山を駈ける風になれ2002年 7月号

 
2002年6月2日(日)篠山/多紀連山、小金ケ嶽〜三嶽(2.5万図 村雲、宮田)
第12回ヤブ山歩き。毎月のように企画しながら、狙い撃ちにあったかのような雨天攻撃で中止が
続いていた。自分ばかりが女性達と歩いているので、島田氏に法道仙人秘伝の妖術を使われたかと
思っていたが(あ、いやいや)、今日は今までの鬱憤を晴らすかのようないい天気。丹波を代表す
る2座を縦走するには絶好のお膳立てが整った。
加えて未確認情報ながら出張に“かこつけて”大阪に帰ってきているロード仲間のK氏が篠山を走
る予定とのことで大タワあたりで“クロス”という楽しみも…。

本日の参加メンバーを紹介しておこう。「攀」の字をあしらったモンベルのTシャツできめなが
ら、何という字か読めないコンパス姫、夏でもクールなミスB、そして裸眼視力1.5はカメルーン
代表ばり、“エムボマ”F代のレギュラー3人。個々に山歩きはやっているらしいが、フツーのハ
イキングでは満足できない体になってしまったとかで、今日のヤブ山を楽しみにしてくれたようだ。
いつもの“篠山方面山行御用達列車”に乗り込む。車内の話題はPCを買ったばかりのF代がマシ
ンガントーク全開。気がついたらもう篠山口駅という感じで、篠山口に着くとバスで本篠山へ(9
時41分)。
本篠山に着くとバスターミナルが無くなっている。JR西日本バスが営業路線を縮小したのは知っ
ていたが、ガラ〜ンとしてしまった。営業所でバスの発車時間と乗車場所を確認したのち、河原町
をぶらつきながら時間をつぶす。
10時13分、神姫バスの本篠山バス停で待っていたわれわれの前にバスを停めてくれる。他に乗
客なし。貸切状態というよりもチャーターしたという感じだ。鄙びた風景の中をバスはゆっくりと
走る。結局、途中からの乗客もないまま終点の火打岩に到着(10時30分)。
河原町を散策火打岩にて、元気なうちに記念撮影

下車するとこれから向かう山々の最奥部にひときわ高く三嶽が聳えている。青空をバックに相変わ らず堂々とした姿である。本日の最終目的の山はあれだ、と紹介して記念写真をまず一枚。 10時33分、県道をゆっくり上りはじめる。「いわや」方面分岐手前から山道伝いに小金ケ嶽を 目指すのがベストかも知れないが、帰りのバスの時間もある上に、ここのところまとまった山歩き をしていないメンバー達。最初はペースを計る意味からも舗装路歩きだ。大タワへと何度となく登 りに使った道だが、歩いて通るのは初めてだ。 だらだらとした上りは歩いてもしんどい。なるべく涼しい日陰側を誘導しながら11時03分、小 金ケ嶽登山口に到着する。汗をぬぐい、喉を潤していよいよ山歩きに入る。植林帯の中を畑山との 鞍部に向けて登っていく道はひんやりとして気持ちがいい。ただ、今日とったルートはハイキング 道として付けられたもので、旧道と違い強引に付けられた感じがする。F代、コンパス姫はすでに 汗だく状態、口数も少なくなったが11時21分には福泉寺との分岐に着く。ペースは悪くない。 さて、休みも入れずに小金ケ嶽直登コースに入る。いつものヤブ山歩きらしい道になったとF代。 楽しむ間もなく、すぐに岩尾根登りに変わる。彼女達にとっては厳しい登りが何度か現われるが、 登るほどにぞくぞくするような展望が広がり、満足感が増していることは間違いのないところ。 去年、岩登りでしばしば立ち往生の場面も見られたF代も今年は下から私をカメラに収める余裕。 コンパス姫は相変わらず無駄な力を使わずに上手に岩場をクリア。汗をかかないミスBは淡々と登 っている…ように見える。 岩場で写真を撮り合いながらの登りも最後の岩をクリア、11時50分小金ケ嶽頂上に着く。私自 身6年ぶりの小金ケ嶽。周囲の木が伸びて、山頂中央の「山名入り方位盤」の上に立たないと迫力 の展望が望めない状態に変わっている。 とりあえずは昼食タイムだ。先行者が何組か昼食を摂っている。一組の中年のご夫婦に木陰のスペ ースを少し開けて頂き弁当を広げる。天気はいいし、いうことなし。木陰に入れば涼風が吹きぬけ 気持ちがいい。今日は全員コンビニ弁当。私が特大の「ビッグとりそぼろ弁当」をザックから取り 出せば、コンパス姫も「よくばり○○弁当」という結構しっかりした弁当を取り出す。 ゆっくり休憩時間を取り、記念写真を撮って大タワへの縦走に入る(12時25分)。いきなり三 嶽方面の展望が開け、メンバーの中から感嘆の声が上がる。ここからは楽しい岩尾根歩きだ。岩尾 根を歩く彼女達をカメラに収めようと標識のある北壁に先回りする。 待ち構えていると、30mほど先の岩の間から3人の姿が現われる。カメラを構えると、F代の方 でもこちらの存在に気がついたようで、 「あ、織田さんが、“きたかべ”のところにいますよ」という声が聞こえる。 カメラを構えたまま、ズルっとコケそうになる。確かに“きたかべ”と読めるが、フツーそんなも っさりとした言い方じゃなく“ほくへき”とかっこよく言うだろう。彼女達の到着を待ってそのこ とを言うと、3人共“きたかべ”で一致していたようでコンパス姫はきょとんとしている。多数決 に負けそうになって、一瞬どっちでもいいか、と納得しそうになる。
小金ヶ岳、南尾根の岩場にて絶景を楽しむ(北壁より撮影)

