山を駈ける風になれ2006年 5月号
2006年4月1日(土)北摂/愛宕山〜追谷山(2.5万図 木津)
今日から4月、というのにいつまでも寒い。当初予定では140km程度の走りをする予定であったが、
腰と右太ももに痛みがあり距離を短縮して表記のコースに変更、6時14分に自宅を出発する。
走り出してみると思ったほど冷え込みは強くない。しかし、仕事のし過ぎでもなかろうに腰痛再発のせ
いでダンシングが辛い。まずまずのペースで清水の集落に。だが左折する道を行き過ぎ、更に愛宕山の
登山口探しに周辺を行ったり来たり。結局、地形図の破線ポイントではなく、200mほど西にある小
さな祠の横から。
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小さな祠の横から登る |
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祠の中には球形の石が祀られている。仕度を済ませ登りにかかる(7時40分)。留め置きテープがと
ころどころに巻かれているが、明確な踏跡はない。地形図に記された等高線どおりの激斜面、両手両足
をフルに使って登りやすいところを登れば自ずから留め置きテープと一致するという状態。
15分も両手両足運動を続ければ次第に斜度も緩くなりちょっとした岩場のある南のピークに着く(7
時56分)。振り向くと上之岳越しに寺山、広照寺山が見える。こういうロケーションで見るのもいい。
愛宕山本峰は樹々の向こうにぼんやりと見えている。
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南のピークから樹幹越しに愛宕山 |
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一息ついて北に向かう。鞍部まで下れば麓から登ってきている踏跡に合流し、格段に歩き易くなる。登
り返せばすぐに愛宕山山頂に着く(8時05分)祠が祀られている。祠の状態もいい。登頂標が意外と
多いのに驚く。これで愛宕山と名前の付く山7座目クリアだ。
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愛宕山山頂 |
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少し休んで追谷山へ向かう。相変らずいい小径が続くが、激下りの斜面に木立に掴まりながらの両手両
足山歩きは続く。傾斜が緩んできたらシダの回廊と呼びたくなる小径、霊園からの小径が合流すれば登
りにかかる。
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シダの回廊を行く |
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追谷山は94年2月に一度登っている。その時は霊園の仏舎利塔の裏手からMTBを担いで登っている。
どこからかその時の踏跡に合流する筈だが記憶が戻らない。記憶力が衰えていることもあるが、12年
前はこんなに森が深くなかった。
結局、どこで合流したのかわからぬまま、傾斜が緩くなり三等三角点の埋まる追谷山山頂に着く(8時
30分)。12年前は背丈の低いイバラが中心の山頂で、踏跡も定かでない状態であったが、今は登頂
標も賑やかな歩きやすい潅木に囲まれた山頂に変わっている。
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追谷山山頂 |
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里人からも忘れ去られた無名の低山がこうして多くの愛好家に歩かれて彼らの記憶の中に生き続けるの
は結構な事だ。だが、不必要な留め置きテープや登頂標はともすれば、登った山の数だけを自慢し合う
ローカル版百名山登山のような登り方しかできないハイカーを呼び寄せ、結果として静かな低山を荒ら
すことになりはしないか。2年前北摂の山歩きでご一緒した妻恋地蔵さんの留め置きテープを剥して歩
かれる姿が思い起こされる。
さて、このまま北に向かって歩きたいところだが、下山後の舗装路歩きが長くなるので、仏舎利塔の裏
手へ下りることにする。途中で分岐を発見、すぐに仏舎利塔の裏手へ出る(8時50分)。仏舎利塔付
近も整備され、12年前の道とは少し違うようである。ここから見上げる愛宕山の頂を堂々と天に突き
上げる姿は美しい。
20分ほどかけてデポ地に戻る。いくら体調不十分とはいえ、このまま帰ったのではあまりにあっけな
い。笹尾峠を越えて上佐曽利、川下川ダムと走り継ぐと道場へ。工事中の悪路でパンクするトラブルも
あったが、ぐるりと周回、気持ちよく流して帰り着くことができた。
(本日の走行距離 73km)
2006年4月9日(日)丹波/お花見ツーリング(2.5万図 大名草、谷川他)
ロード仲間のK氏とサクラを求めて丹波路を走る。K氏との待合せは11時谷川駅前にしたので、それ
までに氷上までひとっ走りすることに。
5時57分、少し肌寒い天気の中を出発する。三田に入ったあたりで薄日が差すものの、北に向かうに
連れて雲が厚くなり、向い風が強くなってくる。それでも柏原を2時間09分といいペースで通過する
と、市辺のコンビニで軽食を調達、途中道を間違えたりしてタイムロス、8時50分、清住に着く。
冷たい雨が降り始めた。お目当てはカタクリの花ではなく、三方にあるお気に入りのサクラに会うため。
ところが、まだ1週間早かったようで2分咲きというところ(残念)。
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三方の春はまだ遠かった・・・ |
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サクラを眺めながらのんびりとおにぎりでも頬張ろうと思っていたが、寒くて南下する。北上にはきつ
い向い風も南下にはお助けの追い風。しかし、いつもの調子で飛ばしたのでは10時前に谷川駅前に着
いてしまいそう。途中、あちこちでお花見ポイントを見つけてはちんたら走りで時間稼ぎをしながら1
0時15分谷川駅まであと数百メートルというところに入る。
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サクラの花越しに至山 |
