山を駈ける風になれ2001年8月号

 
2001年7月1日(日)福知山/姫髪山、穴裏峠(5万図 福知山)
2週連続土曜日が雨でつぶれるなど、ここのところ走る頻度が落ちている。日曜日は晴、南西の風の
ち北の風、という願ってもない予報(北に向かって走れば行きも帰りも追い風)に、遠出を決める。
予定走行距離約190km、自転車に乗ったことのない人には「オートバイで走ったんとちゃうの」
と信じてもらえない長さかも知れないが、ヨーロッパのロードのプロなどは、これ以上の長さの、
はるかに高低差の大きいコースを連日レースで走っており、別に驚くほどのものではない。
4時半起床、ウエストバッグに5万図1枚放り込み4時58分出発する。気温25.8℃、結局熱帯
夜になったようだ。今日は走りがメインなのでロードだ。無風。R176をまずまずのペースで北上、
丹南橋で三和町方面への県道に入る。宮田を過ぎ、黒豆の館あたりで北寄りの風に。まだ7時にもな
っていないのに早くも向い風?といぶかりながら栗柄峠、鼓峠を越え、風をついて本郷への下りを楽
しむ。
ここから菟原までの道は山間に点在する集落を縫うようにアップダウンを繰り返しながら、徐々に標
高を下げていく道で、ロードだと何度も50km/h近いスピードが出せ、メリハリの利いた走りが
楽しめる。平坦な氷上の道とは違った面白さがある。7時38分菟原。集落の中の古い道をゆっくり
流して水分補給、少憩の後R9に合流。福知山を目指す。向い風は気にならない程度で快走、やがて
工業団地の中を通り、土師川にかかる大きな橋を渡り8時18分、東堀の交差点に到着。家から90
km、3時間20分、さすがにロードだと速い。
昨年11月以来8ヶ月ぶりの福知山。お城の北を走っていると何故か「どっこいせの街、福知山」と
いうキャッチフレーズが頭に浮かぶ。「歌劇と湯の街、宝塚」というのも古臭いフレーズだが、「ど
っこいせ」よりはましかな、なんて思いながら去年ボリュームたっぷりの美味しいモーニングを食べ
た喫茶店に行くと、何と休み。仕方なく開いていた店に入るが、「高い、少ない、遅い」の3拍子揃
った店でげんなり…(8時55分)。
このあとR429を走って青垣町へ行くつもりだったが、長い待ち時間の間に姫髪山に登ることに変更。
姫髪山は福知山中心部から北西約4kmにある406.1mの山。もとは姫神山といったらしいが、
平安貴族のお姫様が黒髪をなびかせたような山容で、「髪」の字がしっくりくる。麓にある長安寺へ
は行ったことがあるので道も大丈夫だ。

新庄から姫髪山を眺める

登山口は長安寺霊園、左手奥の林道から。入り口に「ふる里探検隊」のプレートが倒れ掛かっている。 杉の木にロードを立てかけて準備を済ませて登山開始(9時15分)。林道は5分ほどで終点になる。 姫髪山は大文字焼きで有名なところ。大文字焼きの薪を運ぶためのトロッコを格納する小屋だろうか、 レールが山腹を巻いて森の中に消えている。ここからは植林帯の中をジグザグに登る道に変わる。時 節柄草深いがしっかりとした道がついており、10分ほどで鞍部に、更に5分ほどで火床の下に達する。 南面が開けていて眺めがいい。市街地を挟んで東に昨年登った鬼ケ城、南にはひときわ大きい親不知 がカベのように立ちはだかっている。火床の上を適当に歩きながら最上部に登り、山頂目指して雑木 ヤブの中に突入する。今までのハイキングコースから一変、深いササヤブの森になる。踏跡もテープ の類も一切ない。より高いところを求めてヤブをかき分けて進めば、チラッと測量ポールが見え、3 等三角点の標石が埋まる山頂に到着(9時40分)。登山口からわずか25分で着く小さな山だが、 予想外のヤブ。近くの木に登頂プレートが1枚かかっている。大門からヤブを漕いでようやく辿り着 いたと記されている。ここでは座ることも出来ないので先ほどの眺めのいい火床まで戻ることにする。 