山を駈ける風になれ2002年 1月号

 
2001年12月1日(土)篠山/金山〜馬頭〜古坂(2.5万図 柏原、宮田)
今週に入って急に冷え込みがきつくなってきた。これから来春までは早朝スタートが辛くなる。
しかし山は冬枯れシーズン・イン、家の中でくすぶってなんて居られない。今日は篠山と柏原、
山南町の境界尾根を訪ねる。
6時31分、明るくなるのを待って出発。1ヶ月半ぶりにMTBだ。これからMTBシ−ズンが
しばらく続くので、今日は足慣らしといったところ。古市までは霧に遭うこともなかったが、篠
山盆地に入るとあたり一面真っ白。気温4℃(朝の篠山の気温)というだけあって、グローブに
付いた水滴が走っている間に霜になっている。
8時53分、追入の金山登山口に到着。はじめ追手神社から古坂に登り、高畑山の三角点を踏ん
でから北上を考えていたが、途中で雲海が見たくなり、鬼の架け橋まで登ったあと、市町界尾根
を南下すること変更する。
9時出発。「山頂まで1270m」の木札を見ながら登る。すっかりハイキング道として整備さ
れており、山頂まであとxxmという札がうるさいほど現れる。あと1000mの所で鳥居をく
ぐり、あと600mの所で大乗寺分岐、登山口から15分ほどで妙見堂跡に着く。馬頭へのルー
トを探りながら金山直下、鬼の架け橋に到着(9時25分)。
架け橋の上に上がってみたが、西側の岩が邪魔をして雲海は少ししか見えない。更に西側にある
展望のよい岩に立って氷上盆地を包み込む雲海を眺める。柏原の町は雲海の底に眠っている。見
事だ。小南山が溺れているように見えるのがまたいい。

鬼の架け橋、西の岩から、霧の氷上盆地

10分ほど雲海を楽しんで妙見堂跡まで戻り、一番南の端から460m等高線のラインに沿うよ うに行くとはっきりとした道が続いている。450mラインまで下って、西へ登り返すあたり道 が判然としないが、地形を読んで進めば問題なくまた踏跡が現れる。「昭43 大山振興会」の 白いポールも続いている。 Ca460は丈の短いクマザサのコブ。一旦下って植林帯の中を進み、右手から市町界尾根が近 づいてくれば馬頭は近い。頂上直下の激登りをこなせば馬頭山頂だ(9時59分)。ここも戦国 時代の砦の跡だったのだろう、名残がそこかしこに見られる。山頂にある「大山振興会」のポー ルに登頂者が「1.4.15 千峰漫歩 馬頭」とマジックで書き残している。
馬頭山頂

背の高いアカマツに覆われた頂上で陽だまりとてなく10分ほど付近を調査して尾根筋を南下す る。さて、ここからは篠山市と山南町の境界を行くことになる(馬頭は1市2町の境になってい る) 境界尾根は明快な径が続いている。馬頭から200mほど下ったところで東側に展望ポイントが 現れる。北東に黒頭峰、夏栗、黒頭峰と554峰の間から三尾山が顔を覗かせている。眼下には 大乗寺の屋根も鈍く光って見えている。
馬頭南尾根から

更に南尾根を下って行くと少し登り返したコブ(Ca420)の上に「タルタニ」と書かれた石 標が埋まっている。このあたりの字名か。ここからしばらくアップダウンが続くが、同じ石標が 何度か現れる。 10時26分、Ca440ピークに到着。あとはほぼ下るだけだ。キツツキが近くのマツの樹上 でコンコンやっている。下からではちょっと判りにくいがコゲラだろうか。うちの近所で見かけ るのと同じ種類だ(と思う)。ここも軽食休憩できそうなスペースなし。 南斜面を駆け下って406ピークに。ここで暗い植林帯から解放され、明るい雑木ヤブになる。 あたりの温度もいっきに暖かくなったような気がする。短いが急な斜面を調子よく下れば古坂に 降りつく(10時38分)。 植林帯の中ではあるが、追入からの道がはっきりと峠まで登ってきており、山南町の上滝側へ下 っている。山仕事の人が残したものであろうか、焚き火の跡もある。この境界尾根上を行く径は 更に先に続いている。まだまだ辿ってみたいが今日の予定はここまで。古坂池まで下り、堰堤で 軽食タイムを取り大休止(10時50分)。  (本日の走行距離 106km)        2001年12月2日(日)三田・篠山/愛宕山〜内ケ蔵谷山〜仮屋谷(2.5万図 篠山) 旧摂丹国界、太平三山の愛宕山から内ケ蔵谷山まで母子を起点に歩く「第9回ヤブ山歩き」。先 週に引き続いてロングでハードなコース。急遽私の都合で日程変更したためコンパス姫は参加で きなくなり、今日は最近赤いバンダナがトレードマークのミスBと、前回オヤジギャグにコケっ ぱなしだったF代の2人と歩く。 9時45分JR三田駅前発の神姫バスに乗る。千丈寺山登山の中高年グループが一緒で、ガラガ ラ乗だろうと思っていたバスは満員だ。おまけに乗換があると聞いていたのにバスは永沢寺への 坂道を上り始めるではないか。結局、そのまま。10時30分母子(もうし)に着く。 静寂に包まれた“北摂のチベット”母子。吹き抜ける風は冷たいが晴天、気持ちがいい。私自身、 母子に入るのは1年半ぶりだ。最近、篠山城下町側から見上げる度に気になっていた三田、篠山 境界尾根に出来た鉄塔の列。あの外輪山(注1)秘境ルートはどうなってしまったのだろうか。 (注1)神戸新聞出版センター刊『丹波の自然』第1章5「古き火山とその活動」で宝塚北部を 中心とした佐曽利カルデラの存在を述べている。阿蘇に匹敵する大カルデラであるという。今日 歩くコースはまさにその外輪山を行くことになるのだ。       青野川沿いの道から離れ北上する。愛宕山が真西に見えるあたりから集落の中の細い道を西へ、 茶畑の中の林道を双耳峰の鞍部めがけて登っていると右手へ関電の巡視路、No134への「火 の用心」が現れる。勿論、鉄塔建設に伴って作られた道だ。昔は強引に直登したものだが、今日 はか弱き女性たちが一緒なので、この歩き易い巡視路を使わせてもらう。これがまた実に気持ち のいい小道だ。冬枯れの雑木林の中をジグザグに登る道は南峰の南側斜面を巻いてNo134の 鉄塔に続いている。 11時11分、No134鉄塔に着く。南峰から20mほど南側の斜面が切り開かれ鉄塔が建っ ている。鉄塔は尾根上に立ち並んでいるのではなく、若干南斜面に寄っている。少し早いが広闊 な展望が楽しめるこの南側の暖かい場所で昼食タイムとする。
愛宕山南峰、南斜面にて昼食
左から大野山、三国が嶽、山王山、扶美ヶ岳
愛宕山からの下りにある軽い鎖場

大野山、三国ケ嶽、扶美ケ岳、峰ケ畠、千丈寺山と続く眺望を肴にミスBから温かいスープの差 し入れ、まったく贅沢な昼食だ。視界に入るのは山また山の静寂の世界、いうことなし。といっ てもここでずっと休んでいては先に進まない。11時45分出発。シカ除けネットの周りを辿っ て愛宕山南峰に、展望を求めて一旦下って北峰へ向かう。短いが急な下り。F代、いきなりズッ コケる。本日一回目。 北峰は更に木が茂り、5年前に登った時の展望はない。わずかに篠山盆地の一部が見えるだけ。 すぐに南峰に戻って(12時04分)、中尾の峰へ向かう。まずはいきなり急な下り。距離は短 いが岩場があり、太い鎖が垂らしてある。へっぴり腰で下るF代をカメラに収める。 短い下りを終えれば、しばらくは植林帯の中をゆっくりと下る道、幅もしっかりあって「ええ道 やないの」。F代もすっかり気に入ったか“ええ道”を繰り返し連発している。先週の島田氏の 口癖が感染したか…。 しばらく歩くとまた急な下りとなって中尾の峰との鞍部に降りる(12時24分)。大きなヌタ 場がある。南に下れば母子大池、北に下れば龍蔵寺に行く鞍部で、わずかだが踏跡が残っている。 さて、先へ行こう。植林帯の中を西へ辿る。石の界標、赤テープが導いてくれる。植林帯はすぐ に終わり雑木ヤブに変わる。途端に赤テープもなくなるが、尾根筋をトレースしていけばいいの で、がんがんヤブの中をよじ登り12時45分、中尾の峰頂上に飛び出す。658.9m3等三 角点の前だ。彼女たちにとってはまさに初体験のヤブ尾根コース、サバイバル系のF代はえらく 満足している。 残念ながらここは眺望なし。一息ついただけで先を行く。ここからは三田・篠山市境界に沿って 幅の広い切り開きが続いている。落葉の絨毯がふかふかの気持ちのいい切り開きで「ええ道やな いの」と自然と口をついて出てくる。