山を駈ける風になれ2003年 7月号

 
2003年6月7日(土)北摂/半国山斜め横断(2.5万図 埴生)
第20回ヤブ山歩きの会。今日は北摂一の巨体を誇る半国山を最長コースで横断しようという企画。昨年
3月にMTBで走ったのと全く同じコースなので、コースの詳細についてはそちら(「月刊 山駈け・・」
2002年4月号)を参照されたい。

梅雨入り間近を思わせる蒸し暑い中、山歩きを共にしてくれるのは、ミセスFと旦那FのF夫妻。旦那さん
の方とは昨年7月の木曽駒ケ岳以来の山行きである。朝からどんよりした天気、午後からは雨が降ると昨夜
と違うことを言ってるのは天気予報。なあにこっちには“晴れ女”(ミセスF)がいるから大丈夫(?)。
JR大阪駅に集合、8時半の新快速で京都へ。山陰本線に乗り換えて園部で下車、京都交通のバスに乗って
琉璃渓方面に向うのは4月のヤブ山歩きの時とまったく同じ行程(勿論下車するバス停は違う)。ご丁寧な
ことに下車するバス停(八田)を間違え一つ手前のバス停(下八田)で下りてしまったのはご愛嬌(京都交
通のシステムに慣れていなかった)。

さて、そんなわけで一つ手前のバス停で下り、7−8分かかって本来下車する筈だったバス停を通過、そこ
から600mほど南に行ったところにある分岐を左に取り林道を歩いて「No112−113、火の用心」
標識前に到着する(10時43分)。
ここが半国山最長横断コース、北西側の起点である。来月予定している当会の「夏のスペシャル企画」の予
行演習も兼ねてミセスFに先頭を頼み、ペースを作ってもらうことにする。
が、登り始めていきなりコースアウト。関電巡視路分岐をそのまま行き過ぎ植林帯の急斜面を登ってしまう。

