山を駈ける風になれ2007年 7月号

 
2007年6月2日(土)市島/戸平峠〜虚空蔵山(2.5万図 市島)
最近2−3日先の天気予報が日替わりで変わるものだから、1泊サイクリングの予定が全く立てられない。週
初めには雨だといっていた土曜日が晴れになり、途中から雨の予報に変わった日曜日も結局雨が降らず(この
レポートは日曜日に書いている)。何百億円もかけて気象衛星を打ち上げているのだからもっとしっかり予報
できないのかと思っているアウトドア好きの人は多いのではないだろうか。

そんなわけで結局今日も日帰りツーリング。今日のコースは“丹波のたぬきさん”のレポートを読んで春先ま
でに一度訪れたいと考えていた戸平峠周辺の山域を歩くコースである。

午前5時20分、ロードで出発。気温14℃。やや肌寒いくらいだが、一番走れる温度でもある。土曜の早朝
の国道(R176)は大型トラックが多い。月末月初明けの走りということで疲れている筈なのに走り出すと
いい感じ。
狭い道を横すれすれに抜いていく大型トラックのスリップ・ストリームを利用しながら加速を繰り返せば、赤
坂峠を記録的な好タイムで通過、その勢いのまま三田(6時04分)、古市(6時43分)、栗柄峠(7時2
4分)、兎原(7時53分)と走り、R9に合流、芦淵で左折して、かじかの声を聞きながら再び兵庫県へ。
戸平トンネルを抜けたところにある駐車場に到着する(8時24分)。

ロードをデポし、仕度を整えて破線の道を歩き始める(8時30分)。破線の峠道への入口は雑草がぼうぼう
に繁っていて夏用のレーパンで歩くと膝から脛にかけて雨露や草がこすれて些か痒い。
おまけにいきなり大量の“ひっつきむし”にやられ、ソックスにくっついた“ひっつきむし”を取るのに手間
取る。しかし入口の草ヤブ地帯を抜けると歩きよい峠道が続く。足元をよく見れば簡易舗装されていたことが
わかる。トンネルが出来るまではこの細い道を車が通行していたのだろうか。
入口の草ヤブを抜けるといい道がついている戸平峠

歩き始めて5−6分で峠の鞍部に着く。ここが本当の戸平峠である。鞍部を数メートル行ったところから右手 に登る山道が付いている。すぐに祠が現れる。 祠を横目に谷筋を登る。足音に驚いたヤマドリが飛び立つ。歩きにくくなってきたところでイノシシの通り道 を辿り、右手の枝尾根に登路を求めて移動する。ヤブはないが4つんばいになって上がった方が早いような斜 面を登り切ると、山頂北側の端に出る。ここから1分で山頂に到着(8時53分)。
峠のすぐ上に祠がある虚空蔵山山頂

山頂は平坦になっている。北東の隅に祠が立っていて、中に虚空蔵菩薩が祀られている。像はそう古いもので はなさそうである。今日はここからたぬきさん報告のコースに従って日内城址まで歩く予定、ちょっとエネル ギー補給を、と先日近くのスーパーの北海道フェアで買い求めた『練乳キャラメル』をまとめて2個頬張る。 疲れた時にはこういう甘いものがいい、と1人誰もいない山の上で納得しながら、ヤブ尾根を歩き出すと、「 おや、変だ?」・・・いかん!歯の詰め物が取れた。試しにスポーツドリンクを飲んでみる。幸い神経は出て いないのか痛みはないが、これではまともに食料補給ができない。残念ながらここで断念、日内城址はまた改 めて、ということで下山。口の中が落ち着かない状態で帰路についた。こんな理由で山歩きを途中で中止した のは勿論初めて。        (本日の走行距離 154km) 2007年6月5日(火)伊丹/伊丹市最高点を訪ねて(2.5万図 伊丹) 山がある市町村の最高峰や最高点を探すのは簡単だが、山が無いところは結構難しい。わが街宝塚のお隣伊丹 市などもその一つ。山が無いから“最高峰”は無い。では“最高地点”は何処か。久しぶりに平日休みを取り、 午前中の少しの時間を利用して伊丹市の最高点探しに出かける。 伊丹市は長尾山系の南に広がる猪名野と呼ばれる台地に市域を有し、東は猪名川、西は武庫川に挟まれ、東西 7km、南北6.5km、25平方kmに約20万人が住む大阪の衛星都市のひとつである。全国的には大阪 空港のある町というくらいの知名度だが、 しなが鳥 猪名野を来れば有馬山 夕霧たちぬ宿りはなくて  と万葉集にも読まれる古い土地で、奈良時代に僧行基が建てた昆陽寺、戦国時代には荒木村重の居城であった 有岡城など豊富な史蹟を有する他、江戸初期には清酒業が盛んで(小西酒造は日本最古の清酒メーカー)、江 戸後期に灘五郷に抜かれるまでは全国一の生産を誇る酒どころであった他、隣接する宝塚の山本地区と共に日 本3大植木の生産地を形成し、鳥取の二十世紀ナシ、有田の温州ミカンなどの苗木もこの地で生産されたとい う産業の盛んな土地でもあったところである。 さて、講釈はこれくらいにして、北から南へ徐々に標高を下げる伊丹市。地形図を見ると最北部の荒牧地区が 標高40mを越えて最も高いようである。伊丹市のホームページを見ると最高標高は45mとある。どうやら このあたりと見当を付けてロードで走り出す。 いくら時間がないとはいってもダイレクトに向かったのでは、足慣らしにもならないくらいに近いので、まず は武庫川サイクリング・ロードを河口付近まで南下、折り返して国道2号線を渡り、尼崎市側の堤防沿いの道 を北上、中野で右折、天王寺川を渡り、中筋7丁目の交差点に着く。 「中筋」は宝塚の地名だが、市の境界はここを東西に走る市道の北端なので、この市道は伊丹市内を通ってい るということになる。この市道は何度も走ったことがあるのでよく知っている。この交差点から東に500m ほど行ったところに天神川という天井川が流れている。恐らくその橋の上が伊丹市最高点ということになりそ うだ。
地形図上ではこのあたりが最高点になるが・・・