いったいこの広々快適道はどこまで続くのだろう。中尾の 峰から尾根道を南西に行って北西に歩き始めたあたりから、すぐ左下に簡易舗装路の林道が現れ る。昨年6月まだ工事中だったときにMTBで通った道だ。尾根筋よりもっと下をトラバースし ていると思っていたのだが、ほんの標高差にして5〜10mほど下にあるではないか。林道を上 ったときは一体どのあたりを歩いているのかわからなかったが、やはり尾根道歩くとよくわかる。 北西から南西に向かうあたりで少し判りにくくなるが、赤テープもあり軌道修正は容易に完了、 13時05分Ca650峰に着く。10mほど西に歩けば快適な山道終了し、林道の終点に合流、 その先にあるNo130の鉄塔が建っているこんもりしたピークに登る。前回内ケ蔵谷山の南西 尾根と間違えたところだ。 眺望抜群、時間的にも余裕があるのでここで小休止を取る。(実はこの時もまだ内ケ蔵谷山の南 西尾根だと思っていたのだが、それなら見えるはずのない西側の山がどうにも気にかかり、しっ くりこない感情を抱いたままであった) さて、No130鉄塔で道は行き止まり。林道終点と650峰からの細い尾根道が合流するとこ ろから右手に下ってついていた「No129へ」の火の用心の道を行く。この道に踏み込んでま だ境界尾根の道であることに気が付く。いったん下って登り返したところにNo129の鉄塔、 ここも眺めがいい。更に雑木林の中をまっすぐに続く擬木階段を登り詰めると狭いピークに着く。 「内ケ蔵谷山」のプレートがかかっている(13時40分)。これでさっき小休止した場所がど こか判明。トレースしてきたカーブの回数とも一致だ。 ここから内ケ蔵谷に下って谷筋を当野まで下る予定だったが、「No128へ」の火の用心標識 に促され、西尾根を歩く。ここにもいい道が付いている。枝道も時折り現れる。内ケ蔵谷山の北 西500mにあるCa570岩マークのところで道は二手に分かれる。南へ行くとNo127鉄 塔へ、北へ行くとNo128鉄塔だ。下山までの所要時間を考え、北へ下る。No128鉄塔越 しに槙ケ峰が間近に見えてきた(14時05分)。 鉄塔が出来る前から道があったものと見え、切り開かれて広くなっているが、もとから道があっ た痕跡も窺える道である。とは言っても一直線急降下の激坂、もともと下りに弱いF代にはキョ ーレツだったようで、派手にこけている。 一旦傾斜は緩み、もう終わりかと思ったらまたまた激下り登場。いっきに下れてラクでいいや、 と駆け下るのは私。あっという間に麓の池が見えるところまで下ってしまったが、あとの2人は 激坂の上の方で立ち往生。ミスBに促されるようにして怖々下るF代、とうとうしゃがみこんで 足ソリ状態で下り始めた。その方が怖いだろう。道とはいっても植林帯の急斜面にホオノキの落 葉が厚く堆積した状態で腰を引けば引くほど滑りやすくなる。 私の立っている場所から20mほど上の斜面から「この大きな葉っぱは何の木の葉ですか?」と 問いかけるミスB。「ホオノキ。朴葉ミソのホオ」と答えると、「ホオ」とシャレとも何ともつ かぬ返事を返しながら下りてくる。そう言えばF代も途中で変な駄洒落を言っていた。ギャグを 言うほど余裕のない状況、無意識の内に口をついて出てくるとは…。恐るべしオヤジギャグ。感 染力は強いと見た。 14時28分何とか2人とも無事下りてくる。5〜6回はコケましたとF代。もう植林帯の先に 溜池が見えている。あそこに出ればもう終点だ。と思っていると気が緩んだのだろうか、またま たF代コケる。しかも“ひっつきむし”の上へ。最低。なんという草だろうか、クサイ匂いを放 っている(これは駄洒落ではアリマセン)。 仮屋谷池へ下りてきたようだ。12年3月に改修工事が終わったようで記念碑が建っている。溜 池の堤で休憩しながら“ひっつきむし”を払い、煙たなびく初冬の丹波路を、農道を歩いて南矢 代の駅へと向かった。今日もお疲れ様でした。 2001年12月15日(土)三田/内田池〜行者山〜大磯(2.5万図 木津) 毎年のことではあるが、この時季になると戻ってくるのが我がホームグラウンド“北摂”。