山を駈ける風になれ2004年 5月号

 
2004年4月10日(土)山南/猿薮(2.5万図 谷川)
先週サクラをテーマに篠山、北摂をのんびりツーリング(レポートは作成せず)したが、丹波は今週もまだま
だサクラが楽しめそうなので、山南町方面へ足を伸ばし、谷川から今年のエトの山であり個人的にはまだ登っ
たことがない猿薮(591m)を訪ねることにする。

5時の大阪の気温10.7℃、今日は日中23℃まであがるという。春を通り越して初夏の陽気だ。支度を整
え6時03分、ロードで出発する。
西よりの風が向い風となってなかなかスピードがあがらない。古市の手前にある道路脇の気温表示は5℃。ど
おりで指の感覚がない筈だ(指切りのグローブをして走った)。R372分岐手前にある「大石桜」が満開な
ので寄り道してデジカメに収める。
大石桜(篠山市油井)川代渓谷は今が見頃

篠山市内をぬけ川代渓谷に入るとサクラの回廊が続く。この時季のツーリングはなんとも贅沢な気分になるの がいい。谷川駅前着8時24分。寄り道の連続なのでいつもより時間がかかるのは致し方のないところ。 今度は常勝寺へ寄り道だ。竹林山の植林の濃い緑と常勝寺のサクラのコントラストはいつもながら見事だが、 いつもながらベスト・ショット・ポイントが決まらず電線が目障りな写真が出来上がる。 高山への登山口でもある「地蔵の森公園」に着くと(8時42分)、ここもサクラが満開である。サクラの木 が若いだけに花の付きがよく色も鮮やかである。林道を上がり終点にロードをデポ、歩き出す(8時59分)。 標識が整備されてえらくメジャーになってしまった。けやき峠へは10分ほどで着く。ここから15分ほど急 登をこなせば高山と猿薮の分岐(9時23分)、以前は地形を判断しないといけなかった東尾根への分岐も標 識が出来、目印が付けられ、書き込みまでされては何も考えなくても目的地に着いてしまう。 書き込みによれば猿藪までは25分の行程らしい。いきなりMTB乗り乗りの快適シングルトラックの緩い下 りが始まる。高山への登山道とは異なりやや赤みを帯びた地面でしっとりとして歩き易い。
地蔵の森公園から天徳山方面サルの要塞?

するすると下って最低鞍部、登り返しに入ると大きな岩がバリケードのように重なるポイントが現れる。まる で要塞のようだ。“サルの要塞”とでも名付けておこうか。 “要塞”を越えれば山頂が近づいた雰囲気。まだまだだろうと思って進むと『猿薮』と書かれた登頂プレート が現れる。猿薮山頂である(9時36分)。何だ25分というのは往復の時間か? 尖峰の名に違わず高度感のある狭い頂上部で登頂プレートの南側の小さな岩の上に立つと正面に高山を臨む抜 群の展望、畑谷川を挟んで南西に西光寺山がその美しい姿を見せてくれる。胸のすくような光景を肴にサンド イッチを頬張る。
猿薮山頂西光寺山の姿が美しい(猿薮頂上より)

平石(542.5m)への縦走路側に回ると東に白髪岳、南東にトンガリ山が見える。まずまずの展望だ。結 局15分ほど頂上に憩った後往路を戻る。30分ほどかけて地蔵の森公園に戻る。公園の東屋で休憩しえいた 地元のオバサン達と喋って帰路に着く。帰りも少しルートを変えてサクラ見物。予想外の強い風に悩まされた が半袖ジャージで初夏を思わせる丹波路を快走した。          (本日の走行距離 130km) 2004年4月17日(土)宝塚/北穴虫+竜岩(2.5万図 武田尾) 今年の春は本当にいい天気が週末に廻ってくる。わが家から見える山々も新緑に衣替え。今MTBで山の中を 走らなきゃいつ走るんだ、という季節。そんなわけで今日は表題のコースを訪れることに。 「北穴虫(点名)」は宝塚北部西谷地区の玉瀬にある390.3mの低山(地形図では勿論無名)。山のすぐ 東側を破線の道が南北に走っているが、どちらを取っても谷沿いのコースなので面白くなさそう(MTBで走 り慣れている人には納得頂けると思う)、と思っていたら北東のソエ谷峠から尾根伝いに行けそうな様子に山 行を決意する。 午前5時の気温16℃は先週よりもかなり高め。Tシャツの上にMTB用のトレーナーを着て5時59分スタ ート。川西のコンビニで食料を調達し、広根で左折、銀山に(6時59分)。銀山跡を散歩した後山陽自然歩 道に入る。 一の谷池ではまだヤマザクラが満開だ。ソエ谷峠手前は「バイク、自転車乗り入れ禁止」になっているので 「押し」てソエ谷峠へ(7時35分)。
銀山橋(多田銀山跡)まだまだサクラが楽しめます(一の谷池)