「いつもハードなので体がしぜんと激しい道を求めるんです」とミセスF。そんなアホな。猪突猛進はF代
だけだと思っていたらもう一人いたか・・・。
このまま軌道修正しながら歩くのは難しそうなので、一旦分岐まで戻って巡視路コースに入る。歩きやすく
なったとミセスFが喜んだのも束の間、黒のプラ階段が延々続く登りに早くもヘロヘロ状態、蒸し暑さも手
伝ってバテバテ。396標高点手前の雑木ヤブの中で休憩を取る。
長〜い登りにフワフワ歩くミセスF
11時15分、396標高点。No113の鉄塔が立っている。ここからはなだらかな尾根筋歩きに変わる。 何かに魅入られたかのように足取りが速くなるミセスF。そのミセスFを誘(いざな)うかのように黒い羽 に白い斑点のある大きなアゲハが前をゆっくり飛んでいく。 途中から2匹になったアゲハは互いに舞いながら尚もわれわれを先導する。ミセスFはすっかり「○○のい ざないだあ」といいながらチョウを追っている。今日は晴れててよかった。これでガスでもかかってた日に はほんとに魅入られて白骨3個が山中に並びそうだ。 チョウとの“お遊び”も終わり、11時29分No114の鉄塔に着く。地形図で現在地を確認、全然進ん でないとミセスF。 「最初のコースアウトでかなりタイムロスをしましたねえ」と旦那F。そんなこともなかろうが昨年MTB で走った時は3月、こんなに暑くはなかったので時間通りに着けるか若干心配。 少憩の後出発する。11時50分、557標高点ピークに到着。休みも入れずに鞍部に下ってCa650コ ブへの登り返しにかかる。尾根筋歩きではあるが、頭上を雑木に覆われているため風が吹けば結構涼しい。 F夫妻はこんなに延々登りが続くとは思ってもみなかったようで、少々お疲れ気味だ。斜度が増せば途端に ミセスFの足が前に出なくなる。電池が切れかかったソーラーカー状態だ。早く充電(=昼飯)しないと・・・。 12時10分、突如そこだけ別世界のような大岩ポイントが現れる。気分転換に記念写真を撮る。岩を巻い て登れば草原の展望スペース。カンカン照りでいささか暑いが、南から“いい風”が吹いてくるのでここで 昼食を摂ることにする(12時23分)。 「あれが頂上ですか」と半ば期待をこめて旦那Fが尋ねるその山は手前の662ピーク。山頂はまだ隠れて 見えないと希望を打ち砕くような返事しか返せない。
Ca650山の巨岩地帯で昼食・・・展望はいいけど暑い! 展望ポイントから662山
いつもなら十分時間をとってお食事タイムとその後のオヤツタイムを楽しむわが会ではあるが、こう暑いと 座ってるだけで体力を消耗しそうだ。ミセスFがくれたお菓子も逆に口の中がもちゃついて余計に喉が渇く 始末。そんなわけで12時45分早々に茂みの中へと再び歩み出す。おかげでタイムも一気に挽回、予定時 間に5分遅れまで戻す。 662山への登り口は以前来た時よりもテープや目印が増えたように思う。また山道も歩きやすくなったよ うな気がする。意外とすんなり通過して下り着いたところは杉赤峠。662山への登りを覚悟していた旦那 F、あっさり越えたのでいささか拍子ぬけの感。 ここからはハイキングコース、あと少しと2人を励まし、オフロードバイクで荒れた山道を登って行く。次 第に傾斜が緩みはじめ、あたりに枯れたクマザサが目立つようになると頂上はすぐそこ。13時25分半国 山山頂に到着する。 ハイカーが一人弁当を広げている。しばらく休憩する。登り始めて2時間40分、2人とも久しぶりに歩い たと口々に言っている。何度もアップダウンがありとても一つの山とは思えないと旦那F。京都の愛宕山が うっすらと霞んでいる。汗が引いたところで下山にかかる。
半国山山頂・・・やっと着いた半国山山頂
急勾配の下りに抉れた山道で最初は歩きにくいが、すぐに快適に歩ける道に。来る度にハイキングコースと して整備されていくような気がする。ここからは再びミセスFに先頭をお願いして井手コースを下って行く。 快走コースはMTBでなくてもスピードアップする道。先頭を歩くミセスFも徐々に加速度を増し絶好調の 歩き。20分ほどで林道終点に出る。ここからは長い長い林道歩き。いつまでたっても下界は見えて来ない。 MTBで下っても長かった記憶のある道は歩いてみると足の疲れも重なってなかなか井手の集落に着かない。 結局50分かかって井手農協バス停に(14時55分)。 南風がかなり強くなってきた。一雨くるかも知れない。今日は“晴れ女”のお陰で最後まで雨に祟られるこ とはなかった。今日の行程を振り返っていると亀岡行きのバスの姿が大きくなって来た。 2003年6月8日(日)北摂/木間生323峰(2.5万図 木津) 今年も梅雨のシーズンがやってきた。天気予報では火曜日あたりから梅雨に入りそうな気配。とすれば今日 のような晴天の下を走るのはしばらくないかも知れない。そこで今日はロードでいつもトレーニングに走っ ている北摂西半周を周回、ついでに以前からいつか登ってみようと考えていた表題の山を訪れることにする。 木間生323峰は猪名川町木津と笹尾の間、県道を大きく東に迂回させて天に突き上げる姿のいい無名峰。 登路は知らない。楊津小学校前から林田にぬける細い林道を上り、トンネルを出たところ、右手に林道があ ったと記憶している。とりあえずそこから取り付いてみようと計画。 5時35分に出発、天気快晴にして無風。気温も16.5℃と昨夜の雷雨の影響か涼しく、絶好の自転車日 和だ。ゆっくり走っているつもりだったが、結構いいペースで走り6時半には木津に着くと楊津小の前を通 り、峠越えの坂道をダンシングでグイグイ上って行く。気分は今年のジロ(ディ・イタリア)の覇者ジルベ ルト・シモーニ(今年の第18ステージは凄かった…余談)。昨日の長距離歩きの疲れも何のその、軽いペ ダリングで上っていくと目の前をヒキガエル君がのっしのっしとお散歩中。思わず自転車を降りてデジカメ でパチリ。上手く撮れたのを確認して再びロードにまたがり鞍部にあるトンネルを抜けて右手分岐に自転車 を停める(6時45分)。
ヒキガエル君お散歩中