今日 は9年前初めてMTB山行をした大船山の北にある行者山を訪れることにする。 6時51分、MTBにまたがってスタート。今日は近場なので朝もゆっくりできる。とはいえ昨 日からこの冬一番という寒波襲来で強風吹き荒れる中の走りである。川西能勢口までは追い風を 受けラクチン走行だったが、徐々に向い風となってスピードダウン、途中笹尾で食料調達の後上 佐曽利に入る(8時17分)。さすがにここは空気が冷たい。温度計は3℃だ。 少憩の後波豆まで走り右折して大磯方面へ北上する。大坂峠の上り口は工事中と見え迂回路が付 けられている。このあたりもあちこちで工事をやっている。大船山の勇姿を眺めながらゆっくり と北上を続ける。大磯を過ぎるといよいよ地道の林道となる。通行止めの鎖がかかっているが左 脇から回り込み先を行く。 この林道を行くのは昼ケ岳に登った93年5月以来だが、バラスを撒いて道が固められており、 以前よりも随分と走り易くなった。それでも最後に激坂が待ち構えているこの林道、最後の30 0mは「押し」が入り9時03分、内田池に到着する。北西岸がコンクリートで固められ、以前 のあの幽玄境の佇まいはなくなってしまったが、5センチにも及ぼうかという霜柱がこの場所の 奥深さを示している。 さて行者山を目指す(9時10分)。池の南西側にある斜面を削りとった山をMTB担いで強引 に登る。地形図のCa500mの地点だ。黄色のテープが巻いてある。が、MTB幅ではちょっ と厳しい踏跡、ほぼ平坦ながら思うように進めない。乗車率は限りなくゼロに近い。雑木越しに 鋭角の行者山が右手前方に見える。やがて踏跡が右へカーブするようになると行者山への登りに。 これがヤブの中の激斜面、「担げ」ば枝に絡まって進めないので「押し」て登るのだが、久しぶ りの重労働だ。雑木が密生した鷹取山をMTBを押して登るような感じ、とでもいえばいいだろ うか、9時48分やっとのことで行者山山頂到着。 山頂には西宮の山の会が掛けた山名プレートがある。露岩が点在していて、展望もそこそこ。羽 束川を挟んで西に田中行者山、小柿山を臨むことができる。気温1℃、北西の風は冷たくじっと していると頭が凍りそうだ。風を除けて軽食タイムを摂る。こんなに寒いのならテルモスに温か い紅茶でも入れてくればよかったとちょっぴり後悔。 山頂からは北西側に明確な踏跡が付いている。どうやら三角点を通ってゴルフ場の方へ下りてい く道らしい。少し辿ってみたがこの道はパス。どう考えてもMTBを押したまま下まで降りるこ とになりそうだからだ。南南西に伸びている尾根を行くことにする(10時03分)。 こちらのルートもこれまでのルートに比べれば格段にいい径だ。松葉がフカフカに積もったルー トで乗車率もアップする。10分ほどでCa530ピークに着く。頂上部分が平坦になっている。 ここは雑木に囲まれて展望はない。南に少し下った斜面には一ヶ所展望ポイントがある。地図上 の昼ケ岳(595m)と『北摂の山々』マップの昼ケ岳(592m)が目の前に聳え、両山の間 はるか彼方に見えるのはなんと能勢の剣尾山。面白い構図だ。またもやMTB幅より狭い踏跡に 変わった。 10分ほどで487標高点との鞍部に着く(10時25分)。黄色いテープが3ヶ所付けられて いる。東西に幅のある道が通っている。地形図の破線の道はもう少し南についているがこれかも 知れない。内田池への林道を登る途中、おそらくこの道と合流するのではないかと思われる林道 分岐をチェックしていたので、この道を下ることにする。ところが標高を下げる気配がない。そ れどころか100mほど行ったところで完全なヤブに。これ以上MTBを持っては進めない。 10時40分、さきほどの鞍部に戻る。破線の道は地形図通りもう少し南なのか。ところがであ る。この尾根筋を横断する破線の道は現れない。ええい、こうなったら大船山との鞍部まで行く だけだと腹をくくる。それにしても大変なヤブ、MTB同伴だけに1m進むのにも難渋する回数 が増えてくる。今日は足よりも腕の方が疲れる。 487標高点を過ぎると更に進みにくくなる。Ca500m手前でMTB同伴で尾根筋続行は難 しくなった。