山を駈ける風になれ2006年 4月号

 
2006年3月5日(日)能勢/暮坂峠〜豆柏〜小和田山〜篠口峠(2.5万図 妙見山) 
能勢の無名の低山を訪ねるシリーズ第5弾。昨年のうちに訪ねる予定であったが、予想外の今冬の寒さ
に、雪が無くなり陽だまりハイクが楽しめる時季に訪ねようと温めてきた企画。今日はその陽だまりハ
イクにはうってつけの天気になりそうだ。

6時28分、すっかり明るくなった中をロードでスタートする。川西能勢口から県道を北上、紫合から
阿古谷を通り、きつ〜い峠越えをして、栗栖のコンビニで食料を調達し、大路次川沿いに府道を北上、
『おおさか環状自然歩道』の標識に従い右に折れる(8時01分)。
集落に向かう細い道を抜けると天神橋、左に曲がると暮坂峠への上りにかかる。ワインディングの気持
ちのいい坂道を上ること10分で暮坂峠に到着。峠から150mほど戻ったところにある林道入り口か
ら尾根筋を目指す(8時15分)。
暮坂峠

林道はすぐに終点になり、その先から境界の赤いプラ杭を辿りながらシダヤブの中を登っていく。と、 右手から細い山道が合流する。快適な山道歩きが続く。尾根筋が近づいてきたところで、右に折れる山 道を辿りショートカットを試みると、道が無くなり、仕方なく植林帯の浅い谷をトラバースして尾根の 鞍部に着く。
豆柏南の尾根の鞍部

地形図のCa460、緩く広い尾根あたりか。平行道が北東方向に伸びている。この道は東に方向を変 え、徐々に下っていく。もとの鞍部に戻り、尾根筋を北に辿る。気持ちのいい踏跡が続いている。 鞍部から5分ほどでちょっとした登り。登ったところは少し丸い山頂然としたところで、中央に三角点 が埋まっている。標高511.5m4等三角点、豆柏である(8時51分)。
豆柏4等三角点

登頂標が2枚架かっている。北摂にはこういうマニアックな歩きをする人が多い。面白い山域である。 踏跡は更に北に向かって続いている。気持ちのいい雑木林が広がっている。暖かいし言う事なし。 足元に雪が現れ始める。一番積雪量の多いところが561山山頂である(9時05分)。西側斜面は切 れ落ちて、中腹には採石場がある山であるが、この山頂に居ればそんなことはみじんも感じさせない。
気持ちのいい雑木尾根を561山に向かう561山山頂付近は雪が残っている

踏跡は道なりに北東方向へ。一部踏跡が判然としないところがあるが、585山との鞍部にある鉄塔を 目指して軌道修正すればOK。そのNo.187鉄塔を過ぎると左手にシカ除けネットが部分的に現れ る道となり、少し登ると正面に小和田山が見えるポイントに。そのまま行くと585山に着く (9時26分)。
更に585山へ向かう585山。西小和田山と命名させてもらいました

赤松林の山頂、2つピークがあるところなど、小和田山の相似形のような山である。メジャーな小和田 山と違って赤松林を吹き抜ける風にも趣きがある。勝手に西小和田山と命名する。さて、“本家”小和 田山に向かう。 小和田山へ向かう下りは不明瞭である。地形図に従って山頂一つ左側のコブを目指して、ササヤブの中 に突入すれば、鞍部あたりから一面のイバラヤブ地帯に突入する。そういえば小和田山山頂近くはイバ ラヤブがあったことを思い出す。一体どこまで続くんや。 悪戦苦闘の末、イバラヤブを脱する。倒れた黒いシカ除けネットが現れる。これ幸いとネットの上を歩 いて、小和田山山頂西のコブに到着する。ハイキング道に出た。今までの歩きと比べると目をつぶって も歩けるくらいの差だ。MTBのタイヤ痕が雪の上に続いている。すぐに小和田山山頂に着く (9時50分)。
小和田山山頂は陽だまりの中小和田山といえば赤松林が美しい

