山を駈ける風になれ2001年10月号

 
2001年9月1日(土)園部/船岡山(2.5万図 園部)
ここ数日めっきり涼しくなり朝晩は寒いくらいになってきた。ヤブ山シーズン到来、と言いたいが、
まだしばらく間がありそうだ。そんなわけで今日は京都丹波、船岡山までロードでひとっ走りする
ことに。
船岡山は仮称。JR山陰本線船岡駅の北西約1.5kmにあるCa420無名のピーク。日吉町と
の境界近くに位置する山で山頂にNTTの無線中継塔が建っている。
5時33分スタート。気温は適温。いつものように川西能勢口回りで泉郷峠、天王峠、天引峠と走
り継いで園部を目指す。これだけ涼しいと本当にラクだ。調子に乗って飛ばしていると川西能勢口
を越えたあたりで早くもスピードダウン。ペースを落として組み立て直す。
7時28分天王。所要時間はいつも通りになった。本日の最高標高はここだ。福住までの下りを楽
しもうとギアを重くし、踏み込むが足を休めるとすぐにスピードが落ちてしまう。どうやら向い風
は予想以上に強いようだ。朝早いせいか、たのみのトラック・ドラフティングもできないまま福住
に下ると、下界ではほぼ無風。これ幸いとペースを上げ、天引峠から園部川沿いの道を快走、園部
の市街地を抜けたところにあるコンビニで食料調達し、登山口の船岡を目指す(8時17分)。
ここから先の道は3年前に一度走ったことがあるが、逆向けだったので初めて見る風景といっても
いい。おまけに手持ちの地形図には載っていない京都縦貫道や、周囲の山々を繋ぐ鉄塔にだまされ
そうになるが、無線中継塔がよく見えるので大丈夫だ。8時27分船岡着。
手前にある378ピークに隠れて船岡山は見えない。秋の収穫作業が始まった村道を走り、お寺の
横から専用林道に入る。舗装された路面に砂利が浮いていてロードだと神経を使う。しばらくは続
くだろうと思っていた舗装路はすぐに途絶え、地道に変わってしまう。MTBでくればよかった、
と思っても後の祭り。その上いやらしいことにカーブの部分だけ舗装路に変わるので、ひょっとし
たらどこかで舗装路が続くのではないかとロ−ドをデポすることができない。
林道が大きく南にカーブする手前にゲート、その横の沢に水飲み場がある。顔を洗って流れる汗を
抑え、「押し時々乗車」を繰り返す。ゲートから200mほど進んだところでシマヘビが悠然とお
休み中。1.2mくらいあるだろうか、これだけ立派なヤツを養っていくだけの自然が残っている
ようで嬉しい。更に500mくらい行ったところでちょっとこぶりだが、またシマヘビ君に遭遇。
ヘビの多い山のようだ。

船岡山頂上深山から弥十郎方面

結局、最後まで「押し時々乗車」のまま山頂に到着(9時07分)。ゲートから2015m、標高 418mと記されている。もっともそれは中継塔が建っている敷地の標高で、山が削られていない 東西の高みは420m以上ある。展望の効く場所はないかと周囲を巡ってみたが、どこもいまいち。 仕方なく「NTT西日本 北京都支店船岡無線中継所」と書かれた前でお食事タイム。 15分ほど休んで下りに入る。といっても殆ど「押し」。中継塔の南面、林道横の斜面をよじ登れ ば、おお、遥か南西方に北摂最高峰深山と弥十郎ケ嶽の勇姿が臨めるビューポイント、本日唯一の 展望だ。グルっと北に回りこんだところには北西方向に林道が分岐している。日吉町との境界にあ る429.6m三角点のピークにも行けるかもしれない。つくづくMTBでないのが悔やまれる場 面だ。 すたすた下っていると今度は山手側斜面に真っ黒なカラスヘビが充電中。1mにちょっと切れるく らいか。ちょうど目の高さの岩の上に寝そべっている。本当にヘビの多い山だ。ヘビの観察ばかり していたのではいつまでたっても下山できない。 9時53分下山。帰路に着く。帰路は追い風、軽快そのものだ。今中大介のインターマックスの広 告ではないが、随所で「40km/hのエクスタシー」を楽しみながら12時すぎ自宅に帰り着いた。         (本日の走行距離 139km) 2001年9月9日(日)篠山/後川奥林道〜母子林道周回(2.5万図 福住) 7月に企画したコースへリトライ。