山を駈ける風になれ2003年 1月号

 
2002年12月7日(土)北摂/六石山(2.5万図 広根)
週末になるときまって天気は下降線に入る。地球温暖化の主要因である二酸化炭素の排出量が工場の煙突
や車の排ガスなど1週間単位で変化する関係で週末雨が降ることが多くなる、という説がある。
真偽のほどはさておき、大陸からの高気圧の張り出しが弱く、日本付近を周期的に低気圧が通過する傾向
が続いている。今日も昼頃には雨が降り出すという。先週、左足かかと近くの筋膜炎で走りをお休みした
関係もあって、今日は思いっきり走ろうと思っていたのだが・・・。
急遽、予定を組み直して決めた行き先は、川西、猪名川境にある超低山、六石山(198.8m)、以前
から南東尾根から頂上付近を通る破線の道が気になっていた山だが、あまりに近すぎて訪れる機会がない
ままであった山である。
6時32分、夜のような暗さの中を出発する。どこまで走ってもなかなか明るくならない。空はどんより
とした厚い雲が覆っている。降り出しは予報より早いかも知れない。川西能勢口から県道川西篠山線を北
上、移瀬をぬけ石道温泉の向かいにあるオービック・スポーツセンター前に行く(7時16分)。
地形図では破線となっているが、実際は北にある集落まで舗装路になっており、破線の道への入口が判り
辛くなっている。いろいろ周辺をチェックした末、スポーツセンターの玄関前から15mほどある山道か
ら登ることに(7時25分)。
歩き出していきなりMTBで来ればよかったと後悔するような落葉ふかふかの快適山道が現われる。すぐ
に左手に池が現われる。音に驚いた水鳥が一斉に飛び去る。薄暗い空模様も加わって山奥にひっそり佇む
池のような雰囲気がする。
このあたり少しササが伸びているが、すぐに歩きよい山道に戻る。地形図の破線は一本東の支尾根につい
ているが、道は谷筋についている。谷筋の奥近くで少々ヤブっぽくなるがご愛嬌、すぐに山頂直下、東の
肩に出る(7時38分)。
東側から水平な山道がきており、北に向かってのびている。また、西側の木には赤テープが巻かれていて
山頂へ導いてくれる踏跡も見てとれる。帰りは東の水平道を使うことに決め、山頂に向う。
足元に小さなシダの密生した北摂南部の山らしい雑木山の登りとなる。頂上部に上がると東側から回り込
むような感じで測量ポールが見える頂上に着く(7時43分)。3等三角点の標石が埋まっている。
六石山 山頂

南南東側に切り開きがあり、大平山(257m)に抱かれるようにけやき台の住宅地が広がっている。山 頂から北西側にも踏跡がついている。広根の方へ下りるのだろう。小さな山だが、山道がたくさん付いて いてMTBで遊ぶにはもってこいだ。 10分ほど周囲を探索した後、さきほどの肩に戻り、今度は東側の尾根を辿って戻ることにする。歩きだ してすぐのところに展望抜群の伐採ポイントがある。五月山連山が南西に、西からは石切山、釣鐘山から の山並みが稜線を猪名川に落とす。そのとっくりの首のようにすぼまった地形の向こうにキタの高層ビル 群が林立している。
東のビューポイントからの眺め

乗車率100%の尾根道を下ると道は左右に分岐する。左に下ると仏心霊園の観音像の横に出る。右に下 ると尚もいい山道が続き竹林をぬけてお堂の横から簡易舗装路に出る。登り口から200mほど北のポイ ントだ。いずれにしても地形図の破線の道ではない(8時11分)。
畑の中に大仏が・・・