ナタでもあれば切り開いて進めるのだが…。留置きテープが続いているのでルート を外れていないことははっきりしているのだが、如何せんヤブが煩過ぎてこの先もっとひどくな るようだと何時に大船山との鞍部に着けるかわかったものではない。 Ca500mポイントを少し戻り、南東についている谷筋を強引に下ることに決める(11時0 3分)。昔、切り出した材木を滑べらせて麓に下ろしたワイヤーのあとがあったからだ。うまく いけば直滑降、失敗すればヤブの中で立ち往生、果たしてどうなることやら。 標高差にして30mほど下ったところでいきなりヤブに突入、足を滑らせてサルトリイバラと普 通のイバラとツルが絡まったヤブの中に落ちる。イバラとツルを一本ずつほどきながら足場を固 め、MTBを引っ張り降ろして自分も脱出する。 久しぶりにキョーレツなMTB山行となった。雑木山の道でないところを下っているのだから仕 方がない。谷筋はやがて水が流れ出し、石がゴロゴロし始める。石の上をMTBを担いで歩く。 滑り易いがヤブやツルを払う煩わしさから幾分解放されるからだ。 それでも中ほどまで下ってきたろうか、炭焼き窯の跡が現れる。踏跡も現れた。これでほぼ脱出 のメドがついた。更に下るともう一ヶ所炭焼き窯の跡が…。MTBにも乗車可能になったと思っ たらすぐに大磯―内田池の林道に飛び出した(11時32分)。 祠が祀ってある。大磯の大船山登山口から500mほど北にあたるところだ。残っていたドリン クを一気に飲み干す。少々強引なことをしてもどこか道へ出れば30kmも走れば家に帰り着け るところが北摂のよさ、もうMTBを持ち上げる余力もなくなった両肘をハンドルバーに乗せて ロードマンがやる前傾姿勢ながらリラックスできるスタイルで波豆の交差点指して坂道を駆け下った。   (本日の走行距離 74km) 2001年12月23日(日)篠山/槙ケ峰+納山会(2.5万図 篠山) 僚店に勤務する女性達とのヤブ山歩きの会。今年納めの山歩き−納山会ということで、篠山盆地 南西部の低山槙ケ峰を歩き、下山後、場所を篠山城下町に移して名物ボタン鍋を囲んでワイワイ やろうという趣向。グルメ派揃いのメンバーだけに、はっきり言って今日の山歩きは食前の運動 といったところか…。 今年ヤブ山歩きに参加したことのあるメンバーが対象ということで、コンパス姫、ミスB、ミセ スF、F代、I嬢の5人。但しリハビリ中のミセスFのみボタン鍋から参加ということで後から 合流することに。 篠山方面、降雪も予想されるとアナウンスしたためか女性陣は重装備、対照的に私だけ街中を歩 くかのような恰好でいつもの列車に乗り込む。年末年始は実家に帰るというミスBは篠山で正月 料理の食材の買出しもにらんでの参加。こりゃあ帰る時にはヤブ山歩きの会改め食材買い出し隊 になるかも…。 8時34分、篠山口駅着。列車のドアが開いた途端…寒い。0℃近くまで下がっているようだ。 重い冬空の下準備を済ませ(8時45分)、アップを兼ねて宇土観音まで歩く。キリに包まれあ たりは真っ白だ。寒いせいかF代の足が速い。9時07分宇土観音に。境内の大銀杏もすっかり 葉を落とし淋しげに立っている。霧が降る中、本堂の前で記念写真を撮り33カ所巡りの山道に 入る。
宇土観音 本堂前で

昨日だろうか、明け方に降ったのだろうか、雪がそこここに残っている。18番石仏の手前から 右の山道に入る。いつもの道らしくなったとF代。ついでに先頭も彼女にまかせる。雑木林の中 の細い踏跡、正しく辿っているつもりがついついコースアウトしそうになる。前回荷物が重くて いきなりバテてしまったI嬢、今日は軽量化を図ってきたようで順調な足取りだ。 9時25分北尾根の末端にあるCa370コブに着く。周りの木々の枝には雪も残っていてまる でクリスマス・ツリーのようだ。キリの中から太陽の輪郭がのぞいている。もう少し登ればキリ の上に出られるかも知れない。雲海が見られるかも、とみんなを励まし先を行く。 篠ケ峰北尾根は徐々に傾斜を強める一直線の登り道で、ちょっと辛くなってきたかI嬢から杖に なる木を探して欲しいと言われる。