前回は強烈な蒸し暑さと後半K氏との走りの約束があったので 「さわり」に留めたが、今日は続きを思いっきり走りたい。涼しくなってきたので脱水症状気味に なることもないだろうと5時33分MTBにまたがってスタートする。 日本の南海上に2つある台風から暖かい湿った空気が流れ込んできているのだろう、蒸し暑い。と はいえ、快調な走りで杉生、杉生新田とこなし、西峠を越えて7時28分後川上に到着する。 小休止した後、後川下から三田の母子へ抜ける道に入る。おとといの雨で空気中のほこりが洗い流 されたのだろう、三国ガ嶽(天上畑)がくっきりと見える。後川奥の手前で右折、曽地奥の集落を 結ぶ林道に入る。やはり2ヶ月前とは全然違う。7時52分、登り口から10分ほどで峠に着いて しまった。出合頭に2頭のシカの出迎えを受ける。 西に伸びる道はフェンスで塞がれ、扉にはカギがかかっている。とりあえず水分補給をしてからフ ェンス越えにかかる。フェンスの高さは2mくらい。MTBをそのまま担いで乗り越えるのは無理 だが、ちょっと頭を使えば簡単にクリア。また一つ技を体得した。
雲海の向こうに多紀連山

地形図の483標高点南の広場までMTBを押して行く。丹波霧の向こうに小金ケ嶽、八ケ尾山が 見える。篠山盆地は雲海の下に眠っている。広場の奥に張られているロープをくぐって雑木林の中 に入る(8時10分)。雑木林の中には踏跡がついている。道幅はMTB幅、ほとんど乗車可能で 思わず笑みがもれる。下りきった460鞍部で道は左右に分かれる。左は543ピークに向かう倒 木の多い踏跡、右は関電の鉄塔建設のために最近付けられたと思われるほとんど平坦なシングルト ラック。
シングルトラックを快走

斜面を削って作ったばかりか、道は不安定だが、これを行くのも悪くない。さあ行くぞと飛ばし始 めるといきなりコガネグモの巣にぶちあたる。それもご丁寧なことに2つだ。これはたまらん。見 事にネットに絡まってしまった。まともに目も開けられない。MTBを山側に立て掛けてクモの巣 をはがす。 だいたい取れたところで走行再開、こんどはクモの巣除けに木の枝を片手に持って走る。道は不安 定な上にせまいところでは幅30センチくらい。我ながらかなり器用な状態でMTBを操りながら 走っていると三叉路に行き当たる(8時23分)。 北へついている平坦な道の方がしっかりとしている。南は倒木が少々うるさい感じだが、これまた はっきりとした道がついている。どうやら地形図の543ピークの西にあるCa540ピークから 北に伸びる支尾根、462ピークとの間あたりにいるようだ。 462ピークへ向かう道の方がよく踏まれているのは鉄塔が建っているからだろう。ここで本来の 稜線走りに軌道修正するべく南の倒木の多い道をMTB担いで登る。ところどころ蛍光ピンクのリ ボンがぶら下がっている。20分弱でCa540ピークに着く。やはり稜線には東から踏跡が続い てきている。頂上部にはアンテナが建っている。ここもまた直径1m前後の大きなクモの巣が多い。 少し東に移動すれば543ピークが見える。 「No145 歩行禁煙」と書かれた立て札の矢印通りに西へと稜線を下る。とにかく倒木が多く なった。バリバリ強引に押し進みながら岩のあるコブの北側を回りこんで進むと南面がパッと開け るビューポイントに出た(9時05分)。561ピークのすぐ西のガケマークのところだ。南に三 国ガ嶽が雄大な姿を見せている。この角度からみる事ができるのはここだけだろう。 少憩の後更に西へと稜線の南を巻く道を辿っていくが、だんだんと不明瞭になり、完全にヤブの中 に突っ込んでしまった。MTBを残してサルトリイバラに絡まりながら稜線に出てみるとあるかな きかの踏跡、MTBで軌道修正も難しそうなので、植林帯の激斜面を下って砂防ダムを乗り越えて 林道に下り立つ(9時25分)。 両手両足は例によってすっかり血まみれになっている。800mほど林道を上って母子林道の分岐 に辿り着くとゆっくりと軽食休憩。