とりあえず、ここも高度感抜群のビューポイントなので、記念撮影だ。代わる代わる写真を撮り合 う。一巡したところで、下りに入る。以後も撮影ポイントは現われるが、プログラム進行上最小限 度に留めつつやっとの思いで大タワに着く(13時07分)。 一足先に下りる。3分遅れで下りて来た3人に「お疲れさん」と声をかけようとしたその時、ロー ドに跨ったK氏が颯爽と登場。まさに計ったかのようなタイミング。いや計ってもここまで上手く はいかないだろうという絶妙の登場ぶりに再開を喜び合う。 彼女達を紹介、ひとしきり話をしたところで、K氏も一緒に、近くにある湧き水ポイントに移動す る。冷たい水に歓声をあげるメンバー。今日東京へ帰るというK氏には空になったペットボトルを 差し出し、お土産に湧き水を詰めて持ち帰っては?と提案する。 話は尽きないがお互いそうもしてられないので火打岩方面へ下るK氏を見送る。ロード姿に「かっ こいいわあ」を連発するF代。 「でも何であんなに下りながら、こっち見て手ぇ振ることができるんやろ」 いつもながらF代の視点は面白い。 さて、こちらも出発だ。13時30分三嶽山頂を目指して出発する。地元の中学生の登山があった ようで、ぞくぞく大タワに下りて来る中を登る。歩きはじめるとすぐに現われる激階段登り。これ まで何とかついてきていたF代に異変。遅れ始める。マシンガン弾切れか。軽いジョークを飛ばし て元気づけていたが、やがて反応が無くなる。 階段の途中、左右に道が別れるところで、小休止。一息入れて歩きだすが、もうフラフラの状態。 東峰手前のビューポイントの紹介にも反応なし。役行者像の説明も聞かずに歩いている。14時0 5分、一等三角点の埋まる三嶽山頂に到着。それでも大タワから35分で到着は大したもの。ちょ っと早く引っ張りすぎたかな、という反省も。でもコンパス姫は三嶽山頂を大タワと勘違いして、 もう一座登るものと思っていたようで、「もう一つ登るのはちょっときついかなぁ、って思ってた んですよ」と割と平気な顔で言っている。今日の行程でもう一座は山慣れた人でもしんどい。
きたかべ?!ヤッター岩にて