ところが、である。来た通りに戻ったつもりだったが、早めに南に振ってしまったらしい。背丈を超 すササとツルとトゲトゲの木が渾然一体となったヤブに突っ込む。見事に何も見えない。「平泳ぎ」 でササをかき分け、足を踏み出せば足が、首を突き出せば喉にツルが、よろけそうになって木につか まろうとするとトゲトゲの幹…。絡みつくのは姫の黒髪か。女難の相とは縁がないハズなんだが、と ジョークを考える余裕も次第になくなり、足を取られて2mほど転落。目の前のササヤブの向こうが 少し明るく見えるので、かきわけて覗いてみると目の前はゾッとするような急斜面のヤブ。態勢を立 て直して、再び山腹を登り直し、頂稜部から大きく東へ回り込む。 10時、ようやく火床の上に戻る。時間にして20分の迷走だったが、家から100kmも離れた山 中で道迷いを楽しんでいる時間的余裕はない。ゆっくり展望を楽しみながら味わうハズだったペット ボトルのお茶を一気に飲み干し、滝のように流れる汗もそのままに10分少々で登山口まで下りる。 低山あなどるなかれ。
穴裏隧道(福知山側から)

さて、ツーリングの続きだ。汗でびしょ濡れになったレーシングジャージも下っている間に乾いてし まった。R429に戻り穴裏峠を目指す。福知山と青垣を結ぶいくつかある峠の一つだが、トンネル で両方の町をつないでいる。平坦な道を走り、口榎原で左折。府道109号線に入る。きれいな水が 流れる川沿いの道だ。左手前方に溜池(豊富用水池)の大きな堰堤が見えてくる頃から勾配がきつく なりだす。先ほどヤブの中でエネルギー・ロスをした分、ここはインナー×ローでじっくり上ることに。 10時56分、何度かカーブをクリアした末にトンネルに到着。「穴裏隧道」。苔むした風情に時代 の重みが漂う。トンネル内のカベも至るところ水が伝って流れている。カメラに収め、ギアをアウタ ーに入れて一気に下る。連続カーブの下りを攻め、東芦田から県道7号線に合流する(11時08分)。 青垣岩屋山、カヤマチ山〜水山、安全山。振り返れば五台山から五大山へと続く山並みが周りを取り 囲んでいる。私にとってはおなじみの山々。暑さは厳しいが、おあつらえ向きの追い風、足を休めな がらも30km/h台前半のスピードをキープ、再び県道109号線に入り一路南下、昼食休憩、カ キ氷休憩、飲んだら熱かった無料の薬草茶、2度のパンクなど、道中いろいろ楽しみながら16時過 ぎ、久しぶりに走ったという実感を抱いてゴールイン。風呂に水を張って飛び込んだ。      (本日の走行距離194km) 2001年7月7日(土)川西/一庫、山下古道(2.5万図 広根) 3週連続で雨かとあきらめかけていたら、直前になって予報が好転。こんな時にと以前からあたため ていたショートコースを走ることにする。雨は夜中まで降っていたようだが、朝起きてみれば晴れ、 路面も乾いている。5時56分MTBにまたがって出発。まずは川西能勢口回りで猪名川町南部の超 低山、高塚山(146m)を目指す。 県道川西篠山線を北上、猪名川町役場前を右折、柏梨田に入り東南東麓にある寺マークから登る。小 さい文字ながらも地形図に名前が記されている。6時52分、お寺着。真言宗善福寺、山号は「自然 山」、名前は大きい。 寺の北側にある霊園の横から山に入ろうとしたが、径は無い。ここんところ本当に雑木籔を体で押し 分けながらの山歩きが続く。枝を掻き分けながら進んでいたが、どうやら真北に向かっている様子。 高塚山は谷を挟んで西側だ。一旦戻り霊園横から寺の裏手へ回りヤブの中に入る。谷筋に沿って踏跡 がある。すぐに暗い溜池に突き当たって踏跡はなくなる。そこで池の堤を通って谷の反対側に回り、 雑木と植林帯の境界を直登する。山頂部分はまたもや籔。体を縮めながら雑木籔を強引に突破、深夜 までの雨の雫を全身に浴びながら高塚山山頂に到着(7時20分)。石の境界杭があるだけでまっす ぐ背を伸ばして立っているスペースもない頂上だ。山頂周辺を探索したがやはり同じ。結局何も無い ヤブ山だった。お寺まで戻りずぶ濡れになった手足を拭う。