一息ついたところで三田めがけ一気のダウンヒルを楽しんだ。       (本日の走行距離 101km) 2001年9月15日(土)篠山/北摂西半周周回(2.5万図 福住、木津他) 北摂、丹波は今日からマツタケ山への入山禁止ということで、しばらく雑木山に入り辛くなる。と いうわけでもないのだが、朝の天気予報専門チャンネルでは篠山以西は雨のようだし昼前頃からは 宝塚でも雨が降り出すようなので、久しぶりにトレーニングコースを走ることにする。 5時現在の気温24.4℃、というわりには蒸し暑い中ロードでスタート。宝塚駅前ソリオ東端の 交差点で信号待ちをしていると高架の上を梅田行き阪急宝塚線の電車が出発する様子。よし、電車 と競争をやってみよう、とR176に飛び出す。川西能勢口まで9km弱のトライアルだ。前から 一度やってみたいと思っていた競争。信号待ちにひっかからなければ、計算上は勝てる筈なのだが…。 歌劇場前の交差点から旧R176に入る。この道は狭いが早朝は交通量が少なく、また阪急宝塚線 と並走しているので電車がどこを走っているのかよくわかる。最初の停車駅は清荒神、電車はかな り後方か、リードを保つ。次の売布神社駅では駅手前で抜かれるものの駅で停車している間に抜き 返す。3つ目の中山駅はほぼ同時に着くと、再び停車している間にリードを広げようとスパート。 問題は次の山本駅だ。駅間距離が一番長い上に信号も多く、ここを上手くクリア出来るかどうかが 勝負の分かれ道になる。天王寺川を渡って下りに入るところで信号が赤に変わりかけるが、気分は エリック・ザベル(=ツール・ド・フランスでポイント賞6連覇のスプリンター)で駆け抜ける。 が次の信号でアウト。アイアイパークの建物越しに山本駅に入っていく電車の最後尾を見送る…終 わった。 さて、いつもの如く川西能勢口で左折、北上する。多田神社を過ぎたあたりで前方にランドナー風 の自転車に乗った男性を発見。野球のユニフォームのようにも見えるし、ビーニ・カルディローラ のジャージのようにも見える変なシャツを着ている。声をかけて抜く。 続いてけやき坂手前で野球の試合に行くのだろう、MTBに乗った中学生3人をかわす。「うわっ、 早えー」とか言っている。「あたりまえだ」と思いながら広根を過ぎ、猪名川町をどんどん北上する。 ふと気がつけば道の両脇、田んぼのあぜ道に真っ赤なヒガンバナが咲き乱れている。黄色いイネの 穂といいコントラストを見せている。日本の秋、といった風景に心が和む。昨日だいぶ雨が降った と見えて周囲の山からさかんにガスが立ち上っている。 杉生で水分補給、杉生新田から泉郷峠を越え籠坊温泉に入る。路面が乾いていないのでかなりスリ ッピーだが、標高400mを超すこのあたりはいつ来ても空気が瑞々しくて気分爽快だ。 後川から三田市に入れば道路沿いの畑では満開のソバの花、トレーニングのつもりで出かけたので カメラを持ってこなかったことが悔やまれる。 木器から伊丹山荘前を走って千刈に出ると前方からサエコのジャージを着たロードレーサー2人が やってくる。互いに挨拶をかわす。と、今度はランプレのジャージを着たロードレーサーが1人。 そういえば今年のジロ(ディ・イタリア)のシモーニ(ランプレのエース)は強かったなあ、ヴェ ルタ(ア・エスパーニャ)の放送はいつからだっけなどと走りながら頭の中では次々と連想が浮か んでは消えていく。 タイムを取りながら走っているのではなく、ペースも上げたり落としたりしているのでラク。紫合 まで戻ってきたところで、日生中央方面へ寄り道、体力作りに励んでいるのだろうか、MTBにま たがったちょっと太めの「おとうさん」をかわす。この時季になると、こういうにわか仕立ての人 が増えてくるのだが、いかんせん寒くなり始めるとまた消えてしまう。結局、元の黙阿弥、自転車 はほこりを被ったまま、となってしまう。健康のため、とか体力増強のためとか思って走っていた のではよほど意思が強くないと長続きなんてしないと思う。走ること自体が楽しくなければだめだ よ、なんて思いながら途中パトカーと競争したりしているうちに気が付けば家は目の前。