No17鉄塔への「火の用心」標識が立っている。行き止まりらしい。おまけに鉄塔は山とは反対の方向。 廃道化した林道を鉄塔の方に曲がらずに直進すると草深い道になる。雨の雫が冷たくて気持ち悪いがそのう ちに気にならなくなってしまうほどビショ濡れになる。 地形図に書かれた林道は盲腸のように北にちょろっと延びているだけだが、実際は山頂北西麓まで続いてい る。今でこそ人も歩けないような廃道だが、完全な水平道で小型ダンプくらいなら通れる道幅がある。 水平道は右手斜面に大岩の壁の出現と共に終わりを告げる。10mくらいの絶壁である。端っこから小さな 岩伝いに登る。雑木ヤブの激斜面登りが始まる。久しぶりに両手を使わないと登れない急斜面である。地形 図には何も書かれていないが、崖マークや岩マークがあってもよさそうな登りが続く。 ヤブの中を一直線に登っていく。なだらかな斜面に変わることのないまま山頂部に飛び出す(7時05分)。 山頂である。雑木に覆われ展望は全くない。南北に長い平坦地になっており、東西側面は一気に切れ落ちて いる。遺構のようなものは認められなかったが、山城の跡であろうか。山頂部が見事に平坦なのが気になる。 といって祠の類が残っているわけでもない。だが、麓から見上げても、南の三蔵山から見ても姿のいい山。 何か謂れがありそうなのだが・・・。
木間生323峰山頂トンネル上部の鞍部
山頂でひとしきり辺りを見回した後下山にかかる。下山は南西尾根をトンネルの上の鞍部に下りることにす る。南へはかすかだが踏跡が付いている。Ca310コブから南西尾根を目指そうとしたが、ヤブで南西尾 根が見えない。一旦コブを越えて小さな鞍部に戻り、右手斜め下に下っているように見えるポイントをトラ バース気味に下って行くとやがて南西尾根に乗り、鉄の境界杭が現れる。 南に展望ポイントが開ける伐採地を見ながらヤブの中を掻き分けて行くとトンネル上部の鞍部に着く。昔の 峠道の跡のようである。右に行けばデポ地に最短で行けそうだが、残念なことに道は消え失せている。左に 取るとはっきりとした道は残っており、ササユリの咲く植林帯の中を下ってトンネルに向かう林道に出た (7時43分)。小さい山だがなかなか面白い山だった。支度を整えるといつものトレーニングコースに。 西峠を今年最速タイの65km/hで下ると快走の連続で帰路についた。             (本日の走行距離 92km)
ササユリトンネル
2003年6月21日(土)篠山/篠山盆地の低山周遊(2.5万図 篠山) 今年の梅雨は本当によく雨が降る。先週の土日は両日とも雨で久しぶりの完全休養となったが、ジッとして いて風邪をひき、休養にはほど遠い状態になってしまった。何とか戻して今日を迎える。久しぶりにいい天 気。体調を考え表題の軽めのコースに変更する。 篠山盆地の低山周遊とは篠山盆地を取り巻く山に登るのではなく、篠山盆地の中にポツポツ点在する小丘巡 りをするということ。「山」というにはおこがましい気もする。 5時38分、ロードで出発する。風邪は完全に治りきっていないので若干重く感じるが、まずまずのペース で赤坂峠を越えるとトラックのスリップ・ストリームを利用してペースアップ、信号通過のタイミングもよ く7時ちょうどに古市に着き、逆にいつもより早くなる。7時20分過ぎには篠山城下に入る。 土曜日の早朝。いつも観光客で賑わう二階町も静かだ。大半の店はまだシャッターが下りたまま。黒豆パン で有名なお店からは外の通りにまでパンの香ばしさと黒豆の甘い香りが流れている。 盆地内の小丘巡り、まずは王地山に登ることに。立町、河原町と走りついで王地山まけきらい稲荷の前に着 く(7時30分)。赤い鳥居が一直線に石段を登っている。絵になる風景だが、自転車では登れないので、 横についている簡易舗装路を登っていく。 標高差も小さく簡単に登れる。稲荷神社を背後から見下ろすように上っていく最後部に差し掛かった時、ハ ンドルバー周りで「バキッ」という大きな音がしたかと思うと、ブレーキレバーがガクンと下に垂れ下がる。 ブレーキレバーの上に体重をかけてダンシングしていたので、危うく前転するところだった。 徐々に緩んできていたのだろう。クラッと来た時は頭がどうかなったのかとびっくりしたが、幸い頭に問題 があったのではなく、自転車だったのでアーレンキーで絞め直して固定する。 それはさておき、王地山の最高点探しである。稲荷神社の背後にある丘の頂上部にはサイレンが10コも付 いた鉄塔がたっていてベンチも設けられているが、どうもささやま荘の背後にある丘の方が高そうに見える。 地形図の248m標高点もそちらを示しているようなので、階段を使って一旦、ささやま荘の前の道路に下 り、遊歩道を登って248m標高点ピークに立つ。 モミジの大木が鬱蒼と茂り公園風に整備された中央部には東屋が設けられている。東の方を眺めれば高城山 (丹波富士)が朝日にかすんで見えている。
王地山まけきらい稲荷(篠山)王地山から高城山
次は筋山(Ca230m)だ。広い舗装路をするすると北へ下り、東澤田の集落を右手に見て左折すると筋 山。地形図では最高部まで道が通じている。行って見ると何と某外資系製薬会社の私有地。一応最高ポイン トと思われるところへは自転車を置いてガサガサと山の中へ入ったがもとより絵にならないヤブの中、デポ したポイントの方がお花畑状態で美しいのでそちらをデジカメに収めて次へと移動する。
筋山馬地山
3つ目は馬地山(252m)。青山台ゴルフ場を正面に見ながら走ると突き当たりにペンションと縁結び地 蔵がある。島田さんの分をお祈りして(余計なお世話(^^ゞ)、数メートル戻り、北に直進すれば馬地山に着 く。西側に回ると斜面のクリ畑に登る道があったので、それを利用してヤブの中に突入、手入れの悪い雑木 ヤブの中を掻き分けて頂上部に立つ(8時25分)。座るスペースも無い密生したヤブ山。記念に写真を撮 ったが撮った本人が見ても何かわからない薄暗いヤブ。ヤブ漕ぎ中にサルトリイバラに引っ掛かって足は血 まみれ状態。蒸し風呂のように暑い山の中にじっとしておれず下山、あとはゆっくりと篠山城下町を眺めな がら帰路に着いたが、山歩きの時間が殆ど無かった分、家に着いても11時になっていなかった。 (本日の走行距離106km)         織田(おりた)さんへのメールはbabrx800@jttk.zaq.ne.jpまで・・・。

表紙にもどる

『山であそぼっ』にもどる