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と正面からK氏、颯爽とロードに跨ってやってくる。
「えらく早いやん」
走り始めてからの走行距離が100kmになっていたので、観光案内所の中で休憩してようかと思ったが
休憩はお預けとなる。K氏はK氏でちょっと早い目に昼飯を食べておこうと谷川まで足慣らしがてらやっ
てきたところだという。
思惑どおりに運ばない者同士でまずは常勝寺へ。サクラも満開ならウメもツバキも、モクレンもそして足
元にはショウジョウバカマまで咲き競っている。季節をクロスオーバーした花々を楽しんで、谷川界隈で
は数少ないお食事ポイントへ移動する。
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花の寺と呼びたいくらいの常勝寺 | サクラをバックに気持ちよくポタリング |
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腹が満たされると眠くなる。いや眠っていては案内できない。阿草から小峠を越えの道を案内し、いっき
に下って大国寺でひと休み。続いて篠山城下を通過、一昨年ベストショットのサクラが撮れた場所を案内
したが、今年はまだ2分咲き。1週間早かったか。満開のサクラを想像してもらう。
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ほんとはこんなサクラを紹介する筈だったのだが・・・ |
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あちこち道草をしながらのツーリングだったのでもう14時前。篠山の馴染みの店に寄るというK氏と別
れ、沿道のサクラを楽しみながら走れば今年最長距離にも拘らず快調な走りが続く。これもサクラ・パワ
ーか。日本人に生まれてよかったと実感した春の1日であった。
(本日の走行距離183km)
2006年4月22日(土)市島/天ケ岳(2.5万図 市島)
GWに長距離ツーリングを計画、その足慣らしを兼ねて表記の低山を訪ねることにする。天ケ岳は妙高山
の北方、日ケ奥渓谷のすぐ北に位置する標高312mの山である。
当初好天の予報が、急速に悪化しているようで、夕方には雨が降り出すという。ま、夕方までには帰れる
だろうが、ずっと曇天の下を走るのは気分的に楽しいものではない。
午前5時59分、ロードで走り出す。走り出して1分も立たないうちに体が重いと感じる。こんなことで
赤坂峠が上りきれるのか不安な状態。スピードは上がらないが、不思議と赤坂峠通過タイムは悪くない。
パッとしない走りは以後も続くが、それなりに走れば自己ベストにあと1分というタイムで栗柄峠に着く
(8時04分)。
ここで一息ついて満開のサクラ、ミツバツツジを愛でながら旧春日町方面へのワインディングの下りを楽
しむと、国領温泉分岐手前で北に折れ、多利方面へ。小富士山を左手に見ながら県道を走っているといつ
の間にか行き過ぎて鴨庄に。地形図を確認してバック、神社の前で山側に入る道を上り、舞鶴道の高架を
くぐれば溜池の前へ。ここが天ケ岳への登り口である(8時50分)。
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登り口付近に立っている 最明寺跡の石碑 | 登り始めに高谷山を正面に望む ビューポイントが現れる |
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仕度を済ませ山歩き開始。最初は小型のユンボで開いた跡が残る林道幅の道。枝道が多いが、地形図の破
線どおりに歩けばやがて快適なシングルトラック幅の山道に変わる。あまり傾斜がきつくなく新緑の雑木
林を楽しみながら歩ける。
それだけでも十分だったが、感動はこれから。コバノミツバツツジのトンネルが連続する山道に変わる。
思いがけないミツバツツジの群生との出会いに足を止めて辺り全体を包む紫色の世界をしばし楽しむ。
地形図の『端』の文字が書かれたところから南に向かう枝尾根と破線の道が交錯するポイントで、ツツジ
に導かれるように枝尾根を登り、いっきに山頂の東150mポイントへ。東西に伸びる稜線にははっきり
した踏跡が付いている。
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しっといりとしたいい道が続いている | ここから山道をはずれ枝尾根を直登する |
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この稜線も紫のトンネルが続く。ほとんどアップダウンの無いまま、天ケ岳山頂に着く(9時20分)。
樹幹越しに日ケ奥池の青い水面が見え隠れしている。登頂標の類は一切無し。山頂付近はツツジが少なく、
ただのヤブ山の山頂といったところ。
そのまま通過して西へ100mほど行けば、小広いスペースが現れ、中央に役行者像が祀られている。憩
うにはこちらの方がよさそうだ。石の上に腰掛けて暫し休息をとる。舞鶴道を走る車の音さえ聞こえてこ
なければ最高なのだが・・・。
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山頂の様子 | 役行者像が立つ広場 |
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10分ほど少憩の後、山頂に戻り、山頂から真北に伸びている枝尾根を下る。黄色いプラ杭が埋められた
幅のある山道で激斜面だが、下りなので勢いに任せて行ってしまえる。5分も下れば登ってきた破線の道
に飛び出す。登りの時に頂上へショートカットできるかな、と睨んだ場所。あっという間に登山口に戻る
(9時40分)。
溜池の横には『最明寺跡』と彫られた石柱が建っている。いつ頃まで在った寺なのだろうか。お天気の方
はすっかり曇ってきたようである。冴えない天気とは裏腹に思いがけずも対面できたコバノミツバツツジ
の群生との対面に気分は上々、向い風に逆らうことなく、マイペースを刻んで帰路についた。
(本日の走行距離151km)
織田(おりた)さんへのメールはbabrx800@jttk.zaq.ne.jpまで・・・。
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