雨にもた たられず悠々のゴールインとなった。       (本日の走行距離 97km) 2001年9月23日(日)六甲/六甲最高峰〜摩耶山(2.5万図 宝塚、有馬、神戸首部) 阪急逆瀬川から六甲最高峰まで標高差900mを駆け上がるこのコースは京阪神間屈指のヒルクラ イム・コースである。上りが嫌いな私にとっては出来ることなら走らずにおきたいコース。それが 証拠にこれまで下りに使ったことはあっても上ったことは一度もない。MTBでフツーに下っても 70km/h出るのだ。そんなとこ上がれるか!というのが偽らざるところ。 いきつけのショップの兄ちゃんに尋ねてみても「若かりし頃に一度だけ行ったことがあるけど、3 分の1は押しました」という。やはりな。 では何を好き好んで上るのか、と問われれば“トレーニングのため”だ。10月に予定しているス ペシャル企画をこなす為のトレーニングなのである。何をするかって?それは秘密だ。 6時自宅をスタート、MTBである。昨日から急に涼しくなった。午前5時の気温13.2℃は寒 いくらいだ。近場なのに朝早いのは、交通量の少ないうちに行けるところまで行ってしまいたいか ら。登山道の「押し」は何ともないが、舗装路の「押し」は抵抗がある。なるだけ人目に触れない で行きたいという弱気な作戦。 6時06分阪急逆瀬川。自販機で500mlのペットボトルを買い、ボトルケージに突っ込んで坂 道を登り始める。最初は直線のだらだら坂が続く。早くもギアは1枚、2枚と落ちて行く。急いだ ところでどうなるものでもないので、じっくりとペースを刻みながらペダルを回して行けば、10 分ほどで譲葉台、山頂までで唯一の下りのある西宮ゴルフ場のネットの下をくぐり、6時25分鷲 林寺方面からの県道82号線とクロスする交差点に着く。意外と簡単にやってきた。 しかし、本格的な上りはここからである。鷲林寺橋手前で「斜度10%」の標識が現れ、盤滝トン ネル方面への道を見送ったあとも同程度の坂が続く。ふと気が付けば「カーブNo134」の標識。 確か135まであったはずなので、最初の一つを見落としたらしい。 「毘沙門橋」を渡り、496標高点を過ぎると道路は南西方向に変わる。ヘアピンカーブの手前で 「斜度12%」の標識が現れる。この先のカーブは見覚えがある。下りで最高速を出したところだ。 インナー×ローに2枚を残した状態でカーブをクリア、道端のクマザサを見ながらマイペースで上る。 大きなカーブを曲がり、「No122」の標識を過ぎると前方に芦有(ドライブウエイ)の料金所 が見えてきた。「え、もうこんなところまできたのか」という感じ。 7時05分、料金所に到着。標高710m、山頂まであと200m少しか。いつもなら標高差20 0mの坂を登るというとうんざりするが、ゆっくり上ってきたので疲労感がない。だんだん展望が 開けて行く爽快感もあって、逆にスピードは上がって行く。 大きく南に伸びるカーブをクリアすると左手に六甲最高峰が見えてくる。「カーブNo113」は 東六甲縦走路が合流するポイントだ。さあ、準平原の上に出たぞ、ここでフロントをアウターにし、 一気にスピードを上げる。震災後新しく出来たトンネルを抜けると一軒茶屋、何だ「押し」無しで 来れたじゃないか。車止めの鎖の横から入ると、最後は頂上に向けての激坂上り。 この登り口は恐らく斜度20%を超えているんじゃないかと思う。ハンドルを引きつけようものな ら前輪が浮いてしまう。何とか乗車したままクリア、芝生が植わってちょっと公園風になった山頂 に到着。7時26分、逆瀬川駅から1時間20分だ。標高差900mヒルクライム完了、本日のト レーニング終了だ。
六甲最高峰。先着MTBerあり最高峰より凌雲台方面

