山を駈ける風になれ2002年 10月号

 
2002年9月1日(日)篠山/浄仙山南麓林道コース(2.5万図 福住)
浄仙山とは篠山市は籠坊温泉の北側に位置する弥十郎山塊の一峰。エアリア・マップ『北摂の山々』
では丈山と書かれている山だが、妻恋地蔵さんの丁寧な調査で「浄仙山」というのが正しい名前で
あることがわかった。慶佐次先生の近著でも「浄仙山」として紹介されている。

浄仙山には9年前にMTBを担いで農文塾から登ったことがある。泉郷峠から見る浄仙山の姿が好き
だったのだが、もう2−3年になるだろうか、山頂直下に無粋な鉄塔が建ち今では興醒めな景色にな
ってしまった。だが、それは山のせいではない。おまけにその鉄塔に向けて林道ができたと聞き、一
度新コースを訪ねてみることにする。
5時38分、相変わらず蒸し暑い中でスタート。今日もロードだ。もう少し涼しくなってくれないと
MTBの出番がなかなかやって来ない。朝鮮半島に上陸した台風15号に向って吹く南風を追風に序
盤快走するはずだったが、意外にも無風。何のこっちゃ、と思いながら特に早くも遅くもないペース
で杉生に着く(6時50分)。
時計を見ると意外といいタイムだ。水分補給をしたのち気分を良くして杉生新田への上りでペース・
アップ、泉郷峠も快調にクリア、時間もあることから天王まで走る。天王7時27分着。自宅からの
所要時間1時間49分は恐らく自己最速だろう。快晴だった空がいつの間にか重苦しい雲で覆われて
いる。標高500m、さすがにここは涼しい。喫茶店でモーニングを食べて籠坊温泉へ戻り、出合橋
から原へ向う林道を上る。(7時58分)。
原の手前300mほどのところで林道が左手に見える。入口の扉は鍵がかかっているが、自転車なら
横から難なく入れる(8時04分)。
林道入り口

とはいっても今日はMTBでなくロードなので、林道を200mほど押していき、林道右手に「火の 用心」の巡視路標識が現れたところでロードをデポする。ここを直登すればNo157の鉄塔に行け るようだ。いつものクセで巡視路を辿りたい衝動にかられるが、今日は林道の探査だ。先を行く。 標高450mラインに沿って緩やかに登っていく林道は退屈だ。右手のガケから数ヶ所湧き水が流れ 落ちている。南の端まで行ったところで、こんどは緩やかに下る。MTBでのんびり走るにはよさそ うだ。このままみなの沢まで下っていくのか、と思われた林道は再び上りに転じ、西側のCa660 mピーク南とを結ぶ高圧線の下をくぐって北に向かう。 林道が大きく右にカーブする角にNo156鉄塔に向う「火の用心」標識がある。覗いてみたが、ど こも同じような植林帯の斜面が続くだけで、とても巡視路があるようには見えない。林道歩きを続け る。地道とコンクリ舗装が交互に現れる。道幅は2.5mくらいだ。 何度もジグザグに切りながら浄仙山の西斜面を登っていく道である。時速5.5km前後で30分以 上歩き続けているのに山頂は近づいて来ない。三度高圧線の下をくぐる。8時47分、南尾根の端で 林道は突然終わる。正面に大野山が間近に見える。地形図と照らし合わせてみると標高600m等高 線あたりか。
157鉄塔から大野山157鉄塔から京都丹波の山々

すぐ真上にはNo157鉄塔が見えている。林道の登り口で見つけた巡視路入り口で見つけた下山路 もついている。ここからは気持ちのいい巡視路。5分ほどでNo157鉄塔に着く。 抜群の眺望だ。大野山の山容がこれほどはっきり掴めるポイントも珍しい。三国嶽、峰ケ畠、千丈寺 山も指呼の間だ。振り返れば深山、その北側に広がる京都丹波の山々が海のように連なっている。涼 風が吹きぬける。
丈山山頂