F代の回復を待って、14時28分下山にかかる。ノーステイクの新川さんが、その昔名付けた “ヤッター岩”(山頂直下の展望の露岩)で展望を楽しむと後はひたすら下山。水呑み場(15時)、 大崩壊地点(15時20分)と通過、15時40分に火打岩バス停に到着。 発車までに間があるからと話をしながら時間をつぶしていると、時間を過ぎてもバスは来ない。ミ スBに念のため篠山営業所に連絡を入れてもらう。相手の話しぶりからバスの発車を忘れていたよ うだとミスB。そんなアホな、と笑っていると、猛スピードでバスがやってくる。「すみませんで した〜」と運転手。われわれ4人を乗せるや、爆走に次ぐ爆走、停留所案内テープの早送り。なん と10分で本篠山に帰り着く。得難い体験をした一日だった。 2002年6月8日(土)篠山/法光寺山(2.5万図 篠山) 今年一月に火打ケ嶽とセットで走破を予定しながら、足の不調で中止した法光寺山を歩く。法光寺 山は篠山盆地の南部、明智光秀の八上城攻めで有名な高城山の西隣にある標高342.8mの小さ な山だ。慶佐次 盛一氏「兵庫丹波の山」によれば南北に伸びる尾根筋には踏跡があるようだ。 5時28分、清々しい朝の大気の中を出発する。この時季になってくると気持ちよく走れるのは朝 の数時間だけ。すぐに暑さとの戦いになってしまう。今日は昼から予定も詰まっているので、少し でも時間短縮をとロードで現地へ。 最近快走が続いている。赤坂峠を自己最速に近いスピードでクリアすると、弱い追風にも恵まれグ ングン加速、6時51分古市を過去の記録を0.4km/h上回る平均速度で通過、篠山口に着く。 法光寺山に行くなら波賀野からR372を亀岡方面に折れるのが最短だが、ここまでくれば交通量 の少ない道をのんびり走りたい。丹南弁天から糯ケ坪、八上下と走りつぎ7時25分、北麓にある 稲荷神社に到着する。 R372に面しているが、鬱蒼とした木立に覆われ、苔むした鳥居がなかなかの風情を醸し出して いる。石段を上り、本殿の横にロードをデポし、登路を探す。最初、全然見当違いの方角に道を探 していたものだから時間を食ってしまったが、正解は左の本殿奥から踏跡が山に向かっている。 植林帯の中の道を登り始めると、目の前に赤裸のような木が。シカに樹皮を食われたかと思ったが、 そんなわけはない。だって、高さ10m以上まで樹皮が剥がれているのだ。ブラキオサウルスじゃ あるまいし(そんなものを食べたかどうかは知らないが)そんな巨大なヤツはいない。 冗談はさておき、檜皮(ひわだ)である。どこの社寺の屋根を葺くのに使ったのかは知らないが、 初めて見る光景に感心する。でも、やっぱり剥かれたヒノキは痛そうに見える。
北麓の稲荷神社檜皮をはいだあと。この辺は一面こんな感じ

登り始めて5−6分で尾根筋に着くと、後はほぼ平坦なコース。はっきりした道が続く。赤テープ も頻繁に現れるが、迷いようのないいい径が続く。2、3度小さなコブのアップダウンを過ごし、 ぐっと急斜面を登ると法光寺山山頂に(8時00分)。山頂にはほとんど埋まった4等三角点があ る。“035”しか読めない。法光寺が在ったという山頂はその部分だけが平坦で、山城の跡のよ うにも見える。展望はない。麓との標高差も小さく、R372を走る車の音がよく聞える山頂だ。 少憩の後、南へ尾根筋を辿る。依然としていい径は続く。タケが繁殖しているところや、アカマツ 林や、雑木林など、ころころと尾根筋の風景が変わる変化に富んだ山歩きが楽しめる。途中Ca3 20コブは西側にも巻き道がついている。
山頂手前から法光寺山南尾根から愛宕山を見る