高塚山頂上

さて、次は一庫へ移動。といってもダム湖を周回するのではなく、ダムの下、地形図の温泉マークの あたりから178標高点に向かってついている破線の道を辿り、稜線を東に走って笹部へ南下しよう というというつもり。 能勢電日生線に沿う道を左折、渓谷の温泉街といった雰囲気の道を抜け、かに工房の前を通ってダム の下に(7時53分)。温泉マークのあたりは小さな公園になっているが、温泉に関する説明板のよ うなものはない。山側にお堂が立つ手前に、古びた石段とそれに続く山道らしきものを見つけたが、 雨の雫をいっぱい含んだヤブの急登、さすがに季節を変えないと行けそうもない。あっさりとあきら め下財の大昌寺と書いてある鳥居マークから伸びている破線を辿って登ることにする。 お寺と鳥居マークというのは変だが、平野神社という神社が大昌寺と隣合わせに立っている。地形図 には神社の名前と卍マークが書いていないだけのことだ。8時28分平野神社着。新興住宅地がひし めく川西市だが、このあたりは昔の川西の面影を色濃く残している。 さて、地形図の破線の道だが、神社の右手奥から寺の塀の外側に並行してついている33番札所巡り の道がそれだ。はじめジグザグの登り返しだった札所巡りの道は、嘉永2年の銘がある御神燈のあた りで支尾根に乗り、上りにも拘らず連続乗車できる嬉しいシングルトラックに変わる。破線の道が北 に向くあたりからは地元のハイキングクラブが付けてくれたか親切なプレートも現れ、ますます走り やすくなる。 神社を出て20分ほどでダム湖展望台、城山方面と新光風台方面の分岐に着く。地形図では破線はT 字路になっているが、実際はY字路になっている。いい眺めが得られるのならとダム湖方面の径を辿 る。一部ヤブが深いところもあるが、確かにいい展望ポイントだ。少し山側に登れば242.2m4 等三角点、本来辿ってくる予定だった道が西から伸びて来ている。 元来た道を分岐まで戻り、新光風台方面へと進む。これまでの道と違って倒木、ササヤブの深い押し 辛い道が続くがそれも最初だけ。「山下古道」と呼ばれるこの道は次第にしっかりとした道になり、 235標高点のあたりで新光風台と笹部へY字分岐(9時28分)。右の笹部方面を採る。
快走S/T 山下古道

分岐から100m足らずで左手から現れる幅のある山道に合流、緩い尾根筋を下る破線路に入る。ほ とんど一直線に下る道は快適そのもの。テクニックなしの連続800mカッ飛び区間、あっという間 に麓まで下りてきた(9時38分)。近場にもいいMTBコースがあることを確認、大昌寺まで戻り、 全身にくっついたクモの巣を払い帰途についた。(本日の走行距離 49km) 2001年7月14日(土)篠山/後川奥林道〜大タワ周回(2.5万図 福住、村雲) 東京に転勤したK氏より、篠山を走りませんか、とお誘いメール。四国へ出張のついでに週末大阪で 過ごすのだそうだ。あちらでは自転車で走る気にならないとボヤいていたK氏、久しぶりにスカッと したいのだろう。実は篠山にロードを一台置いているそうな。 勿論OK、待ち合わせの場所と時間を指定する。但し私はMTBだ。というのも元々表題前半部のコ ースをMTBで周回する予定をしていたので、そこを走り終えてから合流することに。ヤブ山走りに 炎天下、集合場所の篠山城下に到着した時点で、既にヘロヘロになっている可能性大。 少しでも涼しいうちにと5時29分自宅を出る。午前5時の段階で気温27.5℃、少し曇ってはい るが、非常に湿度が高い。川西能勢口回りで北上するのだが、すでに中山あたりで汗だくの状態。