古い集落の中を散策、霊園に納めるのだろうか、製作途中の仏像をカメラに収めたりしながらのんびりし ていると雨が降ってきた。まだ8時半にもなっていないのにもう雨だ。今度は天気のいい日にMTBで来 たい。そんな収穫のあった2時間ツーリングだった。         (本日の走行距離 36km) 2002年12月8日(日)北摂/鏑射山(2.5万図 武田尾) 天気予報がいい方に外れてくれることを期待して起きたが、やっぱりすっきりしない天気。それでも雨は昼 頃からというので、近場で頂上近くまで自転車でいける道場にある鏑射山(327.0m)に登ることにする。 本当ならゴルフ場への車道を利用した道を行くより、MTBで千刈貯水池西岸を走って山頂に登りたいとこ ろだが、足が完全に治っていないのでなるべく歩きを少なくすればこういう選択肢になってしまう。 6時47分、自宅を出発。風はかなり強いが、6時の気温8.6度と暖かめ、寒さは感じない。風邪をひい ているせいかスピードが今一つあがらない。いつもなら快走区間の北六甲台−道場間も向い風のためスピー ドダウンを余儀なくされる。 7時35分、JR道場駅前に到着。駅前の自販機で水分補給をして生野橋手前まで戻り、交番の横を右折し て鏑射寺へ向う。
短いが辛い登り坂

JRの踏み切りを越えると激坂の上りが現われる。標高差にしてたったの140mとはいえ、上り区間が1 kmもないので結構こたえる。ダンシングで登っていると雨が降ってきて路面はスリッピーな状態に。ゴル フ場に向う車が何台も追い抜いていく。やっぱりこういう道を走るのは楽しくない。もうそろそろと思った 頃左手に鏑射寺が現われる(7時50分)。駅前で休憩していた時間を考慮すると7−8分しかかかってい ない。ま、距離からしてそんなもんだろう。 鏑射寺は「神戸13佛霊場、近畿36不動尊、摂津33カ所」の札所になっている。建物は結構新しい。右 手に弁才天への石段を見送り、大津の石山寺風を連想させる自然石を生かした境内を見ながら、3重塔の石 段を上がると、右手に「鏑射大権現」への道標がある。 道標にしたがって踏跡のような道を登るとすぐに頂上部。赤い小さな鳥居の奥に石造りの堅牢な祠があり、 祠の中には楕円球の自然石=“大権現”が祀られている。丹波篠山の栗柄不動尊に祀られている「蛇石」の ミニチュア版だ。
三重塔右手から山頂へ大権現。ご神体は楕円の石

三角点は祠の左手奥を右に曲がったところにある(7時58分)。3等である。細い切り開きがある程度で 展望はない。木の間隠れに見えるのは羽束山。切り開きから見える山はその山容から加茂金毘羅山だろうか。 雑木に遮られているとはいえ、時雨模様の薄ら寒い山頂。早々に下山、境内戻る。天気がよければゆっくり 憩いたい境内だが、小雨がしょぼつく中では風邪が更に悪化するだけなので、安全速度で道場へ戻り、川下 川ダム−玉瀬−切畑と走り継ぎ、十万辻からの下りも安全走行で家に帰り着いた。         (本日の走行距離 46km) 2002年12月14日(土)篠山/音羽山〜火とぼし山(2.5万図 篠山) 久しぶりにこの土日はいい天気になりそう。思いっきり走りたいところだが、先週風邪にも拘らず雨の中を 走ったものだから余計にひどくなってしまった。山歩きだけならどうということはないが、自転車で峠越え をこなすには少々辛いものがある。 そんなわけで今回も長距離は諦め、篠山は白髪岳山塊の東に位置する音羽山を高仙寺から登ることにする。 踏跡でもあれば素晴らしい山歩きができそうなルートである。 6時52分、自宅を出発。思ったよりどんよりとした空で気温もそれほど低くはない。この分なら路面凍結 の心配もなさそうなので、アプローチの時間短縮が図れるロードで走り出す。この時間になるとR176は 交通量が多い。部分的に渋滞しているところもある。平坦地で渋滞し、坂道で流れ出すものだからたまった ものではない。 風邪でしんどいとはいうものの、まずまずのタイムで赤坂峠をクリアすると、トラック・ドラフティングを 繰り返しながら走ったこともあって、三田へ入る頃には夏場の好調時と大して変わらないアベレージにまで 上がってきた。これなら長距離でもOKだったかも知れない。 天気の方は一向によくなる気配のないまま古市を越え、篠山盆地に入ると路面のあちこちに水溜りが・・・。 さきほどまで時雨ていたようだ。矢代新を過ぎ高仙寺に着く(8時28分)。 高仙寺は松尾山に高仙寺山の別名があるとおり、大正10年まで松尾山の山頂にあった寺である。開基は6 45年、法道仙人の名がここでも登場する。それはさておき、ロードを抱えて山門をくぐり、本堂に向うと 右手奥に山に入る道がある。ロードをデポ、支度を整えて本道裏手から山の中に入る(8時35分)。 上手い具合に道を見つけたと喜んだのも束の間、すぐに道はヤブの中に消えてしまう。しかたなく伐採木が 積み重なる斜面をよじ登って370標高点から東に延びる尾根の末端に上がる。急斜面の一直線登りだ。幸 いなことに松林の中に踏跡が続いている(8時45分)。
高仙寺山門はさかり岩と祠