展望を楽しんで、北に続く踏跡を辿って浄仙山山頂に着く(9時11分)。9年前と違って沢山の登 頂標が架かっている。北の広場に向かう道は随分はっきりした道になった。だが、その先にあった林 道は木々が生い茂り、随分歩きにくくなった。5分ほどでハイキングコースに合流すると、農文塾へ と下った。 (本日の走行距離105km) 2002年9月14日(土)宝塚/たかつこ山(波豆富士)(2.5万図 武田尾) たかつこ山は千刈貯水池のすぐ北、羽束山の東隣に位置する標高347.3mの小さな山であるが、 波豆富士の別称を持つ端正な山で前から一度登ってみたいと思っていた山である。そんな折も折り、 わが宝塚市のコミュニティー紙『宝塚てくてく』9月号で、たかつこ山が紹介された。結構ヤブ山 らしい。早速訪れることにする。 朝5時の気温22.3℃、急に秋らしくなった。とはいえこの時季低山はクモの巣だらけ、よって MTBは家に残し、ロードで出発する(5時50分)。たかつこ山までストレートに行ったのでは 30kmもないので、いつもの籠坊温泉周回コースを組み合わせることにする。 ツール・ド・フランス、ジロ・ディ・イタリアと並びグラン・ツールと称されるスペイン1周レー ス、ヴエルタ・ア・エスパーニャの真っ最中。昨日のステージでは世界最強のスプリンター、M・ チッポリーニがステージ3勝目をあげる大活躍を見せる一方で、総合争いでは一昨日の山岳ステー ジで優勝したR・エラス、怪我から復帰のA・ビノクロフを抑えてO・セヴィリャが首位に立った。 また、トップから2分以内にはF・カサグランデ、G・シモーニといったツールでは見られなかっ た大物が名前を連ね、非常に面白くなってきた。 というわけで、気分はヴエルタ。紫合手前の交差点でマウンテンバイカーを華麗にかわし快走を続 ける。景色もすっかり秋だ。すでにイネ刈りが終わった田んぼもある。ヒガンバナも盛りを過ぎよ うとしている。年々開花が早くなっている。これも地球温暖化の現れか。 7時27分、泉郷峠を通過。籠坊温泉をぬけ、後川上で休憩の後、木器から香下に走り、8時23 分、たかつこ山を真北に臨む貯水池管理棟の前に着く。ここで地形図を取り出して確認、まずは谷 田池に向う。 池の東側に林道が続いている。入口に六地蔵が並んでいるが、これはその上にある墓地に続くもの。 クリ畑の中を通り徐々に草深くなっていく林道を進む。胸まで埋まるササヤブと1mおきくらいに 現れるコガネグモの大きな巣を払いながら進んでいるうちに『てくてく』の方が登山口に付けたと いう黄色いテープのポイントを行き過ぎてしまう。 やがて道が下りに入りだした。行き過ぎたことを確認するためになおも進んでいると、左手に植林 帯が現れ、ここが入り口といわんばかり黄色いテープが2本の木に巻かれている。しかも新しい。 中に入ってみる。おっとびっくり。そこらじゅう20本ばかり、黄色いテープが巻かれているでは ないか。
登山口、気づかずに行き過ぎるモリアオガエル

これじゃない、とは判っていたが、地形的に最短距離で山頂を狙えそうな位置にあるので、強引に ヤブ漕ぎで登っていく。雑木が密生しているので、ルート取りに難渋する。強引に登り始めて15 分くらいか、急斜面の途中でふと振り返ると、目の前の枝に見たこともない色の大きなカエルがく っついている。エメラルドグリーン色をしたきれいなカエルで大きさは10センチくらいと大きい。 何だろう。まず思い浮かんだのはモリアオガエル。でも写真で見るモリアオガエルはもっと黄緑色 をして茶色い斑点もあったと記憶している。森の中にいて青っぽい色…じゃあやっぱりモリアオガ エルか。取りあえず、話かけながら写真を取り捲る。モデルさんは結構おとなしい。 さて、突然中腹を平行に走る山道に出た。少し南に戻ると分岐に黄色いテープ。どうやらこれが正 解らしい。あとはテープをたよりに急斜面を直登。9時11分4等三角点のある山頂に到着する。
たかつこ山頂上麓の栗畑から
左 小たかつこ山 右 本峰