そ れでも何とか屏風岩の辺りまではいつもと同じペースで走ったが、湿度の高さに徐々にペースが落ち 始める。確か去年、能勢の竜宮山に登った時も同じように湿度が高くフラフラになったことがあった が、あれも7月中旬だったな、などと思いながら杉生、杉生新田と小刻みに水分補給をし、7時31 分後川上のドライブイン前に到着。 西峠を下っても涼しくないし、汗が止まらない。周囲の大野山や三国ケ嶽からはさかんに水蒸気が上 がっている。要はサウナ状態なのだ。休憩しているとロードレーサーに乗った人がやって来た。見事 なロード焼けだ。かなり走りこんでいるのだろう。蒸し暑いですね、といいながらもさっさと水分補 給をして城東トンネルに向かって上っていった。 少憩の後、行動再開。後川下を右折、母子方面に向かい、後川奥手前から曽地奥に抜ける林道の上り に入る。去年来た時はまだ工事中だったが、舗装されている。昨日の夕立の影響か、路面には一面木 の枝や葉っぱが散乱しているが、舗装のおかげで難なく上れ、8時峠に到着する。 当初の予定では、ここから西へ尾根筋を辿り、543ピーク、561ピークと進み、584ピークの 手前から母子林道分岐に出るつもりだったが、この湿度の高さにバテバテ状態。西尾根へは高さ2m のフェンスが張り巡らされ、昨年鉄塔工事でダンプが出入りしていたゲートも鍵が掛けられていてい る。予定を中止しても「言い訳」が…。 そんな弱気な考えも起こってしまうほどの蒸し暑さだが、やっぱりせっかく来たのだから、と取り敢 えずMTBはゲートに立てかけておいて中に入る。483標高点の手前に鉄塔が一基立っており、そ こまではダンプが通れる道幅がついている。すぐ南のCa480あたりはちょっとした広場になって いて、長さ1.5mくらいの白いプラスチック製の筒がいっぱい立っている。遠めにみると卒塔婆の ように見えるが、実は筒の中にはコナラの幼木が植えられている。周囲の環境を復元するためなのか、 それとも公園にでもするつもりなのか。
母子林道方面へは踏み跡が続く

鉄塔工事で切り開かれた道もここまで。Ca490ピークから南西に向かっては稜線にしっかりとし た踏跡がついている。少し先まで辿ってみることにする。アカマツ、コナラを主体とした雑木林の中 の径は意外に涼しい。MTBですりぬけるには、ぎりぎりの幅だが、いい径が続いている。どこまで も歩いて行きたかったが、MTBを置いてきているのでそうも行かず、戻って曽地奥に下り、篠山城 下に入る(9時05分)。 K氏との約束時間は10時なので、冷房の効いた市民会館に入り、クールダウンと少し仮眠、待ち合 わせ場所に向かうと既にK氏お待ちかね。互いに1月以来の再会を祝ったところで10時30分出発。 K氏、まずは顔なじみの店に一軒々々寄ってご挨拶。店先で冷たい黒豆茶を頂いたところで瀬利へと 向かう。周囲の風景を噛み締めながら走っている。走りたくてうずうずしていたロードのK氏と既に ヘロヘロのMTBの私。後をついて行くのはかなりきつい。それでも何とか大タワ、藤坂峠と周回し て篠山城下へ戻ってくる(13時05分)。 特産館ささやまで篠山牛の牛トロ丼を食べながら暫し篠山談議、今日の43kmの周回コースはお手 軽で久しぶりの走りを楽しむにはちょうどよかったみたいだ。あとまだ何軒か立ち寄ってから車で帰 るというK氏と別れ、途中三田でかき氷を食べながら家路についた。 (本日の走行距離 154km) 2001年7月20日(金)三田・篠山/海見山周辺林道(2.5万図 藍本、篠山) 「海の日」にちなんで「海」の字が付く山を、ということで表題のコースを行くことに。山南町にも 大海山があるが、今日は近場でまとめたい。それに地形図では山の東側に蛇行する林道が何本も記さ れており、この時季向けの林道走りが楽しめそうだ。 5時の気温23.9℃は湿度もそう高くなく気持ちいい。5時27分、MTBにまたがって出発する。 