ソエ谷峠は何度も来たことがあるが、ここからは初めてのルートだ。まずは地形図の358標高点ピークにM TBを押し上げる(7時48分)。県の一級基準点が埋まっている。ピンクのリボンも目印だ。 ここを西へ踏み跡(境界杭伝い)を下る。下り切ったところを古い峠道が横断している。そのまま西へ行けば 破線路の道を辿って新池からみぶこ地蔵方面だ。峠道を横断して南へMTBを「押し」上げる。また県の基準 点がある。今度は3級だ。正面に北穴虫が見えている。
ソエ谷峠添谷峠北の358標高点ピーク
(県の基準点が埋まっている)ここを左へ

ここから雑木薮が少し煩くなるが、踏跡はしっかりと続いている。コバノミツバツツジの咲き乱れる小径は気 持ちがいい。シダのヤブを越えて少しばかり乗車可能な場所が現れるとCa360山に着く(8時21分)。 北穴虫と破線路を挟んですぐ東にあるピークである。
至るところこんな感じ

踏跡は南西にシダ薮の中を下っている。MTBを押しながら下っているとシダの中にコンクリートの境界柱に 向こう脛をぶつけてしまい一瞬蹲りそうになる。 下り着いたところは北穴虫との鞍部。南北に横断している破線路はどちらも廃道っぽい。山頂に向う踏跡が一 番しっかりしているように見えるのでMTBを山頂に担ぎ上げる(8時35分)。
Ca360山より北穴虫山頂を臨む少し切り開かれている北穴虫山頂

山頂の周囲だけ伐採されている。が、展望はない。中央に4等三角点が埋まっている。取り敢えずはこの静か な山頂で軽食タイムを摂ることに。 10分ほど休憩の後鞍部まで戻り破線路を南へ下る。初めは廃道然かと思われた道も次第に乗れるようになり 最後は快適なシングルトラックとなって溜池に出る(9時03分)。地形図では溜池の南側を破線路が通って いるが、実際は北側を通っている。 堤防の上で暫し休息。まだ時間も早いし簡単に行けそうなところを地形図で探す。以前島田さんのレポートで 読んだことのある竜岩を訪ねることに決定。境野から玉瀬へ出て川下川沿いに下り高圧線を潜ったあたりから 注意して走っていると右手に「火の用心」の巡視路入口を発見、MTBを押し上げる。 竜岩はピストンの予定だったので途中のNo183鉄塔の下にMTBをデポし竜岩往復。岩の上からは胸のす くような眺望。東に古宝山を見て萌え出ずる新緑の山並を堪能する。心地よい振動に揺られ山道を下ると舗装 路へ。川下川ダムから道場周りで帰路に着いた。          (本日の走行距離 59km)
竜岩手前の岩の上から356山方面を見る少新緑のパステルカラー 竜岩の上から古宝山

2004年4月18日(日)有馬/武庫山(2.5万図 宝塚) 今日も朝から申し分のない天気。朝のうちだけ時間が空いてるので以前から考えていた表記のショートコ−ス を走ることに。 西宮市山口町船坂字西山林ノ奥1407、が武庫山の所在地。といってもこれでわかる人は凄い。有馬街道、 船坂と盤滝トンネルの出合の西約1km、白水峡墓園の東側に隣接する標高519.7mの山である。 「武庫山」とは「六甲山」の古称、阪急宝塚南口駅の西側にも同名の地名があるが、何故こんな裏六甲の小さ なピークにその名が残ったのか、大いに知的好奇心をかきたてられるところである。 午前5時50分、ロードで出発する。船坂まではひたすらヒルクライム、蓬莱峡を横目に見ながら登りきると 6時26分、白水峡墓園に着く。さてどこから入るか。正面階段の右手にある細い舗装路を登り、階段の上に 出、車道を一番奥のアーチ歩道橋まで走る。 山側に給水棟があり擬木柵も見える。斜面をよじ登り柵を跨ぐと山道のような道が付いている。地形図の破線 路とはかなり違うが歩けそうだ。1m幅のはっきりとした道を登って行くと、『展望台コース、かもしかコー ス』と書かれた標識が現れる。
蓬莱峡展望台にあるハイキングコース案内図

「え?」 意外なところで意外なものに出くわした。そのまま進めば何と案内通り、“展望台”に着くではな いか(6時44分)。『武庫山ハイキングコース』と書かれた案内板にはいくつものコースが解説付きで書か れている。 こんなところにハイキングコースがあるなんて・・・。そもそも何のためにこんなところにハイキングコースを作 ったのだろう。登り口はすべて霊園の中にあるのだから、“墓参りのついでにハイキングを”というコンセプ ト?とにかく不思議なところにハイキングコースがあるものだ。 展望台の位置は地形図の山頂の西南西200mにあるCa490コブ。確かに白水峡の絶好の展望台だ。武庫 山山頂へは最後に急坂を登って到着(6時46分)
展望台から見た白水峡武庫山山頂(三角点は角が欠けている) 西に展望が開ける(有馬温泉)

