山を駈ける風になれ2006年 7月号

 
2006年6月4日(日)山南/行者山〜三組尾 (2.5万図 丹波和田) 
表記のコースはもう数年前から計画しながら、どういうわけか実現しなかったコース。梅雨入り前最後
の晴れ間となるであろう本日、思い切ってトライすることに。

1日中好天の予報だが、朝は少し雲っていて涼しめ。暑くなりだす前にと、午前5時18分にロードで
出発する。無風も手伝って快調に各ポイントを通過、7時26分には谷川駅前に到着、蛇山を横目に見
ながら富田橋を渡る(7時56分)。
さて行者山への取り付きを求め、地形図の鳥居マークの神社にロードをデポ。神社のすぐ南側の林道を
水道施設手前まで歩き、植林帯の中に続くケーブルTVのケーブル埋設道を進むが、ガレガレで歩きに
くく、面倒とばかり北側の植林帯斜面に取り付き、一気に尾根に出る(8時15分)。
水道施設横から斜面を一気に直登り
やせ尾根に出る

尾根筋には踏跡が続いている。少々枝が張り出してうるさい尾根道だが思っていたよりも歩きやすい。 徐々に傾斜がきつくなってくる。尾根筋に乗って10分ほどでちょっとしたコブの上に、更に10分ほ どで岩が累々とした箇所に。そして落雷で周囲が真っ黒になったところに到着する(8時38分)。 行者山山頂である。山頂から下を覗けば境内らしき広場があるのが見える。いきなり山頂に出てしまっ たようである。山頂を通り過ぎて一段下の山道を戻り広場に出る。
落雷の痕?行者山山頂は真っ黒けでも役行者はご健在

切り立った岩肌の壁面正面に役行者像が鎮座、そしてその左右に前鬼、後鬼像が祀られている。役行者 像だけが祀られている山は北摂、丹波にも多いが、このエリアで3点セットで像が残っているのを見る のは初めてだ。落雷痕と共に霊力を感じさせるポイントである。 さて、行者山を後に西に向かう。何の花だろう。小さな可憐な花の群落がある。Ca390コブまで来 ると木々の間から三組尾の大きな三角形が迫ってくる。一旦下って登り返しに入る。これを登りきれば 三組尾山頂、距離は短いが急登の連続である。 大きな岩の右側を巻くポイントで掴んだ木が折れて3mほど下へ落ちる、というハプニングもあったが、 どうにか登りきり三組尾山頂に着く(9時16分)。中央に539.7m3等三角点が埋まっている。 登頂標も何枚か架かっている。樹木に囲まれ展望はないが、明るい山頂である。
三組尾山頂

少憩の後、更に西へ向かう。境界尾根を牛坂まで歩けばデポ地へ戻る舗装路歩きが長くなるので、どこ から降りようか考えながら進んでいるとCa530コブに(9時30分)。ここが旧山南町と旧中町の 境界になる。 南へ行けば小野尻峠方面。切り開きもはっきりしていて歩きやすそうなので、南へ向かうことにする。 なかなか歩きやすいが、下り始めは何度も登り返しが現れて意外と標高が下がっていかない。それでも 次第に標高を下げ始めると、小野尻トンネルを走る車の音が大きくなってくる。
Ca540ポイントから
小野尻峠方面へはわりといい道

なるべく下山後の舗装路歩きを短くしようと尾根をはずれ、徐々に東へと進行方向を修正、小野尻側の トンネル入口の真上付近に下っていくと林道が現れ、林道に降り立つ(10時04分)。 草深い林道だが、トンネルの北側斜面を東西に走っているような位置関係にある。北和田、三ケ村、と 字名の書いてある木札を見ながら歩くこと5分で舗装路の林道に出る。頭上を深い木々に覆われ直射日 光を受けずに歩けるので助かる。 10時38分デポ地に戻り帰路に着く。やがて暑さと向い風に加え、ハンガーノックの三重苦に苦しむ ことになろうとはまだこの時思いもよらなかった。 (本日の走行距離138km) 2006年6月10日(土)能勢/天王名所案内 (2.5万図 福住)  “マイ・サイクルフィールド紹介シリーズ”。新企画第1回の今日は北摂最高所の集落、能勢の天王。 天王は少なくとも年20回はトレーニングがてら訪れている私にとっては“庭中の庭”。いつもは通過 したり、折り返したりと駆け抜けるだけの場所だが、立ち止まると興味深いものがたくさんある。私な りの視点で紹介してみたい。 午前5時36分、いつものようにロードで出発、どういうわけか快調に走れ、自己最短の7時22分に 天王に到着する。
天王交差点(天王川にかかる寺田橋より)

標高498m。天王地区で500mを切るのは、ここから天王峠方面の狭い一角だけ。
天王峠

天王峠と丹州街道古民謡の碑。丹波から摂津の池田へ米を買いに向かう時、最初の峠越えとなるのがこ の天王峠(脛擦り坂)である。
天王小学校

明治7年(1874年)創立。130年を超える歴史を持つ小学校。最初は長杉寺の一室を借りてスタ ートしたという。
太夫の墓

能勢といえば浄瑠璃。ここ天王も浄瑠璃が盛んだったようで、左が元治2年(1862年)元祖竹本中 美太夫の墓。右は文政2年(1819年)三味線の鶴沢浅吉の墓。
はらがたわ峠

標高575m。2つ目の峠。ここからいっきに標高差300m以上を下り能勢山辺に出る。
プロヴァンス雑貨とCAFEのお店

建物の壁土に到るまで総てプロヴァンス地方から取り寄せて造ったというこだわりよう。ちょっとここ だけ雰囲気が違う。庭一面のラベンダーが花を付ける頃は美しい。
吉良氏居館址