8時11分、南端の336標高点ピークに立つ。母子の三国岳から愛宕山が見える。また天狗岩が 南東側に長々と大きな体を横たえている。あとは少し南に下れば道路に出る。が、ここで踏跡が突 然無くなる。 あたりを見回しても株立ちした雑木がヤブを形成しており、どこにもルートらしきものが見当たら ない。どこかで正しい分岐を間違えてしまったようだ。といってもMTB同伴でもなし、気楽な体 一つ。強引にヤブを突破、下降を続ける。336点から南西側の谷筋に下りてしまったようだ。大 きなヌタ場かと思いきや、枯葉で埋まった沼。片足が沈む前にもう片方の足を送る、という忍者の ような歩きで沼の上を通過。再び踏跡が現われたと思ったら墓場が現われ道に出る。 やはり予定よりもだいぶん西へ振ったところへ出てしまった。殿町方面へと峠を越えると、山の方 からコンクリートの階段が下りてきているポイントを発見。どうやらここに下り着けば正解だった ようだ。爽やかな六月の風を胸いっぱいに吸いながらデポ地へと歩いた。          (本日の走行距離 105km) 2002年6月16日(日)北摂/天王折り返し〜西半周周回(2.5万図 福住他) 珍しく目的地が定まらぬまま週末を迎えてしまった。候補の山はいくつかあるのだが、疲労も相ま っていまいちモチベーション上がらず。かといって例年なら雨で走ろうにも走れないこの時季に土 日とも好天が続くとあってはじっとしているのはお天道様に申し訳ない。 5時38分、気温22℃というわりには清々しい空気の中をロードで出発する。連日ジロ・ディ・ イタリアの放映を見ていると、自分でもグイグイと上りが走れるような気になってしまう。そんな 錯覚気分で川西能勢口から県道川西篠山線を北上、石道から最近(といってもちょっと前だが)つ ながった白金台への片道2車線路を上る。 見るからに辛そうな上りが続くだけに、今まで走ったことはなかったのだが、“北摂は庭”と称し ている以上、走ったことがない道があるというのは恰好つかない。長い単調な上りに“もう2度と この道を走ることはないだろう”と思いながら紫合の交差点に。ようやく見慣れたいつもの道に戻 る。 杉生までは快走の連続、杉生新田への上りも快調に上ると泉郷峠越えで天王方面に向かうことにす る。ここまでほとんど日差しに照らされることもなく涼しい中を走って来れた。泉郷峠を越え、天 王に向かう道に入ると体を吹きぬける風は一段と冷たくなり、心が洗われる思いがする。道ばたに は満開のノアザミ、そして聴こえてくるのはウグイスの鳴声。そして傍を流れる羽束川からはカジ カ(カエル)の澄んだ声…。 上りに強いスローピング・フレームのおかげもあって、天王に気持ちよく到着(7時31分)。腰 の調子がいまいちなので、特に気合を入れて走ったわけではなかったが、天王(寺田橋)まで所要 時間、1時間53分はひょっとして過去最速かも知れない。 ここで折り返す予定だったが、気持ちよく走ってきたので、もう少し先(はらがたわトンネル方面) まで行くことにする。以前から気になっていた山が近づいてくる。山の上に給水塔のような鉄塔が 立っているCa630山だ。どこかに登路があるに違いない。トンネルのすぐ左に電柱の切開きは 見えているが、あれではない。ちょっと見ただけでははっきりしない。日差しも徐々に強くなって きたので、ここでUターン。 天王から籠坊温泉へ再び涼しい道を行く。しばらく下りが続くので気分爽快だ。7時59分、後川 で小休止。今度は羽束川沿いの県道三田後川線を南下する。猛スピードで駆け上がってくるレーサ ー2人とすれ違う。今日は日曜日、これだけ天気が良くて涼しいと、サイクリストは多いかも知れ ない。と、早速続いて3人。最後尾はピンクのフレームに跨った女性だ。にこやかな挨拶を受ける。 年齢まではわからないが、よくシェイプアップされている。 もっとも、男にせよ女にせよ、あまり太ったサイクリストは見たことがない。もとから細いのか、 自転車をやってるから細くなったのか、は卵が先か鶏が先かに似たところがあるようで本質的には 違う問題だろうな、などと考えながら走っていると、後ろから走ってきた兄ちゃんに抜かれる。 フレームはインターマックス、かなり高そうなレーサーに乗っている。追いついて木器への短い上 りに差し掛かる。自分の方が2枚ほど重いギアを踏んでいるので、上りで踏ん張れば抜き返しそう になる。兄ちゃんは木器でターンしてそのまま大坂峠の方へ爆走。こちらは農免道路を通って千刈 へ。ここでもレーサー2人とすれ違う。長谷から万善への下りでは5−6人の集団。方向が逆だか ら競争にならなくていい。 北田原から紫合に向かう道では同方向を走るレーサーが。と思ったら小径ホイールでツーリングを する兄ちゃん。続いては上野から広根への上り。なかなかちんたら上らせてくれない。向こうは気 合を入れて下ってくるので、こちらも気合を入れて上らないといけない(別にいけなくはないが)。 等間隔に7−8人も挨拶しながら下ってくるので、こちらも挨拶を返しながらグイグイと上る。お かげでいつもより10km/h近い速度で上りきってしまった。 あともこんな調子が続く。今日はいったいどうなってんの?ほんとにサイクリストとよく出合った 日だった。    (本日の走行距離 108km) 2002年6月22日(土)市島・春日/妙高山(2.5万図 市島) 何年も前から計画しながら、なかなか実現にこぎつけなかったのがこの妙高山。日ケ奥渓谷から登 ってよし、野上野コースから攻めてよし、はたまた三春峠より稜線伝いにヤブを掻き分けていくも よしとMTBお楽しみコースばかりか、北から車道伝いに神池寺まで上ることも可能といろんなア プローチができる。それが逆に災いしたのでもなかろうが、何時、どんなルートで何で行くかとい うことが決まらなかった山でもある。 ヤブが茂りクモの巣がうるさくなったこの時季に行くとなればやっぱりロードだ。距離もあるので MTBではちょっとしんどい。昨年10月に走った京都府三和町周り戸平峠越えで山頂を目指すこ とに。トータル170km弱、山歩き部分は短いが、それなりに走り応えのある一日となりそうだ。 夜中の雨もすっかり上がり、少し肌寒いくらいの5時25分出発。北寄りの風が少しあるが、気に なるほどではなく、先日更新したばかりの赤坂峠上り平均速度をまたまた僅かではあるが更新、気 分をよくして三田まで爆走を続ける。 ところが広野を過ぎたあたりから向い風が急に強くなりスピードダウン、平均速度は徐々に下がり だす。今日は長いので敢えて逆らわない。古市手前辺りからは路面が一面に濡れている。そこかし こに水溜りもあり、スリッピーな状態に。白髪岳からはさかんにガスが立ち上っている。直前まで 雨が降っていたようだ。 丹南橋交差点で県道丹南三和線に入る。黒頭峰はどんよりとした雨雲に包まれている。その雨雲か ら風に飛ばされて雨が飛んでくる。頭上はカンカン照りなので、冷たくて気持ちがいい。雨雲が東 に移動してくるようだと、どこか途中で雨宿りを考えなければならない。しかし、雨雲の動く様子 はなく、進行方向は青空に守られたまま栗柄峠に到着(7時35分)。 向い風を考えればまずまずのペース。いつもは大幅にスピードが落ちる鼓峠の登りもスローピング ・フレームのおかげかラクにクリア。本郷への下りを楽しもうとギアを踏み込むが、路面が濡れて おり安全走行で本郷まで下る。 ここから菟原までのコースはお気に入りのコースの一つ。山の中に点在する集落を適度なアップダ ウンを交えながら縫っていく道。下りの反動で上ってしまえる坂を次々とクリアしていく。 栗柄峠から30分で菟原に到着。水分補給をしてR9に合流、下りで前を走るミニバイクを捕らえ、 芦淵の交差点を左折、戸平峠へ向かう。 緩い上りが峠(正確にはトンネル)まで続いている。風も気にならなくなったところで、少しペー スを落とし、ゆっくりと風景を楽しみながら戸平峠に向かう。いつもながら交通量のほとんど無い 道だ。一度大きくカーブしたらもう戸平トンネル(8時33分)。お約束のトンネル手前で写真を 撮って後地へ下る。
戸平トンネル