先頭を歩いていたF代、「これはどうでしょう」と示してく れたのはでかい松の枝。「これじゃまるで鬼の金棒だ」。案の定I嬢には不評。重た過ぎたよう だ。 今日は先を急がない。ゆっくりと登っていると後ろから、「シイタケが生えてますよ」とコンパ ス姫。指し示す先には焼きシイタケのようなキノコが生えている。「似てるけどシイタケがアカ マツの幹に生えたらシイタケとは言わんやろう」「それもそうですね」。訳のわからない会話を しているうちに槙ケ峰山頂に到着(9時55分)。 槙ケ峰は西と東にピークがあるので、正確にいうと東峰である。山頂には「槙ケ峰神社」と書か れた祠がある。樹間越しに見えるのは多紀連山まで続く雲海だ。F代は雪の上を行ったり来たり、 足で感触を楽しんでいる。さあ展望のいい西峰の方に移動しよう。 赤テープに導かれて進んでいると何やら南東の方角に向き始めた。はっきりした道だが、どうや ら蛇行しながら東へ続く主稜線ルートのようである。東峰に向って戻りかけると西峰への分岐テ ープ発見。右手に植林帯を見ながら雑木ヤブを登り返して西峰に到着(10時12分)。
槙ヶ峰 東峰山頂同じく 西峰からの眺望

こちらの眺望はどうだ。先頭を歩いていたF代が思わず歓声を上げるほど見事な雲海が広がって いる。真正面奥に雪を頂いて白く輝くのは篠ケ峰、その左奥には雪雲に山頂を覆われた千ケ峰、 青空の下どこまでも雲海が広がる絶景。先月五台山の頂上で見た雲海を遥かに凌ぐスケールにコ ンパス姫もミスBもただただ景色に見入っている。 全員十分堪能したところで北西尾根を下りにかかる。途中、鉄塔の建っているところまでは落葉 の絨毯が堆積した幅のある「ええ道」。鉄塔を過ぎてもしっかりした踏跡のある「ええ道」。標 高を下げるに従って再び重く冷たいキリの中へ。11時きっかり丹南支所前、島姫神社旧址に下 り着いた。 2001年12月24日(月)東六甲/樫ケ峰〜小笠峰(2.5万図 宝塚) 今日は遠出をするつもりであったが、昨日の納山会でたらふく美味しい料理を頂いたせいか、早 朝から走り出すのがおっくうになり近場に変更、表題のコースをMTBで走ることにする。 樫ケ峰は阪急逆瀬川駅の西方、六甲山地の主稜線の一本南にある小さな山塊。今年5月にやまぼ うしさんが歩かれレポートを発表しておられる他、宝塚のコミュニティー紙『宝塚てくてく』1 2月号にも紹介されちょっと注目を集めているハイキングコースである。 加えてここは私のような元西宮市民、現宝塚市民にとっては気になる場所。というのもこの樫ケ 峰頂上から東へ直線距離にして1km少々の間、両市の境界線が無い。このため西宮市も宝塚市 も各種資料に記載されている面積は確定面積ではなく推定面積になっている。(盤滝峠付近、赤 子谷付近も短い区間ではあるが、両市境界線が未確定の場所がある) 7時12分出発。阪急逆瀬川駅から逆瀬川沿いに上る。9月に六甲最高峰に登って以来だが、相 変わらず一本調子の上りは足にくる。おまけにゆずりは台公園への曲がり角を間違え宝塚西高校 の坂を上ってしまい、強引に補正しようとして進めずにタイムロスをしてしまう。 いったん戻って老人ホームへの道を上っていくと、岩倉橋手前、ガードレールが切れたところに 「樫ケ峰へ」の標識がある。当初北の谷筋を巻いて小笠峠から登ろうかと考えていたが、山を走 ったあと夙川沿いに海まで走る予定だったので、ここから登ることにする(7時42分)。 川沿いの道に入るとすぐに左手に関電の巡視路の階段が現れる。これを登る。ちょっとくらい休 ませろよ、と言いたくなるような急階段が続く。結局No28の鉄塔まで標高差にして80mの 連続階段。自宅を出てまだ7kmほどしかなっていないのにえらく疲れる。概して北摂、丹波の 山より六甲の山の方が、ザレた斜面や、岩が多く、コースも雨でえぐれていることが多くて「押 し」にくい。 鉄塔から10分ほどのところで「ゆずりは台、ゴルフ場、樫ケ峰」の三叉路に。更に10分ほど で樫ケ峰の山頂に着く。「461.1m、甲山より152m高い」と書かれた西教委(西宮市教 委のことか)の標識が立っている。このコース全般に低いマツのため展望がいいが、山頂付近だ け樹木に囲まれて展望はない。ピークの西端に「社家郷山」と彫られた石標がある。