木々が生い茂って展望は今一つだ。それ以上に残念なのはゴミが多いこと。途中の雑木の素晴らし さと対称的な光景にあまり長居したい気分にもなれず、正式ルートを辿って下山する。ルートさえ 間違えなければ林道まで15分の行程だった。林道を戻る途中、『てくてく』の記事を片手に不安 げに歩くハイカーに道を尋ねられた(地形図を持って歩いて欲しいね)。          (本日の走行距離 97km) 2002年9月16日(月)北摂/武田尾〜名塩ハイキング道(2.5万図 武田尾) 前夜の天気予報では16日は雨、とのことだったので走るのを諦め、朝起きてみると何のことはな いいい天気になっている。TVの天気予報もすっかり晴マークに変わっている。まったく朝から詐 欺に遭ったような気分だ。 昨日から晴とわかっていれば柏原まで足をのばす予定だったが、準備も何も出来ておらず、久しぶ りにMTBの感触を確かめる走りにすることに決め、切畑経由で武田尾に入り、3月に走った名塩 −武田尾ハイキング道を辿って、途中から林道を南下、更にシングルトラックを走り木ノ元に下り てくる周回コースを設定する。 このコースは確か昔、『サイクルスポーツ』に北摂のボス猿(失礼)こと新川氏がコース紹介され ていた記憶がある。 すっかり空気が抜けたタイヤに空気を入れて、7時54分スタートする。MTBにまたがるのは約 5ヶ月ぶりだ。久しぶりにどっしりした安定感、重いような(ころがり抵抗が)、軽いような(ギ ア比が)何とも感触が戻らぬまま川西能勢口回りで広根を通過(8時40分)、切畑への上りに入る。 新興住宅地を左手に見送れば昔ながらの風景が広がる。真夏でもひんやりしている植林帯の間を抜 けるあたりは気持ちがいい。20分弱で切畑へ。ここで水分補給をして武田尾方面に下る。僧川沿 いに下る1車線の道はこれまた天然の冷蔵庫。舗装路ではあるが、頭上を木々が覆い、傍を流れる 川からはマイナス・イオンがいっぱい放出されている、といったところか。こんなところを第2名 神が通るというが、凍結を願ってやまない。 気持ちよく下っているとあっという間に武田尾に(9時10分)。5分ほど休憩の後、赤い橋を渡 って「名塩武田尾ハイキングコース」の標識のところからMTBを担ぎ上げる。階段の担ぎが終わ れば山道はほぼ平坦になりMTB乗車可能となる。 3月に一度走っているのでコースも熟知、尾根筋の上りに入るところまで全線乗車だ。雑木林の気 持ちのいい小径を担ぎ上げるとCa260のコブ(9時30分)。かなり快調だ。
名塩ー武田尾ハイキング道