山頂には先着のマウンテンバイカーが一人。20代くらいか。仲間の到着を待っているという彼と しばらく話をする。5時に伊丹を出てやって来たとのこと。阪急小林駅の踏切から1時間23分で 上ってきたという。同じくらいだ。少し前までは雲海が広がっていたとのこと。惜しいことをした。 しかし今日は視界が効いて多紀連山がはっきりと見える。北西遥か彼方に薄ぼんやりと見えるのは 山容から粟鹿山のように見えるが…まさか。 15分ほど山頂にいたろうか。未だ到着せぬ仲間を待つ彼と別れ、準平原の稜線走りに入る。せっ かくここまで上ってきたのだから、まだ行ったことのない摩耶山まで足を伸ばすことにする。極楽 茶屋、凌雲台と越えて高山植物園までの道は50km/h超の爆走路、体感温度は10℃を下回っ ていること間違いなし。はっきり言って「寒い」。あっという間に六甲山ホテルの前を通り、8時 00分六甲山牧場前の分岐に着く。開園前で羊さんの姿はない。「自動2輪、原付進入禁止」の立 て看板。人力2輪はOKのようだ。 「摩耶山天上寺」の案内に従い更に道を下って行く。右手に穂高湖、新穂高登山口を見送るあたり が標高610m前後と今日の山上コース中最も低いところ、帰りは標高差にして300mを上り返 さないといけないことになる。道なりに走れば摩耶山展望台、掬星台と名付けられた展望台は先ご ろ前面復旧なった摩耶山ケーブルの山上駅乗り場でもある。(六甲山牧場から10分) 神戸の市街地、ポートアイランドを眼下に臨むこの展望台は街の景色があまり好きでない私にも見 事な眺めだと思わせるものがある。ハイカーが数人いたが、MTBでここまでやってきたのには驚 いたようだ。10分ほど休憩した後、摩耶山山頂と三角点を探しに出発。掬星台のすぐ西隣にはサ ンテレビの中継塔が建つ小高い場所があるが、最高点は更に西のピークにある。 一旦下り、天狗道方面に入り、中継塔(サンテレビのではない)の横から本日初めての山道を登っ て、まず702m最高点、続いて天狗岩の鳥居の横から回りこんで698.6m3等三角点に着く (8時27分)。摩耶山の三角点はわかりにくいところにある、と聞いていたが、確かに何でこん なところに、という気はする。
摩耶山山頂
巨岩がご神体

さて、次はどこへ行こうか。地形図を広げてみるとすぐ北に摩耶別山(717m)がある。国民宿 舎前の道からすぐにいけそうだ。山道を下り舗装路に戻り、地形図の国民宿舎の方向へ上ろうとす ると「HOTEL OF MAYA」の文字が。え、間違えたかなと戻り摩耶山天上寺経由に変更 する。 立派な杉の木立を抜け、石段を上がると本堂。工事中で至るところフェンスが張り巡らしてあり、 すぐ目の前に見える摩耶別山へは行けないのかと不安になるが、いつもの嗅覚で登山口を探し当て ると山道に合流する。「六甲全山縦走路」だ。本堂から標高差にして20mくらいか、雑木林の中 に神戸市水道局摩耶減圧槽という施設のあるあたりが摩耶別山の山頂のようである(8時44分)。 いかにも六甲の雑木林らしい風景をカメラに収めたかったが、摩耶山で撮り切ってしまってフィル ムなし。更に本堂まで戻ってくると眼下に明石海峡大橋とその向こうに淡路島が手を伸ばせば届か んばかりに見える。フィルムの予備を持って来なかったことがつくづく悔やまれるところだが致し 方ない。 8時50分再びMTBにまたがり帰路に着く。9時01分六甲山牧場前。ここからメインルートに 合流する。やはりこの時間になってくると車やハイカーの姿が多くなってくる。今日は快晴、風も 殆ど無いので絶好の行楽日和だ。どういうわけか、少々の上りはスピードを維持したまま上ってし まう。調子が出てきたのか、それとも上りと下りの識別がつかなくなってきたのか。 とは言っても斜度がきつくなれば体は正直だ。ギアを落としまくってなんとかクリア。70番台だ ったカーブNoも90番台になり、100番台にまで戻ってきた。「No104」のカーブが車道 の最高点、ここを過ぎればすぐに一軒茶屋に着く(9時33分)。 一軒茶屋の横の広場で休憩していたハイカーに挨拶するが、知らん顔。そそくさとザックを背負っ て歩きはじめる。六甲が好きになれない理由の一つにこんなマナーを知らない輩が多いことがある のだが、それは山のせいではない。広場に車を停めて30mだけ登って、六甲山を登ってきました、 では後ろめたくもなるのだろう、と勝手に想像しながらペットボトルのドリンクを飲み干し下りに 入る。 