イノシシが荒らしまわったような山頂には角の欠けた3等三角点が埋まっている。有馬方面の眺めがよい。山 頂からは東コースと西コ−スが分岐しているが、歩かれなくなって相当経つと見え、ヤブ尾根よりも歩きにく そうな息の詰りそうなコース。一旦展望台との鞍部まで戻り、右に分岐する『丸太橋コース』を行くことにする。 最初はしっとりとした山道だったが、階段が崩壊した急斜面が出現する。もともと地形に合わせて歩かれて出 来た山仕事の道とは違い、無理やり作ったハイキングコースは廃れると、ある意味野趣溢れるコースとなる。 この調子だと丸木橋もひょっとするかも知れない。
ハイキングコースはツツジが満開ある意味野趣溢れるコース(ハイキング道も
廃れるとアドベンチャーなコースになる)

どうやら予感は的中したようだ。小さな谷を渡るところにつけられた丸木橋は朽ち果てて“とってもアドベン チャー”な状態になっている。おまけに落ちた橋の先を倒木が塞いでいる。水の枯れた谷を渡り、対岸を攀じ 登ってハイキングコースに戻る。 かもしかコースに合流すればスタート地点はすぐだ。霊園の中に飛び出したところは、最初にロードをデポし たアーチ歩道橋の前(7時06分)。わざわざ急斜面をよじ登らなくてもハイキングコースの入口があったとは・・・。 ただのヤブ山だと思っていたところが思わぬ展開を見た。こんな意外性があるから無名の山は面白い。白水峡 墓園を出ると金仙寺湖回りで帰路についた。           (本日の走行距離 29km) 2004年4月24日(土)市島・春日/小富士山(2.5万図 市島) 昨日の雨で空気が入れ替わったようで、季節が少し逆戻りしたようだ。今日はGW前ということで走りこみを 兼ねて表題の山を訪れることにする。 5時46分ロードで出発、R176〜R175を走り継いで市島町を目指す。インターネットのピンポイント 天気予報では昼頃から北寄りの風が強くなるとのことだったが、三田を過ぎた辺りから風が強くなり延々向い 風をついての苦行になる。 おまけに丹波大山あたりで雨、鐘ケ坂トンネルを抜けると雨は上がったが、それまで相当降ったと見え、六反 田の交差点あたりまでは水しぶきを上げながらの冷たい走りを強いらる(後日判ったことだが、途中石生の辺 りで「丹波のたぬき」さんに冴えない走りを目撃されたらしい)。多田まで来ると前方に端正な形の小富士山 が見えてきた。
小富士山

どういうわけかいつもこの辺りを走る時は霧が深かったり、雨模様の時が多く、R175から小富士山を見る のは初めてだ。(そういえば三和町の戸平峠経由で走った時も霧だった。) 8時35分、東勅使の交差点に着く。道路を渡り、東勅使の集落の中を抜けて竹田川を渡り小富士山をぐるっ と回り込んで登山口の桃源寺に着く(8時48分)。 お寺の裏の墓場から山頂までハイキングコースが付いているのは「たぬき」さんや「天々宇知栗」さんのホー ムページをチェックして知っていたが、下山路に使うことを考え、墓の横を山の裾をぐるりと回りこむように 付いている山道を西へ行く(8時50分)。 西側の山との鞍部まで歩いて町界尾根を登ろうと考えていたが、途中で登れそうな山道っぽいところを見つけ 予定変更、西南西から一気に直登だ。前方の斜面をシカが2頭走り去っていく。 古い山道の跡かと思われた“道”は斜面が崩れて出来た“道のようにみえる”箇所だったようで、倒木は益々 ひどくなってくる。どうにもヤブ漕ぎをしないと収まらないのが私の山行だ。でも一気に登れるのは魅力、小 さな岩場をクリア、雑木ヤブを掻き分けると祠のある山頂に飛び出した(9時05分)。 標高230m。祠の中を覗いてみたが、中にも祠のようなものがあって扉が閉まっている。祠の前まではいい ハイキング道が付いている。山頂は雑木に囲まれて展望がないので、展望のいいところに移動することに。
小富士山山頂には祠がある第2展望台から西多紀連山の眺め

山頂から少し下ったところに『第2展望台』と書かれた見晴らしのいい岩場がある。西は黒井城址から五大山、 正面には向山連山、南東には妙高山、更にその向こうには三尾山から黒頭峰が一望できる文字通りの展望台で ある。 風は冷たいが日差しは暖かい。ゆっくり景色を楽しみながらサンドイッチを頬張る。あとはゆっくり下れば桃 源寺へ戻ってくる(9時28分)。境内では住職を囲んで檀家の老人達が歓談中。 帰りは追風基調、国領まで南下、県道を東に走って栗柄峠へ、あとはいつものコースを辿って家路についた。  (本日の走行距離150km)        織田(おりた)さんへのメールはbabrx800@jttk.zaq.ne.jpまで・・・。

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