昨秋はトンネルを抜けた途端、真っ白なキリで何も見えずどこを走っているのか全くわからなくな ってしまったものだが、今日は雨上がりの直後、美しい山々の稜線を眺めながら走行できる。 標識に従い南に折れ、神池寺への道を辿る。塚原までは緩い上りでラクに走っていたが、道の両側 から山が迫り出すや、いきなり急登が始まる。右手に「秋葉神社」と書かれた標識が現れるが立ち 止まって見ようかというどころではなく、気力がどこまで続くか、といったヒルクライム・モード に移行してしまっている。多紀連山の大タワを北側から上っているような感じがする神池寺への道 は、あっという間にインナー×ローになってしまい、それでももう一枚ギアが欲しいと感じさせる 道となる。 斜度はほぼ一定しており、なかなか休ませてくれる緩斜面が現われない。それならば自発的に休む しかない、と道が西へカーブするところ、大きな岩に「妙高山」と彫られた場所で休憩を入れる。 少憩の後走り出すとすぐに「神池寺まで2.6km」の標識。続いて総門が現われる。総門を通過 すると少し緩斜面になる。ラクな上りはあっという間に終わり、再びきつい斜度の坂道が連続する。 「神池寺まで0.8km」の標識を過ぎると北に展望の開けるビューポイント。これ幸いとロード を停めて景色に見入る。戸平峠から福知山の山々が幾重にも重なって見える。残念ながら山の名前 はわからない。最後のひとふんばり、と頑張って登りきると、本堂と神池寺会館の分岐に到着(9 時10分)。ようやく上りきった。
神池寺 行者堂本堂へはこの階段を上がる