積算1200m以上のヒルクライムのご褒美はこれだ。路面につけられたスピード減殺の黄色いシ マシマが少々鬱陶しいが、背後からついてくる車を振り切ってかっ飛ばせば、あっという間に盤滝 合流口、一軒茶屋から16分27秒で逆瀬川駅まで戻ってくるとまだ時計は10時前だった。       (本日の走行距離 55km) 2001年9月29日(土)篠山/多紀連山、大タワ〜鍔市ダム(2.5万図 宮田、村雲) 例年9月というと長雨に祟られて1度や2度ツーリングできない週があるものだが、今年は週末、 とりわけ土曜日好天に恵まれ、5週とも走ることができた。これは過去10年間で恐らく初めての ことと思われる。 さて、今日は多紀連山の最も高いところを通る大タワを北の本郷側から越え、鍔市ダム湖を周回、 あとは秋の篠山城下を見物しながらのんびりツーリングをすることに。鍔市ダムはまだ訪れたこと がない。 5時48分、ロードで出発。先週の六甲ヒルクライムの疲れも幸い残っておらず、少し肌寒いこと もあっていきなり爆走モ−ド。赤坂峠を自身過去トップタイムに1秒差の好タイムで通過すると途 中最高タイムで走っていたが、藍本あたりから向い風が強くなり徐々にスピードダウン、すっかり 水を落として空っぽになった五坊谷池を見ながら、2時間10分で栗柄峠はいつものスピードに落 ち着く。 これだけ涼しくなると水分補給を摂らなくて助かる。鼓峠から本郷までの楽しい区間はあっという 間、県道301号線大タワへの分岐を右折する。さて、ここからは先週に引き続いてのヒルクライ ムのトレーニングだ。登り口には数軒の集落がある。道路沿いのクリ畑から弾けた大きなクリの実 が道いっぱいに転がっている。間違ってイガを踏んでパンクしたくないので、慎重に走る。 道が南にカーブする手前で前方にサル発見。小さなサルを含めて4頭が、エサを求めて移動してい る。この山にニホンザルが生息していることは知っていたが、実際こんなにはっきりと見るのは初 めてだ。先頭の大きなサルがちょっとこちらに向かってくるような仕草を見せる。え、ここは箕面 か?スピードを上げながら近づいていくと山の中に逃げ込んでしまった。 斜度は一段と増し、スピードは一段と遅くなる。先週の六甲は重いとはいえワイドなギアがついた MTBだったので、私のような脚力のない者でも上りきれたが、目いっぱいギアを落としても「さ んくのにーさん(39×23)」でこの上りは辛い。シッティングとダンシングを交互に入れなが ら上っていくが、だんだん腰にきて頂上まであと1kmというところで自転車を停め腰伸ばし体操、 ここへ来て先週のヒルクライムの後遺症がでてきたようだ。体操が終わったところで再びロードに またがって出発、ダンシングの方が腰に来ないだけましだ。 ラスト400mというところでもう一度腰を伸ばして全力ダッシュ、8時47分大タワに到着する。 途中休みはしたが、なんとか全線乗車だ。大タワで山登りの準備をしている人達に最後のダッシュ を見せようと張り切って上ってきたのに誰一人いない。曇り空にこだまするのはシカの声のみ。幾 重にも重なる峰々もなぜか寂しそう、「声聞くときぞ 秋は哀しき」である。
誰もいない大たわ

10分ほど休憩していたが、ようやくやって来たハイカー達の車が広場に停まるのと入れ違いに火 打岩方面に下る。カーブが多く思ったほどスピードが出せない下りだが、それでも6分ほどで鍔市 ダムとの分岐に着く。ダムはここから1kmほどのところだ。 標識に従って山の斜面につけられたジグザグ道を上がればダム湖到着(9時14分)。正面に見え るのは小金ケ嶽東の694ピークか634ピークか、荒々しい山容を見せている。農業の灌漑用に 作られたダム湖は水を満面にたたえている。 反時計周りに周回、一番奥にある東屋で説明板を見たり、湧き水(冷たい)で汗をぬぐったりして 休憩、本当は山麓を西に回って藤岡ダムにも寄るつもりだったが、すっかり味覚の秋本番を迎えた 河原町、二階町の店先を冷やかしながら帰途につく。帰りは追い風にも恵まれ再び爆走モード、若 干最後はバテ気味になりながらも帰り着いてみるとまだ12時前だった。       (本日の走行距離 136km) 2001年9月30日(日)川西・豊能/妙見山ハイク(2.5万図 広根、妙見山) 棚田の畦を彩っていたヒガンバナも終わり、能勢路もキンモクセイの香りに包まれ秋が深まってき た。山歩きには絶好のシーズン到来ということで、「第7回ヤブ山歩き」を開催する。3ヶ月半ぶ りの山歩きは、まず足慣らしというか、ヤブ慣らしということで能勢の妙見山を黒川から大堂越経 由で登ることに。 本日の参加者は元気いっぱい気合十分のF代、いつもしっかりとしたペースでしんがりを務めてく れるミスBの2人。昼前から雨、降水確率80%というのが気になるところだがどうだろうか。な んとか山頂に着くまでもって欲しいところだ。 7時40分JR川西池田駅に集合、久しぶりに見る2人の顔は元気そうだ。スポーツクラブでトレ ーニングを積んできたというF代がいきなりマシンガン・トークを浴びせてくる。何のトレーニン グを積んできたんだ?わいわい言いながら川西能勢口駅へ移動、能勢電に乗って終点妙見口へ (8時25分)。 電車の中で喋っていたので気付かなかったが既に雨が降っている。路面もすっかり濡れている。え らい早いやないの。駅前にある土産物屋の店先に並んでいる銀寄クリと天気を半々に眺めながら大 堂越ルートは中止、ハイキングコースに変更と2人に告げる。 「御山まで22丁」の石標を眺めたりしながらR477に合流、黒川で右折すればケーブル乗り場、 「これで登るんですか?」とF代。それではいくらなんでも山歩きにはならない。ケーブルの始発 も9時15分、あと30分もある。駅構内で支度を整えて参道コースを歩き出す。 雨は弱くもなく強くもなく中途半端な降りなので雨具を着ける必要はないが、さりとて傘を手放す わけにもいかず、急斜面も手伝ってマシンガン・トークも徐々に弾切れになってくる。気が付けば 汗びっしょりだ。気温はさほどでもないのだが、湿度が非常に高い。いつもほとんど汗をかいた顔 を見たことのないミスBまでもが、風呂上りのような状態になっている。F代に至ってはスポーツ タオルを鉢巻代わりにしてどこかの国の川べりで洗濯をしているおばさんのような格好だ。 この道はケーブルに沿った道なので勾配がきつい。その上休憩するようなポイントもないので休ま ずに登るものだから今日の天気では2人にはきつかったかも知れない。あと3丁、あと2丁と徐々 に減っていく丁石を励みにやっと山頂バス停前に到着する(9時33分)。 雨は更に強さを増してきた。バス停横の休憩所で休憩、参道を登ってまずは本堂へ。と見たことの ない建物が目の前に現れる。「星嶺」と名付けられたその建物は日蓮宗の信徒会館のようである。 星型の建物の南側は展望台になっていて、晴れていれば遥か遠くまで見渡せるのだろうが、今日の 天気では中山連山の愛宕山がせいぜい限界。向いの天台山を幾筋ものガスが西に走り抜けている。 大阪と兵庫の府県境に建つ山門に取り付けられた寒暖計は15℃をさしている。登ってきたばかり でまだ火照っている体には気持ちのいい気温だが、途中で半袖シャツ一枚になったF代の腕は既に “さぶいぼ”が…。
妙見山三角点横にて

本堂まで往復、三角点に立ち寄って記念撮影、しばらくあたりをうろつくがやっぱり寒くなってき た。先ほどの星嶺の中に入って弁当タイムにしよう、と声をかける。靴を脱いで中に入ると左手に 郵便局、奥に休憩所がある。雨風がしのげるだけでも嬉しいのに、温かくお茶のサービスまでつい ている。 座布団にすわりテーブルの上に弁当を広げての昼食、いつもとはえらく雰囲気が異なるが、たまに はこんなこともあっていいのだろう。とそこへ「出ました」ミスBから温かいスープの差し入れ。 結局ここで1時間あまりも休んでしまった。 下山は更にガスが深く風雨も強まってきたので、ケーブルで下る(11時45分)。2人にとって 果たして足慣らしになったのやら。      

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