松葉が厚く堆積したいい径だ。最初のCa310のコブを通りながら西へ尾根筋を進むこと15分、大岩が 現われる(地形図の310m等高線で囲まれている小さなコブのあたり)。高さ3m、幅10mくらいだろ うか、数個の岩から成り立っており、頂上部の岩は左右の岩に“はさかって”下に空洞を作り、そこに祠が 祀られているというなかなか見ごたえのある景観を作り出している。この道が寺が山頂に在った頃の参道な のだろうか。いいものを拝ませてもらった。 尚も雑木ヤブの中の小径を楽しみながら歩いていると、ところどころに雪が現われる。今冬初めて見る雪で ある。更に息をはずませて登ると両脇をビニールヒモで縄張りした山道に変わり、370標高点に到着する (9時10分)。南から更にいい道が北に向かって伸びている。松尾山への参道は現在の高仙寺からのルー トではなかったようだ。 まだまだ今日の行程は長い。ビニールヒモが少々目障りだが、全般に起伏も少なく、道もはっきりしていて、 最高のMTBコースである。歩行もどんどん捗り、一旦下って登り返し、9時30分Ca400mのコブに 到着する。(このあたり手前でビニールヒモはなくなる。)地形図では岩マークがあるが、厚い落ち葉が堆 積した雑木ヤブの丸いコブで岩は発見できない。ところどころ左手前方に雪を被った松尾山東斜面を見渡せ る展望」ポイントが現われる。
雪をかぶった松尾山東斜面

次の429標高点との鞍部に尾根筋をクロスする山道が現われるがそのまま直進。突然今までの快適小径は 姿を消し、倒木とヤブの連続地帯に突入する。一気にペースダウンだ。雪解け水が頭上から降ってきて何度 となく冷たい思いをする。 9時50分、ようやくにして429標高点に着くが、このあたりは完全なヤブで尾根に幅があるため、気が 付けば谷をはさんで目の前に松尾山が見える、というコースアウトも。結局10mほどササヤブを掻き分け て修正すれば続きの尾根道を発見することができ一安心。 10時05分、Ca440mのコブに。黄色のテープが初めて現われる。ということはこのテープを巻いた 主は音羽山と松尾山を繋ぐ稜線から下って来たことを意味する。その主はどこへ下りたのだろう。東の谷の 林道というところが妥当な線か。樹幹越しに音羽山の姿も見えてきた。消えそうな踏跡を辿ってCa510 m、松尾山と音羽山を繋ぐ稜線に出る(10時16分)。 松尾山方面から切り開きのいい道が伸びてきている。これまでの山道と較べると“ハイウエイ”と呼んでも いいくらいの快適な山道である(勿論舗装路ではない)。音羽山山頂すぐ東にできた鉄塔に行くための巡視 路で、擬木階段もついている。その擬木階段を登り詰めて音羽山山頂に着く(10時21分)。 標高530.5m、山頂には3等三角点が埋まっている。近くの木には山名のプレートがかかっており、ま た別の木には「大沢、篠山口方面」の行き先表示も付けられている。三角点に腰掛けて暫く休憩する。ここ までなかなか歩きごたえのあるコースだった。これから辿る東尾根はどうだろう。
音羽山山頂雪を頂いた多紀三山