一部トラック・ドラフティングをやったおかげもあり、赤坂峠への上りでこれまでのMTB記録を5 0秒近く上回るスピードでクリア、以後も快走を重ね、7時03分には林道入口の184標高点ポイ ントに到着する。 林道と旧道の分岐に道標がたっている。「右 やま、左 古市」と読める。ちょうど家の門の前だ。 さて、ここからは北東にのびる林道を上る。渓流沿いになだらかに標高を上げていく道で、結構道幅 もある。その内地道に変わるだろうと思っていたが、一向に簡易舗装の道は途切れず25分ほどで別 荘地の入口に着いてしまった。 「愛もと高原」と書いてある。そういえばバブルの頃、そんな別荘地の分譲広告を見たことがあった。 なんだ、林道は別荘地の中の道路だったのだ。地形図にも家のマークが点在している。まさかこんな 山の中に別荘があるなんて…。 林道をすべて走ってみようと思っていたが、別荘地と判ればそんな気もなくなってしまった。470 標高点の南を巻きながら海見山北東方の破線の道に続く道を走り、海見山北の鞍部へ行くことにする。 走り出したはいいが、それほど大きな蛇行もなくどんどんと道は標高を上げていく。別荘の方も無住 ではなく、住んでいる人もいるようだ。別荘の入口から2kmほど上り詰めたところで大きく右にカ ーブしているところに到着(7時55分)。 山に向かって赤リボンがぶら下げてある。谷のどん詰まりまで上がってきたようで、赤リボンのとこ ろから山の中に入って北を見ると急な傾斜で落ちている。おまけに東の方には現在地より一段と高い 山が聳えている。一体ここはどこだ? どう考えても予定の林道ではなさそうだ。地形図よりも実際の林道は奥まで続いているのか?地形的 には柏野山北東のCa540ピークの東側鞍部だったら符合するのだが舗装路の林道はまだカーブし ながら上っているようでなんとも妙だ。でも山への登り口はここしかない、というカンのようなもの でMTBを担いで山に分け入り、西へ続く踏跡を登る。赤いプラ杭が等間隔に現れる切り開きで8時 11分頂上部にプラ杭が立つコブに到着する。 ヤブが深くなり一瞬踏跡を見失いかけたが、よく見れば西に下りながらも続いている。3分ほどでな るい鞍部に。静寂の森だ。踏跡は小径となり明確に。部分的には乗車可能な場所も現れる。それにし ても登りが続く。別荘入口の標高から考えて海見山より高いんじゃないかなどと思いながら押し上げ ると、突然見覚えのある界石と赤いプラ杭2本が大きく枝分かれした木の根元に埋まる頂上部に到着 (8時25分)。 柏野山だ。ご丁寧なことに最近付けられた登頂標にも「柏野山」とあり、再確認完了。なんてことだ。 目的地より2kmも離れた山に登ってしまった。ということは最初から違う別荘地の道に入り、先に 続く地形図の破線の道もすでに舗装路に変わっていた、ということなのだ。じゃああの赤リボンはM TB登山の大柿氏のもの? ここから先、海見山までの道は時季も時季ということでかなりのブッシュも予想される。違うルート はないものかと探していたら南へ黄色いテープが続いている様子。MTBを抱えながら倒木を乗り越 え黄テープを追っていくと、尾根筋を下りかけたところでテープが無くなる。いかん、今日もまたヤ ブ漕ぎだ。結局MTBは大きなお荷物状態で斜面を下る。ヤブと格闘すること30分、小さな流れを 渡り別荘地林道の中ほどに降り立つ。林道の下りは予想以上に激斜面。爆走モードで下れば以後も爆 走、赤坂峠からの下りでMTBerを猛スピードで追い越すとそのまま家までゴールイン。今日は足 も軽やかに回ってくれて助かった。         (本日の走行距離 80km) 2001年7月28日(土)篠山/倶利伽羅不動〜定利山(2.5万図 宮田) 毎年楽しみに連日テレビにかじりついて観ている「ツール・ド・フランス」も今日を入れて残り2日。 いよいよ明日はパリ・シャンゼリゼへ凱旋ゴール。