緑に包まれた短期大学の校舎を見ながら天神川に架かる橋の上に着く(8時38分)。残念ながら欄干に名前 が刻まれていない簡素な橋である。ここが伊丹市最高点か。改めて地形図を取り出して見てみると、100m ほど東に48m標高点がある。天井川を下った先なので、明らかに今居る場所の方が高い。標高点が48mな らこの場所は50mあってもよさそうだが、50mの等高線はだいぶ北を通っている。本当に48mなのか?  山中の細かい地形ではいろいろある国土地理院だが、まさか平地の標高を間違う筈はなかろう・・・とは思う が・・・。ま、限りなく標高50mに近い場所ということにしておこう。 天神川の左岸は遊歩道として整備されている。南へゆっくり走る。200mほど走ると東西に走る道路と交差 する。交差する手前は少し上っていて、実走した感じではこちらの方が標高が高いように思える。ここに架か っている橋はさきほどのよりも大きくて“北辰橋”という名前が付いている。北辰−>北斗七星−>妙見信仰 ・・・うーむ、何やら謂れがありそうだ。
北辰橋。実走感からするとここの方が高い

橋の上に立って周囲を見渡すとここより高いところはなさそう。あくまでも個人的感想ながら『伊丹市最高点 は北辰橋中央』と決定。ここも地形図では40mを少し越しただけ。限りなく50mに近い40m台というこ とにして本日の探索終了。     (本日の走行距離  41km) 2007年6月16日(土)宝塚北部/長谷山+長谷妙見山(2.5万図 武田尾) 先週(6月10日)、不安定な天気に遠出のリスクを避け、いつもの北摂周回コースを走っていると、宝塚北 部の長谷(ながたに)地区を東西に走る県道脇に「妙見山登山口」の標識を発見、標識まで整備されたのなら 一度訪ねてみようというわけで表記の低山を訪ねることに。 妙見山と聞いて、『妙見直列』仮説上に位置している山では? とすぐに考えてしまうのは『やまあそ病』末 期症状の兆候か。長谷妙見山は能勢妙見山の真西に位置するため、残念ながらすこし外れている。 長谷妙見山は2002年12月にMTBで大日山方面からシングルトラックを走って一度訪ねたことがある。 その時にお寺の方から頂いた冊子『長谷妙見山あゆみ』は昭和27年に発行されたもののコピーで、戦後間も ない頃の西谷地区の様子がわかる貴重な資料として今も大事に保管している。 5時37分、一昨日までの天気予報が一転して朝から青空が広がる中をロードで出発。ダイレクトに向かった のでは近すぎるので川西能勢口回りで走り、紫合で阿古谷方面へ折れ、かいもり峠、稲荷坂を越えて能勢の今 西へ(6時53分)。更に中山峠を越えて杉生(7時11分)へ下り、笹尾から笹尾峠を越えて上佐曽利、下 佐曽利と走って長谷に着く(7時35分)。
いきなり梅雨の中休み。三草山と竜王山長谷妙見山の入口はここから