6年ぶり3度目の山頂である。山頂は無風で暖かい。ゆっくり軽食タイムを摂る。ここまでくればあと はのんびりハイクだ。尾根筋を南東方向へ下り、南へターンすれば前回突然林道が現れ驚いたポイント。 突然現れ面喰った林道は、鉄塔建設工事のためのものだったようで、今ではしっかり簡易舗装がなされ ている。 その簡易舗装路の林道を少し歩き、鉄塔目がけて歩けば、No191鉄塔。更にそのまま南へ進めば、 13年前MTBで走った七宝寺へ向かうシングルトラックが現れる。途中で左に分岐する山道に赤テー プが巻いてある。釈迦ケ嶽に向かう山道である。13年前にはこんな明確な分岐は無かったと思う。あ るいは、カッ飛んでいて見えなかったかのどちらかだ。 釈迦ケ嶽(512m)の山頂まではすぐの距離である(10時20分)。宗教色のある山名に似合わず 何も無い山頂で、雑木林の中に登頂標が3−4枚架かっているだけである。
釈迦ケ嶽山頂

今日は七宝寺方面へ下りる予定ではないので、一旦さきほどの鉄塔まで戻り、簡易舗装路を延々 下る。 舗装路歩きが疲れてきた頃、道の右手に『おおさか環状自然歩道』の標識が現れる。篠口峠への登り口 である(10時54分)。
篠口峠への標識篠口峠です

標識には『篠口峠まで0.3km、暮坂峠まで1.4km』とある。手持ちの地形図では峠手前でジグ ザグになっているが、遊歩道として整備した時に道を付替えたのか、実際はほぼ真直ぐ、3分程度で篠 口峠に到着する。 篠口峠は全線オフロードだが、峠から山内方面へは広い道が続いている。少し暑いくらいの春の陽気の 中、大きく伸びをしてロードをデポした暮坂峠へ向かった。 (本日の走行距離 73km) 2006年3月18日(土)北摂/杉生金毘羅山(2.5万図 杉生)  私のようなこんな遊びは、週休2日制になったから続けられるのだろうとつくづく思う。これが1日な らとてもじゃないが、疲れが溜まって仕事にならないだろう。2日あれば土日どちらか体を休めること ができるのでむしろすっきりした気分で月曜日を迎えることができる。 それでもたまに2日共走れない週末がある。雨である。2日間べったり雨ならまだ諦めもつくが、土曜 日“曇昼前から雨”、日曜日“雨のち午後から曇”というケースは最悪である。実質的には1日にも満 たない降雨が結果として全く走れず、家でブーたれるしかないのである(と言いながらも実際は地形図 とにらめっこしながら次々プランを編み出してはいるのだが)。 前置きが長くなってしまった。この週末もまさにそんな最悪のパターンになりそうな様相を見せる中、 急遽ショート・コースに切り替えて6時13分ロードでスタートする。 杉生金毘羅山は、杉生の交差点のすぐ北に見える標高296mの小さな山である。交差点横のコンビニ で水分補給をする時、南端に鳥居とそれに続く山道が見えており、何があるのかなと気にはなっていた が、如何せん背後に控える大野山や周囲の高岳などに比べると、あまりにもちっぽけな山なので、訪れ る機会が無いままであった。
杉生交差点から金毘羅山を臨む

距離が短いということで飛ばし気味に走り、7時26分杉生の交差点に着く。コンビニ横の自販機で水 分調達をして、バス停のバス旋回スペースから田んぼのあぜ道を歩き、鳥居の前へ。横にマル金マーク に『金刀比羅大権現』と彫られた比較的新しい石標が立ち、奥に社がある、と記してある。 北摂にはあちこちに金毘羅大権現を祀った社があるが、杉生にもあったとは知らなかった。鳥居の脇に 自転車を置き、参道を歩き始める(7時32分)。
登り口には金刀比羅大権現の石標が
横には奥に社があると刻まれている
お社

しっとりとした山道が続いている。雨水で道が抉れないよう何箇所も雨水を逃がす小さな溝が切ってあ るところに村人の優しさを感じる。5分ほどで金毘羅さんの社に着く。よく手入れされている。社の右 奥から山の西側の集落に通じると見られる踏跡が続いている。 境内の横にある掃除用具入れの小屋の後ろに縦走路がある。いつものヤブ山歩きの道に変わる。倒木も あるが踏跡ははっきりしている。小さなコブを越え、もう一度小さく登ったところで左(西)に折れ、 不明瞭な道を辿れば296m、この小さな山塊の最高点に達する(7時53分)。
この山の最高点296m

さすがにこんな低山を訪れるハイカーはいないのか登頂標の無い静かな山頂である。展望も無いので先 を進む。だんだんヤブ度合いが増して進みにくくなった頃配水施設の裏手に出る。(7時59分)。ヤ ブを漕いで施設の正面に回る。
杉生配水池
屋上に三角点が設置されているが確認できず