『ここからは東六甲山系のようなアカマツを主体とした雑木林の中の小径を快走する。Ca260 コブから800mばかり山道を走ったところで一旦よみうりGCの簡易舗装路に合流、ドクラ丸山 (346m)の東を捲いて、再びハイキング道に入る(8時50分)。 短い擬木階段を登り、松葉の絨毯道を登りきったところが、唐子大丸(376m)東北東にあるC a360ピーク。山道を乗ったまま下っていると左手下から林道が合流してくる。この林道は武田 尾渓谷の右岸絶壁の上を木ノ本まで走る道だ。』 これは半年前のレポートの1節だ。今日の目標はこの武田尾渓谷の右岸絶壁の上を走る道が目的だ ったが、ドクラ丸山の東を巻いてハイキング道に入ったあたりからクモの巣がうるさくなってきた。 連続乗車の快走コ−スなのだが、眼鏡には網目状に付き、頭には何重にもからまってセメダインの ような色になってきた(クモの巣を束ねると黄色い色になる)。 林道へ入るあたりは草が生い茂り、一昨日のたかつこ山を取り巻く林道を思わせる状況。とても快 適には走れそうにもない。またの機会と諦め前回とまったく同じコースを走って帰路についた。     (本日の走行距離 43km) 2002年9月21日(土)瑞穂/五条山+質志鍾乳洞(2.5万図 菟原) 今月2度目の3連休のスタート。この3連休は予定がびっしり詰まっており、走れるのは今日だけ という状態。よって遠出をしようと考え、京都丹波は綾部まで走り、未だ走ったことのない由良川 左岸(右岸=R27は何度か実走済み)を回って帰ってこようと計画を立てる。 いつもおおまかな行程距離をはじき出す時に使用するワラヂヤの「マップ東西南北」シリーズ(こ の地図はミシュランのロードマップとよく似た形式になっていて、すべて10万分の1のため、1 km=1cmで距離が掴み易いのだ)「北近畿」を見ていると三峠山と五条山という魅力的な山が あるのを発見、ちょっとマイナーな五条山(569m)を登ってみることに変更、2.5万図「菟 原」で登路を確認して5時39分、ロードで出発する。 朝5時の気温19.8℃と非常に涼しくなった。今日は沿道のヒガンバナも満開だろう。R176 回りで現地に向う。やや北寄りの風が吹いているのか、快走とまではいかないが、そこそこの走り で三田、篠山を越え、7時46分栗柄峠に到着する。 少憩の後、鼓峠を目指す。道が日陰に入ると涼しいと思っていたら、峠手前の道路脇にある温度表 示板は19℃を指している。どうりでここまでラクに走れた筈だ。峠を越えると本郷への下り。今 日の行程の中で何ヶ所か楽しみにしているところの一つだ。と思ったら前をちんたら走る車に追い ついてしまい、楽しみがパー。草山ゴルフ場へ行くのだろう。道を知らないからカーブでは殆ど止 まりそうなくらいのスピードになる。もうちょっとコーナーを読めよ、とボヤきたくなる。 8時15分、栗柄峠からちょうど30分で菟原に到着、今日はR9を東へ走る。ここまで飛ばし過 ぎたか、ちょっと足に疲れを覚える。進行方向、山頂に大きなアンテナが建つ姿のいい山が見えて きた。五条山から西南西に延びる尾根上にある510標高点ピークのようである。なかなか堂々と している。五条山は510ピークに隠れて見えない。 日後で左折、府道26号に入り、五条山登山口と狙っていた北の猪鼻峠を目指して上る。猪鼻峠は 猪鼻の集落を過ぎて2kmほど上ったところにある。猪鼻にはすぐに着いたのでこれは楽勝と思っ ていると、やけに足にくる一直線のだらだら坂が待っている。8時41分やっとの思いで猪鼻峠に 到着する。 暑い。水分補給をして登路を探しながらゆっくり走る。ここに登路を求めたのは、峠の上を南北に 高圧線が走っているからだ。関電の巡視路入口がこの付近にあるに違いない。が見つからず、する すると峠を下ってしまう。500mほど東に先ほどの高圧線と平行にもう一本高圧線が走っている。 こちらの方に登路があるのかも知れない。 峠を下って最初の民家のすぐ後ろの山の中に背の低い鉄塔が見える。民家の後ろに回り、ロードを デポ、西側にある砂防ダム方向に向って歩き出したが、道がない。凄いヤブの上に昨夜、雨でも降 ったのだろうか、ヤブはしっとりと水分を含んでいる。強引にヤブを漕ぐとすぐに全身びしょぬれ。 山道を見つけたと思ったらそれは墓場へ行くだけの道。墓場の後ろに鉄塔が見えたので無理やり突 破するとこの鉄塔、先へ行く道がついてない。 このルートは諦め、再び車道まで戻る(9時00分)。やっぱりこのまま綾部まで走るか、との思 いも頭の片隅をかすめたが、もう一度猪鼻峠まで上ってみることにする。とどうだ。反対側からで は見えなかったが、峠の最高部に「火の用心」の赤い標識があるではないか。ツル性のヤブに覆わ れているため、西側からでは見えなくなっていたのだ。 これで登路は見つかった。ロードを小脇に抱えてヤブの中に突入、巡視路の階段の下にデポ、支度 をして登り始める(9時07分)。
やっとの思いで巡視路入り口を見つけるまずはいきなりこんな感じ