奥野々川沿いの地道を山の中に少し入ると植林対の中に平坦地が現れる。ここが吉良氏の居館址だろう か。敷地と思われる端には草生した墓標が立っていた。
天坪山天坪山西伐採地より八ケ尾山方面の眺め

南北に走る送電線のすぐ東にある646m標高点の山。山名は塩田豪一著『ガイド能勢町』より拾う。 見てのとおりのクマザサのヤブだが、昔は吉良氏居館から古道が山頂を東西に通っていたようである。 また、山の東側斜面からは須恵器も出土しているという。
天王のアカガシ

天王トンネルのすぐ西、大梵天王社址にある。この森の主。大梵天王社は寛延元年発行の摂津名所細見 にも記されている。
不動の滝

残念ながら水がちょろちょろ流れているだけで滝には見えない。先のアカガシから北西に山道を歩き、 辿り着いた終点にある。不動明王像があるときいていたが見当たらず。
女郎ケ淵

籠坊温泉から天王に向かう道路から見ることができる。女郎ケ淵に大蛇が棲み、人々を困らせていたと いう。高僧の法力により石の塊にされた大蛇は、元亀元年(1570年)高皇産霊神社のご神体として 祀られているという。 昭和38年頃までは、天王ではこの寒冷な気候を利用して高野豆腐作りが行なわれていたというが、今 では一軒も残っていない。この他、天王にはロード仲間のK氏お気に入りのお店や、名水ポイントなど があるが、また機会があれば紹介することにしたい。 (本日の走行距離95km) 2006年6月17日(土)篠山・春日/栗柄峠〜堂の峰 (2.5万図 宮田)  徐々にクモの巣の張り出しが増えるこの時季、快適に歩ける低山は限られてくる。そういう時季のため にとっておいたのが表記のコース。ロードで栗柄峠を走る度、『雲海の径』と書かれたハイキング道入 口のポールは目にしていた。 午前5時24分、ロードで出発する。昨夜の天気予報では今日は『晴のち曇』と言ってたのに、一夜明 けると『曇のち雨』だと言っている。僅か6時間程度で何事もなかったかのような顔をして言うことが 違っている。われわれの血税で何百億という費用をかけて気象観測衛星を打ち上げているのだから、天 気予報だから許される、というものでもなかろう。 ともあれ、気温18℃、晴天という絶好のコンディション、信号にひっかかる回数が少なかったせいか、 快調に走りつぎ、従来の自己記録を1分短縮する2時間03分で栗柄峠に到着する(7時27分)。 近くの自販機で水分補給を済ませ、ハイキング道入口に移動、植林帯の中にロードを運び込み、細い木 にワイヤーロックをかけて歩き始める(7時35分)。 入口の標識こそ立っているものの山の中に入れば、どこが径なのかよくわからない。適当に植林帯の斜 面を登ると植林と雑木の境界にハイキング道を発見。歩きやすいなかなかいい道である。整備された方 々に感謝申し上げたいが、ちょっと標識(『分水界の径』)が多すぎて何も考えなくても歩けてしまう ところが不満といえば不満。 7時50分、2つ目のCa350コブで南西方向から西方向へ向きを変え、樹幹越しに見え隠れする御 在所山の位置を確認しながら進んでいくと、御在所山への分岐点に到着(8時06分)。ここにも標識 が整備されていて間違おうにも間違いようがない状態になっている。
御在所山分岐

御在所山は分岐から僅かに3分程度の距離。少しばかり急な斜面は地形図とペットボトルで両手が塞が っている身には登り辛いものがあるが、ポンと飛び出せば明るい山頂に到着する。狭い山頂の中央部に 4等三角点が地面すれすれまで埋まっている。残念ながら展望はよくない。
御在所山山頂
山頂北の岩場からの眺めがいい
山頂北の岩場からの眺め
妙高山、奥に五台山。肉眼では粟鹿山も見える

展望を求めるなら山頂直下の岩場の方がよい。すぐ西にはこれから訪れる堂の峰の堂々とした姿が臨め、 北西方向には妙高山、その左奥に五台山から五大山に伸びる山並み、更にその奥にはかすかではあるが、 粟鹿山まで見渡せる胸のすくような眺望が得られる。 縦走路(分水界の径)に戻り、西に向かう。堂の峰への登りが始まるあたりは、稜線も広く、新緑の雑 木に包まれたうっとりするような素晴らしい森が広がっている。森の奥からシカが警戒音を発している。 「奥山に新緑掻き分け鳴くシカの 声聞く時ぞ山は楽しき」 どういうわけか、百人一首をパロった歌が頭の中を駆け抜けていく。とは言ってもそんなに優雅に歩い ているわけではない。登り始めはちょっとガレた斜面だし、そこを過ぎると滑りやすい急斜面が続いて おり、右に左にサイドチェンジをしながら汗だくの登りが続く。
新緑の森の中の歩行が続く堂の峰への登りにかかる

ようやく傾斜が落ち着いてきたら山頂である(8時38分)。山頂中央部にはこれまた立派な標識が設 置されており、平坦な広い山頂は展望こそ望めないものの、そこそこの人数で登ってもゆったり憩える スペースがある。
堂の峰山頂

まだ上空は晴れ間がのぞいているが、雲もだいぶんと出てきたようなので残念ではあるが、ここで引き 返すことにする。約40分かけて栗柄峠へ戻った時には重苦しい天気に。近くの八柱神社で休憩して帰 路につく。道場あたりで雨に遭ったがすぐに止み、11時50分なんとかセーフで帰宅。5分も経たな いうちに本格的な雨に変わった。 (本日の走行距離111km) 織田(おりた)さんへのメールはbabrx800@jttk.zaq.ne.jpまで・・・。

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