10分ほど休憩の後、山頂すぐ東にあるNo.121鉄塔に向うとそこは「おおっ!」これは凄いビューポ イントが現われる。東は毘沙門山から西は鋸山、三尾山まで多紀連山の大パノラマが眼前に展開する。特に 今日は雪を被った三嶽、小金ケ嶽が美しい。更に西に目をやると篠ケ峰の向こうに白く輝く千が峰の姿も見 えるではないか。東には太平三山、更に奥には北摂の大野山まで連なる山並みがせまってくる。期待してい なかっただけにこの眺望は強烈だ。 ひとしきり堪能して、鉄塔巡視路に従いNo.122方向へ下り、火とぼし山に向う。火とぼし山とは音羽 山の東約600mにあるCa500mの無名峰。四方に支尾根を張り、音羽山以上に一つの山を形成してい る。
音羽山〜火とぼし山はMTBハイウェイ火とぼし山。整備されすぎてびっくり

格段に整備された道を登り返して火とぼし山山頂に着く(10時48分)。驚いたことに山頂にハイカー用 の道標が立っている。北尾根を下れば佐幾山城址、東に下れば大沢城址とある。すっかり整備された山道を 半ばあっけにとられた面持ちで東へ向う。以前三田の烏ケ岳をヤブを漕いで登ったら反対側からハイキング 道が上がってきていたことがあったが、似た気分だ。 ま、大いに利用されてもらいましょう。Ca400mポイントで道は左右に分岐する(10時55分)。左 へ行けば大沢城址らしい。右への表示はない。ロードのデポ場所を考えると当然進路は右。整備されていな くてもはっきりとした踏跡が続いている。するすると南に下ると317標高点との鞍部に(11時05分)。 右に下る道がある。下るほどに道は細くなったが、麓の村との標高差はわずか、どうにでもなる。と、麓の 林道に平行に走る山道に飛び出した。道をはさんで一段低くなったところに檻のような建物がある。檻にし てはでかい。サイでも飼えそうなくらいの広さがある。詮索はほどほどにして、山道を南に取り、南矢代奥 の民家の横に出る(11時13分)。 ようやく青空が広がってきた。日向を歩けば結構暖かい。南矢代駅前のR176を歩いているとローディー が2人、気持ちよさそうに走りぬけていく。さあ、こちらも今度は気持ちよく走ろうか。今日14日は古市 の宗玄寺でも義士祭をやっている筈だ。今年は討ち入りからちょうど300年ということでイベントも盛大 なことだろう。 寄り道をして帰っても90km弱の行程、ペースをあげたり落としたり、久しぶりに好天の下を走れる感触 を楽しみながら帰路についた。         (本日の走行距離 88km) 2002年12月23日(月)加西・市川/深山(2.5万図 北条) 今年最後の3連休、走れるのは最終日の今日だけということで晴れることを祈っていたが、どうやら大丈夫 そう。今月に入ってロング・ツーリングをしていないこともあり、当初の北摂MTB三昧の予定を変更して 表題の深山を訪れることにする。 