この施設の屋上に4等三角点「杉生配水池」がある。立入禁止なのでフェンスの上に立って確認するが、 一番高い屋上の上にあるのか確認できない。諦めて正面前に戻り、階段をつたって道路に降り立つ。 小さな山であるが、それでも南北に歩けば約1kmの山歩きが出来る。山道を歩きたいが時間に余裕が 無い時にはちょうどいい。
936年まで大野山の蓬ケ原に
あったという八坂神社

下山口近くにある八坂神社にも立ち寄る。なかなか趣のある佇まいを残している。石造りの鳥居は天明 2年の銘が。しかし、縁起を読むと恐ろしく古い。936年に大野山の蓬ケ原から下りてきたとある。 蓬ケ原とはどこか。青ケ原(575m山付近)か。そういえば青ケ原の北麓、柏原にも八坂神社がある。 低山歩きは知識欲もかきたててくれる。だから楽しい。 (本日の走行距離 69km) 2006年3月21日(火)西脇/童子山+鳴尾山(2.5万図 西脇)  春本番を控えてある程度の距離を走る練習を兼ねて、丹波周りで西脇の低山を訪ねることにする。6時 15分、曇り空の下を出発する。今日もロードだ。いくぶんゆっくり目に走るもまずまずいいペース。 気温3℃の赤坂峠、同2℃の古市と真冬のような寒さの中を篠山、谷川と走り継ぎ、午前9時09分西 脇市民の憩いのスペース、童子山公園に到着する。
童子山公園に到着

朝から何かの大会があるようで、中学生らしき一団が体育館の前に集っている。さて、童子山である。 童子山の『童子』とは何を意味するのだろうか。東洲斎写楽の浮世絵『大童山土俵入り』で有名な大童 山文五郎を連想するのは私くらいのものだろうか。 7歳にして120センチ、71キロあったという大童山はその後169キロの巨漢力士となる。だが、 実際はほとんど取り組みをせず、看板大関のような一種の見世物的存在であったようだ。文政5年34 歳で亡くなっている。 それはさておき、この童子山にも三角点があるのでついでに寄っておこう。配水施設の中にあるのは調 べて知っていたので、隣接する中央展望台に登る(9時15分)。展望台の北側にある配水池の南東隅 に96.7m、4等三角点を確認。 三角点を三角点より高いところから俯瞰するのも妙な感じだ。童子山公園の中に『童子山』の由来はあ るかと探してみたが、結局何もわからず、本日の目的地、鳴尾山に向かう(9時35分)。
配水場にある三角点(直に触れることはできず)童子山公園展望台から鳴尾山

朝からジョギングしている人が多い。さすが高校駅伝の超名門、西脇工業のお膝元だけあって、老いも 若きも走っている。そんな朝の風景を眺めながら加古川線沿いを気持ちよく流し、滝にあるコンビニで 食料を調達、登り口と決めていた南尾根南端に着く(10時06分)。 地形図の南尾根の先端部と送電線の交わるところに巡視路がある筈とやってきたのだが、送電線は無し、 農道はシカ除けのフェンスで行き止まり、線路はすぐ隣を走り、間に畑が広がっているという状況。ど うみてもこれ以上進める状況にない。(手持ちの地形図には送電線が載っていた) 仕方なく、フェンスの扉がある溜池の下まで走り、扉を開けて堤防に登り、周囲のヤブをあちこち調査 してみるが、どこも凄いヤブで到底進めそうにない。天気もぱっとしないし、意外な展開に堤防の上で 軽食と持参のお菓子を食べて退散を決意(10時42分)、扉を開けてフェンスの外に出る。 しかし、どうしても納得がいかなかった最初の農道が途切れたポイントまで行き、せめて畑の先がどう なっているかだけ見ておこうと、畝の傍を歩いて線路ぎりぎりまで張り出したフェンスの横を回り込む とどうだ、『関西電力』と彫られた石標と巡視路があるではないか(10時45分)。
ようやくの思いで見つけた登山口の巡視路

やっぱり最初狙いを付けたところで合っていたんだ。農道の行き止まりに置いてきたロードを取りに戻 り、巡視路の入口に置いて改めて山頂を目指す。 全く快適な巡視路が続いている。下りに使えばMTBならほぼ100%乗車可能という小径、No15 4鉄塔を目指して登れば、登山口から10分ほどで見晴らしのいい鉄塔下に、そして更に5−6分で鳴 尾山山頂に着く(11時05分)。ササヤブの中にどっしりと存在感を示している三角点は236.2 m、3等である。傍の茂みの木に大柿氏のプレートが架かっている。
No154鉄塔からは滝野社方面が一望できる登山口探し40分、登山は18分で鳴尾山三角点に