樫ヶ峰山頂

しばらく休憩して西に進む。白っぽい砂に南北が切れ落ちて狭まったところが出てきたら「馬の 背岩展望台」(8時24分)。展望台の名の通り、南東側は大阪湾を一望できる抜群の眺望。北 側も譲葉山から大平山にかけての稜線がくっきりと美しい。谷底を覗き込むと一本の道が東西に 付いている。当初予定していた小笠峠への道か。 馬の背で少し休み過ぎたようだ。更に西へ300mほど進むと東三ツ辻出合、更に500mほど 進むと西三ツ辻出合に着く(489標高点のあたりか)。どちらも三叉路になっていてキャンプ 場に降りられるようである。
西三ツ辻出合
樫ヶ峰はこうした分岐が多い

このあたりから乗車率が俄然アップ、面白いように走れる道となる。8時53分「小笠峰出合」 に着く。南に行くと「外れ峰」方面とある。南に少し行ったところが広場風になっていて暖かい。 小笠峰出合からまたも連続乗車で小笠峰に(8時57分)。山頂とは思えない何の変哲もないと ころだ。「490.3m」と木彫の大きな標識が立っている。 車の音が近づいてきた。県道が近いのだろう。下りにかかる。木の根が張り出した急激な坂を下 ると県道に飛び出した(9時07分)。最後はえらくあっけなかったが、このルートを取ったの は正解だったようだ。逆だったら樫ケ峰から岩倉橋まで標高差230m、ずっとMTBを担いで 降りなければならないところだった。 小笠峠から100mほど北の地点で、小さいが登山口の標識も立っている。スポーツドリンクを 一気に飲み干し、鷲林寺橋までダウンヒル。県道82号(大沢西宮線)を更に南下、西宮浜まで 快適サイクリングを楽しんだ。   (本日の走行距離 40km) 2001年12月29日(土)篠山/雁坂峠〜中山〜曽地中(2.5万図 福住) 今年最後のMTB山行は、弥十郎ケ嶽南西方にある表題のコースを訪ねることに。昨年5月に後 川下の高嶽から雁坂峠まで走ったときに、峠から更に北東に向かって明快な道が続いているのを 確認していたので、その先を進んでみようというわけである。 テルモスに熱いレモンティーを詰め、6時50分空が白んでくるのを待って出発。それほど寒く はない。いつもの川西能勢口回りのルートで北上、途中笹尾のコンビニで食料調達をして、杉生 新田への上りにかかる。 路面が部分的に凍結している。強く踏みこむとリア・タイヤが滑るので、軽く回しながら西峠へ。 やはり今年は暖冬なのだろうか、この時季積雪があることもめずらしくない西峠だが、雪の気配 は全くない。そのかわり半凍結の路面ではいつものカッ飛びコースも今日は恐怖の下り、30k m/h以上は出さないようにしてゆっくり下る。後川下8時58分着。 少憩の後、後川奥から曽地奥へ抜ける林道を峠の鞍部目指して上る。ここも路面は半凍結、おま けに雪の跡もうっすら残っている。9時23分峠に着く。篠山盆地を覆い尽くす雲海が見える。 鉄塔建設でいい「展望台」になった西側の広場まで歩き、雲海を眺める。今日の雲海も凄い。八 ケ尾〜峠山が溺れそうなくらい。堂々と姿を見せているのは三岳、小金が嶽、西ケ嶽の多紀三山、 黒頭峰、夏栗山もかろうじて頭を見せているだけだ。その奥は遥か篠ヶ峰の方まで雲海が続いて いる。
後川奥ー曽地奥峠から
小金ヶ岳方面
147鉄塔より、多紀三山

気温2℃、日向の雪も融けるそぶりを見せない。ジッとしていると寒い。峠に戻り、MTBを担 いで高嶽へ向かう山道に入る(9時35分)。 雑木林の中にしっかりとした山道が続くのは昨年と変わらず。但し、昨年よりも倒木が多く、「 押し」にくい。高嶽のすぐ北にあるCa560ピーク手前で判然としなくなるが、雑木の間を適 当に縫って担ぎ上げピークに出る(9時52分)。MTBをデポして高嶽往復、MTBにまたが り雁坂峠へと下る。 倒木がなければ乗車率は90%くらいか。道が北東から北へ向くところにはピンクのリボンが下 がっている。この辺り落ち葉を巻き上げながら走れる快走区間となる。すぐにNo147鉄塔へ。 といっても鉄塔の周りは弱電ネットに囲まれて入れない。ネットの周りをグルリと回って北側に 1ケ所付けられた扉を開けて鉄塔の下に上り返し軽食休憩を摂る(10時10分)。