実は深山は先月下旬から今月上旬にかけて左足が筋膜炎になった時に、歩かなくても山頂まで行ける山とし て目をつけていた山である。北摂最高峰の深山も自転車に乗ったまま山頂に着けるが、面白いことにこの播 州にある同名の山も山頂までNTTの専用路がついているのだ。 6時51分、アプローチの時間短縮を狙ってロードで出発。どんよりとした天気ながら幸い冷え込みもなく 快調に赤坂峠をクリア、無風をいいことに40km/h前後で道場まで飛ばし走りを楽しんでいたが、相野 あたりから強烈な向い風と冷たい時雨、そして前半の飛ばし過ぎが祟り、一気にペースダウン、8時18分 ヘロヘロになって古市に着く。 加西方面へ行くならここまで北上する必要はないのだが、今日はたっぷり走りを楽しみたいということもあ ってここからR372経由で滝野社まで走ろうという作戦なのである。まずはいきなり不来坂。短いながら もちょっと足にきている身には結構こたえる上りである。続いて西寺山と和田寺山鞍部の峠を越え神山峠に 向かう。ここからは自転車初走行の道となる。 以前車で走った時に記憶していた長い一直線の上りが目の前に続いている。時雨はどうやら収まったようだ。 完全にマイペースで325mの神山峠をクリアすると今度は長い下りに入る。斜度はそれほどでもないのだ が、カーブが少ないこともあって、MAX59km/hの快走。御所谷を一路爆走して9時過ぎには滝野社 インターに到着、加古川を渡って9時15分下滝野の交差点に到着する。 昨日西脇工業が優勝したからでもないだろうが、多くの学生やサラリーマンがジョギングしている。さすが 駅伝王国のお膝元に近いだけのことはあるなあ、と変な感心をしながら地形図を広げて道路を確認、水分補 給を行う。しっかり確認したつもりが道を間違え、線路を越えられないというおまけもあったが、無事播磨 中央公園へ行く道(県道145号線)に入ることができて一安心する。 しかし事前に地形図で確認済みとはいえ小刻みにアップダウンが続く道で西寄りの向い風と相俟ってだんだ んスピードが落ちてくる。片道65kmと計算していたのだが、R372大回りしたので既に75km以上 走っているのに深山が見えて来ない。 下道山町に入って(9時55分)深山を確認、カメラに収める。400mそこそこの山とは思えないいい姿 をしている。一息ついて釜坂峠への上りにかかる。 一直線の上りをこなすと道幅は急に狭まり、九十九折の雰囲気のある上り坂に変わる。今年走った峠でいう ならば、日名倉山登山に使った志引峠のミニチュア版といったところだろうか。ミニチュア版というだけあ って10時13分には釜坂峠に着く。ここは加西市と市川町の境である。峠には碑とお地蔵様が祀られてい る。
下道山町から深山釜坂峠の石仏

