貧相なお堂にコンパス姫、 「トイレかと思った」。そんなわけないだろ。
譲葉山権現堂にて

ここで本日2度目の集合写真。展望もなく薄暗い上に寒いので早々に日当たりのいいマイクロウェーブ反射 板跡に移動する。反射板が無くなっていたことはさすがの「丹波のたぬき」さんもご存知なかったよう。いい 展望台ができたものだ。日当たりのいい跡地にはワラビがたくさん生えている。母たぬきさんとミスBがワラ ビ採り。結構な量採れたところで最後の休憩も終わり。下山にかかる。 下り一本の道は早い。あっという間に大安寺観音堂まで下りるともう下山口まではあとわずか。 15時ち ょうどに東奥の林道に降り立った。長い歩行時間にも拘らず全員元気。織田家の廟所に立ち寄り、柏原総合庁 舎前にデポされているたぬきさんの車の横でティータイム。父たぬきさんから黒豆パン、母たぬきさんからホ ットココアを頂く。疲れた体に甘いものは嬉しい。黒豆パンは女性陣にも大好評だ。快活で愉快な母たぬきさ んともの静かで温かそうな父たぬきさん。名残はつきないが、いつまでも話し込んでいるわけにもいかず、ま たの再会を約して別れる。 柏原の街中をぶらぶら歩きながら駅の方に向かう。夕方に入り冷たい風が吹き出した柏原の町、16時23 分発の列車に乗って新緑の丹波路をあとにした。 2001年4月28日(土)篠山/衣笠山〜行者山(2.5万図 福住、村雲)  以前から計画しながら実行に移せなかった篠山盆地東部の低山を縦走することに。衣笠山は5年前に一度登 っているが、真夏で暑くピストンで終わった経緯がある。  5時38分出発。本日は当然MTB。前回より使用し始めた新しいシューズも足になじみ、快調に杉生、泉 郷峠、天王と越えて安田(福住)に下る(7時57分)。コンビニで食料調達、小野新から箱谷経由で東本庄 に。新緑の多紀連山が春霞に包まれている。朝早いこともあって車もほとんど走っていない。絶好のサイクリ ング日和だ。追い風にも助けられて30km/h台前半で走り気分は最高、頭の中はヴァン・ヘイレンのナン バーが流れている。  泉の交差点を右折、「佐貫谷」と書かれた標識に従い再び右折、衣笠山山頂まで続く無線中継施設への林道 を辿る。入口では林道の補修工事中で、ロードローラーで拡幅した道を固めている最中だ。確かに以前訪れた 時は雨水が道を抉っていた。  途中まで登ると前からの舗装路の道になり、高度を上げていくに従って瑞々しい若葉に包まれた雑木林に変 わっていく。登り口から30分ほどで衣笠山の山頂に着く。NHKとSUN−TVの篠山中継局がある。コバ ノミツバツツジの蜜を求めてクマバチがたくさん頭上をホバリングしている。金網越しに北西方向を眺めれば ひときわ高い三嶽が、南西の切り開きからは天狗岩方面の山並みが見える。急に鉄塔が増えて景観はよろしく ない。まだ9時前ではあるが、ここで軽食タイムとすることに。暑くなってきたので上はTシャツ一枚になる。
衣笠山愛宕神社

 15分ほど休んだところで行動再開。まずはすぐ北側にある衣笠山愛宕神社に参拝する。無線中継施設の横 から登れる。祠とベンチだけの簡単な境内だが、20m四方の広さはあろうか。祠の横から北側の展望がすご い。新田山から清滝山への稜線越しに峠山が頭をのぞかせ、小金ケ嶽から三嶽、西ケ嶽と多紀三山が間近で勢 揃いしてくれる。西ケ嶽の山腹(のように見える)にギザギザの道が見える。林道工事でもやっているのだろ うか、ちょっと気になる。
多紀連山。小金ヶ岳、峠山、八ヶ尾山

 さて道を戻り、大きく南へ下るところからヤブを西に下る。下り口に青いビニールテープが巻いてある。こ んな山径を辿る人もいるのだろうか。西へ続く尾根筋の径は倒木も少なく結構乗車できる。MTBのハンドル 幅より狭いところも多く、全線乗車とはいかないが、アップダウンも少なく踏跡もはっきりしており間違うこ とはない。ただ枝道も多い。  一ヶ所倒木で行く手を阻まれ難渋するところはあるが、それとて北摂、丹波の山ではいつものこと。ちょっ と急斜面を登るとCa470ピークに到着(9時38分)。行者山の東約300mの地点である。径は南にも 分岐している。ちょっと辿ってみたが、幅1mくらいのいい山道が続いている。  再び分岐に戻り西へ進む。今度は正真正銘連続乗車区間が始まる。くもの巣を気にしなければ300m連続 乗車だ。調子に乗っていると径は行者山の北側を巻いて北西の地形図の破線が交わる鞍部に行く様子なので、 軌道修正、正面のヤブをしゃにむに進む。山頂まで距離にしてわずか20mといったところだが、ミツバツツ ジとイバラのヤブ。強引に突き進んで9時45分、3等三角点のある行者山山頂(470.0m)に着く。こ こも当然のことながらまわりは雑木籔、じっくり座るスペースもない。
行者山の祠

 山名の由来となった祠はと雑木籔をすかして探してみると、三角点のすぐ西側、一段低くなったところに屋 根を発見。またまたヤブを掻き分けて祠の前へ降りる。こちらは落葉が厚く堆積したスペースがある。また南 から小径が伸びてきている。山頂の北を巻いて北西へ下っていく径とはつながっていない。  祠の前でゆっくり休んでから下りに入る。これまた涙が出るほど嬉しい連続乗車区間が断続的に現れる。傾 斜もそこそこ、道幅もまあまあのハイスピード区間だ。途中、東の尾根を眺めながら駆け下れる区間もあり、 変化に富んだシングルトラック。麓から田植え機の音が聞こえてくれば全長1.3kmの快走路も終わり。最 後は広い林道を右に折れると篠山五十三次、熊按神社の石段下に飛び出した。           (本日の走行距離 118km)

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