のっけから急登である。植林帯の中をどんどん登っていくと、やがて雑木林に変わり平坦になる。 いいぞ、MTB向きのコースだなあ、と思いながら歩いていると再び植林帯の中に入り、下り始め る。植林帯の谷のどん詰まりに出てしまった。右手(上)を登りたいところだが、踏み跡もない。 仕方なく左手の踏跡を下るとやがて、麓から登ってくる山道と合流する。 とりあえず山の方に向って道は続いているようなので、合流した山道を登っていくことにする。谷 沿いのシダが密生する原生林のような植林帯の中を登っていくとようやく「火の用心」の標識が現 れる(9時25分)。どうやらこれでいいらしい。ここから道は左手山側を巻くように登っていく。 とにかく階段の多いルートである。薄暗い森の中を滑らないように気をつけながら登ること7分で 尾根上の鉄塔に着く。等高線450mラインあたりか。山頂が大分と近づいてきた。巡視路は一旦 下って尾根の東斜面をトラバースするように続く。 右手に現れた大岩を過ぎると瑞々しい青葉の中の急登が始まる。目の前の木の根っコを掴んでよじ 登る急斜面が現れる。北側斜面になるからだろうか、コケも密生していて普段から湿気が高いよう だ。急登をこなせば背後に展望が開ける。頂上まではあとわずかだ。 9時50分、階段を登りきり頂上部の鉄塔下に到着する。ここから最高点まではあとわずか、首ま で埋まるヤブを掻き分けて進むこと約15mで三角点が現れる。3等三角点(568.5m)であ る。 ヤブが煩わしく息がつまりそうなので、写真だけ撮って鉄塔の下に戻る。こちらは大展望が広がっ ている。すぐ北側に見えるのは五条山と同じように山頂に鉄塔が建つ568ピーク山、その左手に 雲石嶽が形のいいピークを突き上げている。
三峠山正面568ピーク、左 雲石嶽

しかしなんといっても堂々とした姿を見せているのは三峠山だ。そして右奥には京都丹波の盟主、 長老ケ岳まで見えているではないか。南に目を転ずると逆方向からでもよく姿のわかる八ケ尾山、 そして西へ小金ケ嶽、三嶽と多紀連山が一望できる。 頂上で10分ほど休憩し、下山にかかる。下山は元来た道を戻る。最後で麓の方から延びてきてい ると思われた林道を辿ると、何と登路に使った巡視路の10m東のポイントに出た(10時32分)。 暫く休憩し、峠を東へ下る。下り着いたところは三ノ宮という名前の集落。この集落のどこかに「 三ノ宮」の名前の由来になった神社があるのだろう。 ここでR173に出て短い峠を上り、質志の鍾乳洞を見に行く。「しずし」と読む。鍾乳洞は三ノ 宮から距離にして2km少々のところにある。駐車場にロードをデポし、鍾乳洞を見物に。駐車場 の案内のおじさんが鍾乳洞までは階段が多いよ、と言っていたがまさしくその通り。いい加減階段 を上り詰めた先に鍾乳洞の入口がある。(今日のコースは階段だらけだ) 小さな鍾乳洞だが、ほぼ垂直に下がっていく鍾乳洞は初めてだ。洞内の気温12℃は今日の暑さに 参っていた身には嬉しいご褒美。結構見物客も多く、次々とやって来ている。でもやっぱりこんな 恰好で観光地巡りをするのは場違い。さっさと戻り(11時20分)、帰路に着く。
質志鍾乳洞天王峠、家まであと50km(^_^)v