まずは、犬がやたらと吠え立てる家の前を通り、常行堂に。つづいてロードを担ぎ、石段を登って 本堂に着く(9時20分)。本堂の縁に腰掛けて水分を補給する。草深い本堂である。 本堂の裏にロードをデポして、妙高山へ登りにかかる。1.5m幅のしっかりとした道が続いてい る。殆ど平坦な道だ。やがて、神池寺会館からのハイキング道と合流、少し急になった山道を右手 に現われるアカガシの大木を見ながら登ると左手から山道が合流する。周囲の木に目印のテープが いっぱい巻きつけられている。どうやら妙高山東のCa550mピークに続く道のようである。 平坦な山道の足元には小さなお地蔵様が立っている。「右 野こ野(?)三井」、「左 かん○○ 料」としか読めない。彫られた年号も少し欠けているが、こちらは「文化3年」のようである。確 かに西へ向かう山道は野上野コースだ。
頂上手前の石仏手前に祠 向こうに三角点

妙高山山頂へは、その野上野コースと別れて右の道を登る。こちらも分岐にやたらとテープが巻き つけてあるので迷う心配はない。短い九十九折を登ればお地蔵様を祀った祠のある山頂に到着(9 時35分)。祠の3mほど西に三角点が四周を石に囲まれて埋まっている。564.8m2等三角 点だ。樹木に覆われて展望はなく野鳥の声が聞こえるのみ。体を吹きぬける風が冷たく気持ちがい い。今日はほんとうに涼しい。 10分ほどおやつを食べながら山頂でのひとときを過ごした後、元来た道を本堂まで戻る。距離が 短いので登りも下りも所要時間は同じくらい。10分ほどだ。せっかくここまで来たのだからと神 池寺会館の方に足を運んでみる。何があるのかと思って覗いてみたが何もない。周囲の広場はキャ ンプ場のようだ。アベックが一組、広場のベンチでじゃれあっているだけ。早々に退散、山を降り る(10時05分)。 30分以上かかって上った道も下れば10分とかからない。妙高山の西麓を回り込んで、春日町に 入る。風の影響を受けにくい旧道を多利、塩谷、東中、松森、広瀬と走り継ぎ、栗柄峠への上りを かつてない速さでクリア、峠に着く(11時03分)。 完全に追風と変わった。猛スピードで坂道を一気に下ると「黒豆の館」でしばし昼食休憩。11時 45分、帰路につく。以降も随所で30km/h台後半から40km/h台前半の快走をマーク、 最後までスピードが落ちることなく13時38分我が家に帰り着いた。     (本日の走行距離 166km) 織田(おりた)さんへのメールはbabrx800@jttk.zaq.ne.jpまで・・・。

表紙にもどる

『山であそぼっ』にもどる