年に30回は走っている道だが、いつからこんな標識(「登山口」)が立っていたのか全く記憶にない。ここ からは未舗装路なので「押し」て歩く。ダブルトラックの道幅の林道で一旦東に振ってから西に反転して昇り ついたところが長谷妙見山の境内である(7時41分)。 本堂(というかお堂だが)が新しく建て替わっている。横の建物も新しくなっている。人の気配はない。変わ らないのは南に下っている長い石段だけ。えらくこぎれいになって趣きはなくなった。
建て替わったお堂長い階段は健在

もともと長谷妙見山は寛保年間に飢饉と疫病が流行したため能勢の妙見山より分身を能勢妙見山が眺められる 長坂の辻東に長坂妙見として祀ったのが始まりと言われている(昭和27年発行『長谷妙見山あゆみ』より)。 明治14年にこの御神体が盗難に遭い、昭和25年に見つけ出され、翌年今の場所に安置されたという歴史を 持っている。 さて、新しくなったお堂にお参りして長谷山を目指す。直線距離にして300mも離れていないが道は無い。 林道の途中から南東の浅い谷に入り、踏跡のように見えるところを登り返して東に進むと雑木林に囲まれなが らもそこだけが明るくなった小広いスペースに基準測量の白いポールが見え、4等三角点が現れる(7時55 分)。
長谷山4等三角点

254.7m長谷山である。北の方向に向かって踏跡が続いているように見える。地形図の実線の林道に繋が っているのだろうか。しかし、それでは大回りになるので西に向かってヤブを掻き分け、谷筋に並行に下って いけば、長い石段の下へ。今日はこの石段を歩くことはないと思っていたが、結局歩く羽目に。前回はMTB を担いで登ったことを思うとまだましか。再び長谷妙見山の境内を通って、デポしたロードを回収。とても梅 雨の期間中とは思えない天気の中を帰路についた。     (本日の走行距離  74km) 2007年6月23日(土)氷上/稲継〜山南/小峠周回(2.5万図 柏原、谷川) 梅雨の晴れ間のツーリング日和。というよりも今年は梅雨の中休みが多い。お蔭で今年は6月に入っても雨で 走りを中断せざるを得ない状況には至っていない。というか実は今日の走りで40週連続(去年の9月23日 から。走った回数は45回)になる。 勿論ここまで連続して毎週走ったのは初めて。これは本人の気力というよりもひとえに天候に恵まれたからに 他ならない。特に冬場が暖冬で、自宅前が積雪、凍結ということがなかったことが大きいと思う。 さて、そんなわけで今日は40週連続を記念して時々走るのんびりコースを写真を交えながら紹介しよう。午 前5時21分出発。R176をひたすら北上する。
稲継交差点(氷上町)

自宅から62km。暇だったのか交通整理をしていた警官が喋りかけてくる。今日は北風が強いのでここで山 南町方面へ向かうことにしよう。
これでも国道です。(R175 氷上町福田)

加古川沿いにR175を南下する。午前8時前ということもあって国道の真ん中で写真を撮っていても全然ク ルマが来ない。こういう景色を眺めながら走るのは気持ちがいい。
恐竜化石の里になった?下滝駅付近駅前を恐竜が歩いている?

無人の静かな駅が一躍有名になってしまった? 横断幕の賑やかさとは対照的にいつもの静かな下滝駅前の対 比が面白い。
上久下村営水力発電所跡

大正9年に着工、同12年から村内に電力の供給を開始。45年ほど前に稼働は停止したが、一つの産業文化 遺産といえるかも知れない。
これが恐竜発掘現場
秋からの発掘再開が待たれる

丹波市を一躍有名にした恐竜化石の発掘現場。マイ・サイクル・フィールドから恐竜の化石が出てくるとは思 わなかった。昨日の雨の影響で激流が渦巻いている。水量の少なくなった秋以降でないと次の発掘作業が出来 ないというのも頷ける。 発掘現場を眺めていたらおじさんがやって来てパンフレットをくれる。どこからサイクリングで来たのかと訪 ねるので宝塚だというと、こちらで1泊したのかと重ねて訊く。午前9時前に83kmも走っているとは思わ ないか。
「山中大仏堂」ではなくて「山中大師堂」

阿草から小峠に向かう途中にある。やまあそさんのレポートに詳しい。
小峠。峠手前の20mほどがきつい

写真左手に下ると篠山市、右手を更に登ると西脇市へ行ける。山南町側から走ると最後の20mほどが厳しい。 まだ時計は9時20分。篠山側に下って追い風に乗れば、11時過ぎに帰宅。     (本日の走行距離 138km) 織田(おりた)さんへのメールはbabrx800@jttk.zaq.ne.jpまで・・・。

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