昨日は総合2位につけているヤン・ウルリッヒに 最後に残されたチャンス、個人TT(タイムトライアル)だったのですが、結局総合1位のランス・ アームストロングがぶっちぎりのタイムをたたき出して今年も2位確定となってしまいました。ガン を克服して初めてツールに勝った99年のランスには感動しましたが、もうここまで強いとなると 「宇宙人」と呼んだほうがいいのかも。 そんなこんなで眠い目をこすりながら5時29分、MTBにまたがって表題のコースを目指す。ラン ス・アームストロングばりの高速回転走り(持続しないのが悲しい)で先週に続いて記録的なタイム で赤坂峠を通過、途中からは追い風にも助けられて7時48分栗柄峠に着く。西ケ嶽から三嶽にかけ ての頂上部は厚い雲に覆われている。 今日このコースを選んだのは滝を眺めて涼をとろうというもの。ついでに天々宇知栗さんの4月のレ ポートにあった定利山から杉谷へのルートも辿れるなら走ってみようか、というところ。自由金利商 品全盛のこのご時世、定利(固定金利)の山とは職業柄懐かしくもあるが、本当は「さがとし」山と 読む。従って名前の由来も金融関係ではない(あたりまえか)。 分水嶺の看板の横からまずは観音堂へ。木陰で少憩の後、定利山への取り付きを求めながら不動の滝 を見に行く。谷を挟んで走る県道77号線からは何度も眺めたことがあるが、下まで下りていって見 るのは初めてだ。連日の猛暑も影響しているのか、それほど水量も多くなく、滝壷の水も濁っていて、 涼を求めるというには今一つという状況。 それでも地元の人達からは信仰を集めているのだろう、2組の老人とすれ違った。私の方はといえば お参りとはほど遠い恰好をしているのだが、挨拶すると、「遠いところご苦労様です。」…確かに近 くはない。 さて、上に戻り赤い鳥居の続く階段や、「蛇の枕」と記された直径1mくらいの丸い石を眺めながら 踏跡を探していると滝の宮神社と書かれた祠の横にかすかな踏跡、植林を通して稜線も30mほど上 に見えているので、MTBを担いでいっきに直登する(8時06分)。 稜線には天々宇知栗さんのレポ−トの通り踏跡がついている。ただ、雑木の間をササが埋める少々 「押し」づらい径だ。おまけにクモの巣もひどく、「押し」ている時間とクモの巣を払っている時間 が同じくらい。展望はほとんどないが、一ヶ所、樹間越しに堂の峰から北西面のゴツゴツした岩場が 臨める所がある。クモの巣に加え、マツタケ山を示すテープまで現れ、雑木を押し分けながら登れば、 8時12分4等三角点が埋まる定利山山頂に到着。格闘していた割には6分で山頂についてしまった。 古い三角点だが、訪れる人もない里山にあるのが幸い、きれいな三角点で文字もくっきりしている。 少し休んで次に杉谷へと径を辿りはじめたが、ザックにべっとりと黄色いクモの巣がへばりついたの を期に撤退を決意、再び不動尊前に下り全身についたクモの巣をはがして水分補給を摂る(8時30 分)。 杉谷経由で栗柄峠を周回する山走りは秋以降のお楽しみに、ということで、杉谷池の北500mのと ころにある杉谷北東尾根との合流ポイントをチェックすることに。山の麓をぐるっと巡る農道を走り、 堰堤の手前を右折、本郷の方へ続く林道に合流、徐々に標高を上げていくと右へカーブする手前で左 から山道が合流してくるポイントを見つける。 MTBを置いて山道に入る。いい道だ。鞍部までは2分くらいか。杉谷から下ってくる踏跡は見つけ られなかったが、北の方には明確な道が続いている。先を行って見たい気にもなったが、今日はここ まで。向い風と変わった辛い帰路はまさに風との格闘、オフロードの走行が少なかった分余力が残っ ていたか、ラストはTT並のライディング・ポジションで快走を続けゴールした。         (本日の走行距離 114km)

表紙にもどる

『山であそぼっ』にもどる