帰りはR173を一直線に南下する。追風にも助けられ快走の連続。途中「道の駅」でアイスクリ ームを食べ、更に南下。板坂峠を越えればマイ・ホームグラウンド「篠山」。12時25分、福住 の安田のコンビニで食料調達してそのまま日陰で昼食タイム。同じような自転車乗りが2組いる。 10分ほどで食事を済ませると今日最大の上り、天王峠越えにかかる。R173を上ったのではつ まらないので、旧道を行く。通行止めになっているので、車のやってくる心配なしだ。一ヶ所道が 大きく崩壊しているところがあるが、自転車で通行するには何ら支障なし。20分ほどで天王に着 くと、交通量の少ない泉郷峠越えで家路についた。     (本日の走行距離156km) 2002年9月22日(日)山南/大呂坂東縦断(2.5万図 谷川) 何故このような不思議なタイトルになったのかは追々説明していくことにしよう。3連休の二日目、 第13回ヤブ山歩きを開催する。前回から3ヶ月+20日ぶり、ヤブ山シーズン到来ということで、 山南町は首切り地蔵からテンロク〜妙見山縦走コースを企画する。 いつものとおりメンバー紹介をしておこう。まずは今日もしっかりモンベル・ウエアできめてきた コンパス姫、そして、最近デジカメにはまってるF代のファイト一発コンビ(コンビ名の由来につ いては「2001年7月号、宝塚北部/検見山〜古宝山〜馳渡山」のレポートを参照されたし)に 今回体験参加ということで、最近体を動かすことに目覚めてきたオートキャンパー、ヒウラッチの 3人である。 いつもの篠山方面山行き御用達列車に乗り合わせるよう連絡する。コンパス姫とヒウラッチの2人 は大阪駅から乗ってくるが、互いに面識がない。宝塚から合流したところでF代共々顔合わせをし て座席に着く。 秋のハイキング・シーズンということで車内もハイカーの姿が多い。藍本で虚空蔵山、古市で白髪 岳へ登るとみられる一団が降りていく。篠山口で列車を乗換え谷川駅で降りると、われわれの前を 10人くらいの中高年ハイカーが坂尻行きのバスに乗り込んでいた。イタリ山から石金山へ行くの だろう。 9時45分、われわれも支度を済ませてタクシーで首切り地蔵まで移動する(9時55分)。いつ もは静かな首切り地蔵だが、今日は音楽が流れ賑やかである。きけば秋の大祭があるとか。土産物 屋の丹波栗に心を奪われつつあるコンパス姫を促して林道を大樅峠へと歩き始める。 「もうバテてきましたわー」といきなりF代、まだ10mほどしか歩いていない。軽く受け流して 車止めの鎖を跨ぎ林道を進む。ゆるやかな傾斜の林道だが、石がゴロゴロしていて歩きにくい。初 登場とはいえ、美女2人に疲れた顔は見せられないとヒウラッチ、張りきって歩いていく。 今日もススキとクモの巣に悩まされそうだ、と下を向いたところ、運悪くクモの巣に突っ込むが、 後ろから声をかけてくれたコンパス姫のお陰で大事には至らず。逆に道ばたにはみ出していたイバ ラにひっかけた腕を強引に振り切ろうとした姫が本日の負傷者1号に。
登山口にて