深山への道はここからNTTドコモ無線中継所への道を使わせてもらうことになるのだが、何と扉が完全に 閉鎖されている上に門の両脇も完全に忍び返しで封鎖されていて、ハイカー用の道を残してくれている北摂 の深山とはちょっと様子が違う。 しばらく様子を窺っていたが、他に道のある筈もなく結局、右隣にある水道施設のフェンスの外側をロード を担いで回り込みNTT専用道に合流する。 長い間車の走った様子の無い道で、路面は落葉で覆われている。舗装路ながら未舗装路の雰囲気のあるいい 道だ。200mごとに距離と標高を表示した黄色い標識が専用道の左脇に埋められている。道の脇に立って いる電柱にはカナで“ミヤマ”と書かれている。北摂の深山の方はどうだったろうか“シンザン”だったよ うな気がするのだが・・・。 なかには200mで標高26mも上っている区間もあり、走りながら斜度の計算と山頂までの標高差の計算 ができる。せっかく標高を稼いだのに一ヶ所下りが現われるところもあるが、総じてほぼ一定の斜度で上り 続け、10時42分深山山頂に着く。
中継塔が立つ深山山頂深山山頂からの眺め

釜坂峠から2.5km、所要時間は17分というところか。NTT中継塔の門の前にロードをたてかけ眺望 を楽しみながら軽食休憩を摂る。北方面と北東方面の眺めがいい。美しい山並みが疲れを吹き飛ばしてくれ るが、名前のわかる山はない。風は冷たいが日差しが出てきた。ここがこの山の最高点である。地形図では 標高420mある。 10分ほど休んだところで三角点を探すことに。中継塔の東下にある筈だ。ロードにまたがってするすると 専用道を下り、西へ曲がるコーナーのところから東にのびる支尾根の入口から東を覗くと三角点がある。3 等である。こんな隅っこの木の陰に追いやられた三角点も珍しい(標高408.2m)。 さて、せっかくここまできたのだからと西にある日光寺山も訪ねてみようと西から北に道がカーブするとこ ろに下がっている赤布の下にロードをデポし西に向って尾根を歩き始める。地形図の破線路ではない。倒木 もあるものの全般に歩きよい。 最初のコブを越え2つ目のコブに差し掛かったところで時計を見ると既に11時を10分ほど過ぎている。 ここから日光寺山往復の時間を考えると何せ日照時間が短いこの時季、トラブルがあると家に着くのは暮れ てからになってしまう。 残念ながらまたの機会にリベンジすることにしてUターン、自転車を拾って釜坂峠に戻る(11時30分) 。さあ、ここからは峠を爆走だ。上りの時にコーナーは記憶済みだ。一気に九十九折りを下りきるとその後 も快走、いくつかあったアップダウンも気がつけば播磨中央運動公園まで戻ってきており、加古川を渡って 滝野社インター近くのレストランで食事(12時05分〜30分)、途中向い風に苦しめられながらも14 時24分無事ゴールイン。大回りをせずに最短ルートをとった復路は66kmだった。         (本日の走行距離 149km) 2002年12月28日(土)北摂/大日山〜長谷妙見山(2.5万図 武田尾) 北摂にも雪の便りがやってきた。昨日の雪は大野山麓柏原で6センチを記録したと新聞に載っていた。20 01年走り納めはわがホームグラウンド、北摂は猪名川・宝塚境界付近にある表記の山を中心に走ることに する。 朝6時の気温0.2℃は今年一番の冷え込みだ。今日は近場ということもあって、6時58分ゆっくりとし たスタート。勿論MTBでだ。この時間帯になると交通量も多い。マイペースで川西能勢口まで走り、コン ビニで食料を調達して広根から銀山へと走る(銀山着7時58分)。 吐く息が白い。多田銀銅山の案内板の前に立つ。昔はよく通ったものだが何年ぶりだろうか。金山彦神社の 手前を左に折れ、山陽自然歩道分岐を右にとり玄能池を過ぎて東の村上から峠越えでのびる破線との分岐に 着く。 相変わらず水はけの悪い林道で、あちこちにできた水溜りには氷が張っている。一息ついて大日山南鞍部の 峠を目指す。鞍部のみ竹林になっているこの峠は南北に走る鉄塔の巡視路が通っている。北のNo23鉄塔 への道は大日山から東にはずれそうなので、宝塚・猪名川市町界の切り開きを登る(8時32分)。MTB を担いで登れるような踏跡とてなくMTBは峠にデポ。 途中、ひどいシダのヤブ漕ぎをクリアすればところどころに白テ−プが現われ、やがて積雪の残る大日山山 頂に着く(8時43分)。
大日山南の峠にて雪が残る大日山山頂

まったくのヤブ山と思っていたのに山頂には東西にいい道がついている。関電の巡視路だ。3等三角点は巡 視路の片隅に埋まっている(339.8m)。展望もなかなかいい。三草、竜王、堂床の三座、更に奥には 雪を被った高岳の姿、北から西にかけては大船山、羽束山も見える。
山頂から羽束山を望む