時間があれば山頂直下を巻く巡視路を辿って先を行きたいが、登山口探しで随分時間を喰ってしまった。 来た道を引き返し、闘龍灘を見ながらR175に乗り、滝野社から県道を走って帰路に着いた。 (本日の走行距離135km) 2006年3月25日(土)氷上/小寺山〜福田坂(2.5万図 柏原)  今日もトレーニングを兼ねての低山訪問。小(お)寺山は石戸山山塊の北西隅に突き出した標高約36 0mの山。以前は364.8m3等三角点があったが、鉄塔工事で三角点が南へ移動、標高的には7m ほど下がってしまった。 しかし、“山頂に鉄塔”とくれば、“梅にウグイス”、“松に鶴”…何のこっちゃ。展望は保証された ようなもの。 絶好のサイクリング日和が期待される中、6時10分ロードで出発する。4日前より更に冷え込み、赤 坂峠1℃、古市0℃と例年なら真冬並の気温。それでも意外と快調に走り、8時24分柏原のコンビニ で食料調達し、萱刈峠越えで佐野に到着(8時43分)。 佐野から国道を離れ、南東にのびる地道を行く。シカ除けのフェンスが現れる。閂をはずし、門を開け て中に入る。道の両脇は薄暗い植林帯である。古墳の跡のようなところを過ぎると、右手に趣のある矢 降神社の鳥居が現れる(8時48分)。
矢降神社

鳥居から20mほど行ったところに「火の用心」の巡視路標識。No81〜83方面とある。ロードを デポし、仕度を済ませ巡視路を歩きはじめる(8時55分)。 最初こそ薄暗い植林帯のなかを谷沿いに登る退屈な巡視路だが、谷の右岸に渡り、稜線が近くなったと ころで展望が開け、鉄塔が現れる。No84鉄塔である。青空の中に弘浪山の険しい姿が美しい。 稜線に出れば雑木の中の小径に変わり、ポカポカ陽気も手伝ってこれ以上ない幸せな気分。
稜線に近づくと気持ちのいい小径になる

やがて展望抜群のNo83鉄塔に着く(9時18分)。一瞬小寺山山頂かと思ったが、西北西に鉄塔が 立つ同じような高さの山がある。あれが小寺山らしい。ここはCa350mコブのようである。 一旦下り、小さなアップダウンを何度か繰り返して方向が北に向いたら山頂はすぐそこ。鉄塔の立つ山 頂手前に出る。足元に移動した3等三角点が埋設されている。山頂に到着する(9時30分)。(山頂 の鉄塔はNo82)
小寺山山頂の鉄塔と
下がってしまった三角点(右下)

思わず叫びたくなるほどの絶景である。360度、氷上の山々が見渡せる。北は弘浪山、その奥にカヤ マチ山から十九山に連なる峰々。うっすらと頭を見せているのは大箕山か。加古川を挟んですぐ西には 白山、そして一つ奥には竜ケ岳、篠ケ峰。南方向へ古天神、先日登った大谷、蛇山、カザシ、三組尾。 至山から石金山は南正面。東は石戸山から北へ五大山、愛宕山、五台山と続き、これ以上山の名前を書 き連ねていたらそれだけでレポートが終わってしまいそうなくらいの眺めが楽しめる。
山頂からの展望1・・・弘浪山、水山山頂からの展望2・・・白山、奥に篠ヶ峰、竜ケ岳
山頂からの展望3・・・篠ヶ峰山頂からの展望4・・・蛇山、大谷
奥は石金山から三組尾

ジョン・キーツの有名な詩の一節が思い起こされるような素晴らしい天気、ウグイスとシジュウカラの 歌声を聴きながら食べる軽食は何にも勝る味。暫し至福の時間を過ごし下山にかかる。山頂から南へ3 00mほど行ったところから南西に下れば福田坂へ下りられるが、デポ地まで歩いて戻るのが大変。 一旦ピストンで矢降神社まで下り(10時08分)、ロードを回収して国道を夫婦橋まで走って左折。 せっかくだから福田坂を訪ねる。
福田坂です

全線舗装路の幅のある道。アプローチが短いのですぐに着く(10時26分)。すっかり気温が上がっ てきた。ウインドブレーカーを脱ぎ、MTB用ジャージの袖をまくれば少し肌寒いが心地よい。少し風 が出てきた中、思いがけない眺望に感動しつつ帰路についた。 (本日の走行距離140km) 織田(おりた)さんへのメールはbabrx800@jttk.zaq.ne.jpまで・・・。

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