歩き始めて20分、大樅峠への登り口である谷に到着。谷を見て唖然となる。どうみても突破は無 理っぽい。完璧なヤブだ。今日はか弱き女性2人を伴っての山歩き、この先急斜面の連続が待ち受 けていることを考えれば諦めた方が賢明だ。 他の3人はこんなところから登ろうなんて考えているとも知らないから当然の如く、林道を歩き続 けている。最悪の場合は大呂坂への登り口から大回りで行くしかないか、と考えながら歩き続ける。 がやはり大樅峠へはさきほどの谷をはずしては行けないようである。とうとう大呂坂への登り口に ついてしまった(10時20分)。 ここでメンバーに改めて地形図を広げて、現在地を説明。まずは大呂坂まで登ること、状況によっ ては行き先を高山に変更することも考えていることを伝え、きれいに整備された登山口で記念写真 を撮って出発する(10時25分)。 新しく整備された登山道は植林帯の中を東に振りながらグイグイ登っていく道である。ヤブ山初体 験のヒウラッチは早くも汗だく状態だ。15分ほどで尾根に出た。少し鞍部のようになっている。 関西電力の「火の用心」の標識が左No73、右No74を指している。 このとき現在地を思い違いしたのが迷走の始まり。なんの疑問も抱かず右へ。ところが、意外な急 登が登場、ピークを過ぎてNo74の鉄塔の下をくぐる。これを大呂坂東の鉄塔を西に進んでいる ものと勘違い。昔歩いた旧道は一直線に大呂坂に着いたという思いがあるから余計にわからなくな ってしまった。 ま、こういうことがあるからヤブ山歩きは面白い。植林のため伐採作業中で少し展望のきくところ で、みんなを止めて現在地を確認する。どうも南に振ってしまったようである。展望がきくわりに は見覚えのある山が見えないので、現在地について確証が掴みにくい。 MTBで走るにはなかなかいいコースだ。半分新しい道を見つけたという思いも混ざり合って歩き 続ける。巡視路脇に「高山<−>地蔵の森公園」の標識が落ちているのを見つける。迷っている時 に全然場所の違う標識を見せられると益々混乱しそうになる。 いつしか道は下りに入り始めた。(どうも下り口が513標高点ピークだったようである。歩いて いる時点ではどこかわからなかった)。こういう時は早めに食事をして態勢を立て直すことが一番 とNo75鉄塔の下で昼食タイムにする(11時10分)。 谷を挟んでどこまでも続く深い山並みを眺めながらのランチ・タイム。F代はいつもながらボリュ ームたっぷりお手製のお弁当、残り3人はコンビニ弁当ではあるが、アウトドアで食べるとそれな りに美味しい。天気も曇っている上に風が強いので、非常に涼しい。これで予定通り歩けていたら 言うことなしなのだが… 谷をはさんで座っていると左手(南)の方にひときわ高い立派な山が見える。きっと名のある山に 違いない。角度が違うからわかりにくいが、どう考えても西光寺山しか考えられない。この時点で 現在地が判明。みんなに地形図の住吉町に下りることになりそうだ、と告げる。 鉄塔の下でゆっくり休んだところで出発にかかる。次はNo76の鉄塔だ。今日は関電の巡視路ハ イクになってしまった。雑木林の中につけられた巡視路はなかなか雰囲気のある道である。但しコ ガネグモ、ジョロウグモの類は連続して現れる。トラきちのファイト一発コンビには、親しみのあ る模様だろうがとジョークを言ってクモの巣払いを続けるしかない。 鉄塔を2つ通過してどんどん下ると林道に出た。大呂坂から南に下ってくる道である。尚も下ると 集落が見え県道に出た(12時07分)。手前に神社がある。地形図で現在地を確認。「住吉神社」 と書いてありますよ、とヒウラッチ。地形図に『住吉町』と記されているところだ。
巡視路歩きもまた愉し!日本の秋です

さて、県道西脇篠山線を延々、比延方面に歩かねばならない。自転車で走ると早いが、歩くとなん と長いことか。それでも曇空で風も強く涼しいのが幸い。黄金色の稲穂と畦を彩るヒガンバナ、沿 道に植えられた色とりどりのコスモスの花、たわわに実るクリの木を眺めながらのどかな秋の風情 を楽しんでの「あぜ道ハイキング」のスタートである。 一人で歩くと退屈だろう田舎道も4人でワイワイ言いながら歩けばそれもまた楽しいもの。こんな 山村にも“ルミナリエ”があるのを見つけたり、小学校の運動会を横目に見ながら歩いたりと気分 も歩きもお散歩モード。小学校近くの石碑には「桃源郷」の文字が。まさに桃源郷を行く気分だ。 バスがやってくる頃合を見計らって、「西光寺」バス停で時間調整、西脇行きのバスに乗る(13 時22分)。勿論貸切状態だ。20分ほどで西脇のバス・ターミナルに到着。が、降ろされた場所 がどこかわからない。強風の中を自転車に乗ってフラフラ走っていたおじさんをつかまえて駅を訊 く。まっすぐ南に行けば駅だと教えてくれる。 なんとその道は昔国鉄時代、西脇から鍛冶屋に向けてジーゼルカーが走っていた鍛冶屋線の軌道跡。 今度は思いがけない「廃線跡ハイキング」だ。今は市民の憩いの道になっている。ヒウラッチと廃 線跡から眺める“車窓”の風景を楽しむ。道路を横断するところにレールがモニュメントのように 残されている。 ようやく西脇市駅についてみれば次の列車まで1時間半待ち。思いもかけず播州路の秋をゆっくり 楽しむことになった。こんなヤブ山歩きもたまにはあっていい?            織田(おりた)さんへのメールはbabrx800@jttk.zaq.ne.jpまで・・・。

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