しばらく展望を楽しんで下山にかかる。MTBをデポした場所を考えると元のルートを戻るべきだが、この 巡視路ルートも確かめておきたい。 これが素晴らしい道だ。MTBを担ぎ上げて来なかったのが悔やまれる“ハイウェイ”。階段なしの巡視路。 走りの感触を想像しながら下り着いたところはさきほどの分岐から300mほど北に行った林道(8時58分)。 さて、峠にデポしたMTBを回収に再び同じ道を歩く。さほど距離があるわけではないので10分ほどで峠 に戻る。さて、MTBにまたがってシングルトラックを快走、林道に戻り大日山から下って来た合流点も過 ぎ、林道終点から破線路に入る。ここで何となく気になってザックのポケットに入れた財布に手を伸ばすと 「無い」。 どこかに落としてきたらしい。考えられるのは一ヶ所。峠から下りかかったところで、ハンドルバーにツル が絡まって一度谷側へ落ちかけた。その時に落としたに違いない。やれやれ。また峠まで戻らないといけな いとは。今日はこの山の中で無限ループだ。 というわけで3度峠手前まで歩いて戻る。案の定、財布は道から谷側に1mほど下ったところに落ちていた。 回収してMTBを置いたところまで戻る(9時30分)。 さて、ようやく先を進むことができる。破線の道を猪名川町界まで登り、西へ折れるとゴルフ場の柵が現わ れる。8年前、ここで道を誤って苦労した思い出があるが、今日はしっかりと地形図を見ながらトレース。 快走シングルトラックに充実感いっぱいだ。 9時58分、測量ポールの立つポイントに到着する。2級基準点「長谷No2」が埋まっている。地形図の 308m標高点のあるあたりだろうか。近くの木に巻かれた赤テープには『うれしい』とマジックで書かれ ている。思わずニヤッとする。テクニカルな道ではないが、木の枝の張り出しがうるさく、顔をそむけると たちまちにしてハンドルバーが木に絡み転倒につながる。何があっても視線をしっかり見据え強引に突破す る、そういう楽しさがある。 これ以上続けば顔中キズだらけになりそうだ。会社へ行ったらヘンな誤解を受けそうだな、等思いをめぐら しながら走っているとポンと林道に飛び出した(10時10分)。地形図には載っていない。正解は左なの だが、ここで右に行ったらどこへ行くのだろうかという思いが頭をもたげ、右へ林道を走る。 北へ向いた林道はすぐに終点に達するが右奥に山道が続いている。そのまま走りこんで見ると快走できる道 がある。これは新しい道の発見か?と喜び勇んで進めば突然猛烈なヤブに突っ込んでしまう。 ササが密生しているが、もともとは果樹園とその横に山道がついていたようで道の形跡を留めている。ツル やイバラと格闘しながら進んでいたが、眼下に長谷と万膳を結ぶ道路が見えたところで進退に窮する。 とりあえずMTBをその場に残し、ヤブをかきわけ下っていくと、何と道路の手前に川が流れている。川と 道路との高低差は3m。MTBを担いで川を渡ったとしてもコンクリで固められた3mの壁を攀じ登ること は出来ない。 果樹園跡と見られるところを2、3あたりをつけて突破を試みたがどれもダメ。仕方なく林道を戻り本来の ルートである左(西行き)へと向う。 すぐに南側に溜池が現われる。日差しも暖かくなってきたし、腹も減ってきたので土手で軽食休憩を摂る( 10時45分)。かれこれ30分もヤブの中で格闘していたことになる。こんなことに時間を費やせるのも 近場の山中だからこそできることだ。 食事を終えて長谷山(254.7m)の南を回りこみ、林道のはずれから北に折れ、長い石段を登るとお堂 に着く。地形図の鳥居マークのあるところだ。幟には「北辰妙見大菩薩」とある。ここが長谷の妙見山と呼 ばれるところである。 お堂の周囲を見回していたら、境内の植木を植える準備をしていたお爺さんから、せっかくお参りに来てく れたのだからこれをあげよう、と10ページほどの冊子を頂く。もともとはこのお堂はこの裏の山の上に在 ったという。 『長谷妙見山あゆみ』(妙清講本部)とある。以下にその冒頭部分を紹介する。 『妙見山の所在  今お詣になってゐらるゝ又は一度は詣って見ようと思ってゐらるゝ長谷の妙見山、その 妙見山は攝津の国川邊郡西谷村長谷と云ふ地籍で、即ち福知山線武田尾駅北へ一里有余西谷バス妙見口下車 東へ数丁程行った海抜二千尺の春夏秋冬の眺めも良く昔から天人常満と言はれている霊山であります。・・・』 文体からわかるように恐ろしく古い冊子である。頂いた冊子は新品だが、作成年月は昭和27年7月とある。 50年前である。西谷バスも田園バスと名前が変わった今日、妙見口というバス停も私の知る限りでは無い ように思う。また2000尺(600m)の山も長谷地区にはなく、記述からすれば長谷山(254m)の ことと思われる。またこの冊子によれば長谷妙見山はもと愛宕ケ嶽といっていたとも書いてある。 冊子裏面には元長坂にあった石塔、石碑の写真も収められている。今も長坂山に登ったら残っているのだろ うか。興味は尽きないところだが、ここで長居をしていては先に進めない。
長谷妙見山のお堂登山口を行き過ぎてしまった北穴虫

このあと大原野に出て、境野から東に優美に裾を広げる北穴虫(390.3m)に登るつもりだったが、舗 装路をいい調子で飛ばしているうちに道を間違え、結局玉瀬、切畑、広根と周回し帰路に着いた。頂いた冊 子は帰ってからゆっくり読むとしよう。         (本日の走行距離 63km)           織田(おりた)さんへのメールはbabrx800@jttk.zaq.ne.jpまで・・・。

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