山を駈ける風になれ2006年 9月号

 
2006年8月5日(土)能勢/森上・今西周辺の低山廻り (2.5万図 妙見山) 
“能勢の無名の低山を訪ねる”シリーズ第7回と“マイ・サイクルフィールド紹介”シリーズ第3回の
合体版。この森上・今西地区は能勢の中でも中心地の一つといっていいところ。今西商店街はどこか郷
愁を誘う場所でもある。

午前5時24分、自宅をロードで出発。今日の予想最高気温は36℃という。暑くなる前に少しでも現
地に近づきたい。いつものように川西能勢口回りで、杉生から中山峠を越えて今西地区に入る(6時56分)。

岐尼(きね)神社

別名杵の宮、能勢を代表する神社の一つ。いろいろな神様に併せて源氏の祖、多田満仲も祀られている。 由緒来歴は実際に行って説明板を読んで頂くとして、近世能勢史で最大の事件、山田屋大助による能勢 一揆は、天保8年7月2日この神社の境内で旗上げされた。大塩平八郎の乱に触発されての行動というが、 実際は純粋な一揆だったようだ。
くれべ

くれべの丁稚羊羹といえば、能勢を代表する銘菓。美味い。が、いつも朝早くに通過するため店は閉まっ ている(残念(T_T))
イヤガ坂

現在は神楽坂という名前だが、大正初期までは両側が鬱そうと茂っており、また土牢もあったとかで、忌 み嫌われ、この名が付いた。葬儀・婚礼には通行しなかったという。
大明山(森上城址)

Ca320m。南麓の少林禅寺(といってもユン・ピョウは出て来ない)の裏の墓場の横から廻り込むよ うに山頂へ道が付いている。築城は天暦7年(953年)と恐ろしく古い。平坦地が何段もあり、土塁の 跡や堀切などもはっきり残っていて、相当な規模の城構えであったことが覗える。
逸翁の句碑

汐の湯温泉の敷地の中にある。逸翁は小林一三の俳号。『白旗の 源氏の村の 若葉かな』。そのまんま の意味の句ではあるが、小林一三の句碑がここにあること自体に興味が湧く。
大日堂

垂水地区へ移動する。小さなお堂ではあるが、石段、手水は明和期(1760年代)のもの。このお堂は 堂床山(584m)の山頂から移されたとの言い伝えがある。
生いけ山遠景垂水と長谷を結ぶ峠

垂水の集落から生いけ山(後の項で説明)の北側を廻り込むように林道を行くと、向い山と生いけ山を分 ける鞍部に着く。まだしっかりと道は残っている。
向い山(山頂)長谷へ下る峠から向い山を振り返る

地形図のCa350m等高線が閉じた小さな山。別名垂水城址。さきほどの峠から植林帯を一気に登ると 平坦な山頂に着く。堀切の後も残っているが、長谷側へ下る峠から眺めた方が、山城があったことがよく わかる。
生いけ山(山頂)

335.2m4等三角点のある山。イケイケのお姉さんがナマで見られることから付いた山名ではなく、 「いけ」は「埋ける」のこと。すなわち老人を捨てた山という言い伝えからこの名前が残っている。能勢 に姨捨の風習があったかどうかは私の拙い知識では知る由もないが、この地も厳しい歴史を経てきた、と いうことであろう。 尚、慶佐次 盛一氏の著書では『チンジンさん』という名前で紹介されている。鎮守の森の意味ではある が、後世の村人が鎮魂の意をこめて、そう呼んだのかも知れない。
土祖神

さきほどの峠を長谷側へ下りきったところにある。能勢の教育委員会の説明板がある。地元では“もりさ ん”と呼ばれているとある。「道祖神」ではなく「土祖神」となっているのは「土公神(どくじん)」= 「田の神、竈の神、火の神」を合わせて祀ったからという。 道祖神とは「サイノカミ」のことで、天孫降臨に際して道案内をした猿田彦に由来、そのため村はずれの 辻に立って道中の安全を守る神となっている。この「土祖神」の境内にはヒイラギの古木があるが、これ も悪霊を払う意味で植えられたのだと説明文は結んでいる。
長谷の棚田