雁坂峠方面へのS/T

15分ほど雲海を肴に休憩タイムを取った後、行動再開。2分ほどで雁坂峠に到着。「火の用心」 の標識が立っており進む先にはNo148の鉄塔があるらしい。明快な山道は尚も続く。倒木と 倒れ掛かった木がなければ最高なのだが、と取り除ける倒木は取り除き、トレールメンテナンス もしながら494標高点を過ぎ、Ca500のコブへ(10時45分)。 ここは小広くなっている。落ち葉の堆積が厚く、ルートが少し判りづらいが、北にとればまたし っかりとした道が現れる。少し乗車率がUPしてきたと思ったら、もうそこは中山手前100m の地点。木に赤りぼんが巻きつけてある。南東尾根に向かってしっかりとした道が続いている。 反対側から来たら間違いなくこのルートを進んでしまいそうだ。565標高点の方へ向かうのだ ろうか。逆ルートだと雁坂峠方面への進入路はわかりにくい。 合流した道は中山の頂上直下、西側を巻いて北に伸びている。頂上との標高差はせいぜい10m 少し、MTBを担いで雑木に掴まりながら、斜面を登って頂上に着く(11時10分)。 丸い頂上で雑木が繁り展望は無い。平成2年発行の地形図「福住」には557.2m三角点の表 示があったが、三角点が抜き取られ、同11年発行の地形図では557m標高点ピークにと表示 が変わってしまった頂上だ。 『兵庫丹波の山』の慶佐次先生が登られた頃は、三角点が抜き取られた跡があったようだが、も う今ではその跡すらもわからなくなってしまっている。登頂標はなく、赤いリボンが一本木に巻 きつけてあるだけの静かな頂上である。 再びMTBを担いで道に戻り北に向かう。依然として倒木は多いものの連続乗車区間も多く現れ るようになる。右手にシカ除けネットが現れるあたりは超快走区間、やがて弥十郎を右手に見な がら走れるビューポントも現れ、続いて小さなコブを上り返すと今度は左手に天狗岩から寺山に 続く山並みを見ながらの走りへと変わっていく。 標高400mラインあたりまでは夢のような快走区間だ。体感乗車率60%というところか。倒 木をすべて除けば90%は乗れるようになるだろう。 下りの傾斜が強くなりはじめると植林帯の中のガレた道となり、乗車率も下がる。更にMTBを 「押し」ながら下ると、「やめてくれ」と叫びたくなるような連続倒木区間に突入する。なにし ろ直径30センチくらいありそうな太いスギの木が連続して倒れ山道を塞いでいるのだ。そうし たスギは倒れるときにあたりの細い雑木を巻きこんで倒れているので、簡単にくぐればいいとい う状況ではなくなっている。 下りだからいいようなものの、このルートを登りに使っていたら、きっと途中であきらめて中止 したに違いない。ところどころ山道を離れ、植林帯の中を掻き分けながら進むなどしてなんとか 突破、ようやくMTBに乗れるようになったと思ったら、シカ除けの柵が前方に現れた。
曽地中、赤鳥居の前に降りてきた

扉を開けて麓に出るとそこは2基の赤い鳥居に2基の祠がまつってあるポイント。地形図の鳥居マ ークのあるところだ。あぜ道を伝って舗装路に出る(12時03分)。10mほど北にJRバス のバス停がある。「観音前」と書かれたバス停の時刻表を見てびっくり。一日1往復だけ。篠山 方面行きだと、朝の8時02分1本きり。これじゃあ村の人はバスを利用しようと思っても無理 だ。 逆ルートのことを心配しなくてよかった。絶対にこんなところに高嶽へ抜ける山道が続いている なんてわかりっこない入り口だからだ。下界に下りてくると風が強い。日本海にある低気圧に向 かって風が吹きこんでいるのだろう。帰りはずっと向い風と戦いながら走らなければならないよ うだ。取り敢えずは曽地奥から後川奥へのつづら折りをヒルクライムだと自らに言い聞かせ帰路 についた。           (本日の走行距離 107km)  

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