大阪百景にも数えられる有名な能勢の棚田とは、この長谷の棚田をいう。写真奥の才の神峠に向かって延 々と続くさまは見事である。(才の神峠、土祖神の他にも能勢地区には道祖神にまつわる碑がたくさんある)。 9時半をまわり、じりじりと太陽が焼け付くように暑くなってきたので今西へ戻り、稲荷坂、かいもり峠、 と旧丹州街道の峠を2つ越えて、紫合から川西方面へ戻った。 (本日の走行距離76km) 2006年8月12日(土)園部/奥山峠〜おぐらたわ〜天王 (2.5万図 園部、埴生他)  ロード仲間のK氏から一緒に走ろう、とお誘いを受ける。どこを走るか。K氏は篠山にガレージを借りて、 そこにロードレーサーを置いているので、篠山を起点のツーリングとなる。 が、とにかくこの暑さである。大阪では連日36℃、37℃という異常ぶり。朝晩は涼しい篠山とはいえ、 そこは盆地特有の暑さがある。少しでも木立に覆われた涼しい道を、ということで表記のコースを提案し て走ることにする。 午前5時21分、ロードで出発する。篠山スタートといっても、篠山までは自走なのでいつもと変わると ころはない。既に25℃に達している赤坂峠を越え、気持ちゆっくり目でR176を北上、7時15分デ カンショ祭りの準備が着々整う篠山城大手門広場に到着する。
でかんしょ祭りの準備が進む篠山市内

集合時刻は8時なので、春日神社の境内で暫く休憩。10分前にガレージの前へ行けば、K氏出発の準備 中。一別以来の話をしていたりしていて出発は予定より5分遅れの8時05分となったが、まあご愛嬌だ。 篠山城址から瀬利、春日江と走り、佐貫谷から峠を越えて本荘へ。更に鬼坂峠を越えたところで、南に下 り、細工所のコンビニで腹ごしらえをしてからR173を北上、福井で東に折れ、本日最初の本格的な峠、 奥山峠を越えて辻へ下る(9時45分)。
奥山峠

私自身このワインディングの峠の下りを楽しむのは6年ぶりくらいかも知れない。植林帯に覆われた下り は涼しくて気持ちがいい。K氏も満足のようだ。でも、このルートの魅力は、もう一つ同じような峠の下 りが楽しめることである。おまけに今度はそんなに上りに苦しまないで済むからありがたい。 そんなわけで続く峠(中山峠)は走りこみ不足でバテ気味だったK氏が先頭のまま峠をクリア、更に細い ワインディング・ロードをコ−ナーを攻めながら船坂まで下る。 暑くなってきた。再び私が先頭に立って天引の三叉路まで案内する(10時06分)。ここの自販機休憩 ポイントはサイクリストがよく利用するところ。今日も宇治から来たという青年が休憩していた。 10分ほど休んで再び出発する。次は本日のメイン、天引林道の上りである。瑠璃渓分岐から約4kmの 間に標高差400mを上るという平均斜度10%のとんでもないコース。このまま天引峠を越えて篠山へ 戻ればどんなにラクかと思いながら分岐を見送って林道に入る。 最初のうちこそ林間の涼しい道に、マイペースを刻めば難なく距離を稼ぐことができるが、ガヨの谷分岐 を過ぎて暫くする頃から斜度がきつくなり始める。林道が渓流とクロスするところで、K氏突然ストップ、 休憩を入れる。地形図で現在地を確認、まだ336標高点の辺りだと思うが、K氏はもう少し上って来て いるんじゃないかという。あんまり甘い期待を抱くとこの先とんでもないことになるので、控えめに見積 もっておこうということで再出発。 途中まで併走していたが、何度か大きく切替すカーブをクリアしているうちにK氏が後退し始める。2, 3度休憩も兼ねてK氏を待っていたが、立ち止まると汗の匂いに群がるアブの攻撃を受けるので、ついに “虎の子”の1枚、リアのギアを27Tに入れて頂上のおぐらたわまでノン・ストップで上りきる (11時15分)。
おぐらたわから多岐三山を眺める

標高605m。北摂最高所の峠の一つである。峠は涼しい風が吹き抜けている。多岐三山を眺めながらK 氏の到着を待つ。道路に座り込んで待っていると上ってきた方向から何やら物音、K氏到着か、と思えば シカが林道を横断、などという出会いを楽しんでいるうちにK氏もようやく到着する。やはり走りこみ不 足が祟ったようで、K氏“ちょっと記憶にない”屈辱の「押し」が入ってしまったとか。いくら頑張って も時速3km程度しか出ないんじゃ、降りてとっとと「押し」た方があとあとラク、とマウンテンバイク から入った私ならすぐに割り切るが、元ロードの登録選手だったK氏はなかなかそうは割り切れないようだ。 峠の上で大休止をした後、通天湖方面へ下る。と、下りの途中で後からK氏の呼ぶ声が。何かと思ってス ピードを落として並ぶと、この下りの景色を見て、昔この峠を走ったことがあるのを思い出したという。 その時は上りで苦しんだ記憶が無かったためすっかり忘れていたとか。 なるほど。その頃のK氏と一緒に走らなくてよかった。途中で置き去りにされていたのは私だったかも知 れない。それにしても「継続は力なり」とは、自転車のためにあるような言葉である。毎週飽きもせずに 走っていれば、亀さんでもウサギさんより先にゴールに着くということである。 軽快に通天湖への道まで下ると、岡牧場分岐の峠へ上り返す。ここも標高605mの北摂最高所の峠だが、 標高差が小さいので簡単にクリア、天王まで豪快に下って、籠坊で湧き水をしこたま浴びて後川上にある お店でお昼にする(12時25分)。 K氏はここでも顔なじみ(K氏は北摂、篠山方面に顔なじみのお店が多い)。リーズナブルなお値段なが らボリューム感たっぷりの美味しいおにぎり定食を頂き、本日の行程に話が盛り上がるが、一緒にツーリ ングはここまで。ここからK氏は篠山へ、私は宝塚へ。再会を誓ってそれぞれ帰路についた。 (本日の走行距離155km) 2006年8月20日(日)北摂/泉郷峠〜はらがたわ峠折り返し周回(新車レポ)   当レポートを書くにあたって、最初にわがMTBの畏友島田氏に、一足お先に新車をGETし、楽しんで いることをお詫び申し上げたい。 “新品”というのは誰でも胸ときめくものであることに間違いはないであろう。新しいザック、新しい登 山靴、新しいゴルフクラブ、新しい釣竿などなど楽しみ方は人それぞれ違えど思いは同じ筈。私など決し て勉強が好きであったわけではないが、新学期になって新しい教科書を手にしても嬉しかった記憶がある。 それが今、一番の趣味といえる自転車の“新車”が届いたというのだからもう何をかいわんやである。 買い換えたのはロード・バイク。最近あちこちにガタが出始め、ショップに頼んでメンテをしてもらいな がら乗り続けてきたが、どうやらもう買い換えた方がよさそうな状況になってきた。とはいえ、お安くな い買い物である。ショップに新車を探してもらう一方でわが家の“財務省”と補正予算の折衝を行い、よ うやく先週新しいバイクがやってきたという次第である。 さて、まずは新車の紹介をさせて頂きたい。買ったのはGIANTのOCR−COMPOSITE1(2 006年モデル)。カーボン・モノコック・フレーム。フレームサイズは500ミリ。私のサイクルスタ イルに合わせ、ペダルをシマノのXTというMTB用のものを付けている以外は市販の完成車と同じ仕様 である。
新車で〜す

5時27分、初走りスタート。標記のコースはいつものトレーニング・コース。最初は川西能勢口までの 平坦地の走行感覚を確かめる。 走り出して第1の感想は滑らかに走れる、ということ。カーボン・フレームの振動吸収性のよさは知って はいたが、ここまで進化しているとは思わなかった。10年前にもカーボン・フレームに乗っていたが、 その時はもっと路面からの振動を拾っていた。 またドロップ・ハンドルのフラット・バー部分は幅広になっており、手の平が疲れにくく、アップライト な設計と共に、快適なロングライドを実現する、という謳い文句に納得。 川西能勢口までの所要時間は20分。その時々の信号に引っ掛かる回数にもよるので一概に言えないが、 いつもに比べて気持ち1分程度は遅いかな、という感じ。やはり車重で約1kg、タイヤ幅で2ミリ増え たことによるものか。否、それ以上に感じたのはフロント・トリプルになったことによる微妙な足幅の違 いが、なんとなくストレスになっているようだ。 6時42分、杉生着。休憩。自宅からの所要時間1時間15分は、最近の平均より2−3分遅い。リアが 10速になったので、いちいち目で確認しながら走っているせいかも知れない。緩斜面の上りは結構トル クがかかっていい感じで上れる。クランクが172.5ミリになったからか。 杉生新田までのダラダラ上りはいつもと同じくらいの時間で上る。水分補給をして泉郷峠に向かう。本コ ース一番の上りが現れる区間である。途中からはいつも39×24Tで喘ぎ喘ぎ上るのだが、フロント・ トリプルの威力はここで発揮。フロントをインナーの30に落とせば、リア21Tで淡々と進んでいく。 何しろ30×21Tは先代バイクのインナー×ロー(39×27T)よりもギア比は小さいのである。こ れなら先週の天引林道もノン・ストップで上がれるかも知れない。ロード・バイクでフロント・トリプル なんて、と馬鹿にしていたが、実力が無い以上、実際走り切れないギアを付けていても意味が無い訳で、 これなら未知のエリアにツーリングに出かけても、乗って上がれない坂に出会う可能性はまず無いだろう。 7時10分泉郷峠をクリア、下りに入る。フロント・トリプルなのでこの坂のように小刻みに次のカーブ が現れる下りはインナーからアウターに戻すのに手間がかかる。またリア・センターが418ミリと先代 バイクに比べて20ミリも長いのでタイトなターンは慣れるのに少し時間がかかりそう。 7時23分、天王の寺田橋に着く。トレーニングの時はいつもここを計測ポイントにしている。本日の所 要時間は1時間56分、気持ち4−5分程度遅い感じだ。ポジションがこれまでとかなり違うので、背中 や腰が疲れる。これも今後徐々に慣れていくしかないところ。 天王で休憩したあとはゆっくりはらがたわ峠に上り、Uターンする。ここからは下りのテスト走行だ。ア ップライトなポジションなのでそのままの恰好で下っているとスピードは出ないが、ホイール・ベースが 長くなったことによる安定感はある。但し、まだ乗り慣れていないので、真直ぐ走れていない。 対向車線をすれ違うローディー達の姿が増えてきた。徐々に秋が近づきつつあるということか。後川上か ら小柿方面へ下っていると、わき腹あたりに何やらクシャクシャする感触が…。立ち止まってジャージを めくってみるとハチが一匹飛び立っていった。半分オープンにして走っていたので飛び込んできたのだろ う。トンボはたまにあるが、ハチは初めてだ。刺されなくてよかった。 ボトル・ケージを先代バイクから付け替えるのを忘れたため、水分補給をこまめに行なえなくなるという アクシデントはあったが、概ねまずまずの時間で帰宅。走り出しに少し重い感触が残るが、サスペンショ ンが付いているのかと思うような走りの滑らかさは長時間の走りには向いているかも知れない。このバイ クはセンチュリー・ラン志向とか。次回はロング・ライドで走りを楽しむことにしたい。 (本日の走行距離106km) 2006年8月23日(水)屋久島/紀元杉〜千尋の滝  夏休みに屋久島に行ってきました。お手軽ツアーなので山歩きはしていません。写真で森林浴をお楽し み頂ければ幸いです。
高速船

 指宿から高速船(ジェット・フォイル)に乗って行きます。
車窓から種子島

 今度はバスで紀元杉に向かいます。標高差1,230mを上りますが、それほど斜度はきつくなく、根 性さえあれば自転車で上がれるでしょう。
紀元杉に到着

 バスはここまで横付けしてくれます。3000年の巨木を簡単に見ることができます。
紀元杉の表情

 3000年の表情は『凄い』としかいいようがありません。20種類以上の植物が着生しています。ヤ マグルマは別名「絞め殺し」とか。丹波の向山でお馴染みのヒカゲツツジも着生しているそうです。その 他、ヒノキ、ツガ、ナナカマド、ユズリハ等など。巨木になると普通着生植物とは言わない木までくっつ いています。
ヤクシカ

 ヤクスギランドに移動しました。いきなりヤクシカのお出迎えです。
切り株の上に別の木が生えている

 江戸時代に年貢の代りに切り出した大きな切り株の上にいろんな種類の木が生えています。
でかいヒメシャラ

 ナツツバキに似た樹皮のきれいなヒメシャラ。でもこんなにでかい木だったっけ。
双子杉

 双子杉です。
森の主がいっぱい

 こんな森の主のような巨木がいっぱいあります。
千尋の滝

 千尋(せんぴろ)の滝です。2段の落差の合計は80mあるそうです。屋久島らしい豪快な景色を堪能 しました。
開聞岳

 お手軽コースなのに指宿に戻ってくる頃には夕方になってしまいました。開聞岳が近づいてくるとまも なく指宿港です。    織田(おりた)さんへのメールはbabrx800@jttk.zaq.ne.jpまで・・・。

表